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6-3 目玉焼き

俺は妻の向こうにあるフライパンの中身を覗き、急いで火を止め、菜ばしを借りて裏を見ようとした。

「ごめん、ちょっと菜ばし借りるよ」

「あ、うん」

妻はきょとんとしていたが、すぐに気づいたのか俺がフライパンを見やすい位置に移動して彼女もじっと見ていた。


結果、一つは完全に裏が焦げ、もう一つは若干焦げすぎだがまだ美味しそうと思える程度の焦げがついていた。


「どうする?」

妻がきく。


「仕方ない、俺がそっちを—」

「待って」

俺が言いかけたときに妻が急にどや顔になって言葉をさえぎった。

「じゃんけんで決めよう」

「ん…じゃんけん?」


最近はしていなかったが、二人で何かを決める時はじゃんけんで決める時がある。たしか、前やっていた時は俺が勝ちつづけていたな…。

今回は妻から言ったから、言質はとれる状態にある。さっきの、妻が不機嫌にならないようにと思って俺が言いかけた言葉は、もうチャラになってそれなりにうまい方が食えるかもしれないってことだよな…?


よし勝とう。


「とりあえず、食べる準備だけ先にしてからするか」

「うん!」

妻も意気込んで返事をした。

なぜかじゃんけんをする直前は二人とも元気になる。二人とも勝つつもりでいるからだろうか。小学校以来、じゃんけんをする相手は多分妻が初めてだった。童心に帰った気持ちになる。


お皿とお茶とコップに加え、サラダやパンを出す等、朝ごはんの支度が終わった。


「じゃあいくよ!!」

妻が元気に言う。俺も答える。

「ああ。」

「最初はグー、じゃんけんぽいっ!」


俺はパー、彼女はチョキだった。くそっ。負けたか。


「なんだー、俺の負けかよ。くそ。」

「まあ、じゃんけんは平等だからね、そういうときもあるよ」

彼女はご機嫌そうに言う。いつもよりも笑っている。笑みだけでうれしさが伝わるよ。

俺は若干気持ちを引きずって、自分の方に焦げた目玉焼きの皿を置く。ああ、焦げつきがきた…。


互いに目を合わせた後軽く手を合わせ、同時に

「いただきます」


これは、いつもの朝の習慣の一つだ。


一緒にご飯を食べ始める。まだ、ほんの少し気持ちが下がっていた。

「まあいいじゃん、そんな顔しないでよ」

そう言って彼女は俺の機嫌を直そうと、サービスで俺のコップにお茶を注いでくれた。これをしてくれるのは彼女の機嫌がいい時だけだ。

ご機嫌そうだな。まあ、普段は自分で注ぐことが多いから注いでくれて確かにうれしくなったけど。


俺ももう、機嫌を悪くし続けるのも疲れたし、仕方ない、飯食うか。

俺は彼女の注いだお茶を飲み、朝ごはんを食べ始めた。


食べているときに妻と目が合うと、俺はまた笑顔になった。

卵一つくらいたまにはいいか。

最後までお読み頂きありがとうございます!


じゃんけんを普段する機会がないので私自身懐かしみながら書いていました。小さいころの遊びをすると、楽しいと思うよりも懐かしいと感じます。


あとがきまでお読み頂きありがとうございました!

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