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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
73/79

作成

※中島視点の話です。

生徒会の一員になってから早くも1ヶ月ほどたった。


生徒会としての仕事もだいぶマスターしてきていた。

それと同時に時間がたてばたつほど生徒会、という存在が自分のなかで大きくなり始めていた。



「おぅ、今日もご苦労さん。ま、なんもねーけどゆっくりしてけよ。」

「すみませんね・・・これでも五稜郭さんなりに気遣っているつもりなんですよ・・・?」



私の耳元で小さい声でハル先輩がつぶやく。



「それで五稜郭さんは好きな人とかいないんですの?」

「いねーっつってんだろうが。」



今日もいつもと同様に和んだ雰囲気がそこにはあった。

本日は砕川がやってきていた。



「そんなこといっちゃって・・・いるんでしょ~?」

「しつけーな。・・・ハル、お前はどうなんだ?」

「僕は五稜郭さんが好きですにゃん。」

「・・・」



おそらく「好き」の意味が違う・・・

砕川の求めている「好き」はあくまで恋愛的な意味の好きだ。


そして相変わらず「にゃん」は健全のようだ。

・・・1ヶ月たったというのに、これだけはどうにも慣れない。

というより慣れたくない。



「ハルさん、五稜郭さんの好きな人って誰か教えてくださらない?」

「ん~?僕も知らないけど、山崎さんじゃない?」

「それはない。ザキと付き合うぐらいなら、崖から飛び降りる。」



・・・うわぁ・・・

そんなに五稜郭さんのなかでは山崎さんの好感度が低いのか・・・

ま、冗談でそういうことをいえるあたり、それなりに高いとも思わされるのだが。



「じゃぁ、僕と山崎さんならどっちをとります?」

「ハルだな。」

「よし!!厨二より痛い子のほうが評価が上・・・っと!!」



彼は非常に嬉しそうな表情をする。

・・・自分で痛い子といっているあたり、もはやどうしようもなくみえるが・・・



「よし!五稜郭さん、結婚しましょう!!」

「断る。」


即答だった。

・・・なんだかこっちが見ていて悲しくなる・・・



「なに!?散々期待させといて・・・もてあそんだのね!!」

「・・・」

「もういいですッ!2人は遠い昔からエンゲージリングがワッショイってなってて・・・」



もはや日本語としておかしい。

何が言いたいんだかさっぱりだ。


彼のマシンガントークはとどまることを知らない。



「・・・アレ、どうするんですの?」



それを横目に少しひいている様子で砕川さんは五稜郭に問う。



「ほっといていい。どうせ相手にされないとそのうち、さめてくるはずだから。」

「・・・それで?好きな人・・・」

「いねーって。そういうのはオレじゃなく、もっと乙女心のある中島にでもきけ。」



えぇ!?

どんな無茶ぶり!?



「中島さんは誰か好きな人とかいないんですの~?」


砕川は路線を変更し・・・

目を輝かせてこちらに近づいてくる。



「い・いないですッ!!」

「え~・・・」

「紀龍くん、とかどうですかね~?」



その言葉にドキッとする。

後ろにはいつの間にやら金ヶ崎がいた。



「てめーはどこから湧いてきた?」

「床下から。」

「気持ち悪ぃんだよ。」

「そういわずに。ちょうど面白そうな話だったんできてみましたが・・・紀龍くんなら本命でしょう?」


まぁ、たしかに中学の時に彼に告白した。

今も同じ高校にいる。


だけれど、彼のことが今でもすきなのかどうかはわからない。

ただ彼の名前を聞くとドキッとするのだから、もしかしたら今でも好きなのかもしれない。



とりあえずはこのことは伏しておこう。



「いえ、別に。」

「そんなこといっちゃって~。私の情報通信ネットワークをなめては困りますよ~?ちなみに略して「ジョ通」。」



もろに「ファミ通」から名前をパクりましたオーラがでているんですが・・・?



「あ、ちなみにパクリじゃないですよ~?オマージュです。」


なるほどオマージュか。

ま、実際似たようなものだが・・・

それでもオマージュは元のものを尊敬して、それをアレンジしたようなものだから・・・

パクリよりは断然響きがいい。



「同じようなもんだろ。」


そこにボソッと私が思っているようなことと同じようなことを五稜郭さんがつぶやく。



「ノンノン!!オマージュとはある作品の影響を受け、その尊敬や敬意の意味を込めてアレンジしたものです。そんなとこらの技術をそのまま真似するパクリと一緒にされては困ります。」


ものすごいドヤ顔でこの言葉をこちらに言い放った。



「知ってるから。」


それ故に、五稜郭の言葉で妙な寂しさがやってくる。



「これだからゆとりは・・・」

「だから知ってるって、それぐらい。てか人のお気に入り言葉をパクるんじゃねぇ!」



この反応から五稜郭さんは「ゆとり」という言葉が好きなようだ。

そういえばここ1ヶ月、何度か「これだからゆとりは・・・」みたいなことをいっていた気がする。


しかしながら、あんまり良い意味をもたない「ゆとり」という言葉がお気に入りとは・・・

少し、というかだいぶかわっていると思わされる。



「オマージュです。」

「それに関してはモロにパクってるじゃねぇか!」

「・・・あの・・・五稜郭さんはなんで「ゆとり」という言葉が好きなんですか?」



少し気になったので聞いてみることにする。



「う~ん・・・響きがすきだな。あとはこの世代なら自分も含めて、すべての人にオールジャンルで対応できる便利さがいい。」



ま、たしかにこの世代の人たちにならオールジャンルで対応できますけど・・・

響きに関しては私にはよくわからないけど。



「おっと・・・そろそろいかないと厳島さんに怒られてしまいますわ。」

「サボってきたのか?」

「いえ、サボってはないです。ただ無断で仕事を抜けてここにきただけですわ。」

「もはや突っ込む気にもなれん。」


五稜郭は頭をかかえる。

たしかに私が五稜郭さんなら頭が痛くなりそうだ。



「今度はちゃんと好きな人、きかせてもらいますわよ?覚悟していてくださいね。」

「いねぇ場合はどう覚悟をしろと?」

「つまんない人生を送ってますね~。」

「黙れ。引きちぎられたいか、貴様は。」

「いえ、できれば踏んでいただきたい。」



なにここ・・・

変な趣味な人たちしかいないの!?



「冗談はさておき、私もそろそろホントに戻らねば。ではまた。」



それから私はフッと思う。


ようやく居場所ができた・・・と。

今ままでずっと和めるような場所なんてなかったけれど・・・

ここにくると、すごく楽しい。

和める。安らげる。気を落ち着かせられる。


ここにきて、私にはようやく居場所ができたのだ。



私の居場所せいとかいを・・・大切にしていかなくちゃ・・・!)



ようやくできた居場所を私は守り抜いていく・・・

そういった覚悟が生まれていった。







しかしそれも長くは続かなかった。

それから3日後のことだった。

いつもように放課後、いつものメールを送り終わり・・・

いつもの部屋へと向かおうとしていると・・・



「おい、貴様。ここで何をしている?」

「一般生徒はもう下校のはずだぞ。」



静かな廊下で声が響く。

おそらくパトロールに誰かが捕まったのだろう。


私は無意識に声のする方向へ歩いていた。



「一般生徒ではない。これでも生徒会の生徒だ。」

「紋章もつけてねぇ奴がぬけぬけとよくそんな嘘をつけるもんだ。」

「嘘じゃねぇ。五稜郭、という人物に確認してみろ。」

「まぁ、五稜郭さんのアドレスは知りやしませんが、厳島さんになら確認できますよ。」



おそらくこの角を曲がったところだ。

私はちょろっと覗き見をする。



「ッ!」



そしてその光景をみて、私の鼓動は大きくなる。

ドキッ、と驚いたというわけでもないのに何か体に衝撃が走る。



「しっかし、なんというか・・・エイプリルフール、はもう時期ハズレなんですけどね。」

「西本、んなこといってる場合じゃねぇって。ったく、なんで俺らがパトロールの時に限って、こうも面倒なことが起きるんだか。」



そう・・・

そこには中学時代に私が告白した相手・・・

「紀龍」がいた。


彼は今、西本という人物と一緒のようだが。

西本という男、どこかできいたことがある気がするんだが・・・

はて?なんだったっけ?



