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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
4/79

理由

今回は「卯月咲良」視点のものです。


よろしければ最後まで読んでもらえると非常に光栄です。

「そ・そういうことだから、卯月さん。この話はまた今度ということで!!」


そういうと、「彼(十六夜)」は逃げるように去っていった。


正直このタイプの男は初めてだ。

自分のどこが悪かったのか?

どこがいけないかったのか?

まったく検討がつかない。




私の名前は「卯月 咲良」。

「卯月コーポレーション」社長である、「卯月うづき 龍善たつよし」の一人娘である。


私は中学のころ・・・

男子と付き合っていた。

いや、付き合ってやっていた、というほうが正確であろう。


告白はいつもこちらから。

もっともな理由をつけて、告白した。

でも実際は違う。

男子がどんな考えを持っている生物なのか、それが気になった。


父はよく「男には注意しなさい」とよくいう。

だからこそ、より気になった。


最初は本気の恋をした。

男子に尽くした。

すごく楽しかった。


・・・けど。

その尽くした男子と喧嘩してから、すべての見方が変わった。


あれは明らかに男子のほうが悪い。

なのに、言い訳をして、私のせいにする。


「・・・なんて醜い生き物。」


それが結論だった。


それから男子への本気の恋は二度としなくなった。


喧嘩した男子とわかれ、次の男子と付き合う。

そして、またこっちからふって、新たに告白する。


これを世の中では「チャラい」というらしい。

そんなことはどうでもいい。


大事なのは、男子はどのような考えをもっているのか。


だが、結果は皆一緒だった。

「わがまま」「自分勝手」「エロい」「非常識」・・・


いろんなタイプの男子と付き合ってみるも、結局みんな一緒だった。

例外などない。

男子は皆、「わがまま」で、「自分勝手」で、「エロ」くて、「非常識」だ。


最悪の男子はそれを「暴力」で解決しようとしたりする。


そんなこんながあり、男子の特徴はわかった。

だが、世の中には「草食系男子」というタイプの男子もいる。

それは「普通」の男子と原点となるものは同じだが、「気弱」。

でも、「大事にしてくる」。

逆にとれば「なんでもいうことをきいてくれる」。


つまり飼いならせば、かってのいい召使となる。


「カバンが重いなぁ・・・」

といえばカバンをもってくれる。

「甘いものが食べたいなぁ・・・」

といえば何かおごってくれる。


結果、自分は楽で、いい生活ができる。


実際、うちはお金持ちだから、執事やメイドも雇っている。

けど、それは学校にまではこれない。

だから、楽ができない。


だから「利用」するのだ。


中学の最後はすべて「奴隷」とでもいえるべき状態となっていた。


どんな男子も私から告白すれば必ず落ちる。

だって、私は美人だもの。

それにお金持ち。

男子からすれば理想の女性。


でも、性格が悪ければ嫌われる。

「奴隷」が作れない。

だから、外の世界では猫をかぶるのだ。


そうして男子を惑わし、「奴隷」として扱う。

利用する。


この高校に入ったのもほとんどそれが理由。


本当はもっとレベルが高いところへいけた。

が、そこはさぞかしお堅いのだろう。

だから少しはやわらかめのここを選んだ。




そして入学式を終え、教室へと入る。

誰もが私のことを「美人」とか「可愛い」とかいう。

もう聞き飽きた台詞。


とりあえず教室の席へと座り、あたりを見渡す。

「奴隷」にするには誰が適用か。

大体は見た目でわかる。


・・・いたッ!

名前は「十六夜」ナントカ。

下の名前なんてどうでもいい。

とりあえず彼をマークする。



それから1ヶ月。

「相変わらずさえない男・・・」


これが十六夜への素直な評価。


この1ヶ月で皆はなじんできたし、私も十六夜と何度かしゃべった。


「あきらさまなカモ」ではないものの、なかなかの当たり目。


だから、体育館裏に呼びだし、告白することにした。



「あ・・・ありがとう、わざわざきてくれて・・・」


とりあえず礼をいっておく。

これから私の忠実な「奴隷」となることに。


「いや、別にいいよ。」


彼はにこやかに返してくれた。

これも草食系の1つのポイント。


「あ・・・あの・・・ね・・・」


ここからが勝負。

まぁ、私の演技に惑わされなかった者など、今まで誰一人いない。


「私・・・その・・・あなたのことが・・・」

「?」


相手は首をかしげている。

ここまでいって理解できないなんて・・・

なんて鈍感なやつ。

頭の悪いやつ。


「その・・・す・・・好きなの・・・」


さぁ、どうだ!

