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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
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急変

※相変わらず中島視点です

一夜があけた。


昨日はホントに無茶苦茶だった。

身内から裏切り者なんてでてほしくない、そう願いつつも結局裏切り者かも定かでない身内に裏切り者のレッテルを押し付けてしまった。



「朝かぁ・・・」



こういう日に限っていつもより早めに目が覚めてしまった。

カーテンをあけて朝の日差しを部屋へ入れる。



「あ・・・」



朝の日差しで明るくなった部屋。

その明るさで机の上に置いてあったガス銃が反射した。



「・・・」



私はそれをもって眺める。



(・・・こんなもので治安を守る?・・・治安を乱してるのは私たちじゃない。)



・・・結局昨日はこれを人に向けて撃つことができなかった。

練習なら撃てたのに。


撃ったら人を傷つけるかもしれない。

むしろ傷をつける為の武器だ。

それを皆、当然のように相手に向けていた。


・・・あの時は「仕方がない」と思っていた。

自分の身を守る為だ。

・・・それでも・・・撃てなかった。

あの時、私の心の奥底では身内である彼らにすら驚異を感じた。





たしかにこれには旧来の私たちの武器に比べたら圧倒的な威力があるのかもしれない。

けれどその圧倒的威力をもった武器は相手に渡った時、それ以上の驚異になる。


そう昨日同士討ちで気づいたのに・・・

気づいた時には遅かった。

相手側、打連に大量の武器がわたってしまった。


なのに昨日の飛沫くんは生き生きしていた。

圧倒的威力にはより圧倒した威力をもった武器で対抗すればいい・・・。

それが彼の考えなのだろう。



「・・・」



こんなもの人を傷つけるだけだ。

人を傷つけて、何を守ろうというのか。



(・・・やっぱり生徒会の今の考えは間違ってる・・・!)



それは今までにないたしかな感覚だった。


暴力で物事を解決しようとする今の生徒会は間違っている。

戦闘を主導する3年も、部下をまとめる2年も、実際に戦闘を行う1年も。

そんな組織に皆を導いていく力はない。


たしかに圧倒的力をもって統治を行えば治安はよくなるだろう。

でも信頼なんてされるわけがない。

一般生徒からしたら脅されているだけなのだから。


私は絆同盟からまず「皆で協力すること」の強さを教わった。

生徒会1組織で頑張るより、他組織と協力していくほうが絶対大きい力になるはずだ。



(明日ちゃんと皆に話してみよう。)



まだ間に合う。

今なら生徒会はかなり優位だ。

生徒会有利のまま停戦させてしまえば生徒会にダメージはないはず。


相手側に武器が流れてしまった以上、これからのこちら側の犠牲は当然今までより加速すると考えたほうがいい。

犠牲が多く出る前に停戦するのが一番だ。


相手側だってすでにだいぶダメージがでているはず。

これ以上のダメージを望むとは思わない。



・・・今だからこそ停戦できる・・・

今しか停戦するチャンスはない。



(・・・)



それには生徒会内部の好戦派を抑える必要がある。

今の生徒会内部は好戦派一色といっても過言でもない。

何より私の直属の先輩である五稜郭さんも好戦派の一人だ。

山崎さんも、厳島さんも、賤ヶ岳さんも・・・。


・・・皆を説得できるのだろうか・・・。

いや、してみせる!



(これ以上犠牲を出させはしない・・・!!)




そう決意を固めた、まさにその瞬間だった。

私のケータイが鳴った。



(こんな時間に誰?)



まだ朝10時ぐらいだ。

それも日曜日。



朝からうるさいなぁ・・・


そんなちょっとした不満を浮かべつつ、ケータイをとる。

相手は・・・鷹村くん?


こんな時間にどうしたのだろう。

今日は学校も休みなのに。



「もしもし、中島です。」


「中島か!?」



電話の一言目は怒号のような声だった。

一瞬ケータイから耳を話してしまう。



「そう言ってます・・・」


「今すぐ学校へ来てくれ!」



相手の様子からただ事ではないのはすぐにわかった。



「え?なんかあったんですか?」


「理由は後で話す!今は人手が足りないんだ!!」


「わかりました!」



私はすぐに支度を始める。

・・・まぁ、さすがに日曜にまで学校へ行くことになるとは思っていなかったからちょっと時間はかかったが。



(これはチャンスだ・・・!)



停戦提言は早いほうがいい。

明日よりも今日だ!

今日学校へいったついでに皆に提言しよう。



そう思い、玄関へ走っていく。



「あら、今日も学校へいくの?」



すると母にとめられた。



「う、うん。」


「・・・まさか・・・脅されてお金渡したりしてない??」



うっ・・・

まぁ、いじめられてた過去はありますが・・・。

というか、それを知ってて聞いてきているのだろうが・・・。



「だ、ダイジョブです!!」



生徒会である限りそれはない。


・・・でも・・・もし今の好戦派の流れに逆らって停戦提言をして周りから距離を置かれたら・・・?



「・・・」


「・・・ホントに?」



ちょっとした不安が顔にでてしまったのか・・・

母は心配そうな顔でこちらを覗く。




その時、一瞬だけ絆同盟が頭によぎった。



(・・・私はバカか。)



自分の居場所があればどこでもいいのか。


そんなわけがない。

たとえ居場所があってもそこが敵地なら成り立つわけがない。


もしどちらかを選ばないといけないのなら生徒会を選ぶ。

その決心は揺るがない。



「大丈夫です!」



生徒会は大丈夫だ。

あの組織にはいろんな意見をもっている人がいる・・・。

・・・それでもうまくやっていけてる。

きっと大丈夫だ。



母にそう言い切って急いで学校へと向かう。




学校へ着くと、すでに生徒会の大部分が学校へきているのか・・・。

下駄箱あたりには靴が散乱している。



(・・・ちゃんと自分の靴ぐらい入れましょうよ・・・)



このだらしのない状況をみてそんなことを思いつつ、自分の靴をロッカーへ入れて校舎へと上がる。

すると階段に既に生徒会の生徒数名がいる。



「・・・何があったんですか?」


「ここから先は生徒会の生徒以外立ち入り禁止だ。」



彼らはもっていた武器をこちら側へ向けてからそのように述べた。



「ちょっ!」



彼らに言われて気づいた。

生徒会の証である、菊の紋章をつけてくるのを忘れた・・・。


しかし一般生徒に対しても何もする前に武器を向けるというのはちょっとピリピリしすぎじゃないですかね?



彼らに不満を抱いていると、後ろから肩を叩かれる。



「全く、どこへいったかと思ったぜ。」



後ろを向くと、そこには仁井くんがいた。



「あ、仁井さん、お疲れ様です。どうでした、上の様子は?」


「ありゃやべぇな。幹部どももいつもみたいに椅子の上でふんぞり返ってる暇もねぇらしい。」



ハハハっと彼らは笑い合う。

・・・下層部からの上層部の印象はそんなに悪いのか・・・。



「おいおい、下層部と上層部が混じって作業してるところなんてこの高校に3年いても見れねぇかもしれねぇすげぇ光景だぜ?ちゃんと写メっといて正解だった。」



そしてまたハハハと彼らは笑い合う。

・・・一体何が面白いのだろうか・・・。



「まぁ、なんだ、とりあえず武器を下ろせ。」


「しかしここは生徒会以外の人間を通すなと上層部から厳令が・・・」


「今上層部も大忙しだからバレねぇよ。」


「そ・そうはいきません!!」



警備の彼らも必死だ。

仁井は苦笑する。



「ちなみにすげぇこと教えるとこいつは今回の件の犯人の1人だ。」


「え!?」



彼らは仁井くんがそういうと武器をさらに警戒してこちらへと向けた。


・・・今回の件の犯人ってなに?

なんかすごく嫌な立ち位置にさせられているような・・・。



「捕まえられたんですか!?」


「いや、自首してきた。」


「しかし上層部からそのような報告は・・・」


「あぁ、俺のところにしてきたからな。まだ報告もしてない。」



仁井くんの言葉に彼ら警備は顔を見合わせる。



「しかしそのような際には情報部への随時報告が義務付けられているはずです。」


「どうにもそうにも連中も大忙しでお手を煩わせるのもアレだろ?俺が直々に報告すんの。」


「しかし敵側の生徒を内部へ迎えるというのは・・・」


「ここの警備は警備部の責任範囲だよな?」


「はい。」


「ならもし何かあれば責任はここを通すことを許可した俺にすべてある。だから通せ。」



そうか・・・。

彼はそういえば警備部の1年最高責任者なのか・・・。


彼の命令に渋々彼らも道をあけた。



「あ、それとこいつを取り返しに連中の部下がくる可能性があるから今より警戒を強めること、いいな。」


「はい!」



そういって彼は私の手を引っ張って前へと進んでいく。


・・・しかしいつからだろう。

男子にふれられても大丈夫なようになった・・・。


それだけ男子とも関わりが増えた、ということか。

・・・それともそれだけ自分の男子への恐怖心が減ったのか。



「ちょっ、仁井さん。」


「あ、悪ぃな。」



そういって彼は手をはなす。



「別に特別な意味があったわけじゃねぇんだ。頼むから勘違いはしないでくれよ。」


「・・・いや、そんな勘違いはしないですが・・・。」


「そうなのか?・・・飛沫さんは“三次元の女は自意識過剰のクズが多いから気をつけろ”っていってたんだが。」



あの人は何をいっているのだろうか・・・。



「まぁ、いいや。」



そう言って彼は階段を上り始める。

私もそれについていく形で彼の隣を歩く。



「しかし関心しませんね。」


「なにが?」


「上層部の悪口ですよ。」


「いいんだよ、連中だって俺らのこと散々いってんだから。」


「その、“誰々がやってるから俺らもいい”みたいな考え方が嫌いです。」


「お前は西本かよ。」



仁井くんは苦笑する。


・・・あ~、西本くんか・・・

なんか言いそうですね、こういうこと。

脳内再生余裕です。



「まぁ、連中も一応頑張ってるからな、それは認める。」


「・・・一応って・・・」



私の知る限りではかなり頑張ってますよ・・・?



「てかもう2年が上層部でいいよ。三幹部に任せときゃすべて上手くいくんだよ、もう3年はでてこなくていいや。」


「・・・」



そういえば最近下層部の2年幹部推しがすごいな・・・。

この間も三幹部がすごいだのなんだのという話をきいた。


・・・さすがにこれだけ持ち上げられると3年のメンツが崩れるというのも理解できるな・・・とも感じた。



「3年だって頑張っていますよ。私たちの見えないところの作業をしてくれているんですよ。」


「前向きだな。」


「絶対そうです!!」


「まぁ・・・そうかもな。」



私が頑なに主張するので彼も苦笑して頷いた。



「しかし面白い考え方するよな、お前って。」


「え?」


「いや、どう見ても3年幹部なんて椅子の上で踏ん反り返ってるようにしか見えねぇのに、それを頑張ってるなんてさ。・・・お前、3年のスパイか?」


「その発想は斬新ですね。」



というか、なんで3年が仲間騙すためにスパイまで使うんでしょうか・・・

そんなことしてる暇があるなら、フツー敵の情報得るためのスパイを送るでしょう・・・。



「いやいや、でもホントに面白い考え方するよ。・・・3年を絶対悪にしちまえば俺らのやってることも正当化できるのによ。」


「・・・全部3年のせいにするんですか?」


「実際すでにそうだろ。下層部では3年幹部が無能で交渉しくじったせいでこうなったって話が広まってる。」



そういったところからも上層部と下層部の隔たりがあるのかもしれない・・・。



「それに3年は別に無能なわけじゃねぇ。・・・ただ3年を生徒会内部が無能とさせたがってるだけなんだろうがな。」


「・・・どういうことです?」


「・・・まぁ、こういったことに発展しちまったことへの責任をとらせる為、とでもいうのかな。今回の件は物も結構壊された。・・・そういった責任は開戦の背景はどうであれ、開戦をした生徒会にあるってのが普通の考えだ。・・・となれば生徒会内部でも責任者を決めないといけないだろ?」


「・・・」


「結果、開戦を指示し許可し、作戦計画と警備を監督している最高幹部たちにあるって責任転嫁してぇんだ。だが連中が“有能”じゃその転嫁ができねぇだろ?」



・・・そんな・・・

最高責任者はたしかに部下の失態などに責任をとる義務があるが・・・


あくまで3年も被害者でもあるっていうことか・・・



「まぁ、内部の思惑通り、3年は見事に無能な連中として内部でも描かれてるわけだ。」


「・・・どうやってそんなのひろめられたんですか?」



たしかに私も3年は仕事を必死でやっていると信じたい反面、無能だと錯覚していたところがあった。



「戦果報告が一番いい例なんじゃねぇの?2年が指揮した戦いの勝利と3年が指揮した戦いの敗北はデカデカと伝えられ、3年の勝利と2年の敗北はなかったことにされる、こんな偏ったやり方してりゃそりゃ誰だって2年を警戒するわな。」



仁井くんはもしかして・・・

2年がこの責任転嫁の中心にいる、というのだろうか。



「・・・どういうことです?2年は優秀なんじゃ・・・」


「たしかに三幹部が優秀なのは認めるがな。・・・逆にいえばその3人しか優秀じゃねぇのが2年だ。」



え?じゃぁ、三幹部の活躍の裏で、2年は敗戦もしているってこと?



「そもそも2年と3年の扱いの差があるってどういうことです?」


「・・・」



それをきくと、彼は周りを見回し、誰もいないことを確認すると足をとめた。



「どうもこうも新聞部がかなり偏った書き方してんだよ。まるで3年は無能、2年は天才の集まり、みたいな感じにな。」



新聞部といえば生徒内会部の通信紙を書いている部門だ。

まぁ、生徒会内部のみに配られる、「生徒会だより」みたいなものだ。



「何人が気づいてるんだろうな、この偏りに。その記事を丸々信じ込むと2年最強説が出来上がる、と。」


「・・・そんなの3年がとめるのでは?」


「どうなんだろうな、実際偏った記事が続いてるからな。ただこうも偏った記事が続くと、2年が新聞部を裏で手をひいてるんじゃねぇかって考えるのが普通だろ?」



じゃぁ、3年が2年の妨害をするのはメンツの問題じゃなく・・・



「彼らは2年の反乱を恐れてるんだよ。・・・このままいけば1年は2年配下として動く。・・・さすがに2学年相手にするのは3年でも無茶だからな。」



もし2年と3年が対立した時、1年は必ずどちらの陣営からも「こっちにつけ」といわれるはずだ。

どちらかを選ばないと、決着がついた後、勝者から「なぜこちらにつかなかったのか」と責任問題へと発展する。


正直いえば1年がついたほうが勝つといっても過言ではない。

・・・となれば1年からみて信頼できるほうへつくのは必然。

新聞部がそのような偏った書き方をしていて、それを皆が信じ込んでしまっているなら当然1年は2年配下として動くだろう。




そういえば金ヶ崎さんと厳島さんと五稜郭さんとの会話で、金ヶ崎さんが「いずれひっくり返る机上、この際盛大にひっくり返してみようか」みたいなことを述べていた。

それで昨日の件も金ヶ崎さんが疑われたわけだが・・・


あの「いずれひっくり返る机上」というのが2年全体で手を組んだ反乱だとしたら?

・・・それを2年最高責任者の山崎さんが止めていて、五稜郭さんと厳島さんも乗る気ではなかった・・・と。

五稜郭さんと厳島さんはお互いに1人ではこの反乱を抑えられないから、絶大な人望のある山崎さんを最高責任者として推薦していた?


それで金ヶ崎さんが山崎さんが邪魔なので彼をどけようにも、2人の幹部が反対。

そこで1人の独断進行、もしくは残りの2年幹部たちと手を組んで3年に対して反乱を起こそうとしたので、それを山崎さんが止めるために五稜郭さんと厳島さんの協力下で、昨日の戦闘を起こした、と。




(そういえば・・・)



昨日の戦闘は実際1回だったが、2回になりつつあった。


すなはち、西本たち1年の調査団と暗闇で対立した時だ。

彼らは私たちと同じ目的だったが、その同じ目的をした者同士で争いが起こりそうになった。


その場所に山崎さんも、五稜郭さんも、そして厳島さんもいた。



しかし二度目の戦闘。

BS会議の戦闘では、1回目で「同じ目的を持つ者同士で勘違いで対立することがある」とわかっておきながら、BS会議に出席していた幹部たちには何の忠告もなしに攻撃を開始した。

・・・そしてその忠告や話し合いの進言を、1回目で勘違いの可能性を十分に思い知っているはずの三幹部が誰一人としてしなかった。



(・・・五稜郭さんや山崎さんはともかく、厳島さんならそういった進言をしてもいいはず・・・)



つまり・・・三幹部はあの「BS会議」が明らかな彼らの敵であることを認識していたことになる。

でなければ同士討ちであんな迷いなしの攻撃命令を下せない。



(つまり昨日の戦闘は一部の2年幹部による反乱を抑えるための三幹部による先制攻撃?・・・でも、もしそうだとしたら・・・)



話のつじつまはあう。

・・・しかし、もしそうだとしても・・・

それなら、会長を縛っている連中は誰なのだろうか?


