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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
46/79

感謝

再び総勢36名のB組同盟および絆同盟の連合同盟は職員室前を歩く。

だが目的地はここではない。

その隣・・・

「校長室」だ。


校長室は前に話し合ったところだ。

そのときから、ここの教師たちの意見はかわっていない。

かえようとすらしない。



「失礼します。」


今度は職員室のように乱暴には入らない。


え?

なんで校長室に用があるか?


それは・・・

「剣の舞」作戦の下準備である。




これは先ほどの廊下でのこと・・・



「・・・で?「剣の舞」ってどういう作戦だよ?」

「「ガイーヌ」の最終幕で使われる曲の名前ね。」


咲良がいう。

またよくわからないことを・・・



「ガイーヌってなんだ?」

「バレエよ。」


・・・興味ねぇ~・・・少なくても僕は。


てか、相変わらず「無駄」に知識があるな。



「で?その作戦とやらは?」

「まぁ、簡単にいれば「指揮官討伐作戦」だ。」


なんともおっかない言い方だ。

「討伐」って・・・

殺すんじゃないんだから・・・




「俺はさっき退いた。そしたら・・・お前らはどうなったっけ?」


桶狭間は言う。

こいつ・・・ふざけてるのか?



「そりゃぁ混乱したさ。・・・まさか・・・」

「そうだ。指揮官を失えばどんなに完璧な陣営でも必ず割れ目ができる。」


将軍はいつものように言う。


なるほど・・・

難攻不落の大要塞を攻略するには、証明からの力押しだと被害がでかい。

だから奇襲部隊を組織して、要塞の重要部分・・・

まぁ、石油プラントでも、指揮所でもなんでもいい。

そこを奇襲すれば、相手は混乱する。

その混乱に乗じて、主力部隊を突入させれば被害は少なくてすむ・・・

ということか。



「あれだけの規模なら確実に指揮をとっているリーダーがいるはずだ。」


いわばアクションゲームでいう・・・

「雑魚は無視して、ボスのみつぶす」という最速攻略だな。


・・・まぁ、このことは言わないことにしておこう。

何しろ、時津風は最速攻略という言葉があまり好きじゃないみたいだからな。




「リーダーのみを説得すれば・・・おそらく相手の陣形は崩れる。」

「現に俺たちがそうだったからな。」



桶狭間・・・

お前はそれを実証するためも含めて撤退したのか?



「でも・・・相手のリーダーって・・・」


学年主任?

教活主任?

教頭?


・・・いったい誰だ?



「それをきくためにこれから行くんじゃないか。」

「どこへ?」

「・・・へへっ・・・校長室だ。」



校長室・・・

すなわち、校長にきけばある程度の情報は手に入る。


今の時代は情報戦ってか・・・



そして今にいたるわけだが・・・


「やはりきたかね。」


校長には見透かされていたようだ。



「あまりにお前らが切り上げが早かったから絶対くると思ったぞ。」


桐山も言う。

僕たちの考えは見え見えということか・・・




「で?何を聞きたいんだね?可能な範囲なら答えよう。」

「次のテストの問題はなんで・・・」


桶狭間がそんなふざけたジョークを言おうとした瞬間に、バキッという音が響いた。

お~・・・痛そう・・・


まぁ、このピンチでそんなふざけたことをいったお前が悪い。



「じゃなくて・・・痛ぇ・・・」


桶狭間は少しふらついている。

まぁ・・・あれを食らえば当たり前・・・か。




「なぁ・・・帝国主義賛成派の教師どものリーダーってのは誰だ?」

「ふむ・・・」


教頭か?

それとも教活主任か?



「おそらく一番推奨しているのは学年主任だろう。」

「・・・あいつか。」



前の校長室会議でも、やたらに帝国主義にこだわってた・・・

僕たちの意見をすべて否定した・・・

あの学年主任か。



だが・・・

それはおかしくないか?

学年主任より、教活主任。

教活主任より教頭。

という感じで偉さがあるわけだが・・・

教活主任や教頭ならまだしも・・・

学年主任だなんて・・・




「教活主任じゃないんですか?」

「彼と学年主任はもともと大学が同じだったらしくな。なんでも彼は学年主任に借りがあるらしい。」



おいおい・・・

てことは、教活主任はただ協力してるだけ?



「学年主任は3年前にこの高校にきた。彼の帝国主義への気合はかなりのものだった。彼がきてから・・・より強くなったからな。」

「・・・」



中心人物は学年主任。

となれば・・・次の説得相手は彼となるわけだ。




「教頭は?」

「わしゃぁ、中立じゃよ。」


すると教頭が歩いてきた。


・・・いつからここにいたんだ?




