表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
66/79

本心/決戦(Ⅵ)

※これは桶狭間視点の物語です

放送室前・・・

ここに今、ごく数人が集まっている。


放送室内に人はいなく、皆廊下にいる。

1人の男性は7人の男性に囲まれ、1人の男性は目の前にたっている女性をただ悲しげに見つめる。



「一気に距離をつめられたっぺ・・・」



後ろにいる関ヶ原は走り出した伝達部の生徒たちに四方八方囲まれてしまった。


関ヶ原自身、勝負する姿勢と言葉はいったものの、動きはしなかったため・・・

簡単に囲む隙をあたえてしまった。


しかし・・・



「が、勝負は始まったばかりだっぺよ?油断してると・・・」



言葉を言い切る前に、関ヶ原の斜め後ろにいた生徒の睡眠スプレーを力に任せて奪おうをした。

伝達部の生徒は手にスプレーをもっていたため、非常にスプレー缶の射出口があちらこちらへと動く。



しかしこれは伝達部からすれば、ラッキーでもある。

1人と格闘している間に、違う人物が格闘している関ヶ原にスプレーをかけてしまえばいい。


近くにいた2人の生徒は関ヶ原が1人の生徒に飛びついた瞬間に、走り出していた。



「きたな!」


近づいてきた2人の生徒がスプレーを向けた瞬間に、関ヶ原は飛び掛っていた生徒の手を放してかがんで、生徒を盾にした。



「なっ!?」


2人が射出したスプレーは、かがんだ関ヶ原にはかからず、伝達部の生徒だけにかかり、その生徒は眠ってしまう。

目標としていた関ヶ原にはあたらず、味方を誤射してしまったという予想外のことで2人はひるんだ。



不運にも、味方に眠らされた生徒は意識を失ったことでバランスを崩し、倒れそうになる。

その力の抜けた倒れそうな生徒を再びたった関ヶ原は後ろからささえて、一瞬の隙ができた生徒2人に向けて、関ヶ原は眠った生徒のもっている催眠スプレーを生徒の手の上から押す。




「3人あがりだっぺ。」



眠った生徒を支えていた手を離して、関ヶ原のまわりには3名の生徒が倒れている、という光景になった。



「へぇ?やるねぇ。」


鷹村は少し関心したかのような目で関ヶ原をみる。



「お次に眠らされたいのはどちらさまだっぺ?」



関ヶ原はもっているスプレーを捨てて、再び両手があいた。

それは「カウンター専門で攻める」といっている光景でもあった。



(カウンターで待ち構えるなら・・・相手にカウンターをさせる隙をあたえない物量で一気に押し上げるのみ!)



伝達部の生徒は皆、考えていることが同じだった。

残り4名の生徒は頷き、一斉に走り出した。






関ヶ原たちが後方で早くも激戦を繰り広げているなか、その後ろではまだお互いにお互いを見詰め合う、ということしかしてはいなかった。


しかしその見つめあいは決して、温かみのあるものや楽しみのあるものなどではない。

冷たく悲しい、そんな目つきでみる男と・・・

同じく冷たいが、攻撃的な目つきで見つめる女性。



しかしその女性は攻撃的な目つき・・・のはずであるのに、なぜか笑みをこぼしてもいた。



「・・・」



冷たいはずの笑みだ。

何の温かみもない。

優しさの欠片もない。

なのになぜかその笑みを、その光景をいつも一緒に笑いあっていた光景とかぶせてしまう。



「・・・なんでお前はこの状況でも笑ってられるんだよ・・・」



目の前の女性は催眠スプレーをいつものように上下にサッサッとふりながら首を傾げる。



「なんで笑う?それは面白いからに決まっているじゃないですか。」

「なに?」



この光景のどこが面白い?

どこをみれば笑える?

笑みをこぼせる?



「今まで〝団結〝を力にしてきた絆同盟から、裏切り者がでてしまったんですよ?なんとも皮肉なことじゃないですか。」



彼女はこの光景を楽しむかのようにあざ笑う。



「俺はお前を連れ戻す。何が何でも・・・そのために勝負をする。」

「連れ戻す?それは心強いお言葉ですね。でも私は戻るつもりなんでありませんよ?」

「なに?」



桶狭間は目を細めて、その言葉に拳に力が入る。



「だって生徒会にいれば絶対的権力の傘下で〝充実した高校生活〝がおくれるんですよ?わざわざ何の権力もない、はしゃぐだけが取り柄の生徒になんてなりたくはありませんし、なるつもりもありませんよ。」



さらに中島は言葉を続ける。



「今はその権力もちょっと危ういですが・・・あなた方をひねり潰せば権力は維持できます。」

「・・・どうしてだ?」

「え?」

「どうしてそんなに簡単にそんなことがいえるんだよ・・・」



今まで、この状況にもってくるためにどれだけ皆が苦労した?