もし昨日の私たちの相手が2年の反乱グループだったというのなら・・・

会長を傀儡にして、この戦闘を起こしたグループは一体誰なのだろうか。




「まぁ、その新聞部の見事な働きのおかげで“2年が勝ち続けている”のに“押される”っていう不思議な現象が起こるわけだ。・・・まぁ、それが今日の件なんだが。」


「・・・その話、誰からきいたんです?」



もしこの話そのものが出処不明だとしたら・・・

打連が流したテキトーなデマな可能性がある。



「西本だよ。・・・あいつ、基本的にはこの生徒会のことは把握してるからな。」



・・・そう言われて気づく。

彼は私たちの知らないことを当然のように知っている。

彼の情報網は一体どことつながっているのだろう。



「まぁ、あいつに言われて、意識して読んで初めて偏ってるって気づいたんだがな。・・・言われなきゃ偏ってることにすら気づかねぇ。」


「・・・それで今日の件っていうのは?」


「ま、歩くか。」


「は・はぁ・・・」



再び歩き出して話を続ける。



「いや、これが今日の件っていってもいろいろありすぎてどこから話したらいいんだろうな。」



先に階段を上る彼はため息をついた。



「ま、簡単にいえば打連によるこちら側への3箇所同時奇襲攻撃だな。」


「三箇所も!?」



これ、とんでもないことの犯人役にされたんじゃ・・・。



「今日は日曜だろ?・・・厳島さん含めて幹部も多くは休みだったし、下層部はもっと休みが多いから警備が穴だらけだったんだ。しかも打連の連中らしくねぇ少人数編成のグループいくつかで攻撃をかけてきやがった。」



おそらく今までの打連の移動はかなり大掛かりなものだったのだろう。

すなはち、大人数の移動。

まぁ、これなら移動中に想定外の攻撃を受けた際にも対応できるし、安全はあるが、それだけの人数が動けば必ずこちら側に察知される。

それこそ警備部のパトロールの本領発揮である。


しかし今回は彼らも少人数でやってきた。

それは今までの彼らの行動と明らかに異なる。



「連中にもあぁいう行動ができるんだって見せつけられたようなもんだな。」


「・・・仁井さん、「らしくない」ってことは今までは打連の移動や攻撃も大人数が基本だったんですか?」


「あぁ。あっちは人数に余裕があるからな。広い範囲の守備にも多くの人材を使えるし、移動ももちろんの大規模な移動が多いな。だから連中は小規模編成の移動が大人数であるが故にできねぇんじゃねぇかって読んでたんだがな。」



・・・大人数が故に、細かいところにまで手が届かなくなるから少人数編成の行動が指揮しにくい、ということか。



「・・・そのこちら側の読みを相手に利用されたとは考えられませんか?」


「それは俺も考えたが、そんな機転のきく奴、打連にいるのかって疑問がでてくるからな。」


「今回の相手の責任者が今までの責任者と異なった、という可能性があるんじゃないですか?」



・・・それこそ、会長を傀儡にして誰かが指揮しているかのように・・・

あっちにも最高責任者がいる一方で、独断で動いている幹部がいるのではないだろうか。




「・・・打連の組織的行動とは別に、独断で動いている奴がいる・・・か。まぁ、人数が多い連中ならありえることだろうな。人数が多い上に連中とて同盟の集まりだから全体の指揮系統はゴチャゴチャだろうしな。」


「・・・」


「まぁ、相手の情勢なんか知ったこっちゃねぇが。」



仁井くんはそんなことを言って苦笑するが・・・

生徒会は彼の話だとあくまで「対打連戦略」に対して、打連という大規模組織であるが故に単純的な動きしかできないところに着目している点が伺える。

しかし今回の件で、打連という組織の単純行動とは別に、個人で動く者がいる可能性がある、つまりこれは今、生徒会が着目しているような「単純な行動」のみではなく、打連は小回りのきく様々な行動がとれることになる。



これは戦略的誤差がでてきてしまうのではないか・・・。

それは生徒会にとって今後「知ったこっちゃねぇ」じゃ済まされない、非常に大きな驚異が生まれてくることになる。



「・・・今回の相手の最高責任者は独断で動いたにせよ、かなりの切れ者ですね。」



むしろ独断で動いたからこそ、生徒会の隙をつくことができた、ともいえる。

・・・そこも考えての今回の行動なら相手の責任者には・・・かなり手強い者がいることになる。



すでに打連には武器も流れてしまっている。



(・・・これは想像以上に私たちが相手にしている組織はヤバい連中なんじゃぁ・・・)



妙な焦りがでてくる。



今までは打連よりも優れた武器を使って、ほぼ戦略がなくてもゴリ押しで勝てていた面があった。

それもきかなくなった今、生徒会はこれまでのように勝ち続けることは当然厳しくなる。



(・・・これは犠牲云々の話の前に早めに停戦しないと生徒会・・・負けますよ・・・!)




「中島?どうした?」


「い、いえ・・・。」



おそらく今は動員可能なだけ学校へ登校させて警備と復旧にあてているのだろう。

だからあの警備があんなにもピリピリとしていたのか。



「とりあえず俺らにとって最もまずかったのは被害を出したことじゃなく、被害をだしておいて捕まえられた相手はゼロって点だな。」


「攻撃を加えられて一人も捕まえられなかったんですか?」


「そういうことになるな。・・・しかも連中、逃げる際にあらかた生徒会側の生徒へ攻撃をかけていきやがった。」


「・・・それで被害は?」


「・・・」



彼は一瞬顔をしかめた。

その瞬間、「これはかなりまずいことになったんだな」と悟った。



「生徒会直属の会議室3部屋が全損、2部屋半壊、幹部1名に下層部生徒3名の怪我人・・・」



3部屋全損って器物破損じゃないですか!!


・・・それに人的被害に関しては下層部が3名も・・・

しかも幹部にまで被害がでてるのか・・・。


器物はともかく、人の少ない生徒会にとってこの被害は甚大だった・・・。



「それに・・・」



だが彼の言葉はまだ終わっていなかった。

・・・まだあるのか。



「こちら側に協力的な一般生徒5名に、無関係の生徒4名の怪我人もでた。」


「・・・え?」



そうちょうど言うと、彼は廊下のど真ん中でとまった。



「ここが被害のあった会議室の1室だ。」



彼が扉をあけると、中は散々だった。



(・・・まるで泥棒に入られた家みたい・・・)



部屋中にあらゆるものが散乱していた。

その床におちたプリントを1枚1枚広い、整理をしている幹部と生徒が数名。



「あ、五稜郭さん。」


「中島と仁井か。」



そのなかに五稜郭さんもいた。



「・・・手あいてるか?」


「手あいてるもなにも、手伝うためにここにきたんですわ。」


「・・・すまん、助かる。」



仁井くんがそういうと、五稜郭さんはただただ感謝をした。

しかしその様子は誰がみても相当にキレているようだった。



「・・・あの・・・五稜郭さん?」


「なんだ?」


「一般生徒にも被害がでたっていうのは・・・」


「うわっ、バカ!」



作業していた一般生徒のなかには今日の朝に私を呼び出した張本人である鷹村くんもいた。

彼は「バカ、それは地雷だ!!」といった顔をした。


・・・だがもう聞いてしまったからには遅い・・・。



「本当の話だ。ただ疑問なのは武器もなにももっていないのになぜ攻撃を加えたのか・・・。我々は打連へ対して甘く対処しすぎていたようだ。」



五稜郭さんはただそれだけいってプリントの片付けを続けた。

ただその言葉は怒鳴り散らしているわけでもないのについ思わず足がすくんでしまうような強い感情がこめられていた。


・・・これは地雷も地雷、大地雷だ・・・。

私もこの話をこれ以上聞かず、作業を続けた。



その後、数十分作業を続けて五稜郭さんは苦笑した。



「皆、ご苦労。・・・だが一旦休憩しよう。無理は禁物だ。」


「は、はい。」



その場にいた全員は皆ため息をついてその場に腰掛けたり、部屋からでて飲み物を買いに行ったりと各自自由にする。



「・・・オレは少し風にあたってくる。」



そういって五稜郭さんも部屋から出て行った。

・・・彼女が部屋からでていったあと、ようやく部屋で会話が生まれた。



「怖ぇー。」


「俺、一度五稜郭さんに怒鳴られたことあるけど、アレはヤバいタイプだわ。まだ怒鳴られたほうがいいわ。」


「幹部でも怒られるものなんですか?」


「むしろ俺ら幹部のが怒られてると俺は思ってる!!お前、言っとくけど立場が同じってほど怖いものはないぞ!!」



・・・どうやら五稜郭さんが怖い、という件に関しては幹部も下層部もないようだ。

・・・というか、下層部に至っては今、気づいたが知っている人しかこの部屋にはいなかった・・・。



「・・・てか中島、お前が来てそうそうにあんな地雷を踏んでくれるからだな・・・」



鷹村くんはこちらを向いて私に指をさしていった。



「そうだそうだ、俺、あれで確実に「今日死んだわー」って覚悟したぞ。」


「・・・だが中島に何の説明をしないで協力を求めた鷹村にも責任はあると思うがな。」



そこへ仁井くんがその場に腰をおろしていった。



「ここに来るまでにあらかたの説明はしたが何にも中島は知らなかったんだ、ありゃしょうがないだろ。」


「・・・たしかにな。何の説明もせずにきてくれと頼んだのは悪かったよ。」


「・・・それでやっぱ五稜郭さんが今日不機嫌な理由って・・・」


「ま、一般生徒が巻き込まれたって件だろうな。」


「・・・しかも僕と五稜郭さんは彼ら攻撃隊とすれ違ったんですよ。」



幹部の1人が口を開いた。

よく見てみれば、ハルさんじゃないか!


そのハルさんの言葉に全員が「え?」といった顔をした。



「・・・え?そんな重要な話じゃないですよ?・・・ただ僕と五稜郭さんは第2会議室へプリントを渡しに行く際に団体さんとすれ違ったんですよ。」



その団体さんが今回の件の犯人グループだったということか・・・。

おそらく犯人グループの1チームであろう。



「それで五稜郭さんが“皆で勉強会か?”ときいて、あっちが“えぇ、まぁ、そんなところです”と答えたので五稜郭さんが頷いて“ご苦労さま。頑張ってな”といってすれ違った、それだけの話なんですけどね。」



すれ違っただけじゃなく、声をかけて話もしていたのか・・・。



「でもしょうがないじゃないですか!だって相手はこちらのように何か紋章をしているわけでもない。一目みただけじゃ打連の生徒なんてわかりようがなかった。一般生徒と勘違いしても当たり前だった。・・・それなのに、ただそれを見逃したってだけで彼女は自分が一般生徒を巻き込んでしまったと責めてるんですよ・・・。」


「・・・」


「・・・見るに耐えませんよ・・・」



ハルさんはうつむいてしまう。

・・・彼も彼女と一緒にいた身だ。

彼も当然自分を責めていて当然だ。

・・・なのにそれでも自分ではなく、相方を心配する彼もまた見るに耐えない。



「なぜ彼らは無関係の一般生徒を?」


「一般生徒のなかには生徒会に協力的な連中もいてな。・・・だが彼らは当然生徒会じゃないから菊の紋章なんてしてない。だからそういう連中と勘違いしたってのもあるのかもな。」


「・・・まず生徒会に協力的な生徒がいるっていうのが信じられないんですが・・・。」



・・・この生徒会は絶対的権力で学校全体を抑制している・・・

だから一般生徒からは目の敵にされても当然といえば当然だと思うのだが・・・。

現に賤ヶ岳さんも一般生徒の反生徒会行動の本格化こそ一番恐れていた。



「まぁ、な。ただ生徒会はただ一般生徒から恨みを買うようなことばかりでもねぇんだぜ?」


「え?」


「まぁ、いろいろあって生徒会に恩のある連中とかもいるんだな。あとは打連側から裏切った連中とかな。」


「打連を!?」


「考えてもみろよ、こんな危ねぇ怪我してもおかしくないような組織にわざわざ自分から入ろうとするか?普通は多少苦労してもそのままでいいって考える人のが圧倒的に多いだろ。・・・つまり、自らの志願で集まった人材だけで生徒会の3倍の人数も揃えられるわけがねぇって話だな。」


「じゃぁ、どうやって・・・」


「一番手っ取り早いのが脅しだろうな。数の暴力なら文句すら言えないだろ。・・・んでもってそういう脅しで入ったような連中を最前線に送り込んで、打連そのものの志願者は幹部として後ろで指示するだけってパターンも結構あるみたいだぞ、連中の話によれば。」



そんなの・・・彼らがレッテルとして掲げる「自由」もなにもないじゃないか。



「・・・ひどい話ですね。」


「だから生徒会が一気に攻め込んで弱小組織を壊滅させた際なんかには、敗北して打連との手が切れた瞬間に生徒会による組織の保護を求めてきた弱小団体も結構あるみたいだな。」


「・・・じゃぁ彼らが?」


「あぁ、生徒会は組織の保護と自由を約束して、形式上はその組織を崩してなくしたことにして、打連が手を出せないようにしているみたいだな。」



だから五稜郭さんも最初に「弱小団体をいくつか潰してやった」といっていたのか。



「組織がなくなって、尚且つ生徒会保護下なら、各個人にも打連は手を出しにくくなる。何しろ、各個人の裏にいるのが彼らの敵なんだ、再び自分の組織にそんな連中を入れるってのは内部で生徒会側の生徒による反乱を起こされる可能性も飛躍的に上昇する危険行為だ。・・・そこまでして戦力を拡大はしねぇだろ。」



そういう意味でなら確実に打連の人数は減っていっているのか・・・



「まぁ、保護下の生徒もバカじゃねぇからな。・・・保護してくれている生徒会そのものが打連に負けたら結局前の状況に後戻りになっちまう可能性があるってわかってるんだろうな。だから危険性の高い、直接的な戦闘は生徒会に任せて、危険性の低いデスクワーク的な作業を行ってくれてるみたいだ。」


「でも生徒会が負けちゃえば、もう打連が戦う理由もなくなるから、戦わなくてもよくなるんじゃないですか。」


「そもそも打連がこの学校の“自由”のために戦っているってのもかなり怪しいところではあるからな。生徒会潰したら、次に打連と対立した組織と戦うってのもあるんじゃねぇの?」



それってもはや打連っていう名前の意味がないんじゃぁ・・・。

しかしその一方で、自由のために戦っている生徒もいる点においては彼らの士気もバカにはできない。



「・・・でも自分が戦わされないために、裏方で戦うっていうのも随分と皮肉ですよね。」


「直接戦闘しないだけでもかなり危険性が落ちてるんだ、彼らにとってもいい話だろ。彼らは危険性を落としたい、俺らは打連に勝つために戦力が必要だがデスクワークも含めると戦力を抽出するのに限りがあるから、できる限りデスクワークを誰かにやってもらいたい・・・、お互いにWin-Winの話だと思うけどな。」



仁井くんはため息をつく。



「ただまぁ、そんな裏方の作業でも犠牲が出ちまったのが現状なんだがな。」


「・・・五稜郭さんは“彼らは武器をもっていなかった”って言ってました。・・・それなのに攻撃するもんなんですかね?」


「連中としては生徒会に協力する連中は武器をもっていなくても敵なんだろ?デスクワークに協力できる生徒が減っちまえば、その分、戦闘要員からデスクワークへ生徒を戻さなきゃなんねぇからな。戦闘要員が減ればそれだけあっちにも優位になる、だから今回の件は決してありえないという話ではなかったってことだな。想定できた話ではあった。」


「・・・」


「そういう意味で手厳しくいえば、そういうことを想定できていたにもかかわらずデスクワークに彼らを使ったってことはこうなることを覚悟していたってことでもあるし、彼らに護衛をつけるべきでもあった。・・・この結果は彼らの協力を許可した幹部にあるっていっても過言ではないな。」


「ですが・・・僕は同じ学校に通っている生徒が、いくら相手に勝つためとはいえ、武器をもっていない相手にまで攻撃を加えるということをするような外道ではあってほしくはなかったです・・・。」



ハルさんはそういって立ち上がった。



「実はこれから2時間後に緊急の会議があるんですよ。・・・もう僕も五稜郭さんも腹が決まりました。」



ハルさんも五稜郭さんも、そして厳島さんも、山崎さんも皆、打連は敵ではあるが、同じ学校に通う、あくまで同じ生徒ではある、だからそんなひどいことはしないであろう、と信じていたのかもしれない。


しかしそれは幻想だった。

その幻想がここまでの被害を出してしまい、仕舞いには生徒会に協力していない、全く関係のない生徒まで巻き込んでしまった。


もう彼らに対する手加減なんて必要ない。

・・・そう彼らの覚悟が決まってしまったのだろう。




「あ、そうだ。ここはもう全員諜報部のことを知っている人しかいないからあえて普通に話しますが、この緊急会議、諜報部の代表としても中島さんか鷹村くんもでてもらえませんか。・・・どちらか一人で結構ですので。」


「・・・」

「・・・」



私と鷹村くんは顔を見合わせる。

・・・しかしもしこの会議に出れれば「停戦提言」が行える。


停戦の提言ができるのは今しかない。

今後は相手に武器も流れているし、より犠牲者も増えるだろう。

犠牲者の増加を防ぐには今しかない・・・!



