決戦(Ⅳ)
新年あけましておめでとうございます。
本当は1日、新年初っ端からの更新をしたかったのですが、遅れてしまいました。
おまけもその関連だってので、1日遅くなってしまいました。
新年早々遅刻です、申し訳ありません。
そんな今日この頃ですが、どうか今年もよろしくお願いします。
現在我が校の至るところで帝国主義打倒の反旗が翻されているなか・・・
各グループ、決着をつけなければならない”相手”が目の前に現れた。
・・・決着をつける時がやってきた。
それは大々的には生徒会との決戦。
・・・そしてこれから各自の戦いの最終決戦の火蓋が切って落とさせる。
現在廊下では、この細く長い空間に数十名がいる。
その中で、真っ向から対立しているのは時津風・川中・陽炎と飛沫の4人だ。
「・・・」
飛沫が自らここにやってきた・・・
ということは彼にも決着をつける意志があってやってきたことになる。
「ハッ、私利私欲じゃなければ武道は使ってもいい?笑わせてくれるぜ。武道は自分のためにある、それは誰かを守るためという理由であっても所詮はそいつの考え、そいつの私利私欲でしかない。」
飛沫は彼らの考えは踏みにじるかのように言う。
「結局世の中には私利私欲でしか皆、行動できない。人間は罪深い生き物だ、だからあたかも正当な理由をつけて自らをより正当化する。そんな茶番、見てても不愉快なだけだ。」
武道は誰かを守るため、もしくは正当防衛のため。
その武道の教えが今、ことごとく否定されている。
「だから俺はそんな茶番などしない、最初から”勝つ”、それだけを目的に自らの力を極限まで使う。」
人を守る、ということが茶番なのか・・・?
自らの勝手な達成感と優越感のために得る勝利、そのためにどんな犠牲をも厭わないという考えと同じだというのか・・・?
違う!
そんな相手のことなど一切心配しないやり方など・・・
「・・・俺は認めない。」
「ほぅ?」
時津風の言葉に飛沫は不気味な笑みと満足気な表情をする。
「なら説明してみろよ?誰かを守るためだって、結局相手に犠牲はでる。誰かを助け、誰かを傷つける、それは一種の”矛盾”、いや”差別”ともいえる。」
人の見方によって、誰が敵で誰が味方かも異なる。
どちらかが得をして、どちらかが犠牲になる。
たとえ誰かのためと謳って自らの力を振るっても、相手に犠牲がでる。
それは常に武力を使った救出と犠牲は比例している、ということになる。
そのことは彼のいうように”矛盾”といってもいいのかもしれない。
「たしかにお前の言っていることも一理ある。・・・だがな、どんなに良い行動をしようとも犠牲がでるのであれば、武力を使うものは常に相手を傷つける悲しみも感じているはずだ。」
俺もそうだ。
昨日だって絆同盟の皆を守るために武道を使った。
教室にやってくる治安維持部の連中を眠らせた。
昨日は中島から借りた催眠スプレーがあったから相手を傷つけずにすんだ。
それだけでどれだけ救われたことか。
結果俺たちは相手の武器のみを粉砕すればいい、ということになったが・・・
しかし武器を弾き飛ばす際、もし外れて顔面にあたってしまったら?
下手をすれば大怪我になってしまうかもしれない。
俺は武道を使う際、それが一番怖い。
相手を思っている以上に傷つけてしまうことが・・・たまらなく怖い。
正当防衛なんていっているが、もしそれで相手が大怪我をしてしまったら俺はそいつにどう償えばいいのかわからない。
それはきっとお姫様も・・・
そして武道が使える人なら皆が感じていることなのかもしれない。
「だがお前は違う。」
目の前の男は・・・
相手を気遣う。
そんな考え、あるだろうか?
「お前は勝つためなら、相手の犠牲は厭わない。何の迷いもなく、ただ”敵”と認識した相手ならどんな手段を用いても完全にぶっ潰す。・・・そんな行動に「正義」なんてあるもんか。」
彼は勝つためになら、相手がたとえ大怪我を負おうがなんだろうがまったく気にしない。
そんな汚いやり方と誰かを守るための武道の使い方を・・・
同じにされては困る。
「言ってくれるねぇ。・・・お前は俺のことをよく理解しているようだ。」
「・・・?」
「敵と認識した相手なら完全にぶっ潰す、素晴らしく俺らしい考え方だ。特に「完全に」ってのがいいな。」
彼は一応時津風を賞賛しているようだった。
正直まったくうれしくないが。
「なら・・・わかるだろ?俺がここにきた理由を。」
「・・・邪魔者をまとめてぶっ潰す・・・」
「その通り!!」
そういうと、右手に持っていた2本の竹刀のうち1本を左手にもって、二刀流となる。
「悪いな、時津風、そして川中水旋。最初は陽炎だけの予定だったが、気が変わっちまった。」
「陽炎だけ・・・だと!?」
なぜだ・・・
本来ならむしろ俺とお姫様だけだろう。
なぜ陽炎だけを狙う必要があった?