「まぁ、待ちなさい。今、先輩にメールで確認してますから。」

「どうせ嘘っぱちだろ。この際、上のところに連れて行ったほうが早いだろ。」

「そうもいきません。我々が発見した問題を上に押し付けるわけにもいかないでしょうに。」



紀龍も生徒会をしていたのか・・・

フッとそんなことを思ったりする。


すると早くも西本の携帯がなる。

・・・着信音が「君が代」だ。

結構シュールだ。



「・・・お前、まだその着信音なの?」

「この国が好きなだけです。」

「はいはい、そうですかい。」



その言葉で思い出した。

生徒会隋一の右翼・・・

それが西本、という男だ。


金ヶ崎が前に「ネトウヨ」と呼んでいた。

ネトウヨ・・・すなわちネット右翼。


彼の場合、ネット世界だけではないようだが・・・

ネトウヨというのはネット世界で右翼的立場・・・

つまり、国粋主義や国家主義、保守主義的思想を掲げる人々のことをさす。



この言葉は五稜郭さんのいうような「ゆとり」という言葉や、「オタク」のような、罵倒語であるのだが・・・

しかしながら、西本はこの「ネトウヨ」と呼ばれることに誇りをもっているらしい・・・とか。

彼は彼でそうとうな変わり者だと思える。



「ネトウヨ野郎が。」



からまれていた1人がこのような言葉を言う。

どう考えても西本に喧嘩をうっている。



「ふむ・・・母国が好きなだけ、母国のことを考えて発言しているだけ、それでどうして蔑まれなければならないのか、私には長年の謎なんですけどね。」

「・・・」

「ま、私はその言葉で呼ばれることに誇りを感じているのでいいのですが。」



そんな反論を言いつつも、携帯をあける。



「・・・問題ない、とのことです。」

「はぁ!?おいおい、見す見すこいつを見逃すのかよ!?」

「そういうことになりますね。」

「ふざけるな。紋章もつけてねぇような奴を信用するってのか?」



2人はもめ始める。

・・・というより、西本は基本的に冷静な立場を保っているのだが・・・

紀龍が暴走しはじめる。



「チッ・・・紋章もつけてねぇってことは紛い物だろうが。」

「んだと?」



その言葉に今度はからまれていた方がキレ始める。



「てめーらは俺ら正規の生徒会生徒によく似せられた偽者だっていってんだよ。所詮は非正規生徒会生徒、使い捨てのための駒だろうが。」

「・・・」

「偽者がでしゃばってんじゃねぇよ。」

「紀龍!!いい加減にしてください!!」



西本という人物は右翼的立場でありながら・・・

相手の意見もきき、それを的確に押し崩す討論をするのが上手いときく。

すなわち、彼からしても相手の考えではなく、相手そのものを否定することは許されない行いだったのだろう。


まぁ、この場合はどうみても紀龍が悪いのだが。



「彼も生徒会の生徒です。同士討ちなんてもってのほかでしょう?」

「・・・」

「申し訳ありません。」

「・・・別にいい。」



西本が頭を下げると、からまれていた男性は彼の対応に免じてだろう。

渋々許しの言葉を発した。



「おい、西本。俺は先に上にこのことを報告しておくぞ。」

「わかりました。・・・ではこれにて自分も。失礼しました。」



最後にそういって、頭を下げてから西本も紀龍を追うように去っていく。

そこに残ったのは、おそらく私と同じ立場の生徒1人。



「・・・あの・・・」

「・・・ん?」



相手は1人だ。

私は今度こそ勇気をだして話しかけてみた。



「あの・・・もしかしてクラスの現状を生徒会に報告する係りに人ですか?」

「え?」

「いえ、紋章がない上に情報処理部の生徒だといっていたので・・・私と同じ立場の人かな~、なんて思ったりしまして。」



すごく緊張する。

初めて話しかけた人だ。

しかも相手は男性。


前に男性恐怖症はどうにかなったとはいえども・・・

やはりまだ安定はしていない。



「へぇ、あんたも俺と同じ立場の人なのか。」



それから相手の返事をきいて・・・

とりあえず安心する。

間違っていたらどうしようか、と考えてしまっていた。



「こうして考えてみれば、同じ立場の生徒と話すのも初めてだな。・・・俺は鷹村だ、よろしく。」

「は・はい!中島です、よろしく。」

「中島か、覚えやすくていいな。」



彼は満面の笑みをうかべる。

先ほどもめていたかのようには思えない様子だ。



「ちょっとききたいんだが・・・さっきの話、きいてたか?」

「少し。・・・申し訳ありません、助けてあげられなくて。」

「いや、そういうことをいってるんじゃない。」



それから彼は拳にグッと力を込めて・・・

悔しそうな表情で言う。



「俺は紀龍とかいう男に言われたことに反論できなかった。」



彼に一体何が起こったのだろうか。

中学のときはあんなこという人じゃなかった。

・・・なんだかすごくかわってしまっていた・・・



「俺だって一応生徒会の一員だ。・・・なのに、紋章がないだけであそこまで虐げられるなんて・・・悔しいな。」

「・・・そうですね。」

「西本っていう奴が話のわかる男で助かったよ。」



彼はそういって、また軽く微笑むが・・・

実際のところ、今の紀龍のような考え方をしている生徒のほうがこの生徒会には多いのではないだろうか。

逆に西本や五稜郭のように、生徒会全体を考えている人は少ないのではないだろうか。



生徒会の生徒たちは・・・

「何か問題が起こったとき」のためのIFを想定するよりも・・・

紀龍のような目先の自らの利益やえばれるためのポジション確保といったものにしか目のいっていない生徒が多いように思える。



「私たちは同じ生徒会の生徒・・・ですのにね。」

「あぁ。あぁいう連中はすべて自分たちより下にいる連中が悪い、っていう文句をつける連中だ。」



決め付けるのもどうかと思うが・・・

今の紀龍なら確実にそういうだろう。



「俺たちも彼らと対等になる必要があると率直に感じた。」



それはすなわち・・・

私たちも菊の紋章をもつ、ということか。


しかしそれでは私たちの仕事は意味のないものになってしまう。



「菊の紋章をもつことは意味のないことですよ?」

「わかってる。だから俺たちは俺たちの新しい“部”を作り上げるんだ。」



新たな部をつくる・・・

そんなことを生徒会の幹部たちが許可してくれるだろうか。

百歩譲って、五稜郭さんは許可してくれたとしても他の生徒はどうだかわからない。


しかしながら、私たちが紀龍のいう「紛い物」から本物になるためには・・・

新たな部をつくって、彼らと対等になるのが一番だろう。


そうなれば私たちは生徒会内部から見下されることもなく・・・

しっかり生徒会の一員として仕事をすることができる。



「・・・そんなことが可能でしょうか・・・?」

「わからない。・・・だからこそ、今さっきの会話をきいていた中島に協力して欲しいんだ。」

「・・・」


私はついつい迷ってしまう。



「わからないのか?このままではいつまでたっても俺らは生徒会の一員であるのにもかかわらず、同じ生徒会の生徒から後ろ指を指され続けることになるんだぞ。そんなのお断りだ。」

「・・・」

「中島だっていつか直で虐げられるときがくる・・・中島だけじゃなく、他の皆もだ。俺はもうさっきみたいな悔しい思いはしたくはないし、見たくもない。」

「・・・わかりました。」



結局私は彼の押しに負けて・・・

首を縦にふった。


実際新たな部を作ることに反対ではない。



「・・・でも実際のところ、私たちだけで新しい部を作るのなんて不可能でしょう?」

「・・・五稜郭さんだ。五稜郭さんなら味方についてくれるはず。」



はたしてどうだろうか。

たしかに彼女は私たちには優しいが・・・

彼女は生徒会全体に影響するような大きな問題を起こす者には容赦はしない、といっていた。



「とりあえず・・・五稜郭さんに相談してみるべきだな。」



そう鷹村は言うと、とりあえずいつもの場所へと向かう。





いつもの場所へいつも通りにドアをあけて入ってみると・・・

そこはいつもとは少し違う雰囲気だった。



「西本さんが現在は生徒会の拡大を進言していますが、上層部こちらとしてはそれはあまり望まないものなんですわ。」



どうやらかなり真面目な話のようだ。

砕川先輩が五稜郭さんに相談していると思われる。



「あ、どうも。あれ、2人とも知り合いだったんですか?」

「いえ。ついさっき知り合いまして。」

「いいですね~、同じ境遇のなかに芽生える愛!!爽やかなものです。」



どこの恋愛ドラマ?