「・・・鷹村くん、今回の会議、私がでてもいいですか?」


「お?マジで?いいの?」


「えぇ、ちょっと話したいこともあるので。」


「そうか。・・・俺はどっちかというと面倒そうであんまでたくなかったから助かるわ。」




なんだかあっさりと決まってしまった。

まぁ、鷹村くんも喜んでいることだし、いいのだろう。



「あの、会議には三幹部やハルさんもでるんですか?」


「え・えぇ、まぁ・・・。あの、その三幹部っていうはできれば本人たちの前では言わないでくださいね。」


「え?」


「その呼び方、本人たちはいろいろ理由があって好んでいないので。・・・というより気分を害するようなので。」


「そ・そうなんですか!?」



・・・そうだったのか・・・!

私、まだ彼らの前でこの呼び方で呼んでいないよね!?

なんか急に不安になってきた・・・


すると扉が開いた。

噂をすればなんとやら・・・である。



「・・・ん?どうした?」



五稜郭さんが帰ってきた。

幸いにも今の会話は聞かれていなかったようだ。



「い・いえ!!物を壊すなんて、みんなが使うものなのにひどいことするなっていう話をしていたんです。」


「全くだな。」




その後、さらに一時間半作業を行ったところで、なんとか作業は終わった。



「・・・どうにか復旧できたな。これもひとえに諸君のおかげだ、感謝する。」


「いえいえ。」


「・・・諸君はしばし休憩してもらって構わない。できればまだ作業の終わっていない会議室の復旧作業を手伝ってもらえると助かる。ハル、オレらはジャスティスのところへ行くぞ。」


「・・・え!?」



ハルさんは「やっと終わったぁ・・・」とクタクタの様子を見せているというのに・・・

五稜郭さんのこの元気は一体どこからくるのだろうか。



「ジャスティスの連中は会議に遅れるのが当然、みたいなところがあるからな。今から呼びにいく。」


「あの、私も行きます。」


「中島、お前も休んでてもいいんだぞ?」


「いえ、私もどっちかというと暇なので。」


「・・・そうか。ではいくか。」



廊下を3名で歩く。

・・・最も1人は疲れすぎていて、息をしているかも怪しいところなのだが・・・。



「他の被害場所の復旧は進んでるんでしょうかね?」


「オレらがやったところはそこまで被害がでてない部屋だからな。部屋によってはガラスが割られてるようなところもあるからな。」


「・・・それ、器物破損ですよね?」


「だがそれを外に公表するわけにもいかないからな。内部でこんな状況になってるのが世間に知れればそれこそ大変なことになる。」



しかしだからといってそれを黙認してしまうのもどうかと・・・。



「幸い連中も無差別にガラスを割るようなキチガイではないらしい。被害にあうのは生徒会直轄の管理部屋だろうから警備を徹底すれば予防はできるだろう。」


「・・・でもガラスとか弁償するのにお金が・・・」


「金銭的な面は大丈夫だ。・・・まさに不幸中の幸いという奴だな、今年の一年にこの学校にかなりの寄付をしてくれる生徒がいてな。」



・・・誰だかわからないがその寄付のおかげで弁償費はなんとかなるのか・・・。



「実はこの寄付があるからこちら側も戦闘を継続できるっていう点もあるんだ。・・・こちら側のジャスティスが提供する武器なんかはその募金からきているからな。」



・・・つまりその募金者は学校にとってだけでなく、生徒会にとっても非常に重要な存在、ということか。



「この騒動が去年に起こってたら、それこそ大変なことになってた。・・・まぁ、だからといって物を壊すという件が許されるわけではないが。」


「全くです。」


「・・・物が壊されるまでヤバイことになったのは今回が初めてみたいでな、教師たちも若干焦ってるようだったな。・・・ま、オレらですらそんなことしなかったからな。」


「・・・え?」


「あ、いや、なんでもない。」


「???」



そんな話をしているとパソコン室へといつの間にかついている。


・・・どうやらパソコン室への被害はなかったようで相変わらず飛沫はパソコンゲームをやっているようだった。

・・・どんなゲームかはもはや何も言うまい。

それに神威ががっついており、陽炎が渋々付き合わされる、という形がもはや定番だ。



「ここは被害なかったんですね。」


「あ!なにてめぇら勝手に入ってきたんだ!!ほら、選択肢間違ったじゃねぇか!!!」



・・・ホントにこの人は何があっても変わらないのね・・・。



「と思うじゃん?」


「陽炎、それで世界がまわれば苦労はしないんだ。・・・もうダメだ、またルート戻んなきゃいけねぇじゃん。」



飛沫は頭を抱えている。



「・・・お?あ、生きた!生きた生きた!!これはキタ、人生ハジマタ!!トゥルーエンドだ!!」


「だから言ってだろ。」


「でかしたぞ、陽炎!!」


「これは神ゲー。」



あぁ・・・ダメだ、こいつら・・・。



このダメ3人組の後ろで紀龍くんと西本くんが、彼らも相変わらずで武器を作らされていた。



「できました、“遺憾の意速射砲”!!これで打連にも勝つる!!」



あ・・・この人も不治の病の持ち主だったわ、そういえば・・・



「西本、なぜお前はそんな変な名前しかつけられない。」



お!

紀龍くんは唯一まともですよね!

よかった、ここにも常人がいた・・・!



「よし、のぞみたん完成!!これで俺とのぞみたんは一心同体、一騎当千だ!!」



・・・もうこの部屋にいる人は全員ダメだわ・・・



「・・・あ!!ごほん、中島、これは違うんだ。」


「・・・もう何も言いません。」


「違う、お前は盛大な勘違いをしている!!」


「何も言いません。」



紀龍くんは特に何もなかった・・・

うん、そうだ・・・私は何も見なかった。



「・・・紀龍さん、私の“三六式竹槍高射砲”あげますから元気出してください。」



謎のフォロー。

しかもさっきの“遺憾の意速射砲”と外見が全く同じな件。



「いらねぇよ!!」


「超えてゆーく はるか夢も~ ながる川のほとりを~♪ 俺の美声で元気を出したまえ!」


「だから元気でねぇよ!!」



神威くん、しかも地味に音痴です。



「・・・ここはいつ来ても頭が痛くなるな。」



五稜郭さんも飛沫さんとは別の意味で頭を抱えている。



「そもそもお前は一体何をやってるんだ。」



あ・・・いや~・・・五稜郭さん、それはあんまり聞かないほうが・・・



「レコンキスタという神ゲーを久しぶりにやり直してる。」


「つまりエロゲーな。」



神威くん、すご~く平たい説明ありがとうございます。



「もしかしてそれが原因で毎回会議を遅れてる・・・とか言わないよな?」


「もちろんそうだがなんか文句あるか!!」



五稜郭さんは再び頭を抱える。

もはや突っ込む力もなさそうだ・・・。



「あのなぁ、人の趣味にとやかく言うつもりはないが、頼むから会議だけは時間通りにでてくれ。」


「社会は時間に縛られすぎなんだよ。いいか、そもそも社会倫理がどうとかいうが、その社会倫理こそ人間1人1人が社会の道具になるための口実にすぎない。人間は倫理によって社会にいいように利用されてんだよ、わかるか?」



何この人、哲学唱え始めた・・・



「ちなみに日本は特亜に縛られすぎですね。」



いや、それは聞いてないです。



「なんか縛るってエロくね?」



あなた方はそういう発想しかできないんですか?


・・・このバカバカしい反応のなか・・・

五稜郭さんだけはちょっと異様な反応を示していた。



「・・・五稜郭さん?」


「・・・」


「五稜郭さん?」


「・・・あ、すまん。」


「・・・どうかしたんですか?」


「ちょっと前のことを思い出しただけだ。・・・懐かしいな。」


「なんだ、懐古厨かよ。」



飛沫さんがそういい、五稜郭さんも苦笑する。


・・・しかし今のは本当に昔のことを思い出してだけなのだろうか?

彼女の反応は今まで見たことがない反応だった。



「ともかく今日の会議は死んでも時間厳守で連れて行くぞ。」


「じゃぁ死んでください。」



この人、遅刻する気満々じゃないですか!!



「ひとりでもいくよ~ 死にたくなっても~ 声が聞こえるよ~ 死んではい~けなーいとー♪」



だから音痴ですって。



「こんなもので遅刻して恥ずかしくないのか。」


「と思うじゃん?」



ついに陽炎くんまで・・・。



「そもそも“こんなもの”ってなに、俺、喧嘩売られてるの?」



この人、完全に五稜郭さんが幹部だってこと忘れてるよね・・・

絶対ヤバイやつだよね・・・。



「そうですよ、まずこのレコンキスタという名前だけで飯4杯はいけます!!」


「いや、そんな謎の変態スキルもってるのはお前だけだから。」



・・・さすがの飛沫くんもこれにはついていけないか・・・。



「なぜです!!レコンキスタっていうのは「国土回復運動」!!まさに今の日本に必要な言葉じゃないですか!!」


「わかったから。」


「奪われた国土を取り返すために約800年も戦いを続けたんですよ!?なぜこの努力がわからないのです!?」


「・・・たしかにその歴史はすごいな。」



・・・五稜郭さんが暗黒面に・・・



「この粘り強さこそ今の日本に必y」


「もういいから。」



五稜郭さんが飽きてる・・・。



「しょうがねぇ、ちょうどキリもいいし、会議室へ向かうか。」


「じゃぁ、かわりに俺がやっとくか。」


「・・・神威、それに触ったら殺すぞ。」


「・・・は・はい。」



・・・なに、この無駄にガチな会話。



「その殺意を少しは打連へ向けられないのか。」



いや、この殺意はたとえ打連でも向けちゃダメです!!



「あ~、イライラしてきた。くそ~、人ぶっとばして~。・・・あ、打連でいいか。」



この人最低ですよ!!

なんでこんな人が生徒会なんですかねぇ・・・



「てか神威と陽炎、西本と紀龍もこい。」


「全員出撃ですか?久しぶりの総員銃剣突撃ですか!?やっちゃいますよ?」


「You,やっちゃいなよ!」



そろそろ真面目にやりましょ?ね?ね??ね???



「今回は緊急会議だから上層部からの参加人数は言われてねぇからな。何人でもOKってことだろ。」


「ヒャッハー!本会議に殴り込みだ!!」



ここだけ治安維持ということで暴力行使すればだいぶこの学校の治安もよくなりそうです・・・。


しかし人数が縛られていないのか。

だから諜報部も参加が許されたということか。


・・・でももしそうだったら鷹村くんもでれたはず・・・。

なんで1人に絞ったんだろう・・・



そんなことを思いつつ、廊下を歩く。



「そういえば西本くん、昨日の件、無事だったんですね。」


「いや~、あれ確実に流れ弾に当たるんだろうなって覚悟してたんですけどね。・・・意外と覚悟してる人って当たらないものですよ、ハッハッハ。」



いや、笑えませんけどね、それ。



「これで今年の運をすべて使い切ったな、お前。」



陽炎くんが茶化す。



「まぁ、こんなところで倒れずに済んだのはよかったですね。おかげで今後も生徒会を守る一員として戦える。・・・そういう意味では今年の運すべて使い切ってもいいってもんですよ。」


「あんま無理はするなよ。・・・折れることだけが守ることにはならんぞ。」


「・・・そう・・・ですね。」



陽炎くんがそういうと西本くんは一瞬どもってから笑顔で答えた。


・・・彼の一種の右翼精神ともいうべきものは本物だ。

彼の考えでは過去の日本軍のように、「自らを犠牲にしてでも誰かを守ろう」という精神が染み付いているのかもしれない。


最も好きで亡くなった方々だけじゃない、という点もあるのだが・・・

そういったところまで彼のなかでは正当化されてしまうところはまさに皮肉だろう。



すると先頭を歩いていた五稜郭さんが立ち止まった。



「ここで2年幹部の連中を待つがいいか?もし嫌なら先に言っててもらっても構わないが。」


「じゃぁ先にパソコン室に戻ってます。」


「それはダメだ。」



どんだけこの人、エロゲーしたいんだろう・・・



「あ~、続き気になるな・・・。一度やったのにな、チクショー。ムシャクシャする、打連ぶっ飛ばして~。」



やっぱこの学校の治安の悪さの8割はこの人にあるわ。



「ごめん、待たせちゃったね、五稜郭。」


「いや、こちらも今きたところだ。・・・あとはあの厨二か。」



・・・もう少し違う名前で呼んであげましょうよ・・・



「・・・しかし今回の件、犯人のグループは東棟からきたようですね。・・・ということはこの件は警備部側に責任があるっていうことですよね?」


「・・・ハル、黙れ。」


「・・・そちらは見事に相手グループを目の前で見逃しておいてよくそんな恥知らずな責任転嫁がいえますね。」


「・・・癒梨。」



・・・あれ?

なんかすごく険悪なムードなんですが・・・。



「今回の件に関しては特戦団、警備部、どちらにも責任がある。」


「異議はないよ。」


「大事なのは今回の責任が誰にあるかではなくて、次にこのような被害をどのように防ぐかだな。」


「・・・そうだね、今回の会議もそれを話し合うのが目的だろうし。」


「ここで提案なんだが、特戦団を今の二倍の4班体制にすると同時に、全指揮可能部から人員を抽出、警備部の強化、さらに警備部側も人材を選抜した特戦団の警備部版を作り、それとは別に生徒会内部を統制・監視する内制部の設立を許可するという案に賛成してもらいたい。」


「・・・そこまで戦力を増やしてどうする?・・・それに全指揮可能部から人員を抽出って、それまで抽出する分の部門が行っていたデスクワークはどうするの?」


「デスクワークには生徒会に協力的な生徒に協力を仰ぐ。すべての生徒に協力を仰げば確実に足りるものではある。」


「・・・今回の被害で何を学んだの?武器を持たない一般生徒の生徒会活動は彼らだけでなく、一般の生徒にも被害をだすんだよ?」


「それに関しては生徒会と学校から早朝・放課後及び休日に校内にいないように、と勧告する。・・・その際に残っている場合はどうなっても保障はしない、とも・・・。」



・・・あれ・・・まだ会議はじまってないですよね???

なにこんな真面目な話になっちゃってるんですかねぇ・・・



「五稜郭さんはここで最大の障害になるであろう厳島さんの賛成をとれれば、本会議でもだいぶ楽になるんですけどね・・・」



西本くんが彼女らの討論を見つつ言う。



「・・・にしてもなんであんなに険悪なんですか?」


「この学校は簡単にまとめると、西棟と東棟でできています。そしてその2つの棟をつなげるために、間には接続棟、もしくは中央棟と呼ばれる、職員室や我々生徒会の本部や生徒会関連部屋がある長細い棟で構成されているのは知っていますよね?」


「えぇ。」



この人は時々親切説明すぎて時々なめているのか、と思わされる。

うちの高校の設計を知らないわけがない。



「それで何しろ、生徒会本部が中央にあるもので戦力を二分する必要があったんですよ。それで一方が五稜郭さん率いる治安維持部、まぁ、これは一般生徒からの呼び名で我々は特別戦闘団、略して特戦団と呼んでいるんですがね、それと厳島さん率いる警備部の2種にわかれた、と。」



・・・治安維持部はたしか緊急時にしか作られない、という話だったはず・・・。

もうすでにできていたのか・・・。


でもよく考えてみれば、相手はこちらの三倍、ならこちら側も人員を選抜した戦闘向けの特殊チームを作っていてもおかしくはない。



「その特戦団の責任範囲は西棟なんです。それに対して厳島さん率いる警備部が東棟が責任範囲です。・・・西棟は主に弱小チームの集まりと、第二新聞部が主な相手で、東棟に打連が構えています。」


「あの、第二新聞部っていうのは?」


「あぁ、うちに新聞部っていうのがあるでしょう?あれが生徒会が承認した正式の新聞部なんです。それに対して第二新聞部は生徒会のネガキャンばかりするので、当然生徒会に承認されなかった、言ってしまえば非公式な新聞部ですね。ちなみにこちらとの戦闘は打連との戦闘の前から起こっています。」



打連との戦闘の前から?


