表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
44/79

行路 ※

※本編とはあまり関係のない話です。

今、僕は道を歩いている。

いつもと変わらない道。

いつもと変わらない通学路。


だが・・・

今日、霧島第3高校の歴史は動く。


道は2つ。

成功すれば、学校の帝国主義からの脱出。

失敗すれば・・・絆同盟のメンツは退学。


絆同盟の連中は皆、退学覚悟済みだ。

だが・・・やはりやるからには成功させたい。

成功させるためには・・・

今日しかない。

それは、「戦力」的意味でも、「時間」的意味でも!


戦力というのは、今日のみ、クラスの連中(「B組同盟」)が手伝ってくれる。

時間というのは、今日を逃せば土日。

生徒会の連中をせっかく追い詰めてきたのに、土日で回復されてしまう。



今日の作戦は昨日、念入りに会議した。

絆同盟とB組同盟。

協同作戦というもののため、さすがに規模が大きいし、やることも大きい。


まぁ、ミスれば退学なのだ・・・

最後には、仮にやられても相手を無傷では帰さない!

という特攻魂の現れともいえる。



そんなことを考えながら、空を見上げる。

相変わらず朝は気持ちの良い空だ。



「今日は・・・雲の流れが早いな・・・」


青空を駆け抜けるように、雲がながれる。



「でたな・・・お前もホントに空が好きだな。」


「でたな」というのは僕が言いたい台詞だ。



「・・・朝の挨拶は?」

「死ね。」

「・・・」


朝の挨拶が「死ね」だったら、その国は相当治安が悪いことになる。



「そういう単語を軽々しく使うんじゃない。」

「ほぅ?」

「僕がホントに死んだらどうするんだ?」

「そりゃ埋葬するな。」


・・・なんでこういうときに真面目な回答をしてくるんだか・・・



「もっと他に礼儀正しい挨拶があるだろう?」

「え~と・・・地獄に落ちろ、とかだったか?」


ダメだ、こりゃぁ・・・



「違う!・・・おはよう。」

「おう。」


返せよ!!

せっかくフォローしたのに!!



とりあえず並んで歩く。

まぁ、いつもどおりだ。



「・・・」

「なんだ?今日は無駄な口数が少ないじゃないか?」


お前に「無駄な口数」とは言われたくない。



「まぁな。今日・・・勝てるかな・・・って思ってな。」

「勝てないとダメだろ?」

「まぁ・・・そうだが。実際退学になったらどうする気だ?」


まぁ、緊張しているときはマイナス思考になることが多い。



「玉砕だな。」

「・・・」


そりゃぁ、綺麗に言った言葉だが・・・

実際は単なる「自殺」じゃないか・・・



「命を無駄にするんじゃない。」

「いや、個人的なプライドというものが許さない。そんなんなら死んだほうがマシだな。」


こいつもこいつで地味に「帝国主義」なんじゃないか?

戦争終盤には「捕虜になるのは恥だ。」とか「恥をかくぐらいなら自らで死ね」だとかで・・・

それで「玉砕」という単語もできたんだっけか・・・



「・・・」

「願わくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ。」

「・・・は?」


なんだ?

いきなり何か唱え始めたぞ?

これは成仏というやつか?



「これは西行法師の「山家集」にある歌の第77番だ。」


またマイナーなところを突いてくるな、この女は・・・



「意味は、簡単にいえば、死ぬのなら春の花の下で死にたい、ということだ。」


そんな悲しい歌を詠むなよ・・・

西行法師・・・



「ちなみに花というのは桜。きさらぎ(如月)というのは旧暦2月。望月は15日をさす。」


だからなんだよ・・・


てか、お前だって「桜」を使ってるじゃねぇか・・・

前に僕が「春になると桜という単語が入る曲が増える」とかなんとかいったら・・・

すごい目つきでにらんだじゃないか・・・



「旧暦は今の月と一月ほどずれている。だからこの場合は3月15日ということになるな。」

「・・・」


やべぇ・・・

頭が痛くなる。



「つまり・・・私も同意見だから、来年の春までは死ねん。」


こいつ・・・

もしかして・・・



「だから・・・来年の春までは退学はできんな。」

「・・・そっか。」


なんて素っ気無く返すが・・・

実は、結構うれしかったりする。

励ましてもらえると、素直にうれしいものである。




「それに悩むのも人生だ。」


・・・なんかすげぇ長生きした人みたいなことをいうな・・・



「悩んで勝ち取った勝利のほうがうれしいもんな。」

「あぁ。」


咲良は笑顔で頷く。

ホントに絆同盟と戦っていることが楽しいようだ。

もちろん僕も楽しい。



「・・・ところで、最近PS3というものが流行っているらしいが・・・」


内容を軽く・・・

いつもどおりに・・・か。

マジ、助かるぜ。



「PSというのはどういう意味だ?」

「・・・」



こいつ・・・

前にも「PMP」とかよくわからないことをいっていたが・・・

もしかしてアルファベット形式のが弱いのか?


