仲間
「会長が・・・「オメガ」の始動を宣言した。」
襟に菊の紋章のない生徒会副会長はたしかにそういった。
「オメガ」
その権限の力は未知数。
生徒会の最終防衛線とまで言われる。
生徒会の最終権限。
そうだなぁ・・・
アメリカでいうならば、「核」とでも言おうか・・・
これまでに発動されたのは2回のみ。
戦前にできた学校だというのに・・・
今までにたった2回しかない。
「オメガ」が発動されたとき・・・
それは決着がつくときだという。
生徒会とその対抗組織。
どちらが有力かを決めるもの。
そのため、皆はこの権限のことを「終焉」と呼んでいる。
別の名前もあるが、またあとで説明することにしよう。
この学校の歴史だと、2回とも生徒会の前にひれ伏している。
「ベータ」も「ガンマ」を破った組織が「終焉」の前に潰されているのだ。
その理由が、先ほどの別名。
「終焉」の別名・・・
それは「大量殺戮」「惨劇」などという、あまりに殺戮的な言い回しである。
え?なんでこんな野蛮な名前がついたか?
それは、この権限が「惨劇」を生むからである。
今まで2回「終焉」を行ってきて、退学になった生徒の総数は・・・
約600人。
この高校そのものの人数である。
2回だから、2で割って、1回で約300人が退学となっている。
300人という大人数を一瞬でこの学校内部から消し去ることができる。
それは殺してはいないが、軽い「大量殺戮」である。
その権限は、その対抗組織に絡んだ者・・・
関係したもの・・・少しでも話した者・・・
それらは皆、退学とさせられる。
学校も「終焉」にだけは逆らえない。
「終焉」が発動したとき、生徒会が使命した生徒は学校の意思関係なしにやめさせなければならない。
そう、少将様が生徒会と契約したらしい。
いや・・・学校の意思関係なしに・・・
というのは、言葉が足りていないだろうか。
それは学校が生徒会・・・
つまり「帝国主義」に賛同しているときのみである。
だから、学校が帝国主義を捨てれば、無力化できるのである。
が!!
実際、ことがそんなにうまく進むわけもない。
相変わらず桐山先生と校長からは、うんともすんともいってこない。
おそらく頭のかたい先生どもが多すぎるために、交渉が進んでないのだろう。
この権限には猶予がある。
「3日」である。
まぁ、僕たちでいうのであれば・・・
今日は木曜日だから、木金月・・・
ということで、月曜までに反対行為をやめないと、退学となる。
・・・もちろん関わった者全員ともに。
その反対チームが行動をやめれば、生徒たちを救うことができる。
が、やめなければ皆を巻き込む。
チームそのものが退学になるのは、退学覚悟という自己責任。
だが!
反対行為を行った者たちは、全員に退学の覚悟があるのだろうか?
もしかしたら、自分たちのせいで、関係のない人まで巻き込んでしまう・・・
脅迫を使いこなした見事な権限である。
「・・・」
教室は先ほどの盛り上がりを一瞬で冷めてしまった。
皆は・・・
「もしこいつらとかかわれば、月曜で退学になる」
ということを思っているのだろう。
気まずい空気がただよう。
「くそ・・・せっかくここまできたってのに・・・」
絆同盟からも弱音がでる。
何度も何度も弱音をはいてきても、結局はくじけなかった絆同盟。
今回も・・・なんとかなるのだろうか。
だが、実際現実はピンチ。
ピンチをチャンスに変えたと思ったら、またしてもピンチである。
「絆同盟の諸君、こんなところで諦めていいのか?」
すると川口が言う。
「え?」
「お前らはすでに「ベータ」と「ガンマ」を破った。お前らには負けられない理由があるんじゃなかったのか?」
(あちゃ~・・・昨日の言葉をそういう意味でとらえやがったか・・・)
なんて思いながら、時津風が困り顔でため息をつく。
「まぁ、退学覚悟なんだし・・・最後までこのメンツで貫いてもいいじゃない?」
と五月雨が言う。
結構軽いノリだな・・・
「ほら、将軍をうんっていってるし。」
いや、言ってないだろ・・・
「そうだな。このメンツでなら、退学になったっていいだろう。」
え?
将軍、さっき明らかに言ってないよな?
