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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
6/79

連打

あれから卯月という、美人・・・らしい女性は何度か僕のところへやってくる。

そのたびにボケ・・・

いや、失礼、かみました。


「いや、わざとだ!」

「かみまひた。」

「わざとじゃない!!」

「・・・って、五月雨・・・お前・・・」

「いやぁ、こういうノリもできるんだねぇ・・・」


こいつの名前は五月雨 時雨。

俺の一番の親友・・・のはずなのだが・・・


「あの・・・十六夜くん、いますか?」

「卯月さん!?」


まずい展開になった。

が!!

あいにくここには「桶狭間」はいない!

あの裏切り者がいなければ逃げ切れる!


「お~い、ボケ狭間。卯月さんがきたぞ~!」

「うわっ、ば・馬鹿!五月雨、なんてことを!!」


すると向こうから猛スピードでやってくる男が一人。


「女性を求めて3千里!こよなく女性を愛する、女性の味方!その名は・・・」

「ボケ狭間。」

「だぁ~!!五月雨!決めポーズをとる前に、禁句をいうんじゃねぇ!」

「まぁ、気にするな。」


なんて話をしている。

よし、このうちに逃げたほうがいいかな?

逃げたほうがいいよね?

・・・逃げよう!


すると毎度のごとく、腕をガシッとつかまれる。


「・・・桶狭間、お前・・・なにしてる?」

「うん?なぁ~んにも?」

「・・・だったら、この手を放せ!!」


といっても、「自称女性の味方」が放してくれるわけもなく・・・


またもや連行である。


今までにこういうことがすでに10回は起きている。

・・・いや、盛ったか・・・

5回に訂正しておこう。


毎回のごとく、告白されるも、答えをかえる予定はない。


今までどおり、楽しければいい。

平和な時間がすごせればいい。

自由な時間をすごしていたい。


だが、卯月さんも諦めてくれる様子もなさそうである。


そういえば、一撃ヒットで倒せないなら、連打あるのみ・・・

って、前原圭一が皆殺し編にていっていたような・・・


フッフッフッ!

なるほど、わかったぞ!

相手が連打を仕掛けてくるのであれば、こっちも連打しかえせばいいんだ!!


いや、久々に僕ってさえてるなぁ~!


なんて授業中にもかかわらず思ってしまう。

すると、攻略法を見つけたかのごとく、ニヤリとしてしまう・・・


「ねぇ・・・十六夜くん、笑ってるよ?」

「卯月さんに追われすぎて精神的に狂っちゃったんじゃない?」

「・・・お気の毒に。」


なんて後ろで声がきこえる。


「だぁ~!僕はいけれてなんてない!!」


なんて大声でいうと、皆からの注目の的である。

これを見て、「桶狭間」と「関ヶ原」、それに「五月雨」が笑いをこらえているのが、憎らしくなってくる。


「ほぅ、いかれていない・・・か。じゃぁ、十六夜、この問題を解いてみろ。」

「え!?先生、そのノリはおかしくないですか?」

「なにをいっているんだ!さぁ、解け!」


かぁ~・・・

なんとも悲しい・・・


今は数学の時間。

数学とか、僕の一番苦手な教科じゃないかぁ~!!


しかも黒板の上のほうに小さく「応用」と書いてある。

先生、僕をだましきれると思ったか!


・・・なんて思っている暇はない。

前には謎な式がある。


「え・え~と・・・ですねぇ・・・」


パニック感MAXである。

なんで僕が・・・


「おい、先公、その答え・・・25√3。」


すると、長篠が珍しく答えた。


「ほぅ?長篠、お前もやればできるじゃないか。」

「・・・」

「十六夜、お前も長篠を見習って勉強しておけよ。座っていいぞ。」


・・・もしかして助けてくれた?

・・・あとで感謝しておけなければ。


それはそうと・・・

後ろで長篠が答えた後、「チッ」と舌打ちをした桶狭間め・・・

僕の耳はちゃんときこえているのだぞ!

あとで覚えていろよぉ~!!




それから授業が終わり、休み時間になった。

とりあえず長篠に感謝し、桶狭間に仕返しをしておいた。


「・・・あの・・・十六夜くん。」


ソッと肩を触れられる。


その声、その言葉、そのしぐさは!!


「う・卯月さん・・・」

「・・・あの・・・少しお話しませんか?」

「え?」



今日は強引につれていかないんだな・・・

と少し卯月さんに感謝する。


・・・いや、待て。

「なんで僕が」彼女に感謝しなければならない!?


・・・まぁ、いいか。


いつもは体育館裏と決まっているのに、今日は廊下である。


とりあえず廊下を並んで歩く。

・・・この言い回しに「なんだ、ラブラブじゃん」とか思った人。

決してラブラブではない。

というか僕はつき合わされているだけなんだ・・・

そこを理解してくれ!



「・・・あの・・・さ。」

「ん?なんだい?」

「・・・え~と・・・」


なんだかいいにくそうである。


「・・・明日、1日でいいか・・・その・・・」

「?」

「・・・私のボディーガードになってほしいの。」

「・・・はぁ!?」



今、なんていった?

ボディーガード?

・・・ちょっ、ちょっと待て!

僕はボディガードになんてぜんぜん向いていないぞ!?

筋力はないし、球技だってぜんぜんできない。

なのに・・・


「なんで・・・僕なの?」

「・・・その・・・頼れそうだから。」

「ちょっと待って!僕が頼れそう?筋力だってないし、球技音痴の僕が?」

「そうじゃないの・・・優しいから。・・・引き受けてくれそうだし・・・そういう意味で頼りになるから・・・」


こいつ・・・

今、さりげなく、僕が筋力がなくて球技音痴で、頼りにならないって認めたよな?

・・・まぁ、いいか。


「・・・でも・・・」

「お金はちゃんと出す!」

「そういう意味じゃなくて・・・」

「お願い!」


普段なら速攻で断るだろう。

だが、ここは体育館裏じゃない上に、廊下だ。


ここで無理に断って、泣かれた日には、僕に明日は訪れないような気がしてならない。


しかも後ろから3つの影がのぞいているとなればなおさらだ。


くっ、廊下ってのは嫌なものだ。

そう、初めて思った瞬間だった。


「・・・」


どうする?どうする僕!?


「・・・わかったよ・・・」

「本当に!?ありがとう!」


・・・負けた・・・

完全なる敗北。

あっちの戦略を甘く見すぎた結果ともいえる気がする。



そんなわけで明日は土曜日。

フリーな1日を費やしてのボディーガードということになりそうだ。

そんな不運な僕は明日、午前6時に彼女の家に集合となった。


・・・てか、今、気づいたが彼女の家ってどこだよ!?


なんだか明日はいろんな意味で僕が崩壊するような気がしてならない。


明日が不安である。



僕はまだ知らなかったんだ。

この「ボディーガード」を「する」という選択肢を選んだことによって、新たに僕の高校生活を変化させる第一歩を進むのということになるのだから。


                   

                             「連打」  完


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