そんな疑問が浮かぶ言葉を言うあたり・・・

ハルさんはこの真面目な空気のなかでもいつも通りのようだ。

ただいつもよりは声のボリュームを落としている。

奥では砕川と五稜郭が真面目な話をしているからだ。



「すみませんね、ちょっと取り込み中でして。」

「はい。少しここまで待っています。」

「ありがとうございます。」



ハルさんはそういって、頭をペコリと下げるとさっきいた、五稜郭の近くへと戻っていく。



話の内容から察するに、コレは生徒会の今後の行く末に関しての問題のようだ。


今、生徒会は2つにわれていた。

前にちょこっとだけ話にきいたことがある。

西本を中心に、飛沫・神威・陽炎・紀龍と、後のジャスティスの中心メンバーを核に構成させた拡大派。


それに対立するのが、厳島・凛動・砕川を中心とした警備部上層部で構成された縮小派。


何よりも大きな問題は、両者ともに警備部のメンツであるということ。

西本を中心とするメンバーも警備部の構成員だった。


警備部は生徒会のなかで非常に大きな役割をはたす。

その上で、そこが内部対立してしまうといざ問題が起こったときに対処しにくくなってしまう。



「厳島や凛動が縮小を提案するのはわかるが・・・お前が縮小派そっちにつく理由なんてないだろ?」

「いえいえ、私としてもこれ以上生徒会が大きな力をもてば、いつか暴走させます。そうなってからでは遅いのは誰でもわかることでございましょう?」



現在はまだ拡大派は1年生の集団だが・・・

あと2年すれば彼らが中心の年がくる。

そうなったとき、力をもっている者が必ず勝つとなるとき、生徒会が暴走する可能性だって少なくはない。


しかし少なくても、拡大派の中心にいるのが西本であるのであれば・・・

意味もなく行動をしたりはしないはず。

彼は彼で、力ではなく言葉で問題を解決するべきだ、と心得ている生徒のはずだ。



「彼らの話では「何かあったとき」のための保障として、より迅速に問題を解決させるべく拡大するべき、とかいっていますが・・・どうなんだか。」

「・・・彼らのことが嫌いか?」



砕川は先ほどから、どうにも拡大派のことを信用していないように思えた。

むしろ毛嫌いしているかのようにまで思える。


その核心をついた五稜郭の言葉に砕川は肩を落とす。



「えぇ、嫌いですわ。」



彼女の答えは即答だった。



「連中は野蛮な人たちばかりですわ。」

「そんなことはねぇだろ。ま、連中としてもお前らのことはあんまり良い目では見てねぇだろうけど・・・。」



五稜郭は肩を落として、内部対立が大きくなっていくのを嘆くかのように・・・

深いため息をついた。



「逆にお聞きしますが、五稜郭さんだって“上の命令は絶対”という考えをもっているはずですの。しかし拡大派はそれを侵していますわ。」

「たしかにな。」

「ですので、五稜郭さんたち情報処理部も協力をしてはくれませんか?」



その質問に五稜郭は少し考えたが・・・

ハルと目をあわせ、お互いに頷くと口を開く。



「断る。」

「・・・なぜですの?」

「オレはあくまで生徒会全体の問題では各部が介入するべきだと思っているが、今の問題は警備部内の問題だ。オレらもそうだし、他の各部も横槍を入れるのもどうかと思う。」



砕川はその答えに不満そうな顔をする。



「しかしいづれは生徒会全体の問題、となりますよ?」

「その時はオレらも腰をあげる必要がある。・・・だが今はまだその時じゃない。」

「ですが・・・!」



砕川の追求に五稜郭は呆れ顔をする。



「じゃぁきくが、厳島はオレらの介入を望んでるのか?」

「・・・」



今まで強気だった砕川の言葉が開かない。

おそらくは彼女自身が独断で動いていたのであろう。



「あいつはまわりに迷惑をかけず、自らの問題は自分で解決する、というような奴だったと思うが?」

「たしかに厳島さんの了承は得てません。ですが・・・」

「ならそれはもう“警備部”の頼みじゃなく、お前一人の頼みだ。オレはお前1人のために生徒会全体をめちゃくちゃにする予定はない。」



五稜郭の言葉は厳しい。

しかしこれが問題解決の一番の近道でもある。



「しかし・・・」

「あなたは単に自分の嫌いな連中を蹴落としたいだけでしょう?そういった人のために生徒会全体を混乱させるわけにはいかない、と五稜郭さんはいっているんです。」



ハル先輩も珍しく真面目な表情で彼女に言い放つ。

それから彼は後ろのドアをあける。



「お引取りを。」

「・・・わかりましたわ。・・・今度はちゃんと厳島さんの了承を得てきます。」



そういって砕川は部屋をでていった。



「・・・ちっと最後の言葉は厳しすぎやしなかったか、ハル?」

「まぁ・・・。ただ彼女にそういった想いがあるのも事実でしょう?」



彼女は彼女で、生徒会全体の行く末を心配して・・・

そしてちゃんと考えて、自らの意見をここに言いにきたのかもしれない。

しかしだからといって、彼女が「相手を蹴落としたい」という想いがないとも限らない。


現に相手は言い返せなかったのだ。

そういった思いもあるのだろう。


しかしその思いはおそらくは「ついで」。

したがって、その思いだけで動いているわけでもないのに・・・

そう断言してしまったところあたり、少し言いすぎてしまったか。

とハルも反省をする。



「砕川さんは昔っから力ばかりに頼ろうとする人は嫌いですからね~。」

「・・・だからてめーはどこから湧いてきた?」



声のした方向をみてみれば、そこには金ヶ崎さんがいた。

てか、これ前にあった気がする。

デジャブ?



「天上から。」

「そのまま床に頭を打って意識が飛べばよかったのに・・・」

「そういわずに。ちょうど通りかかったので討論をみてましたが・・・このままでは警備部そのものが潰れてしまうかもしれませんよ~?」

「ふむ・・・」



彼女は少し考え込む。

それから持っていた書類を机において、ノビをする。



「ま、オレだったらまず拡大派を別の部として切り離すな。」

「・・・名前はどうするんです~?もう警備部なんてありますからね。警備部MarkⅡ、とでもします?」

「んなの、厨二やまざきにでも考えさせとけ。それなりの名前になるんじゃねぇの?」



ハルはその言葉についフッと笑ってしまう。

なんやかんやいっても、結局五稜郭は山崎のことを信頼しているのだ。



「んでもって、お前のいう「警備部MarkⅡ」とやらに“他部の観察”とかなんとかいって砕川を送りこむ。」

「・・・なるほど。それによって彼らのいいところを見せさせるわけですか。」

「あぁ。人は相手の嫌いなところを見つけるのは簡単だが、良いところを見つけるのは難しいらしい。・・・だからこそ機会を与えるべきだとオレは思うな。」

「それにもし上手くいけば、砕川を渡り橋として、元祖警備部と警備部MarkⅡとの交渉役ともなりますしね。」



ハルの言葉に金ヶ崎は頷く。

それから少し惜しそう顔をして、五稜郭に問う。



「なかなか良い案ですが、それを会長や皆に提案しないんですか~?」

「しねぇな。さっきもいった通り、こいつは警備部内での問題だ。オレらのような関係のない連中が横からチャチャ入れるのは両者からみても、あんまり気持ちのいいもんじゃないだろ。」

「・・・もったいないですね~・・・富士山の山頂を目指していたのに、残り5分の1ぐらいになって体力の限界を感じ、諦めてしまうぐらいもったいない。」



・・・なぜ後から変なたとえをいれたのだろうか・・・?