「わしゃぁ、どちらでもよい。帝国主義だろうが民主主義だろうが、「主義」にとらわれない学校だろうが。わしゃぁ、単にその場に適応するまでのことよ。」



おい、教頭・・・

教頭がそんなんでいいのか?



「だからわしゃぁ、どちらにも平等にかかわる。それだけじゃ。」

「中立・・・か。」


まぁ、世界でいうなら・・・

永久中立国である「スイス」みたいな感じだ。




「だがな、少年・少女たちよ。ここで折れちゃいかん。物事というのは苦難があってこそ成り立つものじゃ。」



「少年よ、大志をいだけ」とはよくいったものだ。

クラーク博士、あんたはすばらしいことをいったよ!



「特に男性諸君。男には覚悟と決断、そして何事にも折れないハートが必要じゃ。」



わかってるさ。

みな、もう覚悟も決断も・・・

そして諦める予定もない。




「・・・ところで、なんで学年主任はそんなに帝国主義をおすんだ?」

「それはわからん。」



少将さまの生まれ変わり・・・

とかじゃないよな??


少将さま、奇跡の転生☆


・・・とかなったらいやだな・・・



「私と桐山先生はほかの先生たちの説得を続ける。きみたちは・・・」

「学年主任を説得します。」


少将の生まれ変わり疑惑・・・

僕たちはお前を説得してみせる。

たとえ、戦艦や空母をだしてきても、僕たちはひるまない。




「うむ。なら・・・朝学活が終わったあとに会議室で話し合いの場を設けよう。」

「お願いします。」



剣なら、剣先を破壊すれば使い物にならない。

獣なら、牙を砕けば何もできない。

軍隊なら、指揮官を失えば行動力が激減する。


絆同盟とB組のみなが、帝国主義賛成派の牙(指揮官)を破壊(説得)する。

帝国主義の考えを破壊する「剣」となる。


みなが一丸となって、舞う。


それが・・・「剣の舞」の由来だ。






その後、教室に戻った。




「学年主任はなかなか考えをかえない人だぞ。・・・どうする気だ?」


川口が言う。



「どうするもなにも・・・気合だ。」



よくもまぁ、そんなんで第1戦を捨てたもんだ。

まぁ、あのまま第1戦を続けているよりはよかったが・・・



「気合って・・・」

「まぁ、桶狭間らしいじゃねぇか。」


時津風が微笑む。



「そうですね。いつもどおりですね。」

「別に最終日だから特別なことをしなければいけない・・・ということはないしな。」


ちなみに今日が最終日なわけではないが・・・

チャンス的には今日が最終日だから、川中は今、最終日といった。


どこかの誰かはきっと突っ込むぞ・・・



「ねぇ?今日って最終日だっけ?」



ほら・・・な?



「ハハッ、卯月ちゃんらしい。」

「あぁ。」



とみなが笑う。


うん・・・たしかに咲良らしい。

なんか普段は結構敏感なのに、なぜこういうときはこうも鈍感なのだろう・・・

というか、空気が読めない?

・・・「KY」じゃん!!




「な・なにがおかしいのよ!?」

「なんで僕にいうんだよ・・・」


咲良の攻撃目標はなぜいつも僕なのだろうか・・・



「教えなさい!」

「やなこった。」


あ~・・・

咲良の視線がいたい。

だが!!

これも咲良自らで気づかなければ意味がないんだ!

僕はお前のことを思って、言いたいけど言わないんだ!!(実際は単に面倒なだけ)




「ほぅ?いいのだな?」



でたな・・・

脅迫モード。

悪いが咲良・・・お前の脅しなど怖くは・・・




「火龍と霧雨を使ってボコボコに・・・」



怖くなんて・・・

な・・・んて・・・



「え~と、携帯は・・・あったあった・・・」


なくない!!



「わ~!!なんでもいいますよ?だからその携帯をおろして・・・ね?」

「わかればいい。」



・・・とんだ脅迫魔がいたもんだ。

ちなみに「火龍」と「霧雨」というのは、彼女の家のボディーガードだ。


前々に結構汚い仕事もするとか・・・

そんなやつらのボコボコってそうとうなレベルなんじゃ?


・・・怖ッ!!