「そう、陽炎だけだ。・・・生徒会を裏切ったこと、重たく償ってもらう。」
だが、それは・・・
飛沫の意志なのだろうか。
陽炎は昨日まで彼の仲間だったやつだ。
いくら相手の犠牲は厭わないとて、仲間だったやつをも簡単に切り捨てられるのだろうか。
「それはお前の意志か?」
「あぁ、俺の意志であり・・・会長の意志だ。」
「会長?」
なるほど・・・
飛沫を使って、陽炎を潰すことで裏切り者がどうなるか見せしめにするつもりか。
それは”今まで味方だったからといって容赦はしない”という警告でもある。
「会長が?馬鹿な。会長がそんなこと、いうはずはない。」
それに陽炎が否定する。
「今の状況、誰もが追い詰められている。前のようにゆとりがあったわけではない。いい加減その甘い考えを捨てたらどうだ、陽炎?お前の前にいるのは昨日まで仲間だった飛沫ではない、今日お前を敵視している飛沫だ。」
彼はそういって左手の竹刀をクルクルとまわしながら、右手の竹刀を陽炎に向ける。
「くっ・・・」
陽炎は目を細め、引き下がる。
彼からしたら、やはり仲間だった彼とはやりあいたくないのであろう。
しかし飛沫はそんな彼の表情をみて、微笑み・・・
彼の心情をいいことにどんどん進んでくる。
彼は仲間をも信じ切れてはいない。
ホントにピンチになったとき、彼は仲間をも捨て駒にしてまで勝利をつかもうとするだろう。
その証拠が昨日まで仲間だった相手を楽しそうに追い詰める目の前の男の姿だ。
「・・・フッ、その言葉をきいて安心したぜ、飛沫。」
「あぁん?」
「おかげで・・・お前は仲間とて捨て駒に出来る覚悟があるくそ野郎だってことがよ~く理解できた。」
彼はその言葉にますます笑みを深める。
「ハッ、その通りだよ、時津風。俺は勝つためなら仲間をも捨て駒にする。」
「・・・なに?」
「俺はお前らをぶっ潰したら体育館へと行き、警備部を突入させる。」
「なっ!?」
そんなことしたら・・・
全校生徒にももちろん犠牲はでるが・・・
「警備部が全滅するぞ?」
「それでいい。警備部の全滅と代償に全校生徒を指揮している絆同盟とB組同盟の壊滅、そして皆の混乱。・・・これだけ被害を与えられれば、ただ突っ立って警備している連中の全滅ぐらい安すぎる代償だ。」
野郎・・・
どこまで腐っているんだ・・・
時津風たちは知らなかったが、これは山崎の考え方に酷似していた。
「そして連中が混乱している隙に俺たちジャスティスが歯向かった全校生徒を1人残らず殲滅する。」
「・・・自分の力に酔いすぎだ、クズ。」
いくら能力的には高くても・・・
いくら相手が混乱していても・・・
相手は600人だ。
勝てるわけがない。
「・・・これでもそういえるか?」
そういうと、彼は内ポケットから回転式拳銃のモデルガンらしきものを出す。
見たところ「S&WM500」という銃っぽいが・・・
「・・・モデルガンか?」
「あぁ、そんなところだ。こんなちっぽけな拳銃より強力な連射力を誇るもんを今、野球部顧問と剣道部顧問に用意してもらってる。」
その言葉に後ろにいた野球部生徒と剣道部生徒は驚きを隠せないようだった。
何しろ自分たちの顧問が、こんな危ない考え方のやつに協力していたのだから。
「それをジャスティス配下全員に持たせれば・・・一瞬で勝負はつく。多方向からの一斉射撃、逃げる場所も与えない。・・・3分とて持つかな?」
「てめぇ・・・」
「先に言っておいてやる。”降伏は認めん”。生徒会に逆らった罪はそう簡単では済まさない。」
この言葉からするに、おそらく負けを確信して降伏した生徒たちも・・・
無抵抗な生徒たちも・・・
すべて躊躇なく撃つ、ということだ。
「こうして俺らは完全なる勝利を手に入れる。・・・そのためにはまず・・・お前らの犠牲が必要だ。」
冗談じゃねぇ・・・
そんなこときいて、「あ、そうですか。じゃぁ頑張ってくださいね」なんていえるやつがおかしい。
時津風は右手に持っている竹刀をより強く握る。
「・・・川中・・・」
「今度こそは退かんぞ。」
時津風の考えを川中は理解していた。
いや、彼女は「絶対くる」と確信していた。
そして昨日、それをのみ、どれだけ無力だったかを思い知った。
だからこそ、今度こそ力になってみせる。
何が何でも退かない。
川中の意志はそう固まっていた。
「頼む、退いてくれ。」
「それはできない。」
時津風は目を細める。
昨日、陽炎と戦ったとき・・・
すでにスピード的に厳しいのがわかっている。
飛沫とて、どれだけの能力かは知らないが・・・
相当なものであるのは間違いない。
「先に体育館で皆と合流しててくれ。もし俺たち全員がここで負けたら誰が皆をジャスティスの連中から守る?お前なら体育館の入り口で待機すれば大きな力になれる。」
「それはお前も同じだろ?昨日はお前が残ったんだ、今度は私が残る。」
川中の強固な態度を見て、今度は陽炎が口を開く。
「お前ではスピード的に劣っている。・・・いても足手まといになるだけだ。」
「!!」
彼女はその言葉に胸を打たれた。
「・・・わかった・・・そういうことなら・・・先に合流している。」
おそらく彼女自身も薄々なぜ時津風がそこまでして自分を遠ざけるのか、ということに気づき始めていたのだろう。
だから陽炎がこの言葉をいったとき、すぐに理解できた。
・・・それと同時に再び自らの無力さも痛すぎるぐらいに感じた。
彼女はそう返事をすると、静かに後ろへ歩いていった。
「・・・お前、なんであんなことを・・・」
「ああ言わないと、川中を守ることは出来なかっただろ?」
「・・・」
時津風は彼女が傷ついてしまったことを理解できていた。
だからできれば彼女を追いかけていきたいところだが・・・
そうもいかないのが現実である。
「ほぅ?女は逃がす・・・か。なかなか紳士的な部分もあるんだな。気に入った。」