「ったく、熱い奴らめ。このクールな俺をここまでに熱くさせた連中をそう簡単に退学にはさせれねぇな。」
桶狭間・・・
一番熱くなっていた男が何を言う!!
「お前が一番熱かったじゃねぇかよ・・・まぁ、たしかにもうずいぶん前に決めたことだっぺね。」
関ヶ原が微笑みながらに言う。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
が、女子陣は皆、黙り込んでいる。
「ったく・・・「諦めるには まだ早すぎる~♪」って教えてくれたのはお前だろうが・・・」
と桶狭間が困り顔で言う。
「ですが・・・私たちがやめなければみんなが・・・」
「その必要はないさ。」
「え?」
すると桶狭間は机の上に立つ。
相変わらずやることが派手なやつだ。
「おい、てめぇら!!ここは俺らに協力するな!!」
今まで散々協力してほしい・・・
と思っておきながら、まったく・・・皮肉なことだ。
「ここは俺らに任せとけ。」
と時津風がウインクをする。
「おい、時津風!!俺のせっかくの決め台詞をとるなよ!」
「へっ・・・おいしいところはいただいたぜ。」
「くそ~・・・これじゃぁ、俺が机の上にたった意味がねぇじゃねぇか・・・」
桶狭間が落ち込む。
それを見て、絆同盟は皆、笑顔になる。
教室はこんなに冷めているというのに・・・
やっぱり「絆」か・・・
にこやかな瞬間に、「バキッ!」という音が響く。
「痛ぇ・・・おい、お姫様・・・てめぇ、何しやがる!?」
「ふん、腰に軽~く蹴りをいれておいた。まぁ、腰を粉砕しないだけありがたいと思え。」
「さっきのをまだ根にもってやがったか・・・」
川中もどうやら立ち上がったようだ。
あとは・・・
咲良だけか。
咲良は誰かを巻き込むことの責任をこの同盟で一番理解していると思う。
だから不安なのはわかるが・・・
「咲良・・・気づけばお前が発端だったな。」
これはこいつが告白をしてきたことをいっている。
マイナス思考の野郎は、どうせ僕があの喧嘩を全部こいつのせいにしているとでも思っただろう?
だが、僕たちはお互いにお互いのミスを背負っていくと決めたのだ。
「・・・」
やはり、このマイナス思考女は、喧嘩のことのほうを思っているだろう。
まぁ、いい。
それでも話は通じるのだから。
「最初はすげぇ~困ったけど・・・今は感謝してるぜ。」
「え?」
咲良は目を丸くしている。
わからないならわからないでいいさ。
でも・・・次の言葉だけはしっかり理解してくれよな。
「だって、今、こんなに楽しいじゃねぇか。絆同盟を結成して、最高の仲間と学校中を敵にまわして!」
面倒?
大変?
最悪?
とんでもない。
最初のほうはそう思ってたさ。
けど・・・今は最高に楽しい。
だって、学校中を敵にまわしてるんだよ?
なのに、こんなにも奮闘して・・・
時には困ったり悩んだりしたけど、それもみんなで乗り越えて・・・
これ以上充実してる高校生活なんてそうそうないだろ?
もしそれ以上を望むなら、そいつは相当な欲張りだ。
欲張りってのは、いいことだと思う。
より良い方向にもって行きたくなるのだから。
僕だって欲張りだ。
欲張りだから・・・
やるなら、みんなで最後まで悔いの残らないようにしたいじゃないか。
そして、無理かもしれないけど・・・せっかくなら、勝利を手に入れたいじゃないか。
「これ以上に面白いことなんて、僕には考えられないよ。」
「・・・」
「だから・・・最後までやりきろう?ここで諦めたら、絶対高校を卒業してから後悔するときがくる。」
咲良は目を細める。
咲良には咲良なりの考えがある。
「十人十色」
前に五月雨が言っていたこと。
いやいや、このチームなら・・・
「九人九色」
川中が言っていた言葉。
けど・・・
ここはどうせなら、一色にそろえようぜ?
「咲良・・・ありがとう。」
「!!」
咲良が顔を上げる。
はぁ・・・答えは教えないつもりだったんだけど・・・
朝の答えをやっと理解したかな?