「ん?先生がきたか・・・」


朝学活の始まりである。

先生がくると同時にチャイムがなった。


いや、チャイムが鳴ったと同時に先生がきた・・・

のほうが正しいだろう。




「諸君、今日が最終日ときく。存分に奮闘してくれたまえ。だが・・・喧嘩はするなよ?」

「うぃ~ッス。」



このクラスには男子と女子の比率は3:2。

若干男子のほうが多いが・・・

女子もいる。


うちの女子はグループが多く、あまりみなで活動しようということはここ2ヶ月なかったが・・・

今は「B組同盟」として1つのことをやりとげようとしている。




「なぁに、絆同盟だけはやめさせませんよ。」

「援護しまくるぜ!!」



やはり味方が多いというのは悪いことではない。

むしろテンションがあがる。




「ボケ狭間、お前の後ろはしっかり守っといてやるぜ!」

「お前・・・喧嘩売ってるだろ?やるなら相手になってやるぜ。」

「おぅ!久々にバトりますか!」


そういえばこのクラスの男子ってやたらに喧嘩が好きだったな・・・

もちろんガチではない。

いわば「柔道」に近いのかもしれない。

相手を転倒させるか、動けなくすれば勝ちとなる。

よくわからない乱闘が「現代版スマブラもどき」とかいってはやっている(もちろんうちのクラスのみだが)



「よし・・・席を移動させて空間を作ってやれ。」


桐山が言う。


てか先生・・・

とめなくていいのか?



「とめなくていいんですか?」

「男子は動くのが一番だ!」


さすが体育科の先生だ・・・

この若干に危ない遊びを微笑んで見ていた。

だが・・・とめろよ!