「・・・この間、同じようなことをお前に言われた気がする。」
そう時津風は陽炎に言う。
「あ~、言ったかもな。」
「気に入った、気に入ったぞ!それでこそ潰しがいがある!」
「・・・そう簡単に潰せると思うなよ?」
時津風は余裕の笑みをうかべて飛沫に言う。
それから後ろを向いて、悲しみに押しつぶされそうな野球部生徒と剣道部生徒にも言う。
「お前らも先に体育館にいって皆の力になってくれ。」
「・・・」
だが彼らも彼らであまりに多くのショックがあった。
自らが行おうとした行いの重大なミス。
自らの顧問の行動。
それらを理解して、非常に深い悲しみで彼らの力を抜き取っていた。
「おい、お前ら!今、悲しみにくれるよりもっとやるべきことがあるだろ!!」
そんな様子を見て、陽炎は皆に元気を与えられるように力強く言った。
「やるべきことをやってからホントに自らの行いが全部ミスだったのか、を判断しても遅くはない、そうだろ?」
陽炎はさらに続けて言う。
その言葉に剣道部・野球部の生徒たちは再び立ち上がった。
「・・・そうだな。」
1人がそうつぶやくと、皆もそれに頷いて・・・
川中を追うように走って後ろへと去っていった。
「・・・時津風、もし俺が無力だったなら、そのときはお前があの馬鹿リーダーをとめてくれ。」
陽炎は生徒会を裏切った・・・
そして目の前には今、自らを潰しにかかろうとしているやつがいる。
そんなやつをいまだに彼はリーダーと呼んだ。
彼は非常に上思いな人間だと伺える。
「・・・手出しは無用だぞ。」
「あぁ、わかってる。剣道の教えは・・・」
「1対1の正々堂々真っ向勝負だ。」
2人の言葉が重なり、頷く。
それから陽炎は自らの竹刀を強く持ち、飛沫に近寄る。
「・・・へぇ?2人でこないのか?」
「教えはたとえどんな相手でも1対1だ。」
「別に2人が相手でもよかったんだが・・・お前にその覚悟があるならそれでもいいだろう。」
そう飛沫は言うと、左手の竹刀を捨てた。
二刀流でこないところをみると、正々堂々勝負するつもりなのだろうか。
・・・やはり陽炎は飛沫にとって特別な存在なのかもしれない。
「さぁ、こいよ!」
「いざ・・・参るッ!!」
その言葉を合図に、2人はお互いを目指して走っていった。
階段の下り道。
川中は1人、悔しさで胸がいっぱいになりながらも静かに歩いていた。
(・・・また・・・時津風の力になれなかった。)
しかも今度は陽炎に「足手まとい」とまでいわれた。
時津風もずっと私を逃げそうとしていたことから、そう思っていたのだろう。
第5同盟のときも、第5同盟解散のときも・・・
ずっと彼に救われっぱなし。
借りは返せないまま。
そんな自分が情けない。
彼はホントに小さいことで、「これで借りは返上だな」なんてことを言う。
・・・でも私のとって特に大きかった第5同盟解散のときの時津風の働きかけへの借りの返上は・・・
未だに自らが満足できる形で返せてなどいない。
だからこそ、ここで力となって・・・
少しでも彼に借りを返したいと思っていたのに・・・
それすら叶わなかった。
そんな想いで階段をくだり、再び平らな部分についた。
そこをまたまわって、階段を下っていく。
始めの階段を下ろうとしたそのときだった。
「川中!!」
聞き覚えのある声が響いた。
「・・・五月雨?」
後ろを向くと、全速力で走ってくる男が1人。
それから川中を追い越して、階段を2歩ほど下ったところで足をとめた。
「偶然だな、お前、こんなところで何してるの?」
「それはこっちの台詞だ。」
彼は階段でとまったことをいいことに、「う~ん」と伸びを始める。
私も少し肩に力が入っていた。
少し伸びをしよう。
そう思い、手を横にだした瞬間だった。
「ぐふぉッ!!」
川中の伸ばした手に、全速力で走ってきたもう1人の男性があたって転倒した。
「うほ☆いいラリアット。」
五月雨は拍手をする。
もちろん川中はラリアットをする予定などサラサラなかった。
不運にも川中の・・・
というより、自らの不注意でラリアットをモロに喰らってしまった男性は呻きながら立ち上がる。
「うぅ~、て・てめぇ!何しやがる!!!」
「逆切れ乙。」
五月雨は楽しそうに笑みをこぼしながら言う。
「そっちが勝手にぶつかってきたんだろ・・・」
川中が呆れ顔でそういいながら横を向くと・・・
「!!」
不意にかわせた・・・
1人の女性が彼女が休んでいた場所から5歩ほど上の階段からジャンプをして飛び掛ってきた。
「な・なんだぁ!?」
五月雨もいきなりの川中の回避行動に驚く。
「・・・仁井さんに何をするんです?」
緊急的な回避をして、ふらついた体をどうにか維持すると・・・
目の前には先ほど勝手にぶつかってきた男性とは別に1人、女性が立っていた。
「凛動さん!!」
凛動・・・
川口がいっていた厄介な人物の1人。
「・・・川中水旋、やはりあなたは危険な存在です。」
おそらく彼女の言動からして途中からみていたのだろう。
・・・途中からみれば悲しいことに、川中が完全な悪役に・・・
見えないこともない。
「この凛動・・・あなたの行動を許しません。」
そういうと、警備部がよくもっている警棒・・・
に似ているような似ていないような、そんな感じの棒を取り出す。
「なんかトンファーに似てるな、それ。」
こんな気まずい状況なのにマイペースにしゃべっているのが五月雨。
・・・ん?
そういえば凛動さんといえば警備部だ。
川口がいうには警備部には私たちと同じく、事を穏便に進めたがっている生徒会幹部がいるらしい、と時津風からきいた。
・・・たしか名前は・・・
「厳島さんの言い付けもありますが、ここはこちらを優先します。」
そう、厳島さんとやらだ!
彼女に話をして、飛沫をとめてもらうことはできないだろうか。
そうすれば私も時津風や陽炎の力になることができる!