余計わかりにくくなったのはたしかなのかもしれない。



「これは“オレだったら”っていう妄想シュミレーションだ。」

「妄想は時に大きな力を生み出しますよ?大きな力は歴史をかえる!・・・うん、格好良いこといった!」

「てめーは山崎か。なんかあいつを見ているようでイラッとさせられるんだが。」



そんなことをいうと、かなり和んだ空気のなか・・・

金ヶ崎は立ち上がる。



「アッハッハ、怖い怖い。野良犬は番犬に噛み付かれる前に退散しますよ?そろそろ帰らないとご主人様に蹴りを入れられる可能性もありますしね~。」

「行った行った。ここにいてもどうせ怖~い番犬しかいねぇからな。」



五稜郭は柔らかい微笑みのなかで、シッシッと振り払うような動作をしつつ、そんな皮肉を混ぜる。


金ヶ崎がいなくなった後、ハルは少し気まずそうな顔で五稜郭に問う。



「よかったんですか?あんなこといっちゃって?」

「何が?」

「提案ですよ。・・・アレ、きっと金ヶ崎さん、上にそのまま丸っと提案しますよ?」

「どうだろうな。」



そういうと、彼女はそこら辺の椅子を一直線に並べた後、そこに横になる。



「疲れたからオレは少し寝る。ハルもそこの2人も休憩していいからな。」



そう言い残すと、彼女は眠り始める。

・・・そこにはいつもの厳しい態度をとる女性の姿ではなく・・・

非常に優しい表情をした彼女の姿があった。



「まったく・・・今日はまだ中島さんがいるからいいけど、基本2人のときにもこれをやるところあたり、もう少し気遣って欲しいものです。」



彼は苦笑して、こちらをみる。

おそらく同意してほしいのだろう。

彼は男性だし・・・

そういった面をもう少し考慮すべきだ、と彼は言いたいらしい。



「それにこれをやられると下手にここから移動できなくなるんで結局休憩できないっていう・・・」


ま、寝ている女性を1人、部屋においていくわけにもいかないという考えだろう。

そういった意味ではハルは紳士的な面もあったりする。


それから彼は意地の悪い笑みをうかべて言う。



「・・・砕川さんや金ヶ崎さんと真面目な話をしたり、怒ったりすると疲れるくせに、山崎さん相手だと疲れないんですよ?不思議なものですよね。」


彼は最後にそういって、手に持った書類を机にのせて、そのまま廊下へと歩き出す。



「少ししたらまたきますんで、うちの最高責任者をよろしくお願いします。」



どうやら本日は私がここに残るようだ。

鷹村と2人、休憩時間をダラダラとこの部屋で過ごすこととなる。



「ったく、せっかく協力をお願いしようとしにきたのに寝ちまいやんの・・・」



鷹村は愚痴をいっている。

ま、ぶっちゃけ現在は超暇だ。

暇すぎて、何も言うことがない。



それから少ししてから「トントン」とノックの音がしてから・・・

ドアが開いた。



「・・・お?珍しく怒りんぼはいねぇのか?」



やってきたのは「厨二病」で有名な山崎さんだった。

・・・多分怒りんぼというのは五稜郭さんのことをさしていると思われる。



「五稜郭さんならそこで寝てますよ。」

「え?・・・珍しくオフモードかよ。やる気ねぇな、おい。」



山崎さんも本人が寝ていることをいいことに言いまくっている。

これを全部本人がきいていたら、大変なことになったんだろうな。



「・・・っていってましたって後で五稜郭さんに報告っと。」

「ちょっ、それは困る!!」

「シ~。」



鷹村が人差し指を口元の前でたてて、静かにするように山崎さんに促す。



「すまん。」

「そうだ、山崎さんなら協力してくれるんじゃないでしょうか?」

「あぁ、たしかにそうだな。」



山崎さんは基本的に誰にでも協力的だし・・・

もしかしたら生徒会の幹部たちのなかでも、一番協力してくれる可能性があると思われる。



それから鷹村と中島は今までのことをこと細かく山崎に話した。

もちろん新たな部をつくる、というところも。



「・・・なるほど。」



一段落つくと、彼は手を顎にあてて少し考えてから・・・

口を開く。



「そうだな・・・まずは俺1人が賛成したとしても上には会長や賤ヶ岳さんがいる。」

「・・・」

「それに今、警備部の上層部は生徒会の縮小を提案している。だから拡大するような方向のこの内容には頷くかはわからんな。」



警備部上層部・・・

つまり厳島さんや凛動さん、砕川さんと敵対する可能性がある・・・

ということか。




「なら逆に拡大派なら賛成してくれるのでは?」

「そうもいかない。そもそもお前らの存在を知っているのは生徒会の中でも一部の幹部のみ。下や幹部全員に教えないのは情報漏洩を防ぐためだ。」

「・・・」

「すなわち下に教えるわけにはいかない。・・・拡大派の中心は警備部の下の連中なんだ。」



ま、たしかにその判断は妥当だろう。

下手に情報が漏れれば、私たちの仕事そのものの意味がなくなってしまう。



「でもま、逆にいえば警備部上層部に知られる前に会長たちを交渉しきってしまえば対立しなくてすむ、ということでもあるでしょう?」

「否定はしないが・・・厳しいだろうな。味方を多くつける必要があるからな。」



話は行き詰る。

重たい空気が場を流れる。



「それにそもそもの話、お前らは情報処理部のなかで動く秘密組織だ。」



秘密組織。

・・・なんだか中二それっぽいものが登場してきましたよ・・・



「この問題に関しては俺じゃなく、この組織を作った賤ヶ岳さんの許可を得ることが第一だろう。」

「・・・警備部の1年責任者に“仁井”という奴がいるはずだ。」

「・・・あぁ、たしかにいるが・・・」

「そいつはどうだ?」


鷹村から出た新たな人物名に山崎は少し驚いているようだった。



「たしかに1年責任者という意味ではそれなりに大きな責任感があるはず。信用はできるが・・・だが、1つの部の1年責任者、というのはあまり会議上では大きな役割は持たない。」

「意味はなさずとも、味方してくれるだけでありがたい。」



おそらく鷹村と仁井は元同じ中学なのだろう。

彼はやけに仁井を信頼しているようだった。



「それに話だと、仁井は賤ヶ岳さんに気に入られてるとか。」

「つまり金ヶ崎先輩と仁井さんの協力が得られれば、賤ヶ岳先輩の交渉も上手くいって、最終的に部を作ることができる、ということですか?」

「そういうことになるな。」



賤ヶ岳さんは金ヶ崎を気に入っている、ときいたことがある。

ここによくくる金ヶ崎さんなら交渉可能だろう。


問題は仁井さんだ。



「仁井は俺が協力を求めよう。誰もいないところでなら情報が漏れる必要もないだろ?」

「そうですね。」



なんだかだんだんそれっぽくなってきた・・・



「まぁ・・・そう硬くなるな。最初から飛ばしても途中でへばるだろ?」



そこに山崎さんが言う。



「とりあえず今から購買部でアイス買ってくるけど、お前らも食べる?」

「はい!」



山崎さんは一段落つくと、一旦部屋をでていった。

それから2分ぐらいした後だった。



「・・・ん?アレ・・・私、寝てた・・・?」

「・・・?」



私?

え・・・?



「ってこんな時間じゃねぇか!」



五稜郭さんが休憩時間は10分程度だというのに・・・

余裕で超えた時間にようやく起きた。



「え~っと・・・何してたんだっけ・・・?・・・あ~・・・そうだ!!ハル、氏ね!!!」



おそらくいきなり立ち上がったから、頭に響いているのだろう。

頭を押さえつつも、ふらりふらりとしながら少し考えて・・・

ようやく思い出したと思えば、おそらくは何やらいつのことだかよくわからないことを思い出したらしい。



「ッ!!」


それから五稜郭さんはようやくこちらに気づき、いつもの平常心を取り戻してきたらしい。



「え~・・・と、どこからみてた?」

「・・・最初からガッツシ。」

「・・・見なかったことにしろ。」



いや、これはあまり見なかったことにできないようなものだと思うのだが・・・


そもそも最初からいろいろと衝撃的だった・・・

いつもは一人称で「オレ」の人が、まさか寝起きは「私」なるとは。

地はやっぱり私なのだろうか・・・?


しかもいつも基本的には完璧なはずの人が、こうもいろいろとハッちゃけているというのは・・・

すごく新鮮だ。



「見なかったことにします。・・・だから協力してください!」

「・・・は?」



え?

鷹村くん、それはサイテーだと思うんですが!!