しかしそれでもここまでもってこれた。


しかしそれはたった1人の苦労ではなく、全員の苦労だ。

その全員の苦労をよく知っている一番身近にいた仲間の1人がなぜそうも簡単に今までの努力を一瞬で崩壊させるような悲しい言葉をいえるのだろうか。



「そんなの私が生徒会側の生徒だからに決まってるじゃないですか。今までが演技だった、ってまだ気づかないんですか?」



違う・・・

その言葉だけは何が何でも信じない。


彼女も絆同盟の1人として大きく努力した。

いつも前向きに考えて、笑顔でみんなを勇気付けて場を明るくしてくれた。

闇討ちのときには励ましてくれたりもした。


登校のときだって、皆とたわいもない・・・

ホントにどうでもいいような話をしているときだって、あんなに輝かしい笑顔をしていたではないか。



そのすべてが演技、なんて見えるわけない。



「ならなんで闇討ちのとき、俺たちを励ましたんだよ?」

「励ました?いえ、自らの力を買い被って自滅してくれることを望んだだけです。」



それはたてまえだろう?

ホントはもっと違う理由があるだろ・・・


あのときの中島の言葉で少なくても皆が再び前を向き始めた。

だから皆が無事で脱出もできた。




「・・・あと、少し絆同盟にも興味がありました。この行為がどこまで進めるのか、って・・・」



中島の笑みは相変わらずの調子で続いている。


・・・その光景は俺にとってはあまりにもつらい光景だった。

・・・限界だ。



「なんでも笑ってればごまかせると思うな!!!」



今までの彼女の言葉に対する怒りも便乗して、それは非常に大きく強い言葉になってしまった。


一瞬彼女もビクッと後ろに下がったものの・・・

それでも笑みはきえることはなかった。



「ふざけんなよ・・・そんな中途半端な気持ちで応援なんてするなよ・・・」



大声をだしても何も始まらない。


そんなことは脳内で理解できていた。

そしてこんなことをいっても意味ない、それも理解できていた。


だけど、それでもつい言葉にでてしまう。

悔しさ、悲しみ、苦しみ、いろいろ言い方はあるがどれも良いものではない。




その言葉を発してから、中島は返答をしなくなった。

場は静かになった。


俺はその場でようやく冷静になる。

そして自分が冷静になったことを確認してから、再び口を開く。



「・・・俺はさっき、驚いてるっていった。だけど俺は逆にお前を疑ってもいた。」


それはだいぶ話はかわる。

・・・だが今の状況なら・・・

中島が仮に本音じゃないとしても、こういった生徒会としての本心をいったのならば・・・

俺も絆同盟のリーダーとしての本心、そして・・・

〝桶狭間 真吾〝という1人の男としての本心も言おう。


覚悟は決まった。



「俺たちが初めて話した日のことを覚えてるか?」

「はい。」



彼女は頷く。


俺もあの日のことを思い出す。

そして光景を思い出しながら、簡単にまとめて、それを話していく。



「そのとき、お前は異常に絆同盟に対する質問をしてきた。だから俺はお前が生徒会側の生徒なんじゃないか、と考えた。」


ようは疑っていたのだ。



「じゃぁ、なんで絆同盟にいれたんです?」



その日は中島が絆同盟に入る1日前・・・

なんとも奇遇なことだ。


異常に絆同盟に関する情報をほしがっていた中島・・・

そして次の日にそいつが絆同盟に入りたい、といってきた。


・・・奇遇だろ?



「生徒会側からきて、俺たちを利用するのであれば逆にこっちもお前を利用すればいい。生徒会側の生徒なら、上手く利用すれば俺たちの知らない生徒会の情報も引き抜けると思ってた。」