彼女はそう考えた。
「ちょ・ちょっと待て!私は厳島さんとやらと話がしたいんだ。」
「無理です。あなたのような危険な人物を厳島さんに近づけるわけにはいきません。」
「ですよね~。やっぱそうなりますよね~。」
と五月雨は相変わらずの反応。
ま、たしかにこの空気では凛動のこの反応は誰にでも予想ができた。
簡単な話、逆効果ということだ。
「今後厳島さんに近づかせないためにも・・・脅威はここで排除します。」
そういうと、凛動と仁井は頷きあう。
それをみて、川中と五月雨も苦笑しあう。
「・・・上手くやれよ?」
「お前もな。」
五月雨と川中は小声でそういいあうと、五月雨は再び生徒会のほうをみて言う。
「じゃぁ、そういうことなんで俺は帰ります!Good bye、See you、Adieu、Adeus、Adios!」
彼はとりあえずテキトーに外国語を並べて、再び逃走劇を始めるべく全速力で階段を下っていった。
ちなみにグッバイ、シィーユーは英語、アデューはフランス語、アデュスはポルトガル語、アディオスはスペイン語となる。
「待て、貴様!!・・・凛動さん、ここはお任せしましたよ。」
と仁井は凛動にいって、軽い会釈をして再び五月雨を追うため・・・
彼も階段を下っていった。
「・・・いざ・・・参ります。」
陽炎に剣道を教わっていたこともあり・・・
行くときには、陽炎の口調と似ているものがある。
(とりあえず誤解をとかないと!)
川中も受け身をとる態勢をとった。
それからすぐに凛動は川中のほうに目掛けて走っていった。
放送室前では、先ほどとうってかわり静かだ。
すでにジャスティスの配下は全員眠らされている。
「・・・一騎打ちだぁ?」
「はい、一騎打ちです。・・・絆同盟のリーダーである桶狭間くん、あなたを倒せば少なくても体育館での皆の勢いは落ちます。」
リーダーを失わせ、パニックを狙う・・・
というのが彼女の狙いか。
「あのなぁ、お前もみてきただろ、絆同盟の”強さ”を。俺1人失おうがあいつらは自分の信じてる道を貫き通す。所詮絆同盟の”リーダー”なんてお飾りなんだよ。」
その言葉に中島は皮肉っぽく笑みをうかべる。
「あなたは自分の立場を理解していません。いかに強いチームでも、いかにまとなりのないチームでもリーダーというチームの最高責任者を失えばチームバランスは傾きます。」
「そうかな?」
「そうです、あなたはチームの・・・まして”団結”を最大の武器とする絆同盟の1人1人の重要性を何にも理解できていません。」
その言葉をいった瞬間、桶狭間は「その言葉を待っていた」とばかりに笑みを浮かべる。
「1人1人の重要性・・・ねぇ?ならお前も俺たち絆同盟にとって大事な仲間だ。」
その言葉に中島は驚きを隠せない様子だった。
「仲間?笑わせないで下さい、私は生徒会の一員。あなた方を監視するためにおかれた人材ですよ?」
「たしかにそうだったかもしれない。・・・けどな、たとえそれが表面上だけであってもお前は絆同盟の仲間だった。それは変えられない。」
その言葉に初めて中島は戸惑いの様子を見せる。
「だから・・・俺たちはお前を生徒会から取り戻す。表面上だろうがなんだろうが、仲間になっちまった以上、俺たちは仲間を見捨てはしない。」
桶狭間は静かにいったが、力強い意志を感じられるような・・・
はっきりとした口調で言い切った。
「・・・文句はないな、関ヶ原?」
「ば~か、誰が文句があるんだっぺ?・・・全員中島の帰りを待ってるんだっぺよ。」
関ヶ原も頷き、同調する。
「あなたは馬鹿なんですかッ!?また絆同盟に入れても私は生徒会の犬でしか・・・」
「そう、俺は馬鹿だ!!」
「なっ!?」
(断言したっぺ・・・)
全員が桶狭間の「俺は馬鹿だ!」宣言に目を丸くする。
「だから正直難しいことは一切わからん!正直俺なんかがこのチームのリーダーなんかを勤めてて大丈夫なのか、って思うよ。戦略は全部将軍任せ、時津風や川中に守ってもらいまくり、何かあれば行き当たりばったり、皆に頼ってばかり、そのくせすぐ弱気になる。・・・こんな俺がリーダーなんて笑っちまうよな。」
彼は苦笑する。
「それでも多くの問題を皆と力をあわせて乗り越えてきた。それはみんなの力があったからだ。・・・中島、お前の力もな。」
その言葉に中島は目を細める。
「さっきも言ったとおり俺は馬鹿だ、だからわからないことだらけだ。だがこれだけはど~してもわかっちまうんだよ。今、目の前にいるのは今までの最高の仲間だった中島。そしてこれからも・・・だ。そうだろ?」
「そうだっぺな、桶狭間の小さい脳にしてはよ~くポイントを抑えられてると思うっぺ。」
2人は深々と頷く。
「・・・だからお前にはこの言葉を言っておく。”1人はみんなのために、みんなは1人のために”。たとえ俺たち2人がお前を連れ戻すのに失敗しても次は絆同盟全員で連れ戻してやる。俺たちは絶対諦めない、お前を連れ戻してみせる。・・・だから「”首を洗って待ってやがれ”」。」