「あれぇ~?卯月さん、せっかくの十六夜くんの誘いを断っちゃうんですか?」
「十六夜が誘うことなんて、百年に一回あるかどうかだぜ?」
「それも女をな。」
なんて皆が念を押す。
「大丈夫、皆は巻き込ませないぜ。」
桶狭間が言う。
なんだよ・・・能天気野郎だと思ってたけど・・・
結構人の気持ちを理解できる男なんだな。
咲良・・・
前々に誓っただろ?
退学になるときは・・・
絆同盟、9人一緒だぜ。
だから・・・
たとえお前が気乗りしなくても、僕たちはお前も巻き込む。
最悪だろ?
それが絆同盟さ。
最悪だ・・・
となりたくなければ、お前は納得するしかないんだ。
昨日、お前も自らの口で、「誓った」といったじゃないか。
なら・・・その誓ったという言葉を態度でみせてくれ。
お前が手をだせば・・・
あとは僕たち8人でサクッと拾い上げてやるから。
「・・・わかった・・・」
「よっしゃぁ!これでこそ、絆同盟だぜ!!」
あぁ・・・これでこそ・・・
みんなの意思が1つに固まってこそ・・・
一色にそろってこそ、「絆同盟」だ。
皆の心が一色に染まった日・・・
早くもその放課後がやってきた。
空はオレンジ色の一色に染まっている。
放課後は毎回、絆同盟の作戦会議。
もう決定事項である。
あんま大きい声で話せない内容だしね。
「タイムリミットはあと2日か・・・」
金曜日と月曜日である。
だが・・・土日があけば、生徒会の心にはせっかく追い詰めていたのに、ゆとりができる。
となれば・・・
決着をつけるのは、明日しかない。
「まぁ、あと1日と考えたほうがいいわね。」
「あぁ。やることはやはり・・・」
「学校説得だ。」
学校さえ説得させれば・・・
「終焉」を解除できる。
そして、ホントの意味で「終焉」に導くことができる。
「それしかないか・・・」
だが、頭のかたいじじぃどもは納得するだろうか?
するとドアが開く。
皆が手を武器にかける。
「よぅ、いい知らせだぜ。」
「んだよ・・・五月雨か・・・」
「脅かすなよな・・・」
先ほど、桐山先生と校長に、学校説得の進境はどうなっているか・・・
それを聞きに五月雨が校長室へといっていた。
その五月雨が帰ってきたのだ。
・・・いい知らせということは・・・
「今、少し賛成派がでてきたみたいだって。」
「マジかよ!?」
「これ、きてるんじゃねぇか?」
と盛り上がる。
進みどころはよし・・・か。
「が、悪い知らせもある。」
「・・・なんだよ?」
桶狭間が慎重にきく。
まぁ・・・慎重にならなくてもいいのだが・・・
「ほとんどを賛成させるには・・・まだ時間がかかるらしい。」
「どれぐらいですか?」
「わからないらしいが・・・軽く見積もっても土日をいれて1週間だそうだ。」
おいおい・・・
それじゃぁ、僕たちはすでにこの高校からいないじゃないか。
「間に合わないか・・・」
「くっ・・・みんなの力があればなぁ・・・」
「ダメですよ、それじゃぁミスったら皆が・・・」
「わかってるっぺよ。」
僕たち9人で戦うにはいささか問題がある。
が、だからといって皆を巻き込むわけにはいかない。
「畜生・・・生徒会の野郎ども・・・次から次へと壁をつくりやがって・・・」
その通りだ。
「ベータ」と「ガンマ」始動はたったの1日。
その2つもその日の放課後に打ち砕かれ、次の次の日に生徒会の切り札である「オメガ」を始動させたのだ。
やることが早すぎる。
・・・生徒会も焦っているのだろうか?