・・・からかってみるか。



「パッケージストアーの略だよ。」

「なるほど。」


・・・なんで店がゲームになるんだよ・・・

んなことで、真顔で頷くなよ・・・

からかったこっちが悲しくなるぜ・・・



「ホントはプレイステーション。」

「・・・だましたのか!?」


いや、勝手に引っかかったんだろうが・・・



「僕はあってるなんていってない。」

「だってお前がそうだっていうから信じたのに!」

「知らん。世の中には悪徳商法というものがあるように、悪い人間も多いんだ。」

「うるさい!!クーリング・オフするぞ!」


一応クーリング・オフのことは知ってるんだ・・・

だがな、咲良・・・

使い方が違うぜ!!



「ということは・・・PSPというのはプレイステーションポータブル・・・といことか?」

「そうだが・・・」


こいつ・・・

一帯どんな誤った考え方をしてたんだ?



「私はてっきりポータブルシステムパワーかと思った。」


百歩譲って「ポータブルシステム」というのは認めてやろう。

だが!!

その後の「パワー」とやらはどこからきた!?



「・・・パワーってどこからきたんだ?」

「まぁ、意味合い的に、持ち運びの凄さを知れ!!・・・みたいな。」

「・・・」



救いようのない馬鹿だな・・・

てか!!

「山家集77番」がわかって、なぜ「PSP]の略がわからない!!

前にもこんなことがあったが、明らかに常識がおかしいだろ!!



「しかし、うちの高校は町のど真ん中にあるから楽だよな。」

「そのかわりに自転車が使えないがな。」


霧島第3高校は、高校であるのだが・・・

自転車通学は厳しく取り扱っている。



「まぁ、高校生の事故の確率は自転車が5割を越しているらしいからな。」


マジか・・・

そんなに自転車って危険な乗り物だったのか・・・



「ちなみに2位が二輪車、3位が自動車となっている。」


自動車って・・・

自動車にのってて巻き込まれるってのは可哀想だな・・・



「そして4位が歩行中だ。やはり歩行中のほうが周囲に気を配れるのだろうな。」

「そういうものなのか・・・」


意外なもんだ。

歩行中の事故が少ないなんて・・・



「まぁ、朝からのんきに空を見上げて、事故らせてくださいって言わんばかりの態度のやつが1人いるけどな。」

「うるせぇ!」


空はいいもんだぞ・・・

咲良、お前はそれを理解していないんだ!



「よぅ!」


するといつの間にか絆同盟集合場所についている。



「おはよう。」

「あぁ。」



あぁ・・・

ここにも咲良の感染者が・・・



「相変わらず早いな・・・」

「お前らが遅いんだっつ~の!ったくイチャつきやがって・・・」



桶狭間、お前はいつまで勘違いをしているつもりだ?


ん?気づけば今日は川口も一緒か。



「今日から川口も行くことになったからな。」

「あぁ。歓迎するぜ。」

「よろしくな。」


これで男子7人、女子3人ということになるな。



「にしても・・・お前らが遅すぎるせいで、将軍が1ステージクリアしちまったじゃなねぇか・・・」


今度は何をやっているのだろうか?

まぁ、戦略ゲーなのは予想できるが・・・



「久々に大東亜興亡史をやっている。」


相変わらず何も言わないのに、答えるんだな・・・



「このゲームは兵器の種類も多いし、楽しい。さすがは超弩級戦略シュミレーションとよばれるだけあるな。」

「知ってるか?将軍。」

「?」


ここで僕の知っている豆知識を・・・



「超弩級の「」は、イギリス海軍の戦艦、「ドレッドノート」の「ド」からきてるんだ。」

「そうなのか?」

「どうせまた嘘っパチでしょ・・・」


咲良・・・

パッケージストアーの件は悪かった!

認めるから、マジなことまで否定しないでくれ。



「いや、嘘じゃないぞ!その理由に「らき☆すた」の次回予告のときにみゆきさんがいってたんだから。」

「・・・」


五月雨は相変わらず微笑んでいるが、咲良は「みゆきって誰だよ?」って目で見ている。

ちなみに「みゆきさん」というのは、「らき☆すた」の登場キャラクターだ。



「歴史は大切だよな。」


と将軍がフォローをいれてくれる。



「あぁ。」

「俺、歴史苦手だわぁ・・・」


桶狭間がため息をつく。



「お前の場合、全部苦手だっぺ。」

「おぉ!関ヶ原、お前、俺のことをわかってるじゃないか!」


てか喜ぶなよ・・・

今の、皮肉だぞ・・・


「てか、そんなに歴史が苦手なら少しでも勉強になるように、「閃光ナイトレイド」を見なさい!」

「・・・」


桶狭間が呆れ顔でこちらを無言で見る。



「相変わらず好きだねぇ・・・俺にも今度、何かオススメを教えてくれよ。」


と時津風。

まかせろ!!

