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あたしの知らないお母さん1

「青木賞」を受賞したことで、お母さんはそれまで勤めていたパートの仕事を辞めた。


それは書くのが忙しくなってと言うのではなかった。元々ネットで張っていた時からお母さんは毎日更新していたくらい、仕事とは両立していたのだ。だけど、それ以外にテレビのコメンテーターを引き受けることになって、さすがに両立できなくなってしまったのだ。


きっかけは「青木賞」受賞時のインタビュー。その受賞作とは似ても似つかぬ天然トークがワイドショーのプロデューサーの眼に止まったのだ。


『わはは、芸NO人デビューだよん』

これがコメンテーターとしてテレビ出演が決まった時のお母さんのブログタイトル。なんで芸NO人なのかと言うと、『だって、私芸なんて持ってませんからね』だからだそうだ


なら、なんでテレビに出るよ……それも文化人の枠で。


テレビに出ているお母さんは年甲斐もなくパステルのスーツ着込んでるし、そもそも名前も本名の「野江光子」じゃなくて、筆名の「春香彼方」なんていうどっかに飛んでっちゃいそうな名前で画面の中で微笑んでたりする。なんだかあたしのお母さんとは別人みたい。


テレビの仕事をするようになってから、圧倒的に「春香先生」への電話が多くなった。まるで家まで乗っ取られちゃった気分だ。


そんなある日、あたしはお母さんがパソコンに向かって話しかけているのを見た。機械音痴のお母さんはスカイプをしているのではなく、純粋にパソコンに話しかけている。今はやりの?(一体どこで流行ってるというのだ)擬人化ですか、お母さん。


……と、思ったらパソコンの横には写真が置いてあった。写真に話しかけるのも相当アブナイ事には違いないのだが、なおすごいのはその写真に対面するように鏡が置いてあり、彼女は鏡の中の写真に話しかけていたのだ。しかも……その写真の主は……あたしだ!!


な、何なのよ! 本人、ここにいるじゃないのさ!! どーいうこと? コレ……

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