親友
さて、体育館裏からずっと走ってきた。
で・・・
ここ(図書室)にいる。
今は「昼休み」というものであり・・・
図書室には多数の生徒がいる。
それもこの高校・・・
「霧島第3高校」ならではである。
この高校はわが国ではトップレベルの文型専門高校である。
そんな高校にお世辞でも「頭がいい」とはいえない僕がなんでこの高校にこれたか?
それは中学のときに、ふざけ半分で作文を書き、コンクールにだした。
その頃から僕はパソコンで2chやら掲示板やらに没頭していた。
そこでいろいろなことをネット上で語っていくうちに、社会についてもいろいろ考えるようになった。
そして、そのなかで、「資本主義の矛盾」についてを書いた作文を出したら、見事に金賞に輝いてしまったのである・・・
これはまさに奇跡である。
そのコンクールは作文コンクールとして最も大きいコンクールだった。
そんなコンクールで金賞をとってしまったのである。
そしたら、中学3年で推薦として、「霧島第3高校」が指定してくれた。
いや、文型高校は多くは僕を推薦してくれた。
その中で一番レベルが高いのがこの高校だった。
推薦ということなので、軽く面接をして、合格できた。
この成果に親や親戚たちは驚きを隠せないようだったし、最大限に喜んでくれた。
だが僕としては複雑だった。
この高校よりいきたい高校があった。
「青凛高校」。
この高校に僕は本当はいきたかった。
が、この高校はレベルが低いという理由のみで、親と中学担任の先生が無理に「霧島第3高校」へ僕をいかせたのである。
しかしながら、この高校では面白い奴もたくさんいるし、いい奴ばかりだったので悪い気はしない。
そして・・・
何より親友の「五月雨」がいる。
「・・・なぁ、さっきは何をしていたんだ?」
この高校一頼れる奴からの質問。
中学からの親友からの質問。
これには嘘はつけないし、ごまかしもきかない。
「・・・ってわけなんだよ・・・」
「・・・」
五月雨は目を丸くしていた。
「・・・お前、意外とモテるんだな。」
何気に失礼じゃね?
とか思いつつも・・・
一番それを思ってるのは僕自身だよ!!
と心の中で叫んでいる自分がいる。
「で、返事は?」
「断った。」
「え!?なんで!?」
「なんでって・・・」
「お前・・・あんな美人からの告白をどうして断ったんだ?」
そう、あの女性、卯月咲良はかなりの美人である。
・・・僕から見れば、あるアニメのキャラのほうが可愛いのだが・・・
皆が言うには、ものすごく可愛いらしい。
なんでも、この高校一なんじゃないか?
といわれているほどである。
しかも、親は今、急速にのびている大企業「卯月コーポレーション」の社長だそうだ。
いわば「お金持ち」ということになる。
正直そんなこと興味ないが・・・
友達は皆、なぜか女性の話とエロい話で異常に盛り上がる。
そうなると自然に耳に入ってくるものである。
「・・・はぁ・・・お前ってやつは・・・」
五月雨もつくづく呆れている様子だ。
「お前、これは一生にあるかないかの大チャンスだぞ?」
「僕は別にいいよ。」
「・・・だが、逆玉の輿も狙えるんだぜ?」
と横からある男子が入ってきた。
彼の名前は「桶狭間 真吾」
この高校で一番最初に友達になった奴だ。
彼も僕と同じく大馬鹿らしい。
入学式で教室に入って静かな空気のなか、「よぅよぅ(ry」といっていたのはまさしく彼である。
「あのなぁ・・・誰かと一緒にするなよ・・・」
「誰かって誰だよ?」
「・・・自覚のない奴ってのは哀れだッぺね・・・」
そこにもう一人男子が入ってきた。
彼の名前は「関ヶ原 光義」
桶狭間とは中学からの付き合いらしい。
「うるせぇな。で?お前、どうするんだ?」
桶狭間の一言に皆が僕のほうへ向く。
「あんな美人からの告白を断る・・・なんて男じゃねぇよなぁ?」
桶狭間は地味に攻めてくる。
「そうダッペ。んだぁことはとうにきめとっちゃるだろう?」
関ヶ原はよくわからないしゃべり方をよくする。
彼のトレードマークとでもいっておこうか。
「・・・そのわかりにくい日本語をどうにかしろ。」
五月雨は呆れ様子でいう。
「んなぁことは気にせんでえぇ。」
「・・・うぜぇ~・・・」
「うぜぇ~のはボケ狭間、お前だよ!」
「なにッ!?」
その関ヶ原も桶狭間としゃべるとき・・・
いや、このじゃれあいのときのみは普通のしゃべり方になる。
「てめぇ・・・喧嘩売ってるのか?」
「それはボケ狭間の考え次第じゃない?」
「だからボケ狭間っていうなぁ~!!!」
・・・こんな大声をだせばまわりの冷たい視線は桶狭間へと向かう。
「あ・・・あはは・・・皆さんはどうぞ、本に集中して!これはこっちの話だから。」
「・・・フッ。」
「だぁ~!!!関ヶ原、鼻で笑ってるんじゃねぇ~!!」
成長しないというのはまさにこのことだ。
「・・・で、実際どうするんだよ?」
またもや五月雨の一言で原点へと戻る。
「まぁ・・・断っておいたし・・・多分大丈夫でしょう。」
と苦笑するも、あの様子だとまた追いかけられそうなんだよなぁ・・・
とか少し心配の僕がいる。
「・・・わかった。それがお前の意思ならそれでいいんじゃないか。」
「・・・だな。ったく、もったいねぇけど、いいと思うぜ。」
「困ったことがあれば、相談にのっちゃるけどのぅ。」
「ハハ・・・ありがとう。」
これでとりあえず片付いた。
だがそう思っていたのは実は僕だけだったらしい。
なぜなら、これから僕は幾度となく、「彼女」に追い掛け回されるのだから・・・
「親友」 完