今度といわず、今にサクッとオススメするぜ!!



「今やってるのなら・・・「Angele beats!」が面白いと思うぜ。終わってるのなら「ひぐらし」だ!」

「なるほどね・・・ちなみに前のアニメは英語か?」

「あぁ。でも「けいおん」の第2期も捨てがたいな・・・」


時津風は苦笑している。



「十六夜くんはアニメの話になると一層輝きますね。」

「そう?」

「えぇ。楽しそうにお話してますよ?」


まぁ、実際楽しいしな。



「・・・おい、お前、さっきの「Angele beats!」とやらを真に受けてるんじゃないだろうな?」

「まぁ、一応見てみようかなとは思うぜ?」

「・・・はぁ・・・」


川中と時津風がヒソヒソと話している。



「あ、ビートで思い出した。」


何を思い出したんだ?



「てか、誰でもいいからG級のラージャンを手伝ってくれだっぺ!」



・・・ラージャン=獣

ってことか?

だが残念だな、関ヶ原。

それは「ビースト」だ。



「ラージャンかぁ・・・」


「破壊と滅亡の申し子」だっけ?

あれは強いよなぁ・・・

ノーダメで行く覚悟を持たないとな。



「いいぜ。」

「僕も大丈夫だ。」

「任せろ。」



僕と桶狭間、それに時津風が頷く。



「あれは罠にはめて、ひたすらに氷の双剣で乱舞だな。10分あれば終わる。」

「氷の双剣って・・・何があるんだっぺ?」

「フローズン=デスとか?」


なんてモンハンのネタで盛り上がっている。



「中島・・・教えて。」

「ラージャンというのはモンスターハンターというゲームにでてくるモンスター。いわばアクションゲームでいうなら敵ですね。双剣は二刀流の剣。フローズン=デスは皆さんもいっていたように氷属性の双剣です。」


相変わらず中島はいろいろと詳しいな・・・


「氷ってきくと・・・涼しい気分になりますね。」

「あ~・・・にしても熱いな。気分だけじゃ無理だな。」


もう6月である。

ジリジリと熱い日差しが上がってくる。



「しかも暑苦しい奴らというせいで、余計に熱いな。」


川中が目を細めて言う。



「んだよ、お姫様・・・クーラーでも欲しいってか?」

「まだ早くないですか?」

「まぁ、そうだな。」

「でもアイスぐらいは欲しいな。」


アイスかぁ・・・

たしかに欲しいな。

今、食べたら疲れが吹っ飛ぶ気がする。



「アイスといえば、スーパーカップの抹茶味っておいしくない?」

「てか、スーパーカップは量が多いからいいよな。」


五月雨が微笑みながらに言う。

・・・アイスの話、やめない?

マジでほしくなるから。



「でもさぁ、あれ、抹茶の苦味がないじゃん。」


桶狭間が言う。


あれ?

お前、前にコーヒー飲めないとかいってなかったっけか?

たしか「苦い」からダメとか・・・



「お前、飲んだことあるのかよ?」

「ないぜ!!」

「じゃぁ、味なんてわからねぇじゃねぇか!!」


相変わらず関ヶ原は桶狭間を攻めるのが上手い。



「じゃぁ・・・今度、うちで抹茶飲みますか?」

「え?」

「うち・・・一応和菓子屋ですから、お抹茶もだしてるんですよ?」


中島・・・

お前の家って和菓子屋だったのか!?

初めて知ったぞ!



「そうなのか?」

「はい。もちろん無料にしますので・・・どうです?」

「じゃぁ、今度、皆でいくか。」



まったく・・・

気づけば、今日は大切な日だというのに・・・

こんなどうでもいい話をして。


だが、咲良の言うとおり、まだ僕たちは退学にはならない。

今日という日を奮闘する。


今度、絆同盟のメンツでモンハンをやるためにも・・・

中島の家のいくためにも・・・

今日という山場を乗り越えてみせる!!



「やっと学校についたぜ・・・」


門の前で立ち止まる。

時間は朝学活が始まる5分前。


十人には十人の考えがあるが、想いは1つ。

想いを1つにして・・・


「さぁ・・・勝ちにいきますか!!」



                      「行路」  完 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