するとまたしてもドアが開く。
皆がまた武器に手をかける。
「・・・今度はお姫様かよ・・・」
入ってきたのは、川中と・・・
「川口・・・」
皆は警戒を強める。
彼は副会長である。
部下がいてもおかしくはない。
「皆、大丈夫だろ・・・川口はもう生徒会副会長じゃない。」
将軍が言う。
まぁ、たしかにそうだが・・・
「で?どうした、川口?」
親しい時津風が声をかける。
「こいつにも絆同盟に入ってもらおうと思ってな。」
「!」
皆は驚きを隠せないようだ。
今まで敵だった男だ。
「まぁ・・・川口、お前もお前で大変だったみたいだしな。」
と時津風。
「このクラスは「誰一人省かない」んじゃなかったっけか?」
たしかにそうだが・・・
今回は少し場合が違う。
けど・・・
それでも、同じクラスメイトである。
それに・・・
この言葉をいったのは、僕じゃないか。
「そうだな。僕は賛成だぜ。」
「マジかよ・・・」
「だって、元生徒会副会長が味方になればいろいろと有利じゃん?」
まぁ、よく考えれば最低な理由だが・・・
今はこれしか皆を納得させられる理由がない。
「覚悟はできてるのか?」
「あぁ。」
川口は迷わずに頷く。
「しょうがないなぁ・・・」
五月雨が頭をかきながらに、呆れ顔で言う。
「親友の頼みは断れないし・・・いいんじゃない?」
五月雨は納得してくれたようだ。
助かるぜ・・・
「まぁ、生徒会とやりあってる地点で危ないのに、時津風と川中をいれたんだ・・・」
「おいおい・・・ひでぇこというぜ・・・」
「いまさら・・・1つぐらい危ないが増えても大丈夫だろう。」
将軍が言う。
「まぁ・・・将軍がいうなら、大丈夫だろ。」
さすがは将軍だぜ。
説得力がある。
皆も賛成を始める。
「ってことで、全員一致でOKだぜ!」
「皆、信用してくれて助かる。感謝するぜ・・・絆同盟。」
川口は頭を下げる。
「おいおい、これからは正式な仲間だぜ?かたいのはやめようぜ?」
「そうだっぺ。男はただ、親指を上げればいいんだっぺ。」
なんていつもの2人が言う。
こいつらはホントに調子のいい奴らだが・・・
場の空気を壊さないように気を使ってくれているのだろう・・・
「さて・・・これでホントに十人十色になったな。」
なんていう。
「お姫様説破れたりぃ~、パチパチ~♪」
「・・・どうやら蹴りの威力がたりなかったようだな。」
「ほぅ?なんなら、俺がお姫様の腰を竹刀で砕いてやってもいいんだぜ?」
あ~・・・
また始まった・・・
「姉さん、ここは俺に任せてください。」
「わかった。」
えぇ~!?
川口参戦かよ!?
「・・・時津風、退け。」
「・・・はぁ・・・はいはい。」
・・・え?
「川口とやりあっても利益はないし・・・ここは退いてやるよ。」
なるほど・・・
いつもこうしてこの大戦をとめていたわけか・・・
さすがは、副会長だ。
「さすがだっぺ。」
「おい、将軍。軍師の座が危ないんじゃないか?」
いつもの2人は微笑みながらにいう。
やはり新しい仲間が増えるってのはいいもんだ。
するとまたもやドアが開く。
また皆が武器に手をかける。
「・・・」
が、なかなか入ってこない。
これは・・・「三度目の正直」というやつか?
正直、そんな正直いらんが。
「おい・・・押すなって!!」
「・・・お前・・・」
「あ・・・あはは・・・」
ドアの前に現われたのは、B組の1人である。
「お前・・・こんなところで何してんだ?」
「残念だったな。こいつだけじゃないんだぜ?」
すると皆が入ってくる・・・
おいおい・・・
何人いるんだ?
え~と・・・
B組全員じゃないか!!
「ったく・・・川口、お前、絆同盟に入ったのか?」
「羨まし・・・じゃなくて、馬鹿だな。」
こいつらはいったい何をしにきたんだ?
「おい、お前ら・・・いったい何してんだ?」
「ハハハ!よくぞきいてくれたな、ボケ狭間!!」
「てめぇ・・・喧嘩売ってるか?」
桶狭間がクラスメイトをにらむなか、後ろでは絆同盟のメンツがクスクスと笑っている。
「聞いて喜べ!俺たちもこれから協力してやる!!」
「・・・は?」
おいおい・・・
冗談じゃない!
朝に言ったばかりじゃないか・・・
「お前ら・・・俺の話をきいてたか?」
「あぁ、きいてたぜ?なんでも「俺たちには協力するな」・・・とかいってたな。」
しっかりきいてるじゃないか・・・
じゃぁ・・・なんでだ?
「うん、お前たち「絆同盟」にB組クラスメイトとして、個人では協力しない。」
「あぁ。」
「だから!!俺たちは「B組同盟」としてお前ら「絆同盟」に協力してやる。」
・・・こいつら・・・
本物の馬鹿か?