「協力しないと・・・うん、山崎さんにペラペラと・・・」

「よし、オレ、死のう。死ねばいいんだ。」



いやいや、落ち着きましょうよ!!



「ま、大丈夫ですよ、多分。山崎さんなんて寝起きのときに多分、いろいろと中二発言してると思いますから。たとえばいきなり「第3小隊がやられた!」とか。」



いや、それはあまりにひどすぎるだろ・・・

鷹村くんって意外に容赦のない性格をしているんだな、と思い知らされる。



「ま・・・それに比べたらまだマシか。・・・いや、だがな・・・」

「大丈夫ですよ、多分。たとえばいきなり「俺の身体は・・・つるぎでできてる」とか「深淵の紅い月が俺を呼んでいる」とか言い出す人ですから。」



いや、言ってね~よ。

台詞もさっきより容赦なくなってるし・・・



「いや・・・だが・・・」

「いきなり「エンシェント・ブレイバー」とか「ゴールデン・ムーブメント」とか言い出す人ですよ?」



いや、言わないから。

・・・もはや何が言いたいだかさっぱりすぎる。


この言いよう、本人がいたらあまりにひどすぎて泣くだろうなぁ・・・

と思わされる。



「普段から「新世界の神になる!」とかいってる人ですよ?」



そんなこと、普段からいってないよ、あの人。

さすがにそこまでじゃないよ・・・



「あ~、たしかにそれよりはマシかもな。」

「そうですよ、だから安心して!世の中にはこういう人が一杯いますし!!」



いや、いないから。

そんな人いないから。


というか、寝起きだと五稜郭さんって急にネガティブになるのか・・・

やっぱりかわった人だ。



「それで?協力っていうのは?」

「あ、そうだったそうだった。」



それから今度は五稜郭さんに説明を始める。

ちょうど説明が終わったときだった。


見事なタイミングで、山崎さんが帰って来た。

帰って来たときも、ちゃんとノックをしてからドアをあけるところあたりはしっかりしている。



「うぃ~っす。アイス買ってきたぞ。」



灼熱アイス・・・

どうみてもガリガリ君のパクリのようなアイスだった。


おっと・・・

パクリではない・・・

オマージュですね、わかります。



「おら。」

「ありがとうございます。」



それから鷹村と中島にアイスを渡していく。



「ザキ。オレの分はねぇのか?」

「お前は寝てただろうが。・・・やろうか?」

「いらねぇよ。なければないでいい。」



すると、再びドアが開く。

ようやくハル先輩も帰って来た。



「あれ?山崎さんじゃないですか?アイスで五稜郭さんを釣ろうとしてました?うちの最高責任者はそう簡単には釣れませんよ?」

「お前はこの光景をみてどうしてそういう判断ができるんだ・・・?」



山崎はため息をつきつつ、ハルに言う。



「アイス、僕の分はないんですか?」

「お前はいなかっただろうが。・・・やろうか?」

「別にいいです。山崎さんのをもらうのはさすがに悪いですよ。」



結局2人とも同じ対応だった。

山崎さんも苦笑いをする。


とりあえずハル先輩がきたことで、なんだかより和やかな雰囲気になった。



「しかしこれ・・・名前、おかしくないですか?」

「え?フツーに灼熱アイスは神。新世界の神!!」



あっ・・・

フツーに「新世界の神」いってた・・・



「名前的にも、味的にも。」



名前的にもっていうのが肝かな。

・・・もはや手のつけられない人に見えてきた。



「それでさっきの話に戻そうか。」

「えっと・・・新しい部の作成ですね。」



一息ついたところで、再び真面目は話となるようだ。



「ま、聞いた話だと、仁井に金ヶ崎・・・そして賤ヶ岳さん、それだけのメンツの協力があれば成立するんじゃないか?」



五稜郭さんは軽く微笑みつつもいうが・・・

はたしてそんな簡単にいくのだろうか。



「え?五稜郭さんは協力してくれないんですか?」

「オレか?オレも協力はしてやりたいが、オレのみの独断で動くわけにはいかない。」

「・・・」



彼女には「情報処理部」の最高責任者という責任がある。

そしてこれは彼女の指揮する情報処理部の問題。

彼女自身が動けば、他の部と対立することもありえる。

そうなれば、生徒会そのものをバラバラにすることになる。



「ザキ、お前はどうするんだ?」

「俺は彼らに協力するつもりだ。・・・周りに迷惑をかけないようにな。」

「そうか・・・」


それから山崎は考え込む五稜郭を見つめる。


「・・・五稜郭、俺からも頼む。協力してやってくれ。」

「・・・」



五稜郭よりも実質的には山崎のほうが地位は高い。

だから「命令」なら五稜郭を動かすことも可能だが・・・

山崎は人に「命令」することを嫌っている。

故に頼んでいるが、それはあまり通じていない。



「オレは自らで決めたモノを破るほどゆとりではない。」

「・・・逃げるのか?」



山崎の言葉で五稜郭が固まる。

・・・さすがに今のは効いたようだ。



「お前はいつもそうだ。何かあればいつもリスクを恐れて動かない。」

「オレが動けば各部と対立する。その時に反生徒会が動き出したらどうなる?この生徒会そのもの、約50名がオレのせいで潰れることになる。」

「リスクを考えるな、とはいわない。だがお前は必要以上にリスクを恐れすぎだ。」

「失う物がオレ自身のものばかりなら動いてもいい。だが・・・ここまでくればそうはいかない。」

「後輩が苦しんでいるのを見てみぬ不利をするほどお前は昔から腑抜けだったか?・・・厳島を少しは見習ったらどうだ?」

「厳島ほどオレは強くない。・・・オレは所詮、最後まで粘りに粘っても負けちまう、負け組なんだよ。新たな世代の超えていくために踏む階段にしかならない。」



五稜郭。

・・・旧政府軍が最後に粘りに粘って敗戦した場所・・・

超えられない壁。


それが彼女の前に聳え立つ。



「お前は他の幹部たちと違うと思ってた。けど結局お前も同じか。・・・自らの立ち位置を確保することしか考えてねぇ。」

「・・・」

「失望した。・・・いや、俺のお前への期待の見積もりすぎ・・・か。」

「・・・その辺にしましょうよ?」



五稜郭には動けない理由がある。

しかし、それでも山崎は五稜郭への信用は大きかったようだ。


・・・ハルがとめても、一向に五稜郭を責める言葉はとどまらない。



「だからお前は・・・」

「ザキ、やめろっつってんだよ。」

「ッ!」



ハルの本気でようやく山崎も我に返った。



「・・・すまん。」

「別にかまわん。」



山崎はようやく自らがどれだけひどいことを彼女に言ってきたかを理解し・・・

謝り、そしてうろたえるが・・・

五稜郭は一向に態度をかえない。



「・・・五稜郭さん、僕がいきます。」

「いいのか?」

「えぇ。」

「・・・いつも面倒なことばかり悪いな。」

「いえいえ。」



五稜郭が動けないかわりに・・・

ハルさんが参加する、という形になったようだ。



「・・・せめてもの協力は金ヶ崎との交渉、ぐらいしかできねぇ、すまないな。後はハル、ザキ、任せたぞ。」

「えぇ。」

「・・・ホントにすまない。」


正直な話、金ヶ崎の交渉すら無理をしている話だった。

金ヶ崎だって、あれでも副最高責任者なのだ。



そのことも承知でハルは頷き、山崎が再び頭を下げる。



「ったく、オレは気にしてねぇから大丈夫だって。男がいつまでもグズグズいってんじゃねぇよ、これだからゆとりは・・・」



彼女はそういって、軽く彼に微笑んだ。

やはり最後の言葉は彼女が言うのが一番しっくり来る、と思わせられる。





そして3日後・・・

五稜郭の金ヶ崎交渉、鷹村の仁井交渉・・・

そして金ヶ崎、仁井を含んだハル、山崎、中島と鷹村くんで賤ヶ岳さんを交渉し・・・

最終的に賤ヶ岳と山崎、ハルで会長の許可も得て・・・


ようやく「諜報部」という部は完成した。



正直にいえば、私のすることなどほとんどなかった・・・

1日目、いきなりいけば金ヶ崎さんが五稜郭さんの頼みで協力してくれる、といきなりいってきて・・・

その後、すぐに鷹村くんが仁井くんの協力を得ることができ・・・


主に仁井くんと金ヶ崎さんの働きで賤ヶ岳さんを交渉でき・・・

最終的には、賤ヶ岳さんと山崎さん、ハルさんの上層部組が3人で会長を交渉してくれたようだった。


・・・私の協力の必要などあったのだろうか・・・?