その言葉は絆同盟の意志の強さだ。
・・・帝国主義打倒という考え方以前の仲間を想う強い想い。
「さぁ、ボケ狭間、いっちょ暴れるっぺよ?」
「だな。あのアホ女を連れ戻すぜ。」
中島は2人の諦めないという意志の強さを改めて実感していた。
「・・・一騎打ちに邪魔はさせません。鷹村くん?」
「わかってます。」
鷹村と伝達部の生徒が前に出る。
「・・・行けよ、ボケ狭間。」
「・・・いいのか?」
「今更なんだっぺ?中島が勝負をつけたがってるのはお前だ。・・・リーダーとしての勤めをここで果たすんだ、わかったっぺか?」
それは一騎打ちをする、というリーダーの務め。
そして中島を連れ戻す、というリーダーの務め。
2つの意味をこめての言葉だ。
「雑魚を全員眠らせたら俺も援軍に行くっぺ。」
「・・・わかった。」
すると桶狭間はゆっくりと歩き出し、伝達部の生徒が道をあける。
(まかせたっぺよ、桶狭間。)
関ヶ原は桶狭間の後姿をみて、微笑んだ。
そして、今度は伝達部の生徒たちをみて、にらむ。
「さぁ・・・かかってこい!人騙し生徒会!!」
桶狭間は中島の前にまでやってきていた。
「・・・さぁ、始めましょうか、絆同盟のリーダーさん。」
その言葉と同時に、鷹村と伝達部の生徒も関ヶ原目掛けて走り出した。
体育館では山崎が竹刀の先を天井に向けていた。
今にも彼らはこちらに突撃をしてきそうな姿勢だった。
「どうすれば・・・」そう考えても良い案は見つかってこない。
そしてついに生徒会が突撃を始める。
「突撃!!!」
「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
山崎の大声、そして竹刀を一気に振り下ろし全校生徒に向けた。
それと同時に全校生徒を囲んでいた警備部の生徒たちが一斉に走り出す。
(・・・もう無理か・・・)
彼らは走り出してしまった。
もう間に合わない。
後ろでは全校生徒たちがどうすればいいかわからなくてざわざわとしている。
すでに軽い混乱が起こっているようだった。
体育館中が混乱に陥ろうとしたとき・・・
「るっさいって~の!!!」
・・・どこかできいたことのある台詞が後ろから生徒会の突撃の声・・・
ましてや皆の混乱の声をぶち抜いて、体育館中に響き渡った。
「!?」
その言葉で、体育館はまるで時間がとまってしまったかのように静かになった。
あたり一面が静まり返った。
後ろを向いてみれば、耳をふさいでいる将軍と・・・
拡声器を持っている女が1人。
・・・なぜあいつに拡声器をもたせたし・・・
な~んてことも思うが、とりあえず危機は回避できたようだった。
生徒会の連中はもちろん・・・
普段おしとやかで静かで勉学優秀で・・・
と、見た目はほぼ完璧に見える女性がこんなにも大声をだした事で目を丸くしていた。
「・・・やっと静かになったわね。ちっちゃいことで騒いでんじゃないわよ、腰抜け。」
・・・うわ~、お前何があったよ・・・
とまわりの誰もが思っているだろう、この光景。
しかしながら、僕からすればごく日常のことでございまして驚く要素はまったくありませんのです。
ま、強いて言えばこの場でまさか本性をだすとは思わなかった・・・
ということぐらいか。
しかしながら、これはちっちゃいことではないと思うんだが・・・
「ちょっとあんた!」
「・・・?」
「そう、あんたよ、あんた!!」
拡声器をもっている女性、卯月咲良は・・・
山崎に指をさしてにらむ。
・・・人に指をさすなってあれほどいったのに・・・
「バッッッッッカじゃないの!?」
ものすごくためたな、おい。
「なぁ~にが”犠牲が必要”よ?それ、何年前の考え方?頭大丈夫?あんた何時代の人?病院いけば?」
・・・なにこの「ずっと俺のターン」的ノリは・・・
「貴様、女だと思って容赦されると思うなよ!!」
と山崎も我に返ったのか・・・
反論をした。
「別に容赦しなくてもいいわよ?どうせ星矢を盾にするし。」
・・・え?
・・・やめてくれよ、怖ぇよ、あの女。
「権力のために犠牲をだす、なんて馬鹿らしいと思わないの?」
「何もしらないくせに知ったようなことを言うな!!」
生徒会警備部の皆はどうすればいいのかわからず、戸惑っている。
「何も知らないってそれ、”生徒会の誇り”とやら?」
「それもある。」
「確かに誇りは大切かもしれないわ。・・・けどね、時にそんなもの捨てないとやっていけないときがあるってまだ気づかないわけ?」
その言葉に山崎も警備部の皆も目を細める。
「私なんて毎日星矢にプライドをズタズタにされるのよ!?」
えぇ~!?
なに、その人聞きの悪い台詞。
しかも今の言葉で後ろの全校生徒からものすご~い目つきで見られた気がするんだ・・・
「卯月さんになんてことしてくれてるんじゃい、ゴルァ!!」みたいな感じの視線を感じた気がする。
・・・気のせいだよね?