しかしそんな戦闘の話は上がらなかった。

・・・そこまで大変でもなかった、ということなのだろうか。



「というか言ってしまえば今回の打連との衝突の原因の一因に第二新聞部との衝突があるんですけどね。」


「・・・」


「で話を戻しますと、今回のはすでに“打連の奇襲”ということからもわかっているように、東棟からきているわけです。・・・となれば、東棟が責任範囲な警備部に責任がいく、という話をハルさんはしてるんですよ。」



・・・ようは責任転嫁をしようとしたってことですか・・・。

そりゃ険悪になりますわ・・・




「まぁ、今回の会議は3年も1年も確実に戦力の底上げを提案してくるはずでしょうが・・・まぁ、五稜郭さんのが一番大胆で大掛かりな戦力底上げでしょうね。」


「・・・」


「戦力はあればあるほどいいですが・・・」



西本は顔をしかめる。



「デスクワークをすべて生徒会に協力的な生徒に任せてしまうというのはかなりの賭けですね。その賭け的な行為に3年幹部が賛同するかどうか・・・」



そもそも2年の反乱を恐れる3年がそんな大掛かりな戦力拡大を許可するのかすら怪しいところですね。




「それに特戦団とは別に、警備部側にも特戦団のようなものを作るというのも、そもそも特戦団が警備部から人材を抽出した団体。・・・その上で特戦団を今の倍の4班体制にするっていうのはさらなる人材の選抜が必要となります。・・・それでさらに警備部版特戦団というのは、本来の警備部の生徒をすべてつぎ込んでしまいますよ。」



・・・つまり五稜郭さんの提案は言葉をかえれば、現在の警備部の人材すべてを戦闘向きの特殊チームに作り変えて、尚且つ、全部門から根こそぎ動員をして、新人ばかりの警備部をつくる、と。



「新人は訓練すればそれなりに使えるにしても、すべての警備部の人員を特戦団に回してしまえば訓練するにもノウハウもない、教える人もいないで、余計に時間もかかって不効率ですしね。」



それって・・・

かなり無茶な話なんじゃぁ・・・



「そもそも4班体制というのがかなりきついですね。・・・現在は2班体制ですが、これは東棟の本来の警備部の一班編成人数とは異なりますから。」



・・・簡単にいえば、特戦団の1班の人数と、警備部の1班の人数が違うということか。



「東と西は最高責任者は同一でも、実際に指揮しているのは別人物ですから戦略も異なります。戦略によって班編成も異なってきますから、こういった異なりも当然ですね。」



おそらく東と西の最高責任者は二年最高責任者である山崎さんなんだろう。

そしてそれを指揮するのが東は厳島さん、西は五稜郭さん、という形で動いている、と。



「どう戦略が異なっているんですか?」



この戦略がわかれば、もし絆同盟と生徒会が直接対立した際に、特戦団と警備部、どちらが来るかわかれば、攻撃を回避して犠牲を出さずに済む作戦を遠まわしに絆同盟側に吹き込むことができそうだ。



「どうって言われてもかなり異なっていますね。・・・西の五稜郭さんの戦術は基本的に正面からの真っ向勝負、だから1班に7人編成で、現在全2班編成です。・・・それに対し東の厳島さんの戦術は小規模勢力による局地的戦闘を繰り返し、相手を包囲していくのと、奇襲によって相手の心理的ダメージを狙う戦術な為、1班に3人編成で、全7班体制です。」


「・・・」


「現二班体制で特戦団は14名。それを4班体制にするにはさらに14名必要ということになります。・・・しかし現在の警備部は21名しかいません。仮に14名抽出しても、残りは7名。・・・こちらは1班に3名体制と考えると、まぁ、大雑把に2班体制の警備部版特戦団となります。」


「・・・」


「この計画ですでに35名使っています。生徒会はそもそも下層部は50名程度しかいません。まぁ、この計画の35名に幹部がおそらく三幹部やジャスティスがはいってることも考えてマイナス5名、30名の下層部と考えても残りの下層部は20名。かなりギリギリですね。」


「でも4班体制にすれば西は28名、東は27名、かなりバランスはよくなりますよ?」


「しかしあくまで西のほうが良い人材を使っているんです。・・・東が極端に弱くなってしまいます。・・・まぁ、その為に警備部版特戦団を作れっていう話なんでしょうけど。」



おそらく五稜郭さんは弱小同盟や比較的苦労のかからない第二新聞部を先にすべて潰して西の安全を確保して戦力を二分する必要性をなくしてから、一気に東も制圧する考えなんだろう。


・・・だがそうするにしても東がそこまで持つのだろうか。



「それにさらに内制部の作成となれば、おそらく特戦団と内制部を並列して行う生徒も出さねばなりません。」


「・・・かなり苦しいですね。」



そこまで行う人が足りない・・・。



「・・・4班体制は無理だね。・・・3班体制で我慢してもらえないかな。そこまで西に送っちゃうとこちら側が保障できなくなっちゃうよ。」


「・・・わかった。内制部の人材選抜に関しては警備部や特戦団などの仕事を行なっている人材と重なるがいいか?」


「うん、そこに関しては問題ない。ただ、その内制部の人材選抜に関しては警備部、警備部版特戦団、特戦団のすべてから選抜すれば、戦闘中に仮にどこかの組織が命令違反をしても裁けるようになるね。」


「幹部からも1人か2人だそう。そうすれば幹部もさばけるようになる。全体で6名程度の部門となる予定だ。」


「うん、ちょうどいいね。」


「人材選抜の基準は監視に信頼のおける人物、という形でいいか?」


「ある程度運動神経も考慮すべきだと思う。戦闘する部と仕事が重なるということは、その内制部の者が打連との戦闘でやられてはその後の監視が不可能になる。」


「ふむ・・・たしかにそうだな。だがそうなると結構難しいところだな。」



三班体制ということは、西に21人、東に34人体制か。

打連に武器が流れた、ということも考慮すると決して悪くない配分だ。



「生徒会に協力的な生徒に関しては今後デスクワークのみでなく後方支援も行ってもらう。それによってすべての生徒会生徒は最前線にたたせる。」


「後方支援の護衛は?」


「それも生徒会側からだす。東方面は新設した警備部版特戦団を作ってくれ。こちらは新たに増やされた1班のうちの半数を護衛にまわす。この際、そちらは新設部だから関係ないと思うが、護衛にも責任者を任命すること。」


「ちょっと待って。責任者をたてるのはいいとして、この新設した警備部版特戦団は今回のような奇襲を防ぐために接続棟の生徒会本部会議室の守備にあてるべきなんじゃないかな?」


「・・・人数が全体的に足りてないからな。そこは臨機応変に頼む。」


「そっちから守備班はだせない?」


「こっちは侵攻要員ばかりだからそもそも守備には向いていないと思う。・・・守備は警備部の本職だろう?」


「うん、わかった。では元々4班体制だったのを3班体制にした分、そちらの1班分7名をこちらの警備部版特戦団にあてられるから、総計で警備部版特戦団の人数は14人になる。これを3人編成で4班、2人編成1班としてのチームにして、うちの3班を接続棟の警備にあてる、というのはどうかな?」


「逆のほうがいいんじゃないか?2班警備で3班侵攻はどうだ?」


「警備部の本来の目的はさっききみがいったように警備が目的だからね。・・・それに打連相手にはいくら侵攻したところで物量で必ず後半に押し返される。」



侵攻は相手に心理的ダメージを与えるが、被害は大きくなる。

厳島さんはいたずらに侵攻して被害を多く出さないようにするために、ある程度でやめるべきだと主張している。


・・・でもそれだったら・・・



「・・・あの、それだったら最初から守備戦に徹底するのはどうなんですか?」


「相手にはある程度こちらが攻撃的だと見せつけないと交渉の席につきそうにないからね。」



厳島さんは苦笑する。

・・・しかしその苦笑に余裕の様子はない。

それほど苦しい戦いなのだろう。



「厳島、そっちの戦術に文句をいうつもりはないが、そっちは少人数による局地戦だ。・・・あまり侵攻したあとに守備戦に転じると守備範囲が広がりすぎて手が届かなくなる。結果的に退路を絶たれて各個撃退されるぞ。・・・ここは一気に戦力を後方へ下げて守備戦に徹底するべきではないか。」


「撤退はできないね。だけど五稜郭の意見も最もだから、それも考慮して侵攻するよ。いずれにしても相手に撤退っていう弱腰をみせるわけにはいかない。」


「・・・」



五稜郭さんは若干心配そうな顔をする。



「・・・わかった。お前がそういうならお前に任せる。」


「西の安全が確保できたらそっちの援軍とあわせて守備戦を徹底して相手の主力を打倒して、停戦交渉に転じる。」


「・・・いいだろう。では組織編成もこれでいいか。」


「まぁ、戦力増強してもらえると今よりはやりやすくなるからね。・・・本会議ではきみの案に賛成しよう。」


「助かる。」



お互いの利害が一致したようだ。



「・・・秘密協定成立完了って感じですね。」


「まぁ、2年の全体意見としてまとめる必要があったからね。」


「あとはこの案が通るかは本会議次第か・・・」



・・・なんかこの会議って思ったより重要そうですね・・・

なんか緊張してきました!



その後、山崎さんも合流した。

山崎さんも戦力拡大に賛成らしく、こちらはあっさりと意見がまとまった。




「ホントは3年の命令で攻撃をだすのではなくて、我々で自由に攻撃できるようになればいいんですが。」



・・・それが2年の本音だろう。

そのほうが圧倒的に効率的だ。

しかし戦力面のすべてを2年に任せるというのは普通に考えて3年が許可するわけがない。



「・・・3年から攻撃命令がでるにしても、実際に攻撃指揮をするのは2年ですからね。・・・こちらの提案はある程度は考慮されるでしょう。」



ハルさんはそういうが・・・

・・・3年は2年は信頼しきれるのだろうか。


少なくても今後の作戦計画等もすでにこの編成が通ったとして考えてあるとすれば、この拡大計画は通したいところだろう。



そんなことを感じつつも、会議は始まってしまった。



「・・・以上のような戦力拡大を1年は進言します。」



3年から今後の安全性の追求に関しての対策案を述べていき、2年、1年の順でのべていった。

・・・最後に1年代表の川口くんが対策案を述べ終わると、早くも険悪なムードが漂った。

・・・当の1年副会長である川口くんは他の作業を任されているのか、発表が終わるとすぐに部屋をでていってしまった。



(・・・彼とはあんま会いたくないなぁ・・・)



彼は生徒会の生徒とはいえ、一応同じクラスの生徒でもある。

・・・彼を信用しないわけではないが、私が諜報部だと知れれば、何かの拍子にボロがでてしまうかもしれない。

幸い今のところは彼に、私が生徒会に混じっているということはバレていないようだ。


・・・何はともあれ、彼が早期に部屋から出て行ってくれたのは正直私にとっては好都合だった。



「・・・我々3年は1年案に賛成する。2年案は極端すぎている上、生徒会に協力的な一般生徒をそこまで信頼するつもりはない。」



賤ヶ岳さんがそのように述べる。

・・・やはり彼らは2年を信頼できなかったか・・・


それに対し、山崎さんが反論する。



「お言葉ですが、今は少しでも戦力が欲しいところです。人数で勝る相手に少しでも対抗するにはこちらも人数を可能な限り増やすしかないんです。」


「しかし我々の戦いに一般生徒を巻き込むわけにもいかん。彼らの安全保障を我々は確信できない。」


「現在彼らが協力している事からすでに彼らの安全性は脅かされています。本当の意味で彼らの安全を保障するのであれば可能な限りこの争いを早期に終わらせる必要があります。」


「その為に現在は彼らの安全性を悪化させろと?それは本末転倒だろう?そもそもすべてのデスクワークを彼らに任せて、彼らが裏切った時に我々の被害は計り知れない。」


「現在このような被害を受けて、このような状況に至ってはこちらもある程度のリスクをおかさねば相手に圧倒されるばかりです。」



・・・熱烈な討論がひたすらに繰り返される。

正直どちらの言い分も理解はできるし、あっているとは思う。


・・・しかしどちらも本音は出さないままだ。

2年は3年から、すべての戦力指揮権をもらいたい。

3年は2年が信頼しきれない。


・・・結局どの意見もこの本音へ動かすための言い分にすぎない。

なぜこんな回りくどいことをしているのだろうか。



・・・終わることのない、同じことを繰り返す討論。

さすがにそれを眺めるのに飽きたのか、1年が動き出す。



「・・・我々1年は両者の言い分をきいて考えましたが、2年案に賛成します。」


「なに?」


「あなた方両者の意見はどちらも最もです。しかし我々1年にはあなた方がどのような綺麗事を並べようと関係ありません。・・・実際に被害を喰らうのは我々1年なのです。」



川口くんの代理で西本くんが述べている。



「すでに武器は相手に流れています。・・・それ故に今後の争いは激化するでしょう。・・・その状態で人数が少ないというのはこちら側に圧倒的な不利な状況をつくりえます。」


「それはわかっているが・・・」


「デスクワークに関して一般生徒の裏切りを恐れるお気持ちは察します。しかし我々1年はすでに最前線で怪我をする恐れとも戦っています。・・・あなた方だけが怖いわけではないのです。」


「それこそ綺麗事ではないのか?皆で平等に恐怖心を持とうとでもいうのか?全くのお花畑だ。」


「ではあなた方3年幹部が最前線にたちますか?」



その言葉で3年幹部は沈黙してしまう。



「最前線の恐怖と対峙し相手を撃退する、それが1年の役割の1つです。・・・ではデスクワークでの一般生徒の裏切りを防止する、それが後方で同じくデスクワークを行いながら指揮するあなた方の役割の1つなのではないでしょうか?・・・自分たちの責任分野を保護する為に他者の責任範囲の手助けを行わないという自己中心的な態度は謹んでもらいたい。」



・・・綺麗な西本くんですね、わかります。


この西本くんの反論に3年幹部はぐぅの根もでないようだ。



「そのような1年の立場で意見を踏まえた上で両者の意見を考慮すると、我々1年は2年案に賛成をする、という結論にいたりました。」


「・・・しかし一般生徒の護衛をつけるということは戦力の分散化につながる。」


「すでに今回のような状況が起こってしまった上で、今後の彼らに対する護衛をつけるのはもはや必須事項となります。・・・戦力の分散化は防げません。その分散を防ぐためにも戦力の大規模な拡大が必要なのです。」



今度は山崎さんが述べる。



「・・・その上であなた方3年幹部にもう1つお願いしたい。・・・今あなた方がもっている戦力の指揮権をすべて我々に預けてもらえないでしょうか?」



その言葉でこの会議の雰囲気はガラッとかわった。


・・・2年は勝負にでた。

あとは3年がのってくるかである。



「何を言うか、そんなこと許可できるわけないだろう。そもそもの戦力の総合的な統帥権は会長にある。これは不変の定義だ。」


「我々は会長の統帥権ではなく、あなた方3年の指揮権が欲しいのです。」



この言葉にさすがの3年幹部もうろたえる。

ここまではっきり述べられてしまうと、この勝負、3年も乗らざるを得ない。

2年はこの勝負に3年を引きずり出した・・・!