これで完璧だ。

なかなかうまくいけた。

我ながら自分の演技力を素晴らしいとさえ思う。


さぁ、惑え惑え。

そして、私の忠実な「奴隷」となるのだ。


「・・・ごめん。」


ほら、かかっ・・・

・・・え?


「え?」


それは驚きのあまりに口にまででていた。


「・・・僕は君の気持ちに答えることはできない・・・本当に・・・ごめん。」


彼は下を向きながら答えた。


え?

失敗した?

この私が?

なんで?

どこでしくじった?

演技だってバレた?


いや、それはない。

演技は完璧だった。

じゃぁ・・・どうして?


「・・・なんで・・・こんなに好きなのに・・・」

「・・・」

「・・・ねぇ、付き合ってよ・・・グスッ」


こうなればあまり使いたくない手段だったが、「泣き落とし」でいくことにする。

使ったことのない手段・・・

何しろ最終手段だったが、これは効果は抜群らしい。


「・・・ごめん。」


それでも返ってくる言葉は謝罪の言葉のみ。


「・・・意味わからないよ・・・」

「ですから・・・僕はその・・・遠慮したいといっているんです。」


この馬鹿真面目な回答にイラッとさせられる。


抑えろ、私。

この告白で十六夜を落としたら、すべてが終わりだ。


「なぜだ?」


いつしか私は猫かぶりを忘れて、素へとなっていた。


「え?」


彼はボーッとする。

その態度が気に食わない。

せっかく私という者がお前なんかのために泣き落としまでしてやっているというのに、この態度。

その返答。

気に食わない気に食わない気に食わない!!


「おい、説明しろといっている!」

「・・・はぁ・・・」


彼は一息のため息をついた。

そのため息はまるで私を拒絶しているようで・・・

いや、拒絶しているのだろう。

イライラとさせられる。


そして十六夜は理由を説明した。

正直、呆気にとられてしまった。

そんな理由で?

そんな理由のために私を拒絶したというのか、この男は!?


だが、ここは冷静に攻め落とすのが上策と考えた。


「・・・そんなに時間を大切にして何に使う?」


それについても説明された。

だが・・・

ますます納得がいかない。

なんだと、この私よりアニメのほうが大切だと!?

金がかかるのがいやだ、だと!?


怒りはピークへと達していた。


「ふざけるな!!」


ついに怒りは外へとでてしまった。

その抑えることのできない怒りは暴走する。


「なんだよそれ!?自分勝手すぎるだろうが!!」


暴走した怒りはいつしか手にまででていた。

彼の胸倉をつかみ、壁に押し付けていた。


「・・・卯月さん・・・ちょっ・・・痛い・・・」


彼の言葉で我にかえる。


「・・・あ!・・・ご・ごめんなさい。」


だが・・・

ここで終わらせるわけにはいかない。

すると不意に声がした。


「ん?おい、十六夜。何やってんだよ、こんなとこで。それに卯月さんも。」


あいつは・・・たしか同じクラスの「五月雨」とかいったっけ・・・

するとカモである十六夜が・・・


「あ、さ・五月雨!そういえば、お前と今日、打ち合わせの約束をしてたな?」


といって、五月雨に近づく。

そのまま、2人は去ってしまった。


「そ・そういうことだから、卯月さん。この話はまた今度ということで!!」


この言葉を残して。



「五月雨 時雨」・・・

なんて邪魔な男!

もう少しであの男を攻略できたのに!


・・・いや、待て。

本当に攻略なんてできたのだろうか・・・

あの男・・・十六夜には絶対的な意思があった。

この私をも拒絶する絶対的な意思が・・・


「は・・・はは・・・ははは!!」


そして気づいた。

こいつは一本とられた。

完全なる私の敗北。

断られただけでなく、素までさらけ出された。


・・・私は、この高校ではあんなさえない男すら攻略できないのか?

・・・いや、それは違う。

あの男が特殊なだけだ。


「・・・あの男は今までの奴らとは違う?」


そんなことが不意に浮かんでくる。


だが、欲しいのは「奴隷」。

この際、「目標カモ」をかえるか・・・


いや、ここまでの私の歴史的敗北を作ってくれた十六夜という男・・・

あの男を「奴隷」にしてこそ、意味がある。


今までの奴らとは違う・・・

そんなあの男を攻略してこそ。



そして、私はこの高校生活でとても大切な思い出を作ることとなる第一歩を歩み始めた。


 

                               「理由」  完

なんかずいぶんとヒロインの性格が問題になってしまいました・・・

書いてて、こりゃぁ、まずいかなぁ・・・

とか思ったり。

でも、まぁ、「多少」は大丈夫でしょう!

という解釈。


読んでくれた方へ、これからもよろしくしてもらえるとありがたいです。

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