気のせいと信じたい。
「それでも私にとって星矢は特別な存在。だから一緒にいる。・・・あんたたち生徒会にだって似たようなことがあるんじゃないの?あんたたちは今、”誇りは汚されたくない、権力を失うのは誇りを汚されるのと一緒、だけど学校をより良い道に進めたい”、そう思ってるんじゃないの?」
その言葉に警備部の皆の態度がかわった。
「・・・なぜそう思う?」
山崎は今までで一番冷静な言葉遣いで咲良に向かってきいた。
「だって・・・生徒会に入るときは誰だってこの学校をより良い道に進めたい、って志をもって入ってるんでしょ?」
「!!」
そう、生徒会になれるのは1年生のときのみ。
それからはずっと継続されるため、途中参加などできない。
それにうちの高校は生徒会は推薦は行っておらず、すべて自主制だった。
生徒会決めは1年生の入学したてのときに行われるため・・・
まさかこの高校が「帝国主義」に染まっているなどとは誰も思わないだろう。
つまり生徒会に入りたてのころは誰もが咲良のいったような考え方をもっていた、ということだ。
「人の想いなんてそう簡単にかえられないわ。」
「・・・」
咲良の言葉に完全に退きをとる山崎。
その姿をみて、警備部の皆もさらに戸惑う。
「だから・・・そんな良い考え方をしている人が自らの目標である私たちを傷つけるなんて悲しすぎる。・・・お願いだからやめて。」
場は静まり返る。
しかしまだ足りていない。
・・・もっと問いかけ・訴え・皆の願いが必要だ。
「僕からもお願いする。・・・人を傷つける行動自体が生徒会の行いなんかじゃない。」
僕も山崎にお願いをする。
これできいてもらえればいい・・・
「そうだ、人を傷つけて何になる!!」
「より良い方向に進めるのに、人を傷つけたら何にも意味がないだろう!!」
「そうだそうだ!!」
全校生徒たちも同意を始める。
・・・できれば生徒会に「やめてほしい」とお願いしてもらいたかったが・・・
ま、これはこれで良いのだろうか。
「俺は卯月に賛成だぞ!!」
・・・あの~、僕は?
僕の考えはあっさりと抹消されているようです・・・
「卯月、いいぞ~!!」
「うぉ~!!」
うぉ~、じゃねぇよ。
卯月、いいぞ~、じゃねぇよ。
・・・本性をだして人気が落ちたかのように思えた卯月さんは、あえてまさかの人気向上となりそうです。
思うんだけどそれって僕、全校生徒から敵視させそうで怖いんだな~・・・
人気があがれば上がるほど、僕への敵視は強くなりそうです。
・・・ま、咲良の人気があがる、ということに関しては素直に喜んであげたいのだが。
しかしこれは完全にこちらのペースだ。
皆が生徒会を押している。
だが・・・
生徒会はここでも折れなかった。
「黙れッ!!!」
山崎の大声で、警備部の皆も再び前を見る。
「この勝負・・・どうしても負けるわけにはいかないんだ!!」
山崎はただただ力をこめて言う。
「たとえ俺たちが全滅し・・・お前らが傷ついても、生徒会は必ず今後良い方向に事を進める。」
そんな言葉、信用できない。
それはここにいる生徒全員の総意だろう。
「皆、相手のペースにのせられるな!!生徒会は絶対正義、そうだろ?」
「おぉ!!!」
消えかけていた生徒会警備部の戦意は再び燃え上がってしまった。
咲良は頑張ってくれた・・・
だがこれでも生徒会の戦意は失われなかった。
・・・もう打つ手がない。
もうどうすることもできない。
「ここで諦めれば生徒会の誇り以前に“警備部の誇り”が穢れる。」
それは相変わらずここにいる警備部生徒たちの心を締め付ける言葉。
この言葉によって警備部の生徒たちはより戦意を増加させる。
「生徒会存続のため、いざ進め!!!」
山崎の言葉が体育館中に轟いた。
そして再び警備部は進み始める。
「決戦(Ⅳ)」 完
遅刻しちまったぜ☆初詣
参加者→十六夜、卯月、五月雨、桶狭間、川口、長篠
※注:新年早々東方関連が多いです。東方が苦手な方たちは読むのを控えることをオススメします。
十「おぉ~、みんな~、あけましておめでと~!!」
長「・・・念のためきくが、今日何日だと思う?」
五「それ、俺もびっくり!なんと2日だったという奇跡☆」
川口「奇跡でもなんでもねぇだろ。単なるお前らの遅刻だ。」
卯「実際ホントに知らなかったのよ!目が覚めてみれば2日だったんだから!!」
川口「寝正月か。」
卯「そうじゃないの!」
桶「てか、俺ら31日に何してたんだっけ?」
十「さぁ?」
卯「どうだっけかしら?」
五「( ゜Д゜)...」
川口(それって・・・もしかしてアレが原因?)
長「わからないだろうが謝っておく。悪かった。」
十「?」
卯「・・・」
五「( ´▽` )」
桶「ま、ちょっと遅いが初詣にいこうぜ!」
十「そうしようか。」
・・・そして・・・
川口「・・・意外と人いるな。」
卯「やっぱり昨日こなかった人とかもいるのかしらね?」
十「みんな、鳥居をくぐる時からすでに戦いは始まっているんだ!!ほしがりません、勝つまでは!!」
桶「・・・何に勝つつもりだよ・・・」
卯「でも確かにその通りね、ほら、みんな服装を整えて!!」
五「キリッ!!」
卯「姿勢を良くして!」
五「ノシッ!!」
卯「これでOK?」
五「パンパカパーンッ!!」
十(BGM・・・というかなんといおうか・・・とりあえず邪魔くせぇ~・・・)
川口「よし行こう!」
・・・そして・・・
五「お、桶狭間。甘酒があるぞ?」
桶「うおっ!?酒だ、酒!!」
十「・・・お前いくつだよ?」
卯「どうみても飲んだ暮れね。45歳といったところかしら?」
十「45歳の方々、すみません。」
五「皆さん、お酒は18歳からです。みんなは真似しないでネ!!」
川口(こいつは・・・ちなみに甘酒は酒ではない。米からつくれれた自然飲料だ!)