なんていっている間に空間ができた。



「さぁ、どっからでもかかってきな。」



桶狭間はこの道ではプロだったな・・・



「いくぜ!!」


クラスメイトが走っていく。



「うらぁ!」

「甘いっての!!」


桶狭間は足をひっかっけさせる。

クラスメイトがふらついた瞬間に押し倒す。



「よっしゃ。俺の勝ちだぜ。」

「ほぅ?んじゃぁ、俺もやるかねぇ・・・」



すると時津風が前へと出る。

そういえば時津風と桶狭間が戦っているところはみたことないな。



「上等。やってやらぁ。」

「まぁ・・・よろしく頼むぜ?」


なんていっていると・・・

放送が入る。



「ん?なんだよ・・・このいいときに・・・」


なんてブーイングが・・・

まぁ、放送に悪気はないだろう。

というか、この時間に本来放送なんてない。

珍しいものだ。


「諸君!きこえているか!?」

「!」



この放送・・・

明らかにおかしい。

放送でこんなことを言うなんてことは今までに小中高どれもなかった。



「今、B組のやつらが学校と奮闘している。諸君らはこのままでいいのか!?誇りある霧島第3高校の生徒なら今こそ立ち上がるべきなんじゃないのか?」



この放送の声・・・



「なぁ・・・五月雨、お前の友達じゃねぇか?」

「・・・みたいだな。」


五月雨は呆れ顔をする。

「空駆ける天馬」作戦での交渉した友の1人か。



「B組の諸君、聞こえてるか?俺たち1年D組はお前らを見捨てはしないぜ!!協力するぜ!!」

「おい、いつまでしゃべってんだ?俺にもしゃべらせやがれ!」

「やめろ、押すなよ!」


なんて声が聞こえる。

本来、こんなことを普通の放送でしたら大変な目にあうぞ・・・



「B組の諸君、終焉なんてぶっ飛ばしてやろうぜ!!」



彼ら・・・

D組の参戦布告にみな、目をまるくしていた。


早すぎるのだ。

僕たちの予想では、学校を味方にして「終焉」が解除されたときにくると思ったのだが・・・




「予想より早いな・・・」


川口が目を細める。



「まぁ、こうなるだろうと予想はしてたがな。」


さすが将軍である。



「一度ついた火はそう簡単には消えない・・・か。」


それも魂の火ならなおさら・・・ということか。



「やべぇな・・・こりゃぁ、もう絶対負けらんねぇじゃねぇか・・・」

「あれぇ~?桶狭間くん、負ける気だったんですかぁ~?」

「んな気ねぇよ。目指すは当然勝利のみ!」



小さな火は新たな小さな火を生む。

やがて小さな火と火はお互いを刺激し合い・・・

大きくなる。



「絶対に諦めないから・・・絶対負けないにかわったんだ。」


桶狭間は言う。


なんかそれだと、「負けて当然」みたいな感じで考えていたように思えるがそういうわけではない。

だが、D組の参戦でもはやB組だけの問題でもなくなった。

それによって絆同盟以外のB組の意識がかわったのだ。

絆同盟はB組を巻き込んだ地点でもう負けられない。

B組はD組を巻き込んだので負けられない。


お互い・・・負けられない理由がある。


時津風の言葉がひびく。



絆同盟から、B組。

そしてD組へと魂の火はつながれてきた。

最初はたった7人だったのに、9人になり・・・10人になり・・・

B組が協力してくれて、D組まで立ち上がった。

今は・・・約60人。

この学校の1割だ。

もう先生たちは「たかが」なんていえないだろう。



正直絆同盟にはB組・D組の協力は心強く・・・

感謝の一言である。

もともとは絆同盟のみでやる予定だったのだが・・・

この高校は「頑固者」だらけだ。

やると決めたらどこまででもやる。

別に悪いことじゃない。


「頑固者」というのは悪い表現にきこえるが、僕はむしろ良いと思う。

頑固というのは、それだけ自分の意思をかえない。

強い意志と考えをもっている。

そういうことだ。


生徒会と絆同盟の戦いが、「正義」と「正義」の戦いなら・・・

B組・D組と学校は「意思」と「意思」の戦いといえる。




「星矢・・・やはりまだ玉砕するには早すぎるな。」

「あぁ。」



こいつ・・・

ホントに負けたら玉砕するつもりなのだろうか・・・



「お前と出会って、最初は殺してやりたいと思ったが・・・今はこんなにも楽しい。」


僕も最初はお前と出会って「面倒」だと思ったが・・・今はこんなにも楽しい。



「だから・・・感謝するのは私のほうだ。」


だからお前に感謝したい。



「ありがとう。」



2人の声が合わさった。



「・・・」

「・・・」


2人は静まり返った。

それから少しして咲良が口をひらく。



「・・・なぜ一番いいところを先読みする?」


別に先読みしたわけじゃないさ。



「なんとなくだ。」


だが・・・

深い理由はないが、「なんとなく」といって咲良を迷わせたくなる。


なぜ迷わせたくなるか?

それは見ていて楽しいから、どうしても眺めていたくなるのだ。



僕が「なんとなく」というと、彼女は微笑んだ。

満足気な顔でまるで「お前らしい」とでも言いたげである。


それから彼女はにこやかに微笑みつつ、くちをひらく。



「今、私はこんなにヒヤヒヤしながらも充実した楽しい生活を送っている。だから・・・お前のそばにいればもっと楽しいことが起こるんじゃないかと思う。」


それはないと思うがな・・・

それじゃぁ、まるで僕が問題ごとを引き寄せてくる問題児みたいじゃないか・・・



「だから・・・お前のそばにいられて楽しいし、嬉しい。・・・もちろん絆同盟・B組同盟のみなといれることもな。」


そうだな・・・

このクラス・同盟は最高だよ・・・ホントに。

いい奴らしかいない。




「なぁに、最初、絆同盟を作ったときは少し不安があったのが事実だが・・・絶対勝てるさ。」


その根拠はなんだよ・・・



「だって・・・やらかすメンツでできてるから。」

「・・・そうだな。やらかすメンツで・・・な。」



このメンツは・・・ヤバイからな、いろいろと。



「そう前に時津風がいっていた。今はそのとおりだと思う。」


・・・たしかに時津風なら言いそうだな。

てかお前の言葉じゃなかったんだな・・・前の。


こんないい奴らと・・・

出会えたこと・いられること・戦えること・・・

それらは、ありふれた偶然でしかない。


そんなありふれた偶然を、こんなにも大事に楽しく思えるようにしてくれたなんて・・・

ひたすらに神様に感謝するしかない。

崇拝しちゃうぞ?


「こんなにも良い偶然をくれてありがとう」

そういうことだ。



「だから、お前は最初から諦めてたんだろ?最低なやろうだな・・・」

「違うってんだろうが・・・」


絆同盟・・・



「ボケ狭間、いいざまだな。」

「ざまぁねぇとはこのことだぜ!」


B組のみんな・・・



(みんな・・・ホントにありがとう。)


心のなかで頭を深く下げる。


え?なぜ言わないか?

そんなの・・・

すべてが終わってから、に決まっているだろう?



「さて・・・校長室で「剣の舞」といきますか!」

「だな。」

「ですね。」




さぁ・・・この戦いの「終焉」に花を咲かせよう。

この物語の終焉が・・・

色めく花のように、遠く咲き誇る物語となるように・・・。




                               「感謝」  完

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