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6-2 目玉焼き

その声を聞いたとき、私は驚き後ろを見ようとした。実際には、いつ身についたのかわからない防衛術?によって、菜ばしの持ち方を通常の箸の持ち方から、母指対向性の特徴が最も現れた持ち方で二本共握りしめ、箸の先が後ろの人物に刺さるようにして力を込めて振り向いた。


後ろにいたのは旦那だった。



朝、換気扇のまわっている音がして目が覚めた。普段は妻が朝ご飯を作ってくれる。俺は朝に弱く中々起きれない。作ってくれるのがありがたいと思いつつ、体を起こして伸びをする。それからあくびをして目を軽くこすった後、リビングに向かう。

まだ、朝ごはんは用意されていなかった。つまり今日は珍しくご飯のできる前に起きれたということだ。


フライパンで何かを焼いている音がする。スクランブルエッグか。少し嬉しくなったついでに妻の料理姿を見に行く。

いつも朝ごはんでフライパンを使うのはスクランブルエッグだけなので、それを作っている姿を想像する。そのうえで邪魔にならないようにそっと近づき後ろから覗く。

見ると、そこにはすでに黄身の部分と白身の部分がそれぞれ固まり始めた目玉焼きが完成されつつあった。さっきまで想像していたものとは違うものができていたため、つい声をかけてしまった。



「混ぜないの?」

自分の声にしては似つかわしくない程のつぶれた声が出た。と思った瞬間、妻の右手がかすかに動いたと感じた。



どうしたのだろうと思ったら、急に腹に菜ばしが食い込みそうになったので、ぎりぎり避けつつ油がついてない光沢のなさそうなところを持ち攻撃を受け止めた。

何をしてくるんだ、夢の中でもないのに攻撃されるなんて。身近にあるものでも一歩間違えればこんな凶器になるのかと冷や汗をかきそうになる。とりあえず自身の、さっき起きた割に避けるスピードが高かったことは今日の中で一番偉いと思えそうだ。よくやった、自分。


妻がこちらの顔を見て、ぎょっとしている。


「え、起きてたの?」

なんでこいつがいるみたいな顔をしている。

「うん、さっき起きたんだよ。その前に、菜ばしで刺そうとするのはもうやめてくれないかな」

言われて妻ははっとなり、力を入れるのをやめた。

「なんで、そんな声ガサガサなの?」

言われて思い出した。昨日飲み会に誘われて酒を少し飲みすぎたんだ。

「昨日、飲み会行った時に少し酒を飲みすぎたんだよ」

「ああ、確かにカレンダーに書いてあったもんね。」

そう、俺も妻も予定があるときは冷蔵庫に貼っているカレンダーに色を分けて書き込んでいるのだ。

「けど、今度からは飲みすぎないように気を付けなよ?聞いたことない声で、びっくりしちゃったじゃん」

そんな声がしただけで菜ばしがお出迎えするなんて思わなかったよ、なんて絶対言えない。まあやんわりなら言ってもきっと大丈夫だろう。

「うん、気を付けるよ。でも家には二人しかいないんだから急に菜ばしを向けないように気を付けてほしい」

「私もこんな風に手が動くなんて思わなかった。」

一緒に笑い出した。


笑った後、ふと妻の奥から嫌な予感のする匂いに気づき、フライパンの中身を覗いた。

お読み頂きありがとうございます!

普段無意識に何かすることはありますか?私の場合、自身では気付かずに周りの人がこうしてるよねと言うことで気づくことがあります。

ですが、それを認識した後に同じことをしようとすると変に気にしてしまいいつもより動きが歪になりやすいです。言われて嬉しいような、少し恥ずかしいような。


あとがきまでお読み頂きありがとうございました!

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