利用されているように見せかけて、利用する。

俺は最初、絆同盟のリーダーとしてそういった考えで承諾したのだ。


何しろ何が何でも十六夜と卯月の関係を守ってやりたかった。

自分が原因でこうなってしまったのだから。

そして今まで仲の良い2人をずっと近くで見てきていたのだから。

2人が楽しそうに話している光景が・・・好きだったから。


だからこそ責任をとる、と決めた日・・・

俺は敵となる障害はすべて容赦なく砕く、そう誓ったのだ。




十六夜が賛成したことあとに俺も賛成した。

こうすることで、まわりの賛成も促した。

もちろん反対派がでれば、正当な理由をつけて対処するつもりだった。


中島が生徒会と決まったわけではなかったが・・・

こちらからではなく、あちらから近づいてくれる、というのはむしろ好都合でもあった。


これはある意味チャンス、と俺は考えたわけだ。




「だが闇討ちのとき、お前は安全、生徒会側ではないと確信ついていえる出来事がおきた。」



それが物置地域での出来事。


そしてそこで俺は自分がどこまで腐りきった大馬鹿野郎かを自覚した・・・




「最初はあれも演技の可能性もあるかも、と考えて少し見ていたんだ。」

「!!」



その言葉にさすがの中島も驚きが隠せない様子だった。



正直な話をしてしまえば、俺は十六夜ほど心が広い人間ではない。

誰かをすぐ信用できる心をもっているわけでもない。


あの状況では、まだ全校生徒の目は冷たく、俺たちの勝算などミリ単位以下だった。

それに生徒会には途中から入ることはできない。

絶対的権力があり、自分もそれを使いたい、と考えている生徒たちだっている可能性はある。

俺たちの行動を生徒会に言って、信頼を得ることで生徒会になろうとしている奴がいるかもしれない、とも考えていた。


つまり・・・

今までの付き合いが長い関ヶ原、誰もを信用できる十六夜、この状況を打破したい卯月、そして高校生活をおくって信頼できると思った五月雨と将軍しか、その場では信用できていなかった。



それにそもそも俺は中島を疑ってもいた。

だからてっきり将軍に言われたとはいえ、後ろについてきた、というのがバレてしまったのかと考えた。

気づいたのに、気づいていないフリをしていて、被害者ぶって信頼を得る。

そんな汚いやり方をする奴かもしれない、と本気で考えてしまっていた。



何しろ、俺が物置地域についたときには・・・

すでに問題は起こっていた。


物置地域にいく途中で他の生徒会に見つかって、中島に報告したのかもしれない。

だから近くにいる生徒会と、演技をしているのかも、と考えた。


とにかく用心深かった。

何しろ、これが失敗すれば退学となる。

俺だけなら全くいいのだが、皆を巻き込む、なんて許されるわけがない。

失敗は許されなかったのだ。



その用心深さが中島を傷つけた。



徐々にそれは冗談ではない、と気づき始めた。

見てられなくもなった。



「・・・だけどどうにもこうにもマジそうなんで見てられなくて助けた。助けた後のお前は暗闇のなかでもわかるほどひどく怯えてた。」



そのとき、俺は自分自身を殺したくなるほど自分を恨んだ。


だって・・・

助けようと思えば助けられたのだ。

なのに助けなかった。


結果、目の前の女性は、もしかしたら人生を左右するかもしれないぐらいひどい男性に対する恐怖を覚えてしまった。



「こうなったのは確実に俺の責任だと自覚した。仲間となっていたのに、仲間として信頼せずすぐに救わなかった俺のせいだ、と。」



ひどく怯えていた中島の光景は、当然ながらそれが演技ではないということで・・・

中島が生徒会なら、仲間にそんな行動はしないだろう。

・・・つまり、それは中島が完全にシロだった、という証明でもあった。



中島自身は何のたくらみもなく、ただ純粋に卯月や皆を思っての行動をしただけで・・・

まっすぐ、ただ仲間になりたい、と思っていただけなのに・・・

俺は彼女を疑い、そして救えるものを救わなくて彼女を傷つけた。

それは許されることなどではない。



「・・・」

「だから俺はお前を守ることを決心した。そして心からお前を信頼した。」



そんなことで許してもらおう、なんてことは思ってなどはいない。

だが少しでも中島の傷を癒すことができるのであれば、俺は努力しよう。

・・・どこまでも。



「約束したろ、困ってるときは絶対助けるって。」



物置地域で、縄を大量に獲得して皆のところに戻るときに約束をした。

〝困っているときは、絶対に何が何でも確実に助けてやる〝と。


・・・今思えば、念を押しすぎたかもしれない。

そしてそれはごく当たり前のことで、ありふれた台詞でもあった。


だが俺はその物置地域の出来事が起こるまで、その〝当たり前のこと〝ができていなかったのだ。

つくづく思い出すだけでもぶっ殺したくなってくる。



そしてこんな大きなミスを犯しておいて、そんなありふれた台詞しかいえない自分に腹が立った。



そんな自分への苛立ちを無理やり抑えつつも、なんやかんやで中島と関わることも非常に多くなった。

彼女自身も、少し俺に頼ってくれているらしい表面をみせたこともあって、軽い自己満足が発生して自分への苛立ちも少し楽に抑えることができた。



「そんなこんなをしているうちにお前は見た目は腹黒いが・・・ホントはすごくいい奴だってことがわかった。」



そう・・・本当にいいやつだと。



そして彼女をいいやつだと思えば思うほど、なぜあの時信用しなかった?