この指揮権というのは、実際の戦力の指揮権の他に、作戦計画や装備計画などもすべてを2年に任させろ、という意味も兼ねているのだろう。

平たく言ってしまえば、「後方支援やデスクワークだけを3年はやってろ」という意味でもある。



「・・・反乱でも起こそうというのですか?」



福島さんが口を開いた。


・・・どうやら3年も決着をつける覚悟が決まったらしい。


たしかに3年が一切の戦力の指揮権を失うということは対抗戦力をもてない、ということだ。

作戦計画等々の権利があれば反乱を防げる可能性はまだあるが、それさえも失ってしまうのは彼らからすれば絶望的だろう。

簡単に反乱が起こせるようになってしまう。



「誤解しないでもらいたい。・・・我々がすべての指揮権を受けることでより迅速に作戦計画をたてて実行を行えるようになる・・・。これがなされることで対打連戦はかなり我々に有利になります。」


「・・・随分と対打連戦を上手く利用されたものですね。これを行って苦労するのはその後のあなた方でもあるのですよ?」


「我々2年はあくまでこちら側の犠牲の最小化を目指しています。・・・利用などと人聞きの悪いことを言われるのは侵害です。」



このかなり険悪な空気のなか、賤ヶ岳さんが椅子に深く腰かけて口を開いた。



「・・・その案に3年は賛同できない。・・・それは我々の立場の保障という観点ではなく、単に我々からすれば諸君ら2年が信頼するに得ない存在だからだ。」



こちらもかなり本音をだしてきている。

・・・こう言われることを2年は想定していたはずだ。

これに2年はどう対応するつもりなのだろうか。



「我々があなた方の信頼するに得ない存在であるという点においては詫びるばかりです。しかしその信頼関係の問題で我々の部下が傷つくのはあまりに酷ではないでしょうか?」



この争いが長引けば長引くほどけが人は増える。

・・・2年としては3年すべての指揮権をうけて、攻撃計画の迅速化、一斉攻撃と波状攻撃を繰り返して早期決着を試みたいところなのだろう。


この意見もどちらの意見も頷けるものがある。



「今の争いの主導権は幸いにもこちら側にあります。今後もこの勢いのまま押し続けられれば相手を交渉の場へと引きずり出すことも可能だと考えられます。」



逆に生徒会が主導権を失い、防御に徹した瞬間、早期決着の可能性は限りなく低くなる、ということか。

そうなれば早期決着よりも確実に争いは長引き、怪我人が増える、と。


だがもしそこまでわかっているなら、生徒会が主導権を失った地点でこの争いは負けの確率も飛躍的に上昇する、ということもわかっているはずだ。

故に今後の戦闘も負けるわけにはいかない。

その状況で生徒会は今回のような奇襲を受けてしまった。


・・・おそらく今回の件で2年全体がかなり焦っているのだろう。

このままほっとけば主導権を失いかねない。


しかしもしここで2年に指揮権をすべて明け渡してしまえば、攻撃に焦ってヘマをやらかすのではないだろうか。

そう言う意味では一応今も冷静さを失っていない3年にも指揮権や計画をたてる権利を残しておくべきではある。



「・・・1年はどう考える?」


「我々からはどうとも言えません。・・・たしかに現場責任者である2年がすべての指揮権をもてれば作戦の行使も迅速化し、相手を圧倒する一因になりえるかもしれません。しかし現場責任者のみで全体の作戦計画をたてるのはかなり無理があるかと思います。計画的な作戦をたてる為にもここは現状のように3年が指揮した作戦のみを2年が現場責任者を行うほうが良いかとも思います。」



1年が中立・・・。


これは困ったことになった・・・。

先ほどの戦力拡大は2年に1年が味方したからまとまったようなものの、今回は頼みの1年は中立である。




「たしかに2年だけに現場責任者から武器の提案、作成管理計画に全体の終戦までの計画をたてるのには無理があるな。」



飛沫が西本の意見に賛同する。


・・・ちょっと珍しいですね。

彼が他人の意見に賛同するなんて。



「一応2年にきくが、打連へ流れたM1ライフルガス銃に対抗するための新型ガス銃の予定配備数を現在把握しているか?」


「そ・それは・・・」



・・・彼らはあくまで戦闘の現場責任者であって後方の武器の計画などの計画をたてているのは3年だった。

しかし武器などの配備計画なども戦闘に関しては非常に重要な観点だった。

つまり3年からすべての指揮権を得るということは、そういった武器の計画なども行うということだ。


それらすべてを行うのは当然2年だけでは無理がある。


しかしそれをあえてできるというのであれば、当然今の様子も把握している、ということでもある。

・・・はたしてホントに把握できているのか、飛沫くんは2年を試しているのか。



「・・・」



山崎さんは戸惑い、厳島さんを見るが、厳島さんも知らない様子だった。



「予備含めて38丁だ。」



その問いに答えたのは意外にも五稜郭さんだった。

彼女こそ現場責任者として前線にたっている身、そんなことを気にしている暇なんてないはずだ。



「ちなみに38丁なのは予算の問題からだ。本来は45丁配備予定だった。・・・38丁のうち、予備が半数の19本、実際に使う19本は特戦団に9丁、警備部に10丁配備予定だ。」



あとで知ったこと、というか会議中に西本くんに聞いたら教えてくれたのだが、この予算計画をたてた生徒たちの一人に五稜郭さんも含まれていたらしい。

・・・なるほど、だからガラスの修理費や武器の供給などの金額やら1年生徒からの寄付金のことを知っていたのか。


ちなみに予備数が多いのは、ガス銃は不稼働率が結構多いため、だそうだ。



「ついでにこの際だから3年に要求したいことがあるんだった。」



・・・今度は厳島さんのターンか・・・。



「なんだ?」


「五稜郭からきいてるけど、まだ予算は予備としてだいぶ貯め込んでるんだって?ならその予備金使って買ってもらいたいものがあるんだけど。」



すると厳島さんは五稜郭さんをみる。

今度は五稜郭さんが頷いて口を開く。



「予備金を貯めているのは今回のような物的な損害の可能性があることと、争いの長期化も含めての考慮だ。」


「それは最もなんだけど、少しでいいからだしてくれないかな?」



厳島さんは「硬いなぁ・・・」といった様子で若干苦笑いをする。



「何が欲しいんだ?」


「それは俺から述べよう。今回の奇襲の件なんだが、相手はガス銃の顔面の被害を避けるために一種のゴーグルのようなものをしていた、と被害にあった下層部の者から報告をうけた。ガス銃はたしかに便利な道具だが使い方を謝ると大事にいたる、故に安全性の確保が第一だと我々は考える。」


「・・・戦闘継続も結構だけど、まず生徒たちが一生分に至るような大怪我を負うことは避けないといけないね。」


「故に我々もそういった防備品を揃えるべきだと提案する。」


「・・・たしかにそうだな。それについては会計係として検討するべきだと思う。」



山崎さんと厳島さんの意見に会計係の五稜郭さんも頷いた。



「我々1年もこの件に関しては後々あげようと思っていました。・・・2年の意見に大いに賛同します。」



この意見には3年も賛成のようで頷いてあっさりと通ってしまった。


・・・これだけ他の案も通るといいのに・・・。




「・・・話を戻すが、2年に指揮権を委ねてもらえないだろうか?」


「それに関しては3年の意見はかわらない。」




・・・そしてまた同じところに戻ってきた・・・


このままではまた平行線のまま会議が長引くという可能性がでてきた。

3年も2年も引けない様子。

・・・1年にも一応関係のあることではあるが、正直そこまでの会議の長期化は望んでいない様子で西本くんの後ろの1年の生徒がすでにガヤガヤとしはじめている。



(・・・ここで案をあげるべきかなぁ・・・)



いざ案をあげようと思っていても、やはりタイミングというのは重要だ。

しかし今は多分絶好のチャンスではある。

むしろこのタイミングを逃したら、次はいつになるかわからない・・・



(・・・よし・・・!)



覚悟を決める。



「あ、あの!!」


「・・・なんだ?」



思った以上に声が会議室内に響いた。

一斉に皆が私のほうをみる。


・・・えぇい、ここまできたならもう進むしかない!!



「今回の打連との争いはこの辺で切り上げてはどうでしょうか?」


「・・・それはこちらもしたいところなんだけど、何しろ相手が交渉の場にたってくれないからねぇ・・・」



相手はどうやら徹底抗戦の構えをみせているのか・・・

だから弱腰を見せられない、といっていたのか・・・。



「なら相手にも多少有利になるように配慮した交渉内容をあちらに提出みてはいかがでしょう?」



その意見に会議室内は再びざわついた。



「現在は生徒会が勝っているんですよ?主導権はこちらにあるのに、なぜそんな譲渡をしないといけないんです?」



ハルさんの意見も最もだが・・・



「もう少し粘れば相手は交渉を飲まざるをえません。」


「そもそも今の有利な状況で、相手に有利な交渉内容で終戦しようとすると、相手側にこちら側が争いをやめたいと望んでいる、という事情が知られてしまう。」



・・・たしかに。

もしそういった事情を相手に知られれば、それこそ相手は交渉の場に立たず、争いを長引かそうとするはず。

相手とて圧倒的勝利を望んでいるはずなのだ。



「ですが今日の件でわかったように、相手も単純行動だけでなく、おそらく個人の意志で動き、精密な機動力をいかしての遊撃戦を展開してくる可能性も今後あります。その上武器もあちらに流れ、こちら側が今後今までのように快勝していくのは厳しくなってきています。」


「だからこそ相手はすでにこちら側が争いをやめたがっている、と読んでいる可能性がある。その状況で相手に有利な交渉など、もはや敗戦を認めるような行為だ。」


「で・ですが、今後争いを続ければこちら側も犠牲が増えるんですよ!?ここはイチかバチかの勝負にでるべきなのでは!?」



ここでやめれば犠牲が少なくて済むのに!!



「今回、打連側が無関係な生徒を巻き込んだ事実を相手に公表し、それを材料に「これ以上は両者ともに得をしない」として停戦を勧めるべきです。」


「そんな言い訳で相手が納得すると思うのか?俺が相手側だったら、無視して一気に攻め込むがな。」



・・・どうしてそこまでして生徒会も、そして打連も勝利にこだわるんですか・・・


犠牲なくして勝利なし。

そういう言葉はあるのに、なんで「犠牲がないことが勝利」という言葉はないんですか・・・



「勝利にこだわる必要はないんじゃないですか・・・?」


「それは打連に言って欲しいものだが・・・あいにくこちらにも事情がある。・・・ここで勝負をつけておかねばまた次にこういったことが起こり得るからだ。」


「ここで争いをやめられれば、犠牲は少なくて済むんですよ!?どうしてそこまでして勝敗にこだわるんです!?別に負けたっていいじゃないですか!!」



つい感情的になってしまう。


・・・落ち着いてまわりをよくみれば皆ドン引きしていた。



「・・・それ以上の勝敗についての発言は生徒会全体の士気に関係してくる。・・・もしそれ以上のことをいうのなら退場してもらうぞ。」



・・・その発言にあたかも全員賛成のごとく、私のことを全体が冷たい目で見ていた・・・。



「い・一年としてはいいんですか?これ以上続ければ危害を被るのは1年なんですよ!?西本くん、さっき、“実際被害を喰らうのは1年”だって言ってたじゃないですか!」



あの意見は犠牲を減らしたいという思いがあるということは簡単に察しがつく。



「たしかに犠牲はでますが・・・先ほどの話とは異なってきます。先ほどの話は今後の争いを継続する意味での犠牲の最小化を目指したものです。・・・今、ここで敗北するために述べたものではありません。」


「じゃぁ、今後多くの犠牲がでてもいいんですか!?」


「・・・どうやらあなたは負けるということの意味を全く理解できていないようですね。」



西本くんはため息をついてこちらをみた。



「この争いで負ければ相手は確実にこちら側にすべての責任を押し付けるでしょう。・・・治安の悪化も、開戦の原因も、一般生徒に犠牲がでたことも、物が壊されたことも全て。・・・負けるということはすべて相手の言うことが正しい、と認めることですから異議はたてられません。」


「そんな責任、受けてもいいじゃないですか!」



・・・そんな形のない責任なんかのために誰かが怪我をするなんてバカげている、そう思わないんですか!?



「責任というものは怖いものでしてね。・・・そのすべての責任をこの生徒会が負うということは確実に今の生徒会は潰されます。」



西本くんの言葉に全体がざわめく。



「おっと、ちょっと言い方が悪かったですね。・・・ただまぁ、今回の争いを指揮してきた3年、2年、そして1年の責任者はかなり高い確立で辞めさせられる可能性がありますね。そうなれば今までの生徒会を修復できない、そういう意味で今の生徒会は潰されます。」



・・・そうなれば・・・五稜郭さんも厳島さんも山崎さんも仁井くんや飛沫くんも・・・

皆この生徒会にいなくなってしまう?


・・・そんな生徒会になんの価値があるのだろう。


ここは私にとってやっと「いていい」「必要とされる」場所となった場所だ。

たくさんの人と仲良くなって、私が皆から信頼されて、私自身も皆を信頼して・・・


そういった皆がいなくなってしまう?



「まぁ、もう1つの論をたててみますと、打連が自由のために戦っている、というレッテルのもとに謎の理由で戦っていることはすでに承知していると思いますが、その謎の理由の1つに彼らが我々生徒会のかわりに生徒会になろうとしている、という考えもできるわけです。」



・・・そ・そんな・・・!


彼らは武器をもっていないような生徒にも容赦なく攻撃するような人たちだ・・・。

生徒会ですらそんなことをしないのに。


・・・彼らが今後生徒を導く立場になれば、今以上に一般生徒たちにとって厳しいことになるのでは・・・?



「そもそもすべての責任をおうということはこの生徒会が絶対悪と戦後もされ続けます。・・・となればたとえ生徒会を辞めさせられたとしても、我々生徒会の1人1人がこの問題の責任者としてずっと全校生徒から後ろ指をさされることにもなるんですよ?」



学校全体から後ろ指をさされる・・・。

中学の時のことを思い出す。


・・・嫌・・・

あんな思いはもうしたくない!



「仮に生徒会の生存が承知されても、それは我々の後輩にまで我々のしたことが絶対悪として後ろ指をさされる原因にもなり、後輩たちは自ら行ってもいない行為に対して謝罪をし続けなければなりません。下手すれば生徒会が学校全体の予算を管理しているわけですから、その絶対悪を根拠にたかられる可能性もでてきます。抗議・抗戦はできないように相手側にこの生徒会の仕組みそのものも破壊されます。・・・いいですか、負けを認めるというのはそういうことなんです。ただ単に生徒会の立場がどうとかいう問題だけでなく、いつまでも悪役とされ、それ自身を我々も認めなければならず、その重りは後輩たちにまでずっと引き続いてしまうんです。」



・・・私は何も言えなかった。


負けを認めるということは今後にも残るほどの圧倒的不利を強いられるということ・・・だと今自覚した・・・。



「まぁ、ちょっと極端すぎましたかねぇ。・・・ただ、相手に完全に敗戦を認めるというのはこういうことです。その事態だけは避けなければなりません。」


「・・・」


「これはあくまで私自身の意見ですがね、何も守らずに負けを認めるぐらいなら、戦って守り通そうと思います。・・・そしてすべてを終わらせる為に戦うんです。」



なぜだろうか・・・。


今まであんなに「犠牲を出すのは馬鹿らしい」と思っていたのに・・・

この争いが今のみならず未来のことも背負っていると考えると、とてもとても敗戦を認めるなんてことはできないと感じた。




「故に私自身は今後の戦闘継続に賛成です。」



西本くんがそういうと、後ろ側に座っている一年責任者たちからも次々と「そうだそうだ」といった意見がでた。


我々生徒会は負けることも、そしてここで投げ出すこともできない状況に立たされてしまっていた・・・。

そう自覚するのもこの組織は遅すぎたのかもしれない・・・。




その後、結局会議は私の発言に対する反論一色に染まり、2年の指揮権問題等はうやむやなままに終わってしまった。



だが大きかったのはそこではない・・・。



「心底お前を見損なったぞ。・・・処分はおって知らす。それまで待機せよ、いいな。」



賤ヶ岳さんはそう会議後に述べた。



「・・・この生徒会の勝敗がどうでもいい・・・、そのようなことを易々と述べられるような相手とはともにいられることはできません。」



ハルさんはそういって私の前から去ってしまった。



・・・せっかく居場所を見つけられたのに・・・

また失ってしまうの?



「あ・・・」



前を紀龍くんが歩いている。



「き・紀龍くん!」


「・・・中島か。・・・すまん、今回ばっかりはお前の味方はできない。」



彼もそういってよそよそしく去ってしまった。



・・・会議室にポツンと残る1人残る私。

今、この会議終了後ばっかりは周りがわざと私を避けるために早く帰ったかのようにさえ見えた。



会議室へ戻る途中、何度もまた一人ぼっちになる恐怖にさらされる。



(・・・嫌・・・怖い・・・)



きっと私はもう生徒会にとっていらない存在なのかもしれない。

そう思うと無性に怖くなる。




(・・・)



誰かとあうと、また何かを言われるのではないか。

そういう恐怖さえあった。



・・・私は・・・正しいことをいったつもりだ。

・・・ただ・・・犠牲を出したくなかった、それだけだったのに・・・。

・・・ちょっと・・・言いすぎてしまった・・・ホントにそれだけなのに・・・。



「・・・」



下を向いて歩いていると誰かにぶつかってしまう。



「痛ッ!」


「・・・あ・・・すみません・・・」



そういって顔を見上げると、目の前には山崎さんがいた。

・・・その後ろには五稜郭さんと厳島さんもいた。



「・・・どうした、涙目じゃないか!?」


「・・・いえ・・・」


「・・・周りから避けられたか。・・・まぁ、あそこまで言っちまえばな・・・」



山崎さんはちょっと困り顔をしている。


だかその山崎さんの言葉にグサッとくる。

きっと三幹部もそういった思いは少しあるのだろう・・・



「・・・なに、言いすぎてはいたがお前は平和的解決をしたかった・・・それだけだけだもんな。」


「・・・ま、考え方としては一番まともだよね。」



五稜郭さんと厳島さんはそう述べた。


だが・・・



「でもそれでも現状からみてオレも中島の意見には賛成できないな。」


「うん。・・・理想は理想、現実は現実だからね・・・」



・・・そう・・・ですよね・・・

私の考え方は三幹部からみても邪魔な意見でしかないですよね・・・。




「・・・すみません、失礼します。」



私は逃げるようにして彼らの前から去った。



「・・・おい、ちょっ・・・」


「おうな。」



山崎は中島が去っていく様子を眺めて、五稜郭がとめにいこうとしたところをとめた。



「なぜとめる!」


「・・・今の意見は俺もお前らも軽率だった。・・・そういう自覚はあるか?」


「・・・」



山崎の言葉に五稜郭はうつむく。



「・・・彼女の意見とは異なる俺らがあとをおっても彼女を傷つけるだけだ。・・・ここは一人にしてやれ。」


「ふざけんな!!今追わなくてどうすんだよ!?」



五稜郭は山崎に言い返す。



「・・・山崎、そのアドバイスは2年代表としての命令かい?・・・それとも友人としての意見かい?」


「あくまで友人としてのアドバイスだ。」


「・・・ならオレはお前がとめても追うぞ。」


「好きにしろ。」



そういうと五稜郭はすぐに中島をおって走り出した。



(・・・あいつは中学の時に1人だったっていってた・・・。・・・またそうなるのを恐れてるはずだ・・・今1人にするのは逆効果に決まってる!)