これは桶狭間以上なのでは・・・
「お前ら・・・なめてるか?」
「いやいや、もう「B組同盟」でできてしまったのだ!!つくっちまったら、やめられねぇ~!!」
「まぁ、つくったのは一瞬だったけどね。何しろ全員一致で・・・」
「おい、余計なこというな!!」
・・・そこまできこえたら隠さなくてもいい気がするがな。
「んだよ・・・その「できちゃった結婚」みたいな考え方は・・・」
「フッ、相変わらずエロい男め。」
「そういう意味で言ったんじゃねぇ。」
え?
そうだったのか?
やべぇ・・・僕もてっきりこいつ(桶狭間)がエロい意味でいったのかと思ったぜ・・・
・・・こいつがいうと、なんでもエロくきこえるから不思議だ。
「だが、一緒にエロいことで語り合った仲だ!同盟も協力してやろう!!」
「遠慮する。」
桶狭間は速攻で断った。
そりゃそうだ。
何しろ、彼らを巻き込むわけにはいかないのだから。
「いやいや、お前らが遠慮しても俺たちはやっちゃうもんね~?」
「もう俺たちはとめられないぜ。」
「ん?なら俺がお前らをとめてやってもいんだぜ?」
時津風がそういうと、皆が黙り込んだ。
・・・やはり時津風が剣道がうまいのは知っているから怖いのだろうか・・・
「フッ・・・時津風、今の俺たちはお前にいわれてもとめられないぜ!!」
あ・・・
また動き始めた・・・
「ほぅ?なら私がお前らを粉砕してやってもいいんだぞ?」
「・・・怖ぇって・・・」
またしても皆が黙り込む。
影で時津風がボソッといったのは気にしないことにしておこう。
「フッ・・・そんな脅しはきかん!!」
「そうだ、俺たちはとめられないぜ!!」
・・・こいつらは・・・
頭のかたいやつらだな・・・
「大体お前らがいったのは、個人での話だ。同盟なら別だ。」
「いや、誰もんなこといってねぇ~し・・・」
桶狭間は呆れ顔で言う。
・・・おい、諦める気じゃないだろうな?
「それに・・・今、「惨劇」をだされたのはあくまで「絆同盟」。俺たち「B組同盟」には出されていないのだよ!!」
「・・・」
「だから、ミスってもすべてお前ら「絆同盟」に責任がいく!俺たちは関係ねぇ~!!!」
うわぁ・・・
最低だな、こいつら・・・
てか・・・そんなにうまくいくのか?
「・・・お前たちに負けられない理由があるなら・・・立ち上がった俺たちにも、止まれない理由があるんだ。」
クラスメイトの1人が真剣な眼差しでいう。
(やべぇな・・・俺の言ったことがどんどん違う意味でひろがってく・・・)
時津風からでるのはため息のみである。
「俺たちは・・・今までお前ら「絆同盟」にすべてを任せすぎた・・・これは俺たち学校そのものの問題だってのに。」
「その通りだぜ。だから・・・今まで頑張ってくれた礼として、今度は俺たちにも手伝わせろ。」
「・・・」
「嫌だとは言わせねぇ。何しろ、もう同盟を作っちまったんだからな。」
でた・・・
桶狭間いわく「できちゃった結婚」戦法・・・
「だから俺たちは・・・「B組同盟」として「絆同盟」に協力する。」
「ちなみに許可がでなくても、俺たちは俺たちで反生徒会の動きをするぜ?ここは協力しておいたほうが得だと思う。」
一度ついた火はなかなか消えないものである。
まさか・・・ここまでに消えないものだとは・・・
むしろ、「終焉」がでて、より強くなった気がする。
「ッたく・・・しょうがねぇな・・・」
桶狭間が呆れ呆れに言う。
「なら・・・協力してくれ。」
「はぁ!?ボケ狭間、てめぇ、正気かよ!?」
「ホントだっぺ。彼らを巻き込むわけには・・・」
絆同盟はもちろん皆、反対である。
「しょうがねぇだろ・・・だって、俺たちが許可しなくても、こいつらが動くってんだから・・・」
「けど!」
「大体、こいつらだけが動いたら、今度はこいつらにも「終焉」がだされる。なら・・・少ない時間だが、彼らの盾になってやろうぜ?」
たしかに・・・
桶狭間のいうことにも一理ある。