なぜあの時すぐに救わなかった?

という後悔も強く生まれた。


彼女をいい奴だと思うことと過去への後悔は、ほとんど比例していた。


日に日にその思いは強くなっていた。

そして気づいてみれば、俺は・・・



「俺は・・・お前に惚れてたんだ。」



それは仲間としての好意なのか、それとも男女間としての好意なのか・・・

俺にもそれはわからない。


ただ俺は確実に目の前の女性に心から惚れていた。


過去にあんなことがあったのに、必死に前を向いていく力強さ。

自分でも精一杯なのに、人を気遣う優しさ。


彼女とかかわって、彼女の良いところをたくさん見つけられた。



よく考えれば勝手な話だ。

救えるものを救わず、本人に大きな傷を与えた。

守ろうときめて、多く関わっていたらそれはいつしか好意をなっていた。



だからこそ・・・今、こんな複雑な思いでいるのだ。



「よりにもよって・・・どうしてお前なんだよ・・・」


もちろん中島以外ならOK、というわけではない。

誰にも裏切ってほしくはない。




将軍が「もし俺たちのなかに生徒会の人間がいたら?」といったとき、皆が「冗談だろ」と笑った。

俺もそう思いたかった、だけど心の奥底で不安があった。

そこで皆に相談していれば、今頃には解決できていたのかもしれない。


正直な話をしてしまえば、今までの行動から総合的に見て一番怪しいのは中島だった。

だけど中島は前にシロだとわかったじゃないか。

俺はまた同じミスを繰り返すのか?


しかし実際、中島以外はほとんど0%といってもいいぐらい確実にありえなかった。


結局そんな小さな不安も、無理やり「冗談だ」と思うことで解決させた。

しかし今思えば・・・将軍はあまり冗談をいう人ではないのだ。



気づくべきだった・・・

無理に解決するのではなく、ちゃんと現実に目を向けて皆に聞けばよかった・・・


もしそうしておけば、こんな結果にはならなかっただろうに・・・





しかし実際過去を悔やんでも、起こってしまったことはどうにもならない。

大事なのはこれからどうするか・・・だ。



そんな時、目の前の女性、そして将軍の言葉の後悔でふと思い出すことがあった。

”ポーカーフェイス”


この単語がよぎった。

作戦開始の直前、将軍が俺にいってきたのだ。

「ポーカーフェイス、という言葉を知っているか?」・・・と。


将軍いわく、ポーカーフェイスとは表情をかえないこと、らしい。


「表情をかえない、ということは感情を縛り付けるということでもある。すごいよな。・・・お前はすぐ熱くなるから、少しはこれを見習ったらどうだ?」


・・・と将軍からありがた~いアドバイスをいただいた。




実際表情をかえない、というのは非常に難しいことだ。

・・・だから仮に彼女の場合無表情ではなく、笑うことで表情をかき消している、としたら?


そう・・・将軍は冗談はあまり言わない人なのだ。

・・・あの時、なぜあんな話を急にしたのかと思った。

アドバイスにしても、「冷静になっていけ」といえばいえばすむことであり、わざわざ「ポーカーフェイス」という言葉を使った。



(・・・やっぱり知ってやがったな。)



つまりそれは・・・

中島が笑みをこぼす、ということで自らの苦しみをごまかしているのではないか?