五稜郭はそう考えていた。



「・・・よかったのかい、行かせても。今追ってつらい思いをするのは・・・」



五稜郭が去ったあと、厳島は山崎に「命令なら彼女をとめることができたはずだ」と言いたげに質問した。



「それでも何もしないよりかはマシって考える奴だからな。・・・ずっと後悔させるよりは行かせてやって正解だったと俺は思ってるよ。」


「・・・相変わらず人間関係は随分と自信があるんだね。」


「俺は・・・ただあいつが納得できるようにしてるだけだ、人間関係が得意なわけじゃねぇよ。」



山崎は苦笑する。



(いや・・・そういうのを人間関係が得意だって言うんだけどねぇ・・・)



それに対し厳島も苦笑するのだった。





その頃、廊下ではすでに五稜郭が中島に追いついていた。



「おい、待てって。」


「・・・いいんです、もう。ほっといてください。」



・・・もうどうでもいい・・・

若干のやけになっていった。



だって結局私の意見は満場一致の敵対意見だってわかったし、その意見は三幹部の邪魔しかしない。

というか、私があんな意見をもってるから、私自身がこの生徒会には不必要だと思われているに決まっている。


・・・もしかしたら私は今の状況では生徒会には向いていないのかな・・・



「よくない!なんでも一人で抱え込むな!」


「・・・」



・・・こういう言葉も何度もきいてきた、中学で。


でも結局そうはいっても誰も助けてくれなかった。

見て見ぬふりを続けていた。



・・・結局他人なんてそんなものだ。

・・・ちょっと居場所をもらえたからって他人を簡単に信用した私がバカだったんだ。



「・・・ほっといてくださいよ。・・・あなたもそれほど暇じゃないんでしょう?私に構っている暇があるなら自分の職務を果たしたらどうなんですか?」


(・・・中島・・・)



五稜郭は中島をつかんでいた手をソッと離した。


すると中島は再び歩き出す。




「・・・中島、これだけは言っておくぞ。たしかにオレらはお前の意見に賛同はできない。だがお前が邪魔だとかそういった思いはない。中島、オレらにとってお前がいての生徒会だ。誰一人不必要な奴なんていないからな。」



その言葉に若干私はまた期待してしまう。

・・・ホント、何度痛い目にあえば気が済むのだろうか。



「それがお前の意見ならその意見をもてばいい。・・・いいか、誰一人不必要な奴なんていないからな!!」



五稜郭は中島が角を曲がって見えなくなるまでそう言い続けた。





「・・・」



・・・私はバカだ。

あんなに大切に私のことを思ってくれている人に、あんな冷たいこと言って追い返してしまうなんて・・・



先ほどの復旧を行っていた部屋へといくと、鷹村くんが待っていた。




「よぅ、どうだった会議は?」


「え・えぇ、まぁ、いろいろありましたよ・・・。」


「どういうことが決まったんだ?」


「主に戦力拡大・・・ですかねぇ。」



一応2年の指揮権問題はともかく、戦力拡大は決定したのだ。

人材配置とか、すでに三幹部は忙しいはずだ。


・・・それをさしのけてでも追いかけてきてくれたのに・・・

ホント、なにやってんだろう、私。



「そ・それより私たちもそろそろちゃんと諜報部の本拠地として会議室もらいませんか?」


「おっ、いいね!!いつまでも情報処理室にいるのもアレだしな。」


「先輩たちにも迷惑がかかりますし!!」



・・・ホントは彼らから逃げたいだけだった。

少なくても三幹部は味方になってくれても、ハルさんは一緒にいれないといっていた。


ハルさんは情報処理部のNo,2。

・・・その地位をもった人がこなくなってしまうというのは五稜郭さんが忙しくなってしまうだけだ・・・。


・・・結局私は誰かに守ってもらえても、その人に迷惑事しか与えられないのだ。



「もうここでよくね?」



鷹村くんに言われて思い出す。

そういえば現在復旧したこの会議室は資料の置き場としてあるだけで誰も使っていない部屋だった。



「・・・そうしますか。」



問題は部屋を許可してもらえるかどうかだが・・・。



「俺から賤ヶ岳さんに言っとくわ。」


「・・・いいんですか?」


「あぁ、今回会議にでてもらったしな。・・・俺も仕事しねぇと。」



彼は苦笑した。


まぁ、そういうことなら彼に任せてしまおう。

幸い、今は賤ヶ岳さんにはできる限りあいたくないし。




「そういえば鷹村くんはどこに潜入してるんですか?」


「俺か?俺は第二新聞部だな。」


「・・・え?」



それってかなり危ないところじゃないですか!!

なにせ今の主敵のなかの1つだ。



「まぁ、これでもまともな仕事なほうだろ。・・・他の奴なんて打連に行けって賤ヶ岳さんに言われたやつもいるし。」


「・・・」



改めて私たちの職務は大変なものだと思い知らされる。

・・・そう考えると、絆同盟に潜入なんて大したことないのかもしれない。



「・・・そうだ、ちょっと気になることがあったんだった。」


「はい?」


「ちょっと聞いてもいいか?」


「は・はい。」



なんか真面目なご様子・・・。

なんだというのだろうか。




「昨日の減滅作戦のことなんだが・・・」


「はい。」


「・・・煙玉がBS会議に投げられた時、五稜郭さんに続いて突撃したのってハルさんと俺とお前だけだよな?」


「え・えぇ・・・。」


「・・・おかしいなぁ・・・」



彼は首をかしげる。


・・・なんか嫌な予感がした。




「なぁ、あの会議室へ入る入口って俺らとジャスティスが攻撃してたドアだけだよな。」



まぁ、攻撃だけなら全方位からでもできると昨日の戦闘でわかりましたけどね。



「あのドアって横にひくタイプだから、人が会議室に入るには一瞬だけ弾がよけられない部分がある。」



たしかにドアをあけたところ、つまりちょうど会議室に入る入口のところだけは・・・

入口だけはかなり狭く、2人が一斉に入るには身体をひねらないといけないぐらいの空間しかない。

あの時は走っていたから、1人ずつ入ったんだろう、あんま覚えていないが。



「あの時、相手方で攻撃してくるのは3人いて各自絶え間なく攻撃してきた。・・・4人が突入すればそれなりの時間もかかるし、突入したあとも煙幕で視界が遮られていたにしてもそれは俺らも同じという条件下だった。」


「え・えぇ・・・」


「・・・にしては被害が少なすぎないか?」


「・・・!」



言われてみればたしかにそうだ。

・・・結局昨日突撃して、怪我をしたのは腕に弾を食らった五稜郭さんぐらいだ。


に対して相手方は怪我をしたかどうかは不明だが、全員確保された。



「しかもジャスティスの連中も俺らが突入する間かなりテキトーに撃っていた。・・・だが西本も健全だった。」


「・・・」


「そもそも中には西本がいるのに、五稜郭さんはなんのためらいもなく、テキトーでもいいから援護射撃をしろっていった。・・・普通、あんなに部下を大事にする人がそんな命令だすか?」



・・・たしかに。


私は先ほど感じた昨日の疑問点についても述べることにした。



「そういえば昨日、西本くんたちとも一回衝突しかけたじゃないですか?・・・でお互いに「会長を傀儡にしてる人たちがいるのでは」いう考えだった、つまり同じ疑惑をもっている者同士で対立する可能性があったことを三幹部は知っていたはずです。・・・なのにBS会議の際は相手に特に何も確認せず、ただ会長のノートをもっているから、というだけで攻撃を開始しました。」


「・・・」


「一回やらかしかけているのに、ですよ?・・・普通同士討ちなんて許されることではありません。なのに2度目も同じミスをしかけた・・・これは三幹部としてはありえないミスじゃないですか?」



鷹村くんは若干考えてから口を開いた。



「・・・五稜郭さんの命令も、中島がいうように三幹部の行動も不自然だな。・・・まるでBS会議が敵だと最初からすでに把握していたようだな。」


「・・・以前に金ヶ崎さんが“いずれひっくり返る机上、この際私がひっくり返そう”みたいなこといってたんですが、その“いずれひっくり返る机上”というのが2年全体で組んだ反乱だったらどうでしょう?」



・・・それは今日の会議の内容からしても頷けるところがある。

もし2年は指揮権をすべて手に入れられたら、ホントに反乱を起こすのではないか?


私は密かに彼らを疑っていた。



「それを三幹部が気が乗らず邪魔をするものだから、金ヶ崎さんが独断で指揮下の戦力を動かした、と。」


「・・・たしかに昨日捕まった連中には金ヶ崎さんの部下が多かったな。」



・・・そういうと鷹村くんは何かにひらめいたようだ。



「なぁ、こうは考えられないか?・・・最初から、あのBS会議は2年と1年の一部で手を組んだ自演だった。」


「え?」


「それが終われば2年の一員である金ヶ崎さんに責任が行くってことは察しが簡単につくじゃんか。・・・実際3年幹部たちの目は金ヶ崎さんのところにかなり集まった。」



そういえば賤ヶ岳さんが同じ3年幹部の1人を金ヶ崎さんのところに送った、ともいっていた。

・・・賤ヶ岳さん自ら、自分の部下を懲罰として送るということはそれだけ3年幹部の注目を集めたということだ。


つまり金ヶ崎さんは囮?



「そして3年幹部が金ヶ崎さんに集中している間、つまり2年に視線がそれた際に2年全体で反乱を起こすつもり・・・とか。」



それは三幹部も含めて、ということだろう。

しかし・・・ホントにそんなこと可能だろうか。



(そういえば・・・)



以前の金ヶ崎さんの発言の際に、同じく厳島さんは金ヶ崎さんに「ジャスティスを味方につけて勝ったつもりか?」みたいなことも聞いていた。

・・・しかし昨日の地点でジャスティスの立ち位置は三幹部側だ。

これも極めて不自然だ。



(つまり三幹部と金ヶ崎さんはつながってる・・・?)



でもそう考えれば、自演とした上でBS会議が敵だという設定にすれば、明確に命令を下せる。



(あ・・・)



そもそも西本くんの話では五稜郭さんは会計係だったはず・・・。


BS会議も、会計会議だといっていた。

そして情報処理部として資料を作っているのもいわれもなく五稜郭さんだ。


・・・つまり彼女なら「会計会議」という「名目」を使うこともできるし、その資料を作りあそこに置くこともできる。



しかし・・・西本くんも自演の一員だとしたら?

・・・彼ほど頭の回る人なら、あえてそんなことを言おうとはしないだろう。


じゃぁ・・・西本くんはこの自演に加わっていない?


それにもう1つ気になるところがある。



「・・・でも自演って実際に発砲してたじゃないですか。」


「たしかに煙玉が使われる前までは実弾だった。・・・だが会議室が煙玉につつまれたあとは?」



・・・私たちは発砲音しか聞いていない。



「ジャスティスの援護射撃も俺らが突撃したあとも続けられていたはずだ。だがそれも含めても俺らの被害はほとんどなかった。」


「・・・じゃぁ・・・」


「煙玉が使われてからは、会議室内部の連中とジャスティスは空撃ちをしていた、とすれば自演もできる。」



・・・バカな・・・


自演だったとしても怪我人もこちら側にもあちら側にもでていた。




「でも被害もでていましたし、ジャスティスは新しい武器を提供していましたよ?」


「俺らが手のひらで踊っていただけなら被害もでて当たり前だ。・・・こちらにも連中にもな。それも連中は覚悟してたんじゃねぇか。」


「ジャスティスは?」


「あいつらは新しい武器の調査もしてみたかった様子があった。・・・その実験が2年との協力契約のうちの1つだったとすれば、俺らは手のひらでまんまとあの新兵器の優位性も確立したわけだ。・・・それが協力のための契約内容として含まれていたなら、煙玉までの実弾も不思議じゃない。」


「・・・でも五稜郭さん自身も怪我を・・・」


「さすがに誰も怪我人がいないと怪しまれると考えたとすれば?・・・三幹部の一員で、いつも最前線で戦ってる身なら犠牲がでないと返って怪しく思われることなんて気がついたはずだ。・・・だから自分でわざと撃った、とか。」



・・・嘘だ・・・

そんなはずがない・・・。


だがあの人は味方の誰かを傷つけられるような人でもない。

・・・そういう立場になってしまえば、おそらく自分を撃つだろう。


その時、五稜郭さんの先ほどの言葉を思い出した。



(誰一人不必要な存在はいないからな)



・・・そうだ。

あんなことをいう人が反乱なんて起こしっこないじゃないか。



「・・・いえ、違います・・・」


「え?」


「2年は反乱なんて起こしませんよ。」



そうだ、そうに決まっている。


こんなこと起こそうと言われれば真っ先に三幹部、特に五稜郭さんが反対するだろう。

・・・そんな人が、自演とはいえ実弾を使って同士討ちを行う最前線にたてるはずがない。



そう思っていて気づく。



(これも一種の希望的観測なんじゃ・・・。)



彼らと若干の距離をおくことになっても、彼らがそんなことをしないと自分は信じたいようだ。


絆同盟に「希望的観測だけじゃ勝てない」なんて大口叩いといて、自分も結局「希望的観測」をしているじゃないか。

だが今は絆同盟のいった、「世の中そこまで悪くない」という希望的観測に関する答えにも・・・期待したくなってきた。

むしろこの時のために彼らは言ってくれたのではないか。



「・・・ちょっと行ってきます。」



そう思えばすぐに動こうという気になる。

・・・絆同盟のように。



「・・・え?どこに?」


「本人らのところです。」




そもそもそんな疑惑、あくまで疑惑でしかない。


本人らにきいて真意を確かめればいい。

・・・幸いにも誰も嘘は上手そうじゃない。

嘘をいえば絶対顔にでるだろう。



・・・そしてその話が終わったら、さっきの無礼も謝ろう。

そうすれば元通りじゃないか。


・・・ハルさんにも謝る機会ができる。



「ちょっ、中島、待てって!」


「大丈夫です。彼らは嘘は言わない人たちですから!」



そういって私は情報処理室に向かって走り出す。


結局会議が終わってからダラダラいじけたり、この部屋でダラダラしたり鷹村くんと話したりで1時間以上は経ってしまっている。

謝るのも早いほうがいい。



私は情報処理室へと急ぐ。



「・・・」



情報処理室の前へとやってきた。


・・・部屋の内部からはなにやら話し声が聞こえる。

話し声からして五稜郭さんもハルさんもいるようだ。




「・・・成功したようです。これで2年に指揮権がきますね。」



・・・え?



「そうか・・・予定通りに進んでよかった。」



予定・・・どおり?

なにをいってるの?


・・・これじゃまるで彼女たちは今ここで指揮権が2年にくることを知っていたみたいじゃないか。



「ですね。・・・おめでとうございます、情報処理部責任者・内制部責任者・特別戦闘団団長・参謀長・警備部教育総攬・第二課後方支援責任者・第四課臨時会計係兼2年副代表殿。」


「・・・長ぇーよ。嫌味か?それに参謀長でも第二課責任者でも第四課責任者ねぇよ、なにどさくさにまぎれて増やしてんだ。」


「いえいえ、純粋に喜んでいます。これで総合作戦部もたてられますし、統合計画も上手くいくでしょう。・・・参謀長も第二課も第四課も今後肩書きにつくのも時間の問題でしょう?」



五稜郭さんの深いため息がつく。



・・・しかし2年に指揮権が委ねられた?

