5-3 広告
いつの間にか流れていたらしい、長い沈黙の後、彼女が先に口を開けた。
「もしかして、こういうアプリっていうか、ゲームが好きなの?」
………ん?
「その…こういうちょっと、やらしい女の子が好きなんでしょ?」
おっと?
何を言っているんだろう。全く頭が働かない。
「私は確かに、こんな魅力はないかもしれないけど、そんなに凝視するくらいこの子が好きならこの子のいるアプリでずっと遊んでなよ」
なんだ?俺の知っている言葉ではこれはヤキモチというものに当てはまる気がする。つまり、おれがあのアプリでのキャラクターのことを気に入っていると思ったのか。ふざけてるだろ。
「俺はそんなアプリ使ったことないよ」
「嘘」
「嘘じゃないよ、スマホの画面見る?」
「うん、見る」
彼女は少し泣きそうだったのか、声がいつもより弱っていた。
スマホのロックを開いて彼女に見せる。すると、少しずつ怒りが収まってきたらしい。
「ならなんで、さっき笑ってたの?」
怒りは収まったが、この疑問はやっぱり頭の中で巡っていたらしい。
きかれる気がしていた。だから俺は画面を見せている間に考えた。嘘っぽく聞こえるかもしれないがこれでも、事実だ。少なくとも嘘じゃない。
「その、画面を見てしまったこと自体は悪いと思っているんだが、それ以上にテレビの知らないCMを見るみたいに何かのことをずっと凝視してるから気になって、それで画面を見たんだよ。で、たぶん何見てるんだろうって思ってたら顔に中途半端にその気持ちが出たんだと思う。見たのはごめん」
「あ、そうなのか。………こっちもごめん、ちょっと、怒りすぎた」
よかった、無事に怒りも不安も消えたようだ。しかし、俺の疑問はまだ消えていないから聞くことにした。
「ところで何をそんなに見つめていたの?」
「え?」
妻が思った以上に動揺している。なぜだろう。視点が全く定まっていなかったがしばらくしてこう言った。
「詳しくは言わないけど、某質問に答えてくれる袋で、ある質問に関連した質問と回答を見てたの」
興味があって、質問し続けたら今日中に言うから黙ってと少し恥ずかしそうにしていた。夜、寝る前に聞いたとき、なおさらあのキャラクターなんてどうでもいいと思えた。
お読みいただきありがとうございます。
無事、怒りが収まってよかったです。
怒っている人に対してどう怒りを鎮めてもらうかと、その伝え方は中々すぐには思いつかないので大変です。いっそのこと、学校の授業とかで教えてくれたらよかったのにとも思ったりします。
あとがきまでお読み頂きありがとうございました!