五(これで読者には”良い子”イメージがついたはず!新年から好感度アップ。すべては・・・計画通り(ニヤッ )
長(残念な子だ・・・考えていることもバレると忘れてるな。)
十「で?桶狭間、ホントに呑むのか?」
桶「当たり前だろッ!呑むぜ呑むぜ呑むぜ!!」
五「俺も萃香(東方登場人物)となら呑んだのに。」
十「萃香の場合全部呑みそうだからダメ。」
五「なん・・・だと!?幼女が酒を呑んじゃダメだと言うのか!!」
長「当たり前だ。」
川口「当たり前だろ。」
十(お前・・・さっき自分でいってたじゃん・・・)
卯「・・・ふぅ。温まるわ。」
十「ってお前、何さりげなく呑んでんだよッ!!」
卯「甘酒ってお酒って名前がついてるけど、お酒じゃないもの。未成年者も飲んでも大丈夫なのよ。あ、でもこの甘酒、アルコールが少し入ってr・・・」
桶「俺も呑むぜ!!(ゴクッ)」
十「どうだ、満足したか?」
桶「まだだ!!まだ俺の乾きは癒せん!もっとだ、もっと呑むぞッ!!(ゴクッゴクッゴクッ・・・)」
バタッ
十「・・・言わんこっちゃない。」
卯「甘酒ってアルコールが入ってないのもあるけど、ここのは入ってたみたいね。」
川口(アルコールに弱すぎだろ・・・)
五「呑んだ暮れ狭間w」
十「無理やりだな。」
卯(ボケ、棺桶の次は呑んだ暮れか・・・相変わらず悲しいわね。)
十「新年の最初なんだからしっかりしようぜ!」
五「(´・д・`)」
十「嫌そうな顔するな!!」
五「って言われてるぞ、呑んだ暮れ狭間!!」
桶「・・・俺かよ?」
長(いつの間に復活したし・・・てか、自覚してたんだな。)
十「次は境内の手水舎で、身を清める番だな。」
卯「まず右手で柄杓をもって左手から清めるのよ?その次に右手。そしたらまた持ち替えて左手の手のひらに水をうけて口をすすぐのよ?その後左手を清めて最後に柄杓を縦にして自分が持ったところを水で流して元の場所に戻す。これが手順よ。」
桶「えと右手が左手で、口が水をあけて・・・」
川口(・・・だめだこりゃぁ・・・)
五「よし、⑨なお前でもわかるように簡単に説明しよう!」
桶「誰が馬鹿だッ!?・・・でもきく。」
五「会釈に口をつけるな、以上!」
卯「柄杓ね。」
五「ハッハッハッ、みょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんッ!!!」
十(久々だな、ごまかし技・・・)
卯「それ、前にもやってなかった?」
五「あれは「ちぇん」だぜ。」
卯「・・・とりあえず叫べばOK、って考えてない?」
五「ソンナコトカンガエテナイナイネー。」
十「読みにくッ!」
川口「ちなみに舟幽霊がでたとき、そこの抜けた柄杓を渡すと助かるらしい。」
長「柄杓関連なら北斗七星は7つの星が柄杓状に並んでいることから呼ばれているってのは聞いたことがあるな。」
十「お前ら、相変わらずの知識だな。」
五「北斗七星龍ジークアポロドラゴンッ!!」
十「・・・お前のもある意味・・・認めたくないが知識だな。」
卯「さて、清めるわよ。」
・・・そして・・・
川口「よし、お参りにいこうぜ!!」
五「お賽銭♥ちょうだい☆」
十「絶対言うと思った・・・」
五「(´・ω・`)」
十「フッ、お前の行動パターンはすべて読みきってるんだぜッ!!」
五「ファイナルマスタースパークッ!!!」
十「ぎゃぁ!」
長「・・・ダメだ、こいつら・・・」
卯「馬鹿はほっておいて行くわよ。」
長「そうだな。」
卯「さっ、ちゃんと姿勢を正して!」
五「ノシッ!」
十「もうええわッ!!」
卯「お賽銭を入れて・・・」
五「お賽銭♥ちょうだい☆」
十「だからもうええわッ!!」
卯「その後は・・・」
桶「ニ礼二拍手一礼の作法だぞ、みんな!」
十「・・・誰だお前?」
桶「それぐらい俺でも知っとるわ!!」
卯「さて、じゃぁ行くわよ。」
一同(1年間お世話になりました。ありがとうございました。今年こそは・・・)
十(平和でありますように。・・・僕は平和以外何も望みません!)
卯(星矢が振り向いてくれますように。あとみんなと仲良くいられますように。)
長(何事にも進歩ができますように。より多くの知識がつきますように。)
川口(生徒会がより良い方向に進みますように。そして今とは違った意味で誇れる生徒会になりますように。)
桶(彼女祈願!彼女祈願!!彼女祈願!!!)
五(東方旋風!!!)