と将軍も考えた、ということだ。

いや、考えるだけなら将軍は言わない。

確信をもって、将軍は気づいたのだ。

だから俺にこんなにも役に立つありがたいアドバイスをくれた。



なんとも回りくどいことであるが・・・

将軍はこの件を俺に任せてくれた。

だから俺に「ちゃんと絆同盟に連れ戻してきてやるぜ!」という言葉を間接的にいわせたのだ。

そして多くのヒントをくれた。


・・・マジで恩にきるぜ、将軍。




将軍のおかげで彼女の本心は理解できた。

やはり彼女は苦しんでいる。

なんとしても救わないと・・・

そういう約束だしな。




「こういう最終決戦では必ず誰かが裏切る。・・・それはお決まりのイベントじゃないですか。」



・・・こんな台詞も、皆に相談して解決できていれば彼女に言わせることもなかった・・・

彼女の本心がわかったからこそ、彼女のつらさが心に突き刺さる。



「お前が本当に望むものはなんだ?」

「・・・」


その質問に彼女は無回答だった。

それは今まで言ってきたのでいい加減にしてくれ、ということなのか・・・

それとも本当に望むもの、というのは見つかっていないのか・・・

はたまたその望むものをいえないのか・・・


「・・・そうか。」


とりあえず彼女が無回答には何らかの理由がある。

彼女自身が答えをつかめないというのであれば・・・

なら彼女が望む本当のモノを俺がつかみとりにいこう。

そして彼女に握らせてあげよう。


いつまでもこんな交渉みたいなことをしていたらラチがあかない。




「・・・桶狭間くんの好意に応えることはできませんが、私はとても感謝しています。・・・あなたのおかげで男性に少し慣れることもできました。」



彼女はこの場で・・・

俺の敵としてたっている立場でありながら、感謝をしめした。


・・・なぜだろうか・・・

「好意に応えることはできない」、これは明らかに男女間的な好意であればフラれているわけだが・・・

なぜこんなに嬉しいのだろうか。


もとはといえば俺のせいなのに・・・

当たり前のことをしただけなのに・・・

彼女の「あなたのおかげで男性に少し慣れることができた」という言葉が嬉しくて嬉しくてたまらない。



「桶狭間くん、すべてをきいたからこそ・・・終わらせましょう。綺麗さっぱりと。」



これで本当に交渉は終わりだ。

内ポケットから俺も催眠スプレーを出す。



「行きますよ!!」



こうして2人も同時に走り始めた。


これはまだ2人の関係の1ページ目・・・




                      「本心/決戦(Ⅵ)」  完    


おまけ  自己紹介と見せかけた何か ~2人の犠牲は永遠に~


参加者→十六夜、五月雨、卯月、時津風




十「さて、僕は久々に思った!!」


五「思うなw」


十「・・・」

卯(初っ端から出鼻を挫かれたわね・・・)


十「いや、あえて言わせてもらおう!!」


五「神は言っている、まだ言うべきではないと。」


十「・・・」

卯(相変わらずね、五月雨も・・・・)



十「なぁ・・・僕にしゃべらせてくれ・・・」


五「おk、ただし30文字以内な。」


十「うわ、めんどくせっ!」


卯(この筆者、何とか30文字好きね・・・前も30文字じゃなかったかしら・・・?)



十「ならば30文字以内で説明してみせようじゃなイカ!」


五「イカ娘自重w海に帰れw」


卯(うわ、また始まった、このグダリ・・・)



十「久々に自己紹介をしなイカ!?」


卯(16文字か・・・意外と少ないわね。少なすぎもダメよね・・・)


五「ひさびさにじこしょうかいをしないかびっくりはてな・・・23文字か。」


十「セ~フ・・・」

卯(!?もちゃんといれるんだ・・・)



五「で?自己紹介って誰の?」



ガチャリ


時津風「お~い、十六夜。前に貸りたゲームを返しに・・・」


十「キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!」


五(超ご都合主義展開乙w)


時「・・・?どうした?」


十「時津風!!!」


時「?」


十「急に悪いが、どうしても頼みたいことがある!!」


時「どうしたよ?いきなりそんな改まって・・・」


五「僕と結婚してくれ。」


十「・・・え?・・・って五月雨ぇ~!!」


卯(キモッ・・・)