ただメンツがまだ全員1年ということで・・・

情報処理部のなかで育成を行っていく、という条件付きだが。


しかしそれに関してはゆっくり時間をかけつつも、上と交渉してやる、と五稜郭さんはいってくれた。



こうした多くの努力のなか・・・

「諜報部」は形を作り上げることができたのだった。



                            「作成」  完

生徒会人物紹介 +a &おまけ


生徒会人物紹介 +a


まず一言。

・・・本編がホンットに進みが遅いので・・・

今回は今回に追加された各人物の特徴をまとめていこうと思います。



「作成」で追加された特徴


西本→ネット右翼。ただし本人はそれに誇りを感じている模様。また話のわかる男でもあり、交渉などが得意と思われる。冗談は基本的に通じるようだが、時々地雷があるらしい。生徒会拡大派の中心核。


鷹村→実は容赦がないタイプ?いうときは言うタイプ。一度覚悟を決めると基本的に自らの意見を曲げないタイプでもある。


仁井→鷹村と元同じ中学。伝達部作成に協力する。基本的には誰にでも協力的。賤ヶ岳に気に入られているらしい。


五稜郭→もしかして・・・素の一人称は「私」なんですかッ!?


山崎→新世界の神になるらしい・・・orz



こんなところでしょうか。

・・・とにかく本編の進みが悪いのでできるだけ頑張ろうと思います。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

あとはおまけ、となります。

今回の本編で右翼的立場の人物という新しいキャラクター性を追加してみたので、それをさっそく使ってみたり・・・

そのため今回のおまけはかなり右翼的な発言がありますので、そういったものをみて不快に感じる方や苦手な方はパスすることをお勧めします。



おまけ  

ウヨラジ1~とあるテレビ局の批判騒動~


参加者→学年主任、西本、紀龍、仁井、飛沫、神威、山崎



紀「ふっふっふ、読者の皆さん。なぜおまけに主人公たちがいないかって?それは俺らが下克上でおまけの場を乗っ取ったからだ!!」


西「というか、単に私たちも絆同盟のおまけに対して、こういったものをたててみただけなんですけどね。」


紀「俺たちは本編では出番も少ない上に完全な悪役・やられ役だからな。俺らも絆同盟に対抗して、おまけの場を設けることで読者たちからの好感度アップを狙う、という作戦にでたわけだ!」


飛「ま、ちっと予算がねぇから無断で学校のパソコンを売って経営資金にしている、といった感じなんだがな。」


山「可哀想にな。俺はともかくこいつらにおまけを乗っ取られたらめちゃくちゃにされるってのはわかってるだろうに。」


紀「先輩・・・あなた、自分の病気を自覚してないんですか・・・?」


飛「可哀想?最高に楽しそうじゃないか。この際、俺達やられ役だから暴れようぜ。」


神「おいおい・・・それじゃぁおまけにいたっても俺らは悪役じゃねぇか。」


飛「もういいよ、この際悪役で。てかおまけでかわいこぶっても結局悪役は悪役なんだよ。」


神「うわ~・・・卯月たちの計らいも知らないで・・・」


仁(あいつら、俺たち本編じゃただでさえ出番が少ないから、せめておまけでもって俺たちがおまけの場を占拠するのを知っててわざと見逃してくれてたのに・・・)


山「ちなみに本日はジャスティス陣だけではなく、説得力に定評のある学年主任殿にも参加してもらっています。」


学「まぁ・・・ここを占拠する作戦を全体的に考えたのは西本だ。今回は西本を中心に進めていこう。」


神「ものすごくマジな話になる気がするんだけど・・・頭痛くなりそうだ、保健室いってきていい?」


飛「てめぇはどんだけ保健室好きなの?本編でも保健室だったじゃねぇか。」


神「うっ・・・わ・わかった、今日ぐらいは耐えるぜ。」


学「じゃぁ、西本。進めていってくれ。」


西「はい。・・・皆をここに集めたのは他でもありません。」


山「?」


飛「もうアレだろ、題名からでも読者はわかってるだろ。」


西「そうですね。今回は絆同盟の皆さんからせっかくこのような場を預からせてもらったので、今時のニュースについて皆の意見をきいていきたいと思っています。」


神「よし、帰る。俺帰る。」


飛「ま、そういうなよ。面白そうじゃねぇの。」


神「どうみてもつまらないだろ・・・これ。」


飛「面白い奴には面白いんだよ。」


神「面白い・・・か。少なくても俺には頭痛の原因にしか聞こえないんだが。」


仁「・・・それで?今時のニュースってのは?」


飛「だから題名・・・」


西「それは・・・ま、かの国のブームをごり押しで推し進めるアノテレビ局の騒動でしょう。」


紀「あ、そうそう。社名や人物名などは出さないルールだから。」


飛「ダルッ!なにそのルール!?ルールなんてな、破るためにあるんだよ。」


神「う~ん・・・それがないともはや何の話をしているのか俺にはわからないんだけど。」


飛「さっ、進めていこうぜ。」


神「って、無視かよッ!!」



西「まずはこの事件の経緯からおさらいしていきましょう。」


神「敬意?・・・誰かを尊敬すればいいのか?そりゃ決まりだな、飛沫だろ。南無阿弥陀仏。」


飛「いや、死んでねぇし。」


紀「西本~!ここに論外がいるんだけど。」


西「ほっときましょう。話が進みません。」


学「俺が鴨居のサポートをするから、進めてくれ。」


西「ありがとうございます。ではさっそく。・・・ある芸能人Tがかの国ブームをあの局がごり押ししすぎ、というツイートから事件は始まりました。」


神「ティー?・・・あ~、Teaね。放課後ティータイムね。」


学「放課後ティータイム?なんだそれは?」


仁「ちょっ!主任!!そっちに主任は足を踏み入れてはダメです!!壮大なキャラ崩壊が発生します!」


飛「芸能人だっていってんだろうが・・・」


神「あ!そうか、天王山会長か!!」


紀「え?会長って役職かえたの?じゃぁ、もう会長じゃないじゃん。てか芸能人になったの?テレビとか出てるけい?」


飛「・・・お前らさ・・・もうそれ、わざとだろ?わざとだといってくれ。」



西「それにともなって、芸能人Tは事務所を解雇されてしまいました。もちろんあの局からの圧力です。」


神「え~、放課後ティータイム解散かよ・・・けいおん厨の俺はどうすればいいんだよ・・・あ!もしかして映画もなくなっちゃうの!?おい、冗談じゃねぇよ、マジ氏ねよ。」

紀「天王山さん、解雇されちゃったのか・・・また会長に戻るのかな?」


山「え?けいおん終わるの!?それは俺も困るわ~。・・・久々に“総統閣下”でキレさせるかな。」


飛「もうてめぇら黙れ。」


学「ただ彼は彼としての1つの意見をいった。それに伴って多くの賛同者がでた。・・・それだけなのにもかかわらず解雇とは・・・。この国の表現の自由というのがいかに形だけかを物語っているな。」



西「しかしその芸能人Tのツイートで、先日お台場で大規模なデモが起こりました。」


学「ふむ・・・政治ではなく、マスコミへのデモか。これは珍しいタイプのデモだな。」


西「えぇ。」


学「日本はそもそもマスコミがデモをすることなど幼稚、というイメージを作り上げていることもあり、デモが少ない。にもかかわらず起こった、というのは相当なものなのだろうな。」


西「本来外国ではデモは普遍的な行為なんですけどね。」


仁「なにこの2人の会話・・・この2人だけでもう成り立つんじゃねぇの?」


神「なんだこいつらの戦闘力は・・・2万・・・3万・・・まだ上がるぞ・・・!!」


山「そうか・・・これが“双璧”といわれる男たち。己が道をただただ突き進む真のサムライ!!」


飛「・・・誰か・・・こいつらをとめてくれ・・・」



西「当初デモは左寄り・かの国寄りの工作員によって中止というデマが流されました。それに伴い、主催者も逃亡。・・・にもかかわらず、最終的に約2000名が参加し、主催者なしにデモを完遂させた。これはこちら側の大勝利ですね。」