・・・そして・・・
十「古いお札やお守りを奉納したし、新しいのも買ったし、一通りすんだかな?」
桶「まだだ!まだ終わってない!!」
五「オセロット!?」
十「・・・お前ら、もういいから。」
桶「実際まだやっていないことがある!」
十「それは?」
桶「おみくじだ、おみくじ!今年を占う大事なものだぞ。」
卯「あ~、それなら小吉だったわね。何事も努力次第、って書いてあったわ。」
五「そーなのかー。」
十「へぇ~って、ちゃっかりなにやってんだよッ!?」
卯「おみくじ。」
十「そうじゃねぇ~!!」
桶「バカップルはほっておいて、くじひきにいこうぜ。」
五「そうだな、行くか。知ってるかー?ここのおみくじは同じ運のやつだとしても書いてあることが全部違うんだぜ!」
川口「そりゃ楽しみだな。」
・・・そして・・・
川口「どうだった?」
十「僕、凶だよ・・・あとで結んでこないと。」
長「俺は無難に中吉。」
十「いいじゃねぇか!で、川口は?」
川口「今年はいい年になるみたいだ。大吉だった。」
十「おぉ!!なんて書いてあった?」
川口「”物事はあなたの望んでいる方向に進むでしょう。さらにあなたの努力次第により良くなるでしょう。”」
十「お前、神だったのかッ!?」
川口「いや、俺が望むことはただ1つ!生徒会がよりよくなることだけだッ!」
十「・・・叶うといいな。」
川口「あぁ。」
桶「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!なんで今年もこれなんだッ!?」
十「・・・お前はどうしたよ?」
卯「なに絶叫してんのよ・・・?」
桶「今年も”大凶”をひいてしまった!!去年も大凶だったのに!!」
五「お前、ある意味すげぇなw」
桶「笑うな、他人事だと思って!」
十「・・・運が悪かったんだな。」
桶「チクショウ、すぐ結んできてやる!」
十「・・・結局大吉は川口だけか。」
卯「そういえば五月雨はどうだったの?」
五「そ・それが・・・」
卯「どれどれ・・・”今年はあなたにとって素晴らしい年になるでしょう”・・・って、これ・・・大吉じゃない!!」
五「みたい・・・だな。」
十「なんで目をそらすんだ?・・・ん、まだ続きがあるな。」
卯「え~と、”自分が信じるものはたとえ何があっても強く信じきりましょう、必ず良いことが起こるでしょう。分野的には特に恋愛に強い期待あり。”」
十「なん・・・だと!?」
桶「って、なんでお前なんだよッ!!」
五「俺が信じるもの、それは東方のみ!!恋愛に期待あり・・・ということは俺も嫁のところまでいけるということか。つまり・・・もう長くない、ということだな。」
川口(なんか妙につじつまが合うな・・・しかもヘビも食べたし。)
十「死ぬな、五月雨ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
五「俺も・・・これでやっと・・・嫁のところへいける・・・」
卯「・・・盛り上がってるところ悪いけど、これはおみくじよ?占いでしかないのよ?」
十「そうでした!」
五「そうでした☆」
長「・・・お前ら・・・」
川口「さて、帰るか。」
帰り道・・・
十「で、このあとみんなはどうするんだ?」
卯「私は家の整理かな。」
十「・・・あれだけ広いと大変だろうに。」
卯「そうね、でも大掃除はもうしてあるから大丈夫。あとは虎から兔にかわったから、そういうのを取り替えたりするだけ。」
十「今年はウサギだもんな。桶狭間は?」
桶「寝る!!」
十「・・・あっそ。」
五「反応が冷たいw」
十「だって・・・ねぇ?」
五「www」
十「将軍は?」
長「う~む、俺もこの後の予定はあまりないからな。妹の遊びに付き合うか。」
桶(将軍って妹がいたのかッ!)
十「遊びって?」
長「羽根つき、凧あげ、福笑い、百人一首あたりか。」
十「最後のはレベルが高ぇな、おい!」
長「俺はまだ半分も覚えていないのに妹は全部覚えてる。・・・勝ち目なんてねぇよな。」
十「妹すごッ!!」
五(天才の妹はやはり天才だったw)
十「川口は?」
川口「まだ年賀状を書き終わってないからな。それを書いて出さないと。」
十「お前、何通ぐらいだしてるの?」
川口「う~ん、小中高の友達や先輩、それと生徒会の先輩もあるから200通ぐらいか。」
十「・・・」
卯「そんなにあれば機械から作って量産しちゃえばいいのに。」
十(卯月社は大企業だから出すところもたくさんあるんだろうな。)
川口「いや、1人1人書きたいことは別々だからな。ちゃんとお前らにも送っておいたぞ。みんなは?」
十「僕もみんなに送ったぜ!事前に確認しておいたもんな。出し忘れもないと思うぜ。」
卯「私を誰だと思ってるの?送ったに決まってるでしょ?しかもちゃんと1枚1枚書いたのよ?」
桶「いくら馬鹿の俺でもさすがにこれはだすぜ。今年は結構量が多かったから大変だったな。」
五「結構長く書いちまったな、そういえば。一言にまとめるべきだったか、と後悔中w」
川口(一斉にしゃべらなくても・・・誰がなんていってるかわからなかった・・・)
十「五月雨はこの後、何するんだ?」
五「東方をやる!」
十「・・・新年早々?」
五「これも東方厨を目指す上で捨てられぬ行事なのだ!」
十「相変わらずの信者っぷりだな。」
五「俺はまだまだ信者とも呼ばれる資格がない男だ。まだまだ修行が足りん。」
十(東方業界って厳しいんだな・・・)
卯「で?星矢は?」
十「僕は自分の部屋の掃除をしなくちゃ。」
川口「まだやってなかったのか?」
十「まぁ・・・後で後でって引き伸ばしてたらこうなったという・・・」
五「昔誰かがいった!「”明日やる”はブラックホールだ」と。」
十「・・・誰だよ・・・」
桶(こいつ確実に今、考えただろ・・・)
長(ある意味あたっているかもしれない。)
桶「しかし卯月とは正反対だな。・・・結婚したらちょうど良くなるんじゃないか?」
十「何いってんだよ・・・」
卯「そうよそうよ!!」
桶「こうやって否定するところは息がピッタリあってるぞ。」
十「あってない!」
卯「あってない!」
五「昔誰かが言った!」
十(お、救いの手か!?助けてくれ、親友!!)
五「「お前らもう結婚しろw」と。」
十「・・・」
桶「立会人は俺がやろうじゃないか!」
十(こうなったら無視するしかない!)
川口「・・・つまりこの後、皆もいろいろやることがあるってわけだな。」
五「そういうことになるな。新年早々忙しいなw」
桶「新年早々熱いのもいるけどな。・・・羨ましい!チクショウ!!」
五「諦めろ、大凶w」
桶「お前はいいよな、大吉で!チクショウ!!」
川口「おっと、別れ道だな。」
卯「ここで解散ね。読者の皆様、ありがとうございました。」
十「お疲れ様でした。」
「遅刻しちまったぜ☆初詣」 完
今日の反省。
まず遅刻。
それが一番まずかったね・・・
おまけの題名は軽いですが、個人的にはなかなかショック。
今回も反省点は言い出したらキリがありませんね。
結論「新年早々やっちまったな・・・」