3年がそんなことするはずがなかった。


考えられるのは1つしかないのだ・・・。



(・・・嘘・・・ですよね・・・)



絶望が頭のなかによぎる。



「誰だ!?」



すると内部から声がきこえた。

私はとっさに隠れてしまう。



「・・・誰もいないじゃないですか。そういうのやめてくださいよ、焦ったじゃないですかにゃん。」


「・・・おかしいな、今誰かいるような気がしたんだが。」


「きっと考えすぎですよ。」


「今の会話が聞かれてたらちょっとまずいな。」



その言葉からどんどん絶望が広がっていく・・・



「この辺の警戒を頼めるか?」


「了解ですにゃん!五稜郭さんはここで休んでてください、すぐに人数を集めますから。」


「・・・うん、頼む。」



そういって扉がしまった。

私はその後、彼らと話すことなく逃げてしまった。



その後、金ヶ崎さんたちのグループに懲罰令が解除され、ガス銃が返された。

その命令を出したのが、山崎さん、希望したのが五稜郭さんだったという。


これもまた昨日の件が何を指すのか・・・

ここまで疑惑をもっている身とすればすぐにわかることだった。


・・・昨日の件で金ヶ崎さんのグループはガス銃を取り上げられ、ただの捨て駒となり果てていたのに・・・

彼らは一気に地位も名誉も回復しきった。

それは案外あっさりでもあった。


しかしその一方で、昨日のBS会議での中心人物と思われる糟屋さんや片桐さんといった、罷免された3年幹部の復活はきかない。



これだけで2年が莫大な権利を得たことを震撼した。



そして昨日のBS会議については糟屋さんはともかく、片桐さんは反戦派だったとすれば、五稜郭さんは好戦派という立場だったから邪魔者だったのかもしれない。

・・・そういう意味で昨日のBS会議で自演のなかで、一部私たちのように、こちら側にも、そして犯人役側にも手のひらで踊らされていた人たちがいたのかもしれない。

昨日のBS会議は自演のなかで、邪魔者を処罰してしまおう、という2年の考えと、新しい武器を試したいというジャスティスの考えの利害が一致して起こされたものでもあるのかもしれない。




そしてその後、生徒会内部の監視、主にスパイの防止などを行う内制部、そして2年と1年の責任者たちが作戦計画をたてて指揮を行う総合作戦部ができた。

ちなみに総合作戦部の責任者は「総合参謀総長」という名前らしく、山崎さんが任命され、NO,2が「総合参謀長」で厳島さん、No,3に「参謀長」で五稜郭さんがなったらしい。



さらに警備部版特戦団も「近衛団」として新設され、その最高責任者に厳島さんが任命され、NO,2に砕川さんと凛動さんの2人がつくという異例な形となった。

まさに警備部の精鋭となった。

ちなみに厳島さんが総合的なこの団の行動計画をたてて、凛動さんが第1班と2班を率いて攻撃部隊に、そして残りを率いて砕川さんが警備・護衛を担当するらしい。

この近衛には3年幹部も何名か傘下として動いているようだ。



内制部はというと、最高責任者は五稜郭さん、そしてNo,2にここでも砕川さんがなった。


また警備部教育総攬という特殊な部門もでき、そこの最高責任者にも五稜郭さんが任命され、No,2に仁井くんがなった。

この部門は生徒会内総動員案で大移動してきた新人警備部の生徒たちに警備等の機動などを教育する。



さらに争い中の予算を考える、五稜郭さんも担当している臨時会計係は後方支援部の第四課として併合された。

この後方支援部というのも新設である。


後方支援部第1課は後方支援の具体的な量や安全なルート、武器をいくつ調達するかなどを考える。

第2課は第一課の考えたモノをそのルートで実際に後方要員を使って運ぶ組織で、要員をどの程度使っていくかを考慮する組織でもある。生徒会に協力的な生徒も存在する、最も人の多い課となった。

第3課は第2課の護衛をどれぐらいつけるか、近衛団とともに話し合い、警備計画をたてていく。

第4課は先ほども述べたように臨時会計係が併合され、第一課と話し合いつつも、予算計画をたてていくこととなるようだ。


そして第1課責任者には金ヶ崎さんが任命され、二課責任者には五稜郭さん、三課責任者に厳島さん、そして四課責任者には山崎さんが任命された。



特戦団は話し合い通り3班体制になった。

最高責任者、いわゆる団長と呼ばれる地位に経つのは五稜郭さんで、副団長にハルさんがつく。

団長が3班の作戦計画等を検討し、実戦では1班の班長として動き、ハルさんは2班、そして飛沫くんが3班を動かす。

1班には情報処理部の生徒、すなはち五稜郭さんの直属の後輩たちや金ヶ崎さんたちが傘下に入り、2班には3年といったベテランの警備部や下層部を取り込み、3班はジャスティスを機軸とする人材で編成されている。

ただし3班は独自のみが若干責任範囲が違い、主に西棟の1階を担当する為、下方団と呼ばれることもあるようだ。




警備部には2年や3年、また警備部の1年から~3年はほとんど特戦団、および近衛団にまわされてしまったので・・・

新人ばかりになり、そこを警備部教育総攬が担当するわけだが、この烏合の衆をまとめる責任者も一応いるらしい。

・・・そこには仁井くんが任命されている。

ただし仁井くんも特戦団の一員なので、なんともおかしなことになってしまっている。



武器開発と作成の専門部としても「生産部」ができ、最高責任者に飛沫が、副責任者に紀龍が任命され、多くの一般生徒を使うことにもなった。




また監視部などの旧来の部門は「打連の監視」など新たな職務も得たらしい。


ちなみに監視部が「外部」からの敵情の監視。

諜報部が「内部」からの敵情の監視を行う担当らしい。



しかし警備部への総動員案の結果、旧来の部門は一部を除くすべてが機能不全に陥るという結果ともなった。

・・・そのほとんどがデスクワーク部門なので、そこには生徒会に協力的な生徒を投入することで改善を図っているらしい。

最悪最高責任者のみ生徒会の幹部で、あとは全員一般生徒というところもある、とか。



多くの部の責任者が決まる一方、諜報部は「決めろ」との催促もこなければ、会長の「任命」命令も届かなかった。

・・・後々の話によれば、今日の会議にでた人を「最高責任者」にするつもりだったらしい。

だからハルさんは1人にしてくれ、といっていたのだ。

・・・だがその出席した私が、あらぬことを発言したので、見送りになった、というところだろう。




この案と人員の移動は驚くほどにサクサクと行われ、その日にすべてが機能するまでになった。

・・・まるでだいぶ前から練られていた計画のようだ。




またこれらの部の新設に至って、責任者を任命したのは会長本人らしい。

・・・ただ適材適所でもあるが、若干三幹部に頼りすぎなところもあると思われる。

・・・しかしこの部の新設を考え出したのが三幹部だとすれば、ある意味でこれもまた適任なのかもしれない。



なにはともあれ、1日にして生徒会全体は恐ろしいほどの変貌を遂げた。

今後に予想される苦戦と、打連の予想外の奇襲と、一般生徒を守るという新たな意義の出現からまさに戦闘形態となり、本気をだしたわけだ。


きく話ではすでに戦力を拡大した西方面、東方面、どちらも大規模な攻勢作戦がたてられているらしい。

・・・ホントに恐ろしいほどにテキパキとしていた。



今後どうなるのか・・・少なくても「早期停戦」だけはなくなってしまった。

そしてまた・・・こういったことになった経緯から2年が3年相手に何をしたかも明確だった。




(・・・やっぱ希望的観測だけじゃ無理ですよ・・・)



・・・私は絆同盟をあざ笑うかのように内心でつぶやいた。




                               完


おまけ  本編の補足・考察1



十「ヒャッホゥゥゥゥゥゥゥウウ!!テストが全部終わったぜ!!!」


卯「・・・なに・・・いきなり?」


五「筆者の心の声乙。」


十「でも単位1つ落としたかもしれないぜ・・・」


卯「そんな暗い報告いらないから。」


十「もう戦車道やって単位稼ぐしか(ry 」


五「ステマ乙。」


十「ヒャッホゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウ!!最高だぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!」



卯「てかさりげなく「おまけ」の分野に「参加者」の枠なくしてんじゃないわよ、筆者!!」


五「これぜってぇーめんどくさくなったからだよね?絶対そうだよね??」


十「いつに間にかなくなってたからな。」


五「訴訟。」


卯「これで生徒会がいつわくかわからない恐怖にさらされるようになったじゃない!」



金ヶ崎「ほぅ、こ~んなふうにですかァ?」


卯「でた!」


金「我々の支持率は120%こえてますから。いつだってでることができるんですね、これが。」


卯「・・・という名の賄賂。」


金「そんなこというと・・・内制部が粛清しちゃうぞ☆」


五「おいおい、今日本編ででてきたのに、今後この部がどれだけやべぇことするか丸分かりじゃねぇかw」


十「ネタバレ乙。」


神「スターリン乙。」


西「というか、今日本編を“きょう、ほんぺん”ではなく“いま、にほんへん”と読んだ私は負け組。」


中「それは病気ですね。」


金「ハッハッハ、ここは本編とは別に異次元、強いて言うならパラレルワールド。・・・この世界の内制部と本編の世界の内制部は違うんですよ、これが。」


五「ぱわふる乙女?(難聴 」


卯「耳鼻科行きなさい。」


十「絶対金ヶ崎さん難しいこといってごまかそうとしたよね?」



五稜「ほぅ?ネタバレは厳重処罰が必要だな。」


五「モノホンの内制部キターーーーーーーー!!」


金「フッ、本編では前回の話で粛清されかけたのに、今回で復活した私に不可能はないのです!」


陽炎「と思うじゃん?」


卯「あんたそれ好きね・・・本編でもそれいってたじゃない。」


飛沫「てかさー、いい加減俺のエロゲー好きネタやめない?もうさ、初期の設定とかどうでもよくなってんじゃん。」


西本「そんなこと言ったら最初モブ予定だった私に死角などない!!」


卯月「あんたは大出世よね。・・・なんか今だと変なキャラ確定してるし、生徒会でもかなり中心キャラになってきてるし。」


飛沫「てか俺らいつの間にか“最強軍団”的なノリから、ただのギャグ要員になってるじゃん。」


五「ぼくのかんがえたさいきょーのぐんだん」


飛沫「なに、喧嘩売ってんの?」


凛動「・・・名前がすでにギャグですから。」


飛沫「ぶっ殺すぞ、てめぇ!」


金ヶ崎「そういう意味では出番も多いくせに三幹部はキャラが崩れませんね~。」


卯「今日思いっきり性格位悪い疑惑でてたじゃない・・・」


十「そういえば本編で2年のメッキが剥がれてきてたね・・・」


卯「今回のタイトルの“急変”っていうのは“生徒会の変動”と、今まで良い人たちオーラだしまくってた“2年の変動”の2つの意味があるっぽいわね。」


五稜「こうは考えられないか?3年に任せておくと2年、1年も、道連れになる。・・・最大の敵は優秀な敵ではなく、無能な味方だろう?」


西「日独伊三国同盟で味わいましたね、そういうの。・・・まぁ、どこが無能な味方か、というのは言いませんが。」


十「悪意ありすぎだろ。あそこはWWⅡの笑い話担当だからいいんだよ。」


西「マジレスするとかの国の法則が働いた、というほうが強いと私は思っています。」


十「・・・じゃぁなぜ日独伊をいったのか。」


中島「でも五稜郭さんは誰一人いらない人なんていないって言ってたじゃないですか!」


五稜「そうだ、だからこそ3年も救う為に2年が指揮権を得る必要があった。敗戦すれば3年に責任がいくのは確実だからな。」


卯「おそらく今回の打連の奇襲で一般生徒への犠牲がでたことが計画を実行する決定的な要因になったんじゃないかしら。」


中島「だからって反乱起こしてもいいんですか!?」


桶「・・・たしかにそれが全体を救える道かもしれねぇな。・・・けど道徳的にどうなんだろうな。少なくても良いこととは思えねぇな。」


西「生きて虜囚に辱めを受けず。」


五稜「つまり死ねと?」


金ヶ「惜しい人をなくした・・・」


厳島「それはやめて!!山崎とボクだけじゃ仕事がまわりきらないから!!」


山崎「そこは友人としてとめてやれよ・・・。」



卯「てか五稜郭さんとか本編息できるの?・・・役職あてられすぎて過労死するんじゃないの?」


西「キタ!!日本の生み出した新たな概念、KAROUSHI!!」


卯「すごく嫌なもの生み出したわね。」


神威「ヒャッハー、汚物は消毒だー!」


飛沫「じゃぁ、まずお前から消毒しねーと。」



西「じゃぁ、ちょっとわかりやすいように2年の今回であてられた肩書きをまとめたものを用意したので見てみましょうか。」


卯「用意周到ね。」


西「ネトウヨにぬかりはありませんから。」


卯「・・・それ、ネトウヨ関係ないと思うんだけど・・・」


西「ではこれです!」



【新設部】

総合作戦部、内制部、近衛団、警備部教育総攬、後方支援部(第1課~4課)、生産部



【増加】

治安維持部(特別戦闘団)(2班体制→3班体制、3班は下方団として独自に行動可(ただし団長である五稜郭にそれを伝え許可を得る必要あり))



【2年役割】


2年代表・2年副会長・(後方支援部)第四課責任者兼総合参謀総長(山崎)


情報処理部責任者・内制部責任者・特別戦闘団団長・特別戦闘団1班班長・参謀長・警備部教育総攬・第二課後方支援責任者・第四課臨時会計係兼2年副代表殿(五稜郭)


警備部最高責任者・参謀総長・近衛団団長兼第3課責任者(厳島)


内制部副責任者兼近衛団副団長(3班・4班・5班麾下守備班班長)(砕川)


警備部副責任者兼近衛団副団長(1班・2班麾下攻撃班班長)(凛動)


監視部副責任者・特別戦闘団副班長・第四課臨時会計係兼第1課責任者(金ヶ崎)


特別戦闘団副団長兼特別戦闘団2班班長(勢場ヶハル




西「ちなみに我らが1年はこんな感じです。」



1年代表兼1年副会長(川口)


特別戦闘団3班(下方団)隷下・第4課臨時会計係兼1年副代表(西本)


警備部1年責任者・特別戦闘団3班隷下・第4課臨時会計係兼警備部教育副総攬(仁井)


ジャスティス責任者・特別戦闘団3班班長兼生産部最高責任者(飛沫)


ジャスティス副責任者(神威)


特別戦闘団3班副班長(陽炎)


特別戦闘団3班隷下兼生産部副責任者(紀龍)



諜報部最高責任者???(中島)


諜報部副責任者???(鷹村)




西「・・・どうでしょう?」


卯「あんたの努力は認めるわ。」


西「じゃぁ、奮発して3年の役割も見せちゃいますよ!」


卯「・・・え?まだあるの?」



【3年】


会長/総合指揮責任者(天王山)


副会長兼一般デスクワーク総合責任者(賤ヶ岳)


2年監視(加藤)


会長及び副会長補佐(福島)


書記(脇坂)


罷免(片桐)


罷免(糟屋)



金ヶ崎「いや~、3年は楽ですね~。」


賤ヶ岳「嫌味にしか聞こえないな。」


金「いえいえ、賤ヶ岳さんと会長のことを言ったわけじゃないんですよ?その他の幹部どもは仕事少なくて良さそうですねぇ。」


卯「3年は賤ヶ岳さんにかなり偏ってるわね。」


賤ヶ岳「まぁ、俺と会長以外全員モブみたいなもんだからな。」


卯「・・・あれ?加藤なんて人でてきてたっけ?」


金「彼女が私を監視する為に賤ヶ岳さんが送ってきた3年幹部ですね。」


五「ネタバレやん。」


十「あれだよ、エンディングで新しく仲間になる戦車を先に出しちゃう程度のものだよ!」


金「おかしいですよね~、私の処罰は解除されたはずなのに監視はきれないんですよ~。」



西「しかしこれだけまとめるのも大変だったんですよ?」


卯「・・・たしかに頑張ったわね。でもこんなの覚えられるわけないでしょ!!」


十「でてくるキャラの名前さえ危ないのにさ・・・」


西「覚えなくてもいいんじゃないですか?本編では一応毎回説明入れるみたいですし。「誰々は○○の責任者だから~~」みたいな感じで。」


卯「そんなことやってるから長くなるのよ。」


西「言わないで上げてください。・・・ま、結果的にこれを覚えないといけないのは筆者だけですね(チラッ 」


五「ざまぁwwwwwwww」


西「まぁ、覚えなくてもいいように、こうしておまけの場でまとめて、今後の話を作る際にここを見て確認するって戦法なんでしょうけどね。」


卯「覚える気ゼロじゃない。」


西「汚いな、さすが筆者汚い。」


十「てか1人だけ圧倒的に長い人いるんだけど。」


山崎「ここまでくるとただのキチガイだよな。」


五稜「お前が仕事しねぇせいだろ。」


中「あんなになっちゃってるけど大丈夫なんですか?」


五稜「まぁ、なんとかなるんじゃねぇの?」


卯「なんて軽いノリ!?でもアレ、役職与えられすぎよね??」


五稜「正直アレだよな、てかもう少し山崎働けよ。」


卯「なんか愚痴りはじめた!?」


山崎「俺はほら、2年代表っていう超重役あるしさ。・・・一応総合作戦部のリーダーだし。」


五稜「それにしても厳島だってもっと働いてるぞ、明らかにお前が原因だろ、この偏り。」


卯「・・・三幹部は仲がいいの?悪いの?」


厳島「もうどっちでもないんじゃない?」


卯「そこは仲良いっていわないの!?」



十「でも今回で2年がホントやりたい放題できるようになったよね。・・・戦力は会長以外ではほぼ例外なく2年しか動かせないのに、2年代表や副代表といった概念も残っているから幹部同士のデスクワークにも口をだせるんだろ?」