彼らが動くといっている以上、絆同盟はとめられない。
そして、彼らが動いたら、モロに「終焉」を喰らうこととなる。
「なぁに、お前らの関係者じゃない。友好同盟としての付き合いなら、生徒会も文句いえねぇだろ?」
とクラスメイトが言う。
「それに・・・負けねぇよ。」
「え?」
「絶対にな・・・お互いに負けられない理由があるんだろ?なら・・・負けないさ。」
どこからくるんだか・・・
その悠長な考え方は・・・
「まぁ、お前らが許可しないなら、俺たちはこれから2つに別れて行動する作戦を展開する。」
「え?」
「1つは生徒会、1つは職員室に殴りこみにいく。」
おいおい・・・
やることが早すぎだろ・・・
それに・・・そんなことをして、無事でいられる保障はない。
「俺たちをとめたきゃ・・・お前らに協力することを許可しな。」
汚ねぇ野郎どもだ・・・
脅迫ってのを使いやがって・・・
「・・・チッ・・・わかったっぺ。認めるっぺよ。」
「おい、関ヶ原、お前まで・・・」
「私もいいと思いますよ?ちょうど人数が足りないところでしたし・・・」
皆が賛成を始める。
ついに賛成してないのは僕と咲良だけとなってしまった。
「・・・」
追い詰められた・・・
「もう認めたらどうだ?」
「無理だ。お前たちを巻き込むわけにはいかない。」
ん?
今・・・咲良が何か言ったか?
「ん?なんかいったか?」
「・・・何が「巻き込まない」よ・・・巻き込んでるじゃない。嘘つき。」
あのなぁ・・・
僕だって、巻き込みたくはねぇよ・・・
なのになぜ僕が「嘘つき」扱いされなきゃならないんだ?
が・・・
そんなことをいっている場合ではなさそうだ。
前みたいに暴走しないだけ、マシだが・・・
咲良も久々にキレてるのだろうか・・・
「なぁに卯月。お前らが巻き込んだんじゃない。」
クラスメイトたちが言う。
「俺たちが勝手に危ない橋に飛び込んだんだ。俺たちの意思でな。」
「・・・」
だからといって・・・
そんな簡単に皆を巻き込むわけには・・・
「それに・・・さっきも言ったとおり、負けねぇよ。」
「・・・なんで?なんでそんなに自信を持っていえるの?」
「なんとなくだ。」
おいおい・・・
「男の勘ってのは結構あたるんだぜ?」
「・・・」
「じゃぁ、こうしようじゃねぇか。」
1人のクラスメイトが提案する。
「明日に勝敗がつかなければ、俺たち「B組同盟」は今度「絆同盟」を一切手伝わない。」
「終焉」は3日以内に行動を中止すれば大丈夫。
それにまだ「B組同盟」とやらには「終焉」が出されていない。
「どうだ?」
「・・・」
絆同盟も賛成している。
そして・・・明日のみなら・・・
別にいいだろう。
「・・・わかった。」
ついに咲良は陥落した。
「なぁに、卯月、安心しろ。明日ですべてを終わらせるからよ。」
クラスメイトは言うが・・・
果たしてそう簡単にうまくいくもんなのだろうか・・・
「あとは・・・お前だけだな、十六夜。」
「あ・・・」
そういえば賛成してなかった・・・
「ちょっとこっちで男同士で話そうじゃないか・・・星矢く~ん?」
・・・嫌な予感。
非常に嫌な予感。
終わる予感がするぜ・・・
「僕もさんs・・・」
「さぁ、さぁ、おいで~。」
とグイッと手を引っ張られる。
おい、人の話をきけって!!
その後、隣の部屋に連行され、ひどい目にあったのは言うまでもない。
しかも、なぜか咲良のことが「羨ましい」だの「憎らしい」だの・・・
どうでもいいことで、大変な目にあった・・・
その後、「絆同盟」と「B組同盟」(とやら)で明日の協同作戦を念入りに考えた。
今日は「川口」と「B組同盟」(とやら)を味方になった。
日々、増えていく仲間。
まぁ、うれしいのやら、悲しいのやら・・・
しかし・・・
1組分の人数ならいけるかもしれない。
明日ですべてを終わらせるかもしれない。
さぁ・・・明日ですべてを終わらせよう!
いざ・・・最終決戦へ!!
「仲間」 完