飛「・・・一枠に大勝利ともいえんだろ。こういうのは“継続は力なり”、続けることが重要だ。次に続けなければ意味がない。」


山「その通り!いかに強固な要塞でも攻め続ければ疲労もたまり、戦力も落ちていく。継続して戦線を保つことこそ、一番の優先事項なのだ。」


紀「中二発言ご馳走さまです。」


山「今のは結構真面目な発言なんだけどな。」


紀「え?山崎さんに真面目な発言なんてあるんですか!?」


山「・・・殴っていい?」


飛「よし、問題発言屋を潰せ!神威、お前も煽りまくれ!!」


神「飛沫ちゃんが言うならば!!おい、中二!問題発言屋をひねり潰しちまえ!!お前の力を今こそ呼び覚ますんだ!!」


飛「・・・うわっ、なんか痛い・・・」


神「中二を釣るには中二ネタで押すんだ!これぞ諸刃の剣!!」


飛「いや、意味ちげぇ~し。」


山「“おい、中二!”じゃねぇんだよ、脳みそピーマン。」


飛|(え!?そっち!?!?)


紀「やれやれ!!ピーマンと厨二を消せ!!」


仁「・・・どうしてこうなった・・・」


飛「・・・面倒くせぇ、こいつら・・・もう知らね。」



西「しかし勝敗でわけるのであれば、勝利したのは確実な話でしょう。」


紀「工作員涙目w」


西「工作員といっても多くの種類がいますが・・・在日工作員は後がないでしょうね。」


学「・・・在日の人々すべてが悪い人ではない。」


西「その通りです。ですが工作員がいるのもまた事実。・・・在日工作員たちは彼らの母国であるかの国本国からも煙たがられています。」


紀「・・・もう連中に後ろ盾はない・・・か。」


西「えぇ。それに今回のデモの成功で、工作員がどこのグループの者か、などがほとんどバレてしまいました。」


学「というと?」


西「テレビ局批判のデモ中止を促した工作員は在日工作員やテレビ局工作員だけではないんですよ。・・・裏には大企業の影があります。」


学「大企業・・・ねぇ?」


西「えぇ。・・・というより、ぶっちゃけてしまえばこの国の「政治」「企業」「メディア」、いたるものがあの国寄りですからね。」


学「もちろん違うところもある。」


西「もちろん。」


山「これはもしかして「メディア」「企業」連合vsネット&一般市民の戦争ではないのか!?」


西「それは大げさですが・・・若干それに近いものはあるかもしれませんね・・・」


飛「ま、実際昔はかの国の洗脳や乗っ取りなんていうのは、ネット民の妄想かと思ってたけど、近年笑い事じゃならない形になってきてるからな。」


山「はぁ・・・ここまでくると、なんだかどこかの物語みたいだな。裏で大企業が糸ひいてる、なんてありがちな設定だろう?」


神「たしかにな。」


西「例としてあげてみれば、ついこの間も、今テレビ局が大バッシングを受けている、というのにビールで有名なS社が日本海を“T海”という、かの国が主張している呼び方で呼んでましたしね。」


仁「ミスっただけじゃね?」


西「この会社はすでに5回こういったミスを起こしている上に、これはT島を日本人がD島、と呼ぶぐらい問題ですよ?」


仁「・・・やっちまったな。」


紀「もうこの際そういった会社なんて全部潰しちゃえばいいんじゃね?」


西「そうも行きません。今、これ以上多くの会社を潰せば日本の経済力は底の底まで落ちきります。」


仁「どっちにしろつらい・・・か。」


西「いずれにせよ、企業はネットの認識を改めないと、本当に会社がつぶれますね。情報が一度に数万人以上の人間に拡散しますし、どんな細かい事でも公開されてるから、隠し事は通用しませんからね。」


紀「今回のデモでも実証されたが、もはやテレビや大手メディアで報道されなければ済んだ時代は終わったんだな。」


西「そういうことになりますね。」


神「あ~・・・頭痛い・・・死ぬ・・・」


紀「西本~!ここにも底の底にまで落ちきりそうな奴がいるんだけど。」


西「もう落としてしまいましょう。話が進みません。」


山「え?なんかこいつ、笑顔ですごく怖いこといってた気がするんだが・・・」


西「笑顔は人を幸せにします。」


山「これ、恐怖しか生んでねぇよ。」


神「お・落ち着け!頭痛は治った!!」


西「・・・ね?笑顔は人を幸せにしますよ。」


飛「幸せとはなんだったのか・・・」


神「飛沫ちゃん、幸せっていうのはそれをみて、ガクガクブルブル震えることだよ。」


飛「・・・可哀想に。」


神「あ~、今、俺、最高に幸せだ~。」



山「さっきから勝利とかなんとかいってるが・・・皆、無理やりなあの国ブーム作成が気に食わないんだろ?でも好きな人だっているだろうに?」


西「たしかに。しかしそれより多くの人々が好感ではなく、やりすぎによる不快な気持ちになっています。」


山「・・・かの国とは仲良くやることはできないのかねぇ。同盟国だろうに。」


西「・・・ふむ、親日罪、というものがあるような国とどのように仲良くすればいいんでしょうかね?」


山「真弐血坐威しんにちざい!!」


飛「・・・あんた、ホントすげぇよ・・・いろんな意味で。」


学「親日罪とは、日本のことについて好き、とか好感をもっているといった発言などをしただけで財産を没収されるかの国の法律・・・だったな。」


山「なにソレ怖い・・・もはや表現の自由なんて形もないな。」


紀「ま、かの国だから。日本じゃないから。」


学「しかしな・・・そんなものがまだ続いていたのか。」


西「・・・つい最近、日本でも大人気だったかの国の男性俳優・歌人が電源コードで首をつって自殺をした、という悲しい事件がありましたが・・・彼はかの国の人でありながら親日だったようです。」


山「・・・え?それって・・・」


西「えぇ。想像があたっていると思いますよ?・・・そういった没収で追い詰められて自殺してしまった、なんていう話がありますからね。」


仁「・・・あくまで、そういう噂だろ?」


西「まぁ・・・ただかの国は反日教育も徹底していますし、T島問題もより過激化していますし・・・仲良くやる、なんていうのは難しい話だと思いますよ。」


神「T島・・・いつになったら返してくれるんだろうな。」


紀「おぉ!!神威が珍しくまともな発言をしている!!」


飛「・・・明日は雪か。傘を携帯しないと。」


仁「そんなに珍しいことか・・・?あ、でも一応写メっとくか。」


神「・・・泣けてくる・・・」


西「一生返してくれないかもしれませんね~。」


神「・・・泣いていい?」


山「そういうときは笑えばいいんだよ!!」


飛「おい、中二、空気読めよwww普通、この空気でそれをやるか!?」


紀「使途を・・・喰ってる!?」


飛「お前に関しては同じ作品のパロってることぐらいで、今やった理由そのものがわからねぇよ。」


山「もうこの際、皆ぶっ壊して一つになろう。1つになれば人類の欠落した部分はなくなり、完璧な存在になれるんだ。」


飛「なにその人類補完計画・・・」


西「というか、すべてをぶっ壊し、というのが危険極まりない発言ですね。」


仁「・・・危険もなにも、単なる中二病だと思うけどな。」


神「おめでとう。」


山「いや、嬉しくねぇよ。なんで中二病認定されて喜ばなきゃいけないんだ・・・」

飛|(てかいつまでパロってるつもりだ?)