卯「考えてみればそうね・・・。ただ2年にそんなことに口出せる余裕ができるかどうかね。」


五「忙しくなりそうだもんな。前線かかりきりってのもどうなのよ?」


十「てかさ、2回連続で本編の補足・考察ってどうなの?」


五「もうネタがねーんだよ、いわせんな恥ずかしい。」


十「しかも「1」ってことは確実に「2」やるつもりだよね?」


五「だからネタが(ry 」


卯「なにこの打ち切り臭・・・」


五「俺たちの戦いは終わらない!!」


陽炎「と思うじゃん?」


飛沫「来週からは“おまけ OF 生徒会”をお届けします。」


五「あ、番組とられた。」


卯「そんなの認めるわけないでしょ!!」


十「てかこれ、番組だったのか・・・」



五「てか最近ゆゆ様成分がたりない。・・・ゆゆ様ァ~・・・」


卯「なに急に思い出したかのように。・・・もう完全に初期設定で忘れてるかと思ってたわ。」


五「まさにレコンキスタ!!原点(奪われた国土)へ帰ろう!!」


卯「筆者!聞こえてる?」


五稜「というか、生徒会がでてきたのはいいことではあるんだが、もはや初期の恋愛とかどうでもよくなってるよな。」


卯「なってないから!!」


山崎「恋愛ってなんだっけ?」


五「俺のゆゆ様への誓いだ!!」


山崎「・・・なんかかっこいい。」


五稜「そう思えるお前は幸せ者だ。」


五「俺のゆゆ様への愛は永久なのだ!!」


十「あ、何気にゆゆ式が楽しみな件。」


卯「あんたも主人公なら少し自重しなさい!」


飛「真剣に私に恋しなさい!、ってか。」


十「1話は神なアニメだった。」


飛「アニメなんてなかった。・・・って違ァァァァァァァう!!」


卯「なにがよ?」


飛「だから初期設定にしても俺のエロゲー設定は消してくれって。最近マジでただのエロゲー厨に成り果ててるじゃねぇか。」


卯「え、違うの???」


飛「・・・orz」


五「てか話戻ってきたな。」


西「 I shall return!」


卯「残念だったわね、ここにパイナップル畑はないわよ!!」


西「・・・NAN・・・DATO!?」


十「いや、それは絶対本人言わないから。」



卯「そもそもなかなか恋愛編に戻れないのは違うキャラの視点が長引いてるからでしょ。」


十「中島編は絆同盟と生徒会の両方を行き来してるから、そりゃ一番長くなりますわな。」


飛「中島編の目的はそもそもなんなんだ?・・・鬱√にしか見えないんだが。」


神「生徒会編への布石じゃないの?」


中「え?そうなんですか!?」


卯「生徒会編なんてないから。」



西「ちなみに筆者は当初の予定では10話で終わらせる予定だったらしいですよ?」


卯「ホントあんたなんでも知ってるのね。」


西「私の本当の正体はミノシロモドキですから。」


五「大嘘乙。」


十「最近あれ面白くなってきたんだよなぁ・・・。切らなくて正解だった!」


五「てかもう絶対10話じゃ終わらないだろw」


卯「ホント計画たてるの下手くそよね。」


西「てか本編の補足・考察とはなんだったのか。もはや筆者への愚痴大会になってる気がするんですが・・・」


卯「そういえばこの“本編の補足・考察”って大学の講義の名前みたいじゃない?」


十「・・・あ~・・・落としたんだよなぁ・・・単位・・・」


卯「だから筆者の声、黙りなさい!」



五稜「そういえば前回“伏線を忘れている”なんて話あったけど、今回卯月咲良の提供した資金の話がでてきたな。」


卯「それはおまけで出したんだから思い出したのよ。それで焦って次話で入れてくるとは・・・」


十「もうやめたげて、筆者のライフはゼロよ!」


西「ゼロ?・・・ゼロファイターですね!!」


神威「ヴァイパーゼロ愛してる!!」


西「でも私は“れいしき”と呼ぶほうが好きです。」


飛「へい、ジーク!!」


十「ゾイドを思い出すなぁ・・・」


神「シールドライガーの覚醒のあのネジがまわるようなところがすげぇいいんだよなぁ・・・」


飛「は?なにいってんの?モルガが一番だろ。」


卯月「・・・こいつらどうにかならないの?」


五稜「・・・ならんな。」


五「諦めんなwwwww」


十「しかしあれが戦闘継続金として活用されてるなら、生徒会自身が咲良のみを引き抜こうと考えていてもおかしくないよな。」


卯「だったらなんで引き裂き解除しないのよ。明らかに不効率じゃない。」


十「あ!たしかに。・・・そもそもの原因は引き裂きだからな。」


五「てか懐かしいな、引き裂きとかwwwww何年前?wwwwww」


十「さすがにそこまでじゃねーよ。」


五「マジでわけわかんねーな、生徒会。」


五稜「それは本編で説明済みだろ。今、引き裂きを解除すると生徒会が弱腰に見られるって賤ヶ岳さんがいってただろ。」


十「そういえばそうだったっけ、もうどうでもいいや。」


五稜「おい、主人公、しっかりしてくれ!!これ、お前らに直接関係のある話なんだぞ!?」



卯「でも他にも忘れてる伏線あるでしょ。前回の話の内容も忘れるような脳みその持ち主よ?」


十「鶏乙!」


五「へい、チキン!!」


十「そりゃ単位落としますわwwwww」


卯「もうそれはいいってば!!」


五稜「・・・こいつら、主人公サイドだからって安心しきってるな。」


陽炎「これは生徒会勝利のワンチャンあるで。」



卯「というか、会議で早期停戦を求めただけの中島を「ともにやっていけない」とか言っちゃう生徒会はどうなのよ?」


金ヶ崎「あれは私ではなく、ハルさんですからね~。」


卯「責任転嫁!?」


金ヶ崎「・・・とはいえ、私もあの場にいたなら同じ心境でしょう。我々には負けが許されない状況、その状況で負けてもいいとか言うとはレベル高すぎですよ。あれは実戦にあまりでておらず守られてばっかだから言えるセリフですね。・・・実戦ではそんなこと考えてれば自分が怪我しますから。」


西「ここにも日教組の影響が・・・」


卯「いや、それは関係ないでしょ。」


西本「まぁ、あれは状況が状況ですからね。・・・そうですね、例えばトランプをやってるとしましょう。」


卯「なんかすごい話そらされた気がした・・・」


西本「いえいえ、ただトランプというのは本気でやるから面白いんですよ?それを“楽しむことを目的としてやるから負けてもいいや”程度の考えでは面白くなくなってしまいますよ。」


卯「・・・なんか言いたいことは若干わかるけど、それ、ちょっと本編の内容と違くない?」


西「ちょっとというか、だいぶ違いますけどね。」


卯「自覚してる分、タチが悪いわね。」


金ヶ崎「あれ~、私の真面目な話は~?」


卯「そんなのなかった!」



卯「本編で出てきた、38本供給する予定の新型ライフル型のガス銃はどうなのよ?」


飛「これがさぁ・・・注文内容が鬼畜すぎてなかなかできねぇんだわ。」


五「なんか飛沫が愚痴ってんの始めていたかも。」


飛「だってさ、盗まれたModel1ガス銃に対抗する為、Model1よりも射程を伸ばして、命中率を高め、弾を多く込められて、連射可能で、尚且つ携帯しやすいように軽く、とか頭おかしいだろ。」


五「きっつw」


飛「そもそもさぁ、命中率の向上ってガス銃そのものを軽くすれば携帯もしやすいに狙いやすくなるけど、その分発射の反動リコイルも受けやすいから、できるだけ重く安定させたほうがいいんだよね。でも両方やれっていってきてんじゃん?ぶっちゃけムリゲーなんですわ。それでもやれとか、これだから初心者が与えてくる注文は嫌なんだよ。」


五稜「・・・悪かったな、無茶な注文で。初心者で。」


十「注文したのあんたかよ!」


五稜「最悪連射と弾の装填数、携帯用の軽さはなくしてもらって構わない。射程と命中率を最優先する。」


飛「本編で言ってくれ。」


卯「・・・こればっかりは飛沫が正論ね。」



西本「てか聞いてくださいよ!!PS3で大東亜共亡史が再びでるんですよ!!」


五「ついにステルス通り越して、ただの宣伝はじめたよ!!」


長篠「ガタッ!」


西本「おぉ、将軍殿もやっておりましたか。・・・我々、気が合うかもしれませんね。」


長篠「たしかにな。・・・あれは超やった。」


西本「私はノモンハン事件(4面)で投げましたけどねw」


五「おいwwwwwんなもの他人に勧めるなwwww」


西本「あれは人を選ぶということですね。ちなみに筆者はバカですがアレは好きみたいですよ?」


卯「ついに言い切っちゃった・・・。」


西本「しかし私と将軍殿が意外に気が合う、ということがわかりましたね。」


卯「4面で投げといてなにいってんの、こいつ。」


西本「ここは私と組んで小説内で反乱を起こしませんか。」


卯「なに、今、反乱がこの小説内のブームなの!?」


飛「治安悪いな。」


卯「あんたがいえたもんじゃないでしょ!」


中「歩く治安悪化、ですからね。」


長篠「だが面白そうだな、それも。」


卯「それだけはやめて!!あんたら2人が組んだらマジで勝てる気がしないから。」


十「そうか、こいつもやっぱり本編で反乱起こしてたのか!」


西「さて、それはどうでしょうね?」


卯「性格悪いわね、ここまできたら言いなさいよ。あんたが絡んでいるかどうかでだいぶ話はかわってくるのよ。」


西「さてさて、どうでしょうね~?」



卯月「てか新しくできた内制部ってなにやんのよ?」


西本「わかりやすくいうと、憲兵隊と特高の役割を兼ね備えた組織、ですかね。」


十「ぜんぜんわからない件。」


卯「え?かなりわかりやすいと思うけど。」


五稜「特定の人しかわからないような説明じゃ意味ないな・・・。」


卯「要は上層部の命令を無視しないかどうかの監視と、今回の本編で打連が行ったような無抵抗な一般生徒への攻撃をしないように監視、そして何より生徒会内部で敵方にスパイ行為などをされないように監視、でしょ。」


五「まんま本編通りの説明じゃねぇかw意味ねぇwwwww」


西本「一言付け加えると、命令違反者や道徳上の問題で悪徳と内制部に判断された場合はその場で拘束できます。」


五「え!?権威すげぇぇぇぇええ!!」


卯「そこまでの権威がないと務まらない職務でもあるけどね。」


五「じゃぁ、テキトーな理由をつけて嫌いな奴に責任押し付けたりもできるんじゃねぇの?」


卯「それの似たようなのがまさに粛清ね。」


金ヶ崎「粛清しちゃうゾ☆」


十「シベリア送り25ルーブルですね、わかります。」


五「なんかマジで笑えなくなってきた件。なんかとんでもねーの作っちまったんじゃねぇの?」


五稜「といってもこれができれば生徒会全体の統率もとれるし大丈夫だろ。」


卯「うまくいくか、転ぶかは今後次第ね。」



山崎「ここは生徒会人気のために緊急に「アイドルグループ部」を作るしかない!!」


五「・・・そしてこの真面目な話のなかでそれぇ!?」


十「さすがの五月雨も引き気味である。」


卯「指揮権得たからってホントやりたい放題ね・・・」


山崎「名づけて「STK48」!!」


五稜「賛同するわけねぇだろうが。」


山崎「これ作るの許可してくれれば、仕事する!!」


五稜「マジか・・・仕方ない、賛同するか・・・」


厳島「決心揺らぐの早すぎ!!」




卯「アイドルグループならやっぱアレよね、いろいろ踊るのよね?」


五「会長はメイド様、くるか!?」


西「無慈悲な開戦もなさない。」


五「なんかあんま怖くない件。」


西「ぐぬぬ、尖閣沖でちょっとロックオンしてくる。」


五「それはガチでやめろwwwwww」


西「あんま調子のってるとアメ様がマジで緊急抜刀しちゃいますからね~。」


五「笑えないからやめれ。」


卯「てかアメリカに頼りきりっていうのもどうなのかしらね。」


神「まぁ、メリケンは1人で全世界を倒せるようなチート国家だしな。」


中「それは頭おかしいですね、訴訟。」


西「まぁ、海自はすでに前政権でもロックオンされてたらしいんですが前政権が“例の国との関係悪化をふせぐ”とかで公表しなかったとか。」


卯「じゃ例の国からしたら、「何を今更騒いでるんだ」って気持ちなんでしょうね。」


西「中国がいらっしゃった(キリッ 」


紀「というか、ロックオンというとさ、ロックオンストラトスを思い出すんだが。」


神「抱きしめたいな、ガンダム!!」


十「この小説では定期的なネタだよな、それ。」


神「俺、宇宙世紀しか興味ないから。」


十「乗っておいてそれぇ!?」


西「もしこれが事実だとすればひどいものですね。」


神「そして何事もなかったかのように会話を続けるこいつはなんなんだ。」


卯「・・・でもさ、今まで尖閣沖って海保しかだしてないっていってなかった?海自がでてたなんてロックオン報道されて初めて知ったわ。」


西「たしかに。」


五「・・・あの・・・すごく退屈です・・・」



西「そうだ、ここは東方厨の五月雨さんも誘いおう!」


五「勧誘キターーーーーー!!」


西「名づけてユニット名“自公連立”なんてどうですか?」


五「なんかバカにされてる気がする・・・」


卯「確実にバカにされてるでしょ、あんた絶対公明党の立ち位置よ?・・・あとは言いたいことがわかるわね?」


飛沫「でもそれって自民が右翼であるって認めてるようなもんだよな。」


西「あのさぁ・・・すぐマスコミは右翼がどうとか軍靴がどうとかいいますが、右翼だったらなんでASEAN諸国とかインドとかと外交しまくってるんですかねぇ?しかもなんでそれをとりあげないんですかねぇ?・・・軍くつがどうとかはなんでお隣に絶賛軍くつの音の連中にはいわないんですかねぇ・・・」


飛沫「どうでもいいけど、マジレスするならせめて2行に抑えろカス。」


卯「珍しく飛沫がまともに見えるわ。」


飛沫「よし、久しぶりに俺がまともになったところで終わろう!」


卯「なんて利己主義・・・」


飛沫「むしろそれが最初の俺だったはずだ!!」


卯「まぁ、いいわ。今日はここら辺で終わろうかしら。」


飛沫「最後まで読んでいただきありがとうございました。」


卯「・・・あんた、最後まで今日はまともねぇ・・・」


西「てか最後しかまともじゃない罠。」


飛沫「細けぇことはいいんだよ!!」


五「終わりよければすべてよし、とはまさにこのこと!!」


十「てか結局本編の考察とかほとんどしなかったな。」


五「題名詐欺乙。」


卯「あ~、もう!!綺麗におわれなくなっちゃったじゃない!!」


陽炎「と思うじゃん?」


卯「ありがとうございました!」


 

                 完



今回の感想


今回は生徒会が大きく変動しました。

まぁ、すでに内制部が暴走するフラグが立ちまくってるわけですが・・・


今回も相変わらず長くなってしまいました。

今回は前回の回答、というか一種の解決編としての話でもあるのでより長くなってしまいました・・・。

これ、2話で区切るべきだったかな、と今更後悔しています・・・


ここまで読み切れた方はホントにお疲れ様でした。

それと同時に今回もここまで読んでいただきありがとうございます。

ではでは。

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