時「・・・悪い、俺はそういう趣味は・・・」


十「ち・違う、誤解なんだ!!」


五「ここは3階だ。」


十「そういう意味じゃねぇ~よ!!てか、完全に咲良と時津風はひいてるじゃねぇか!!」


五「キモイな、こっちくんなw」


十「こ・こいつ・・・」


五「いや~、たまにはBL方面で攻めてみようと思ったんだが、ダメだったか・・・」


十「当たり前だ!!」



五「俺たちはいつまでたっても親友でいような!!」


十「いい話につなげてごまかそうとするな。」


五「ならいっそ・・・結婚するか?」


卯「そ・それはダメ!!」


五「釣れた!名づけて「BL方面ネタでヒロインを釣って、ネタにしちゃおう☆大作戦」大成功!」


時「長ぇよ・・・」


十「・・・なんという卯月殺しヒロインブレイカー・・・」


五「幻想殺しイマジンブレイカーみたいにいうなw」


卯「?」


五「しかしそうなると、「とある卯月の恋愛志向レールガン」となる。」


十「どうして恋愛志向がレールガンになるんだ・・・」


五「それはもちろん、星矢の心をレールガンで打ち砕くためだ!」


時「・・・理解できるような・・・できないような・・・」


五「そして決め台詞は「そのふざけた星矢をぶち殺す!!」。」


十「怖ぇよ!!命の危険をリアルに体感するわ!!」


卯「その決め台詞、いいわね。」


十「よくねぇよ!!」


卯「そ・それで?結局私のなにが悪いのよ!!」


十「咲良、世の中にはな「我慢」という言葉があってだな・・・」


時「結論卯月は五月雨のネタで釣られた、ということだ。」


卯「五月雨ぇ~!!」


五「突然だが、「俺、明日結婚するんだ・・・」。」


十「なぜそこで変なフラグをたてた!?」


時「五月雨、今ならまだ間に合う!逃げるんだ!!」


五「俺・・・みんなと出会えてよかったよ・・・」


十「フラグ乱立すんな。」


五「いずれあっちの世界で会おう。」


時「ここは俺がおさえる!!だからその隙にお前は行け!!」


十「お前までやり始めるな!!」


五「ありがとう、時t・・・」



ガツン



五「グハッ!!」


十「おい、今変な音したぞ・・・」


卯「軽く叩いたつもりだったんだけど・・・」


時「フライパンに軽いもくそもないだろ・・・」


十「気にすることはない、自業自得だ。」


五「くっ・・・お・俺は・・・ここでくたばるわけにはいかないんだ!!!」



ガツン



五「カハッ!!」



バタリ



時「俺は今、見てはいけない光景を見てしまった気が・・・」


十「五月雨をマモレナカッタ・・・」


卯「なんのことかしら?」


時(・・・女って怖ぇ・・・)


卯「・・・やりすぎたかしら・・・?」


十「再度言うが、これは五月雨の自業自得だ。気にすることh・・・」


五「俺は悪くねぇ!!!」



ガツン


ポックリ・・・・



十「死んだ・・・」


時「成仏しろよ・・・」



十「しかしそのフライパンどこからとってきたんだ?」


卯「これ?これは錬金術という・・・」


十「いいから、そのグダリ。」


卯「今まで散々やってきたのは誰よ!!いいじゃない、たまには私がやってみても!!」


時「落ち着けって・・・十六夜だって、ヒロインであるお前のキャラを守るために・・・」


卯「嘘だッ!!!」


十(鉈がなくてよかった・・・)


卯「こいつは私のキャラなんてまったく考えてない。今までどれだけもてあそばれてきたか・・・」


十「おい!!誤解を招くような言い方をするな!!」


時「・・・十六夜、お前・・・」


十「だから信じるな!!」



時「ん?こんなところに鉈が・・・」


十「どっからだした!?なに、そのご都合主義!?」


時「え~と、”卯月支援 by棺桶の王子様”。」


十「誰だよ、ネーミングセンスねぇな・・・五月雨が逝ったから、僕がかわりに。〝そんなネーミングセンスで大丈夫か?〝」


時「てか多分自分の仲間を増やそうとしてるのかもな。」


十「やめてくれよ!!」


時「ま、そういうことだから・・・ほら、卯月、これ。」


十「お・落ち着こうぜ、時津風!!それを咲良に渡したら・・・」


卯「ありがと。」


十「っておい!!・・・フッ、僕、明日結婚するんだ☆」



ガツン

バタッ



時「こりゃひどいな・・・主人公が倒れちまうなんて・・・」


卯「ひ・ひどい!!誰がこんなことを!!」


時「もう突っ込みきれん・・・疲れた・・・」


卯「そんなわけで2人が倒れてしまったので今回はここで終了とします。」


時「ありがとうございました。」



・・・

・・・

・・・舞台裏?



桶「・・・そんなに俺ってネーミングセンスない?」



 

               「自己紹介と見せかけた何か」  完



今回の反省。

本編、なんか桶狭間がだいぶ黒い人になってしまいました・・・orz

しかしそれだけまっすぐ、ということです!!(←必死w)


あ、ちなみに題名が「/」を使って2つになっているのは・・・

桶狭間と中島の関係という意味で、本心。

でも決戦とかぶってもしまっているので、決戦(Ⅵ)、としました。

中途半端ですが、お許しください。


今回もありがとうございました(ペコリ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