山「むしろ紀龍が過激発言屋なのが問題だろ。」


紀「そんなことはない。」


神「おめでとう。」


紀「・・・黙れよ、てめぇは。」


神「おめでとう。」


紀「・・・」


西「・・・話を戻しましょう。次のデモは21日となっていますが、これがより大規模になるのは目に見えています。工作員側からしてもこれを成功させるわけにはいかないはず。となれば、捨て身でやってきた警官を殴って、デモそのものを潰す、という工作員の動きもないわけではありません。」


神「おめでとう。」


紀「もういいから。なんたらの一つ覚えか・・・?」


仁「・・・人が増えれば、それだけ考えがズレている連中も増える・・・ということか。」


紀「そういった連中は逃がさないようにしないとな。」


西「えぇ。」


紀「犯人は・・・いつも1つ!」


西「・・・なんか違くないですか?」


山「真実はいつも1つ・・・だろ?」


紀「・・・フッ・・・中二に一本とられてしまうとは・・・考えろ、IQ250の俺の脳!どう言い逃れをする!?」


神「おめでとう。」


紀「てめっ、さっきから喧嘩売ってるのか!?」


神「おめでとう。」


紀「だぁ~!!」


飛「ムカつくのはわかるが・・・まぁ、落ち着け。」


神「おめでとう、この言葉だけですべての人を怒らせることができる・・・不思議な言葉だ。」


飛「使用用途が違う!!」


仁「てか盛りすぎだろ・・・250って・・・」


山「どうみてもピーマンだな。」


紀「なに!?」


神「よし、紀龍!ここはピーマン同士、同盟を組もうじゃないか!!名づけて緑黄色野菜どうめい!!」


紀「やだよ!!」


神「なに!?」


紀「“なに!?”じゃねぇよ、当たり前だろうが。」


飛「おいおい、あおいし苦いからあっちいってくんない?ピーマンコンビ。」


紀「コンビじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


神「あ、そうかそうか、飛沫ちゃんはこの俺が紀龍にとられるのが嫌なんだな。嫉妬乙。」


飛「・・・は?」


神「照れなくてもいいぞ。俺は全部わかってるから。」


飛「え?なに?バカなの?死ぬの?てか氏ねよ。」


山「この状態・・・まさに・・・カオスッ!!・・・決まったぜ。」


紀「カオスのカケラを再構成して・・・」


神「お前にゃぁ無理だ、諦めろピーマン。」


紀「黙れよ、ピーマン!!」


飛「ピーマンピーマンうるせぇな・・・ピーマンども。」


神「俺たちが・・・ピーマンだ!!」


紀「抱きしめたいな、ピーマン!!」


山(このネタ、おまけにきて何回目だよ・・・どんだけこのネタ好きなんだよ・・・)


飛「・・・もう爆発しろ、お前ら。どこかのスイカのごとく爆発しろ。」




西「・・・まぁ、今回もそうですが、次回のデモもあくまでごり押しな作られたアノ国ブーム放送をとめることであり、アノ国そのものの否定ではありません。」


山「なんだか複雑だな。」


西「そうですね。今回のデモも“君が代”の斉唱まではよかったものの、“天皇陛下万歳”はやりすぎたと個人的に思っています。・・・途中から極右側に乗っ取られた感がありますね。・・・ま、自分もどちらかといえば右翼なのでなんともいえないところなのですが。」


学「それに前回みたいに上手くいくかもわからん。前回は逆に主催者が逃亡したから、上手くいったという面もある。」


西「しかしそれだけでもないでしょう。前回には女性や子供も多くいた、とききます。それだけで見た目はかなり良くなりますからね。」


学「逆にいえば、ご婦人やお子さんも敵にあの局はまわしてしまった、ということだな。・・・あの局はやりすぎたのかもな。」


西「多少は目を瞑ってきましたが、それでも限界というものはありますからね。堪忍袋の緒はとっくにきれてますよ。」


仁「温厚な日本人だからこそ、多少は我慢してきたがもう限界、ということか・・・」


紀「ここまできたからにはカタがつくまでやるしかねぇな。勝てば官軍、勝利できればテレビ局はおろか、反日工作員を一掃できる。」


西「一掃は無理ですが・・・だいぶ静かにはなるのではないでしょうか。」


紀「今までネトウヨのことを“引きこもり”だの“ニート”だのいってた連中はどうするんだろうな?」


西「実際前回にもう行動しましたから、この類は旧式ですよね。」


紀「さて、工作員は次はどんなレッテルを用意してくるか・・・ある意味楽しみだな。」


西「ま、ネトウヨという言葉も罵倒語ですが・・・基本的にすぐネトウヨネトウヨと騒ぐ連中は工作員とみて間違いないでしょう。」


紀「・・・あれ?今回の本編で思いっきり鷹村がお前のこと、ネトウヨっていってなかったか?」


西「・・・そういえば・・・」


紀「ハッ!!まさかあいつが・・・工作員!?」


仁「ないない。」


紀「だが・・・」


仁「ないない。」


紀「だけど・・・」


仁「あいつ、多分ネトウヨの意味わかってないから。」


紀「・・・え?」


仁「多分まわりがみんな西本のことを“ネトウヨ”ってよぶから使ったんじゃね?」


紀「ってことは・・・あだ名だと思ったのかな?もしかして友達になりたかった・・・とか?」


山「なんだ?あいつ、実はシャイなのか?」


紀「僕は友達が少ない!」


仁(なんか盛り上がってるからいいにくいが・・・多分それもないと思うけどな・・・)




学「テレビ局・・・ねぇ。俺が若い頃なんてのは皆が1台のテレビを囲んでみてたんだけどな。」


西「あの頃にはテレビには“面白さ”がありました。ただ・・・今は無理にブームを作らせようとするあたり、無理やりな洗脳であって、そこに“面白さ”はありません。」


学「あの頃はホントに面白かったもんだ。・・・こうして考えると懐かしいな。いつから・・・こんなにそれてしまったんだろうな。」


西「・・・そうですね・・・」



紀「しかしながらなぁ・・・少し話はかわるが、「さよならぼくたちのてれびきょく」ってのがあまりに完成度が高くてワロタw」


学「なんだそれは?」


仁「あああああああああああ!!それは壮大なキャラ崩壊が・・・」


学「この際、キャラ崩壊なんていい。」


山「なんか言い出した・・・一番ブレイクしちゃいけない人が言い出した・・・」


学「それはなんだ、西本?」


西「え・え~と・・・ま・・・すごいものです。」


学「?」


飛「すごい・・・モノなんです///」


西「そういったネタはあんまり好きではありませんね。」


神「男なんて皆そんなもんだろ。」


紀「例外はいるだろ。たとえば二次元世界のほうへ足を踏み入れ、悟りを開いた奴とか。」


神「それってもろにこの小説の主人公なのでは・・・」


西「ま、学年主任の答えに答えるなら、確実にいえることは音楽なのですが・・・それをみたら“どうせまたテレビ局への怒りが芽生えるんだろうな”と思っていたのに、終わって気づいてみれば画面がぼやけて見えました。正常にパソコンは動いているんですけどね。」


紀「・・・あれ?前がかすんでよくみえないや・・・って奴だな。」


西「そうですね。・・・Cメロ・・・最後の最後でやられました・・・」


紀「あれ、実話らしいからね。」


西「えぇ。・・・曲自体もリズムもいいし・・・実際、主任も見てみるといいかもしれません。」


学「そうか・・・」


山「宣伝乙。」



西「さて、だいぶ長くなってしまいましたしそろそろ終わりにしましょうか。」


紀「今回は俺たちの雑談ラジオ(?)に付き合っていただきありがとうございました。」


西「次回もよろしくお願いします。」


                    「ウヨラジ1」 完




~今回の反省~


・・・まず最後の終わり方、テキトーすぎね?

でもこれ以上やると、絆同盟のときみたいにグダりまくる可能性があったのできってしまいました。


逆にきってしまったことで、中島の仕事が消し飛んだという・・・orz

これ、中島がいなくても成功したんじゃね?(鷹村が主役?)

今回の話、完全に中島=傍観者ですよね・・・

傍観者というか・・・鷹村の支え役?


しかし支え役あっての作成。

・・・うん、そう考えることにしましょう!

そう考えることにしてください(苦笑


前回の話がふざけすぎたので今回は少し真面目にやろうと思った結果がこれだよ・・・

なかなか上手くいかないものです。


あとは本編の進まなさ。

マイペースにもほどがあるだろ。

予定よりどんどん伸びていく・・・(申し訳ありません・・・)

あと2話ぐらいで中島視点を終わらせたいです。

・・・これ、前の学年主任のときの失敗から成長してねぇよ・・・orz


とにかく次も頑張ります(特に本編の進行を重視したい)。

今回も読んでいただき、ホントにありがとうございました。

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