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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
29/79

過去

※これは時津風視点の物語です

霧島第3高校・・・

普通の高校と一見かわらないように見えるが、実際はバリバリの帝国主義の高校。


そんなこの高校の1学年にも、あまり知られていないが「第5同盟」というものがある。

「第5同盟」とは、「卯月咲良」に関する同盟である。

え?

そもそもなぜできたかって?


そいつは、中学のときの話に戻る・・・




今から2年前・・・

ちょうど中学2年になったときの話さ。

「音島」中学。

市立中学校だ。



俺はその中学で剣道部に属していた。


「メーン!!」


バシッという音が絶えずきこえてくる、体育館。


「痛ぇ~・・・ケッ、また負けかよ・・・」

「へっへっへ、時津風・・・お前、この俺に勝とうなんて3年は早いぜ!」

「もう少し増やしてもいいんじゃないか?仁村。」


こいつの名前は「仁村にむら 愁都しゅうと」。

小学校時代からの親友だ。

剣道もとても強く、俺なんかが勝てる相手ではない。

しかも彼女持ちときたもんだ。

お相手の女性は、「超」がつくほど優しい女性だ。



「いやぁ~、あんま増やすと、ぬかれたときに困るなぁ~、とか思ってな。」

「大丈夫だ、抜ける気がしないから。」


中学1年のときは平和だった。

友達も増えたし、今までの仲間ともはしゃぎまくった。

俺は、中学2年も、そのあたりまえな時間がくる、そう思ってた。



が!

その時間はあるとき、乱れ始める。


「・・・お前、なんていった?」

「だから・・・卯月に告られた。」



・・・卯月咲良。

最近、あまり良い噂をきかない女性だ。

なんでも相当チャラいとか・・・



「どうするんだ、お前?彼女持ちだろう?」

「・・・俺は・・・卯月をとろうと思う。」

「はぁ!?」



納得のいかない答え。

それじゃぁ、お前もチャラいってことじゃねぇか。



「やめとけよ・・・あいつ、チャラいっていうぞ?」

「あいつとはもう結構話してるけど、優しいやつだよ。」



それ・・・最初はよくきくんだよなぁ・・・



「たしかにあいつは可愛いかもしれない。けど、お前を想ってくれてる人は、卯月より白湯のほうが上だろうが。」



白湯さゆ 美代子みよこ」。

こいつの彼女で、とても優しい女性だ。



「それにあいつは俺のことを本当に想ってくれている。」

「え?」

「俺のことを・・・理解してくれてるんだ。」


何を吹き込まれたんだか・・・


が!!

この頃の俺は、まだ「卯月咲良」に関しての悪い噂しかない・チャラい・・・

という噂しか知らなかった。


だから、もし立場が逆であったならば、俺は彼女がいなかったし、速攻でOKをだしたことだろう・・・



「俺は・・・卯月と付き合いたいんだ。」

「・・・」



俺にはとめることができなかった。

それがこいつの意思である限り、とめることはできない。

無理にとめれば、人権の尊重というものに逆らうことになるからだ。



その2日後に仁村と白湯は別れた、と知った。

その日の放課後。

俺は先生に頼まれて、荷物を運ぶという、いわばパシリとなっていた。



「くそ・・・なんでこんなに重いんだ!?何が入ってんだよ・・・」


あのくそティーチャーめ・・・

人をこき使いやがって・・・



そういえば・・・

B棟には抜け道があったな・・・


抜け道=近道である。


普段は狭くて暗いため、誰も通らない場所である。

が!!

こいつは重すぎる!

一刻も早くおかないと腰が砕ける!!


俺は急いで抜け道を通る。

すると・・・


「・・・グスッ・・・」

「・・・白湯?」


そこには白湯美代子がいた。



「・・・あぁ・・・時津風くん・・・」


彼女は涙をぬぐって、こちらを見た。


泣いていたのか・・・

やはりそうだよな・・・

こいつは優しいし、誰よりも仁村のことを想ってたからな・・・



「・・・それ、重そうだね・・・」

「重ぇよ・・・マジ、あのティーチャー、うぜぇ・・・なんで俺がこんなことをしなきゃならないんだよ・・・」


なんて愚痴をいう。



「・・・手伝おうか?」

「・・・いいのか?」

「うん・・・暇だったから。」


ということで、白湯の協力もあり、少しは楽に荷物をおけた。



「・・・サンキューな、白湯。」

「うん・・・ねぇ?」

「あぁ?」

「少し・・・付き合ってくれないかな?」



まぁ・・・荷物を運んでもらったしな・・・

少しぐらい、いいか。

剣道部は今はある1人が二刀流とかいって、ミスって竹刀をぶん投げて、窓ガラスをわって、休部となってるしな・・・


すると、外の椅子に背をかけた。



「で?どうしたんだ?」

「少し・・・相談にのってほしいの。」



相談・・・ねぇ。

やっぱ仁村のことかな?

・・・だろうな。



「仁村のことか?」

「・・・うん。」


やっぱりか。


「・・・私・・・どこがいけなかったのかな?」

「え?」

「・・・彼に嫌われるようなこと・・・しちゃったかな・・・」


してねぇ~よ・・・

てか、お前の尽くし具合はまさに天下一品。

織田信長もびっくりだぜ・・・



「今日・・・彼にいきなり別れよう・・・って言われてね・・・」



知ってるよ・・・

あの馬鹿がそういってたからな。



「・・・急にで・・・それで・・・強制で・・・」



彼女の目には涙があふれていた。

・・・仁村、やっぱお前の選択は間違っていたんじゃないのか?

こんなに想ってくれるやつ、そうはいないぞ。



「・・・それで・・・その・・・卯月さんと付き合うって・・・」



あの馬鹿・・・

んなことまで馬鹿正直に言ったのかよ・・・



「私・・・彼を・・・とられちゃった・・・」

「・・・」



何もいえなかった。

・・・いえるわけないだろ?


だって・・・俺は強制ならあいつをとめられた。

なのに・・・とめなかったんだから。



「それが・・・悔しくて・・・悲しくて・・・」

「・・・お前の気持ち、わかるぞ。」

「え?」

「だって・・・自分が大切にしていたものとか人とかがいきなりなくなっちゃったら、そりゃぁ誰だって嫌だろう?」


柄にもねぇこと言ってるんじゃねぇ!!



「・・・でもね・・・」

「?」

「私・・・彼が選んだならそれでいい。」


選んだならそれでいい・・・って・・・

お前・・・

どこまで優しいんだ?



「彼が幸せになってくれれば・・・それでいい。」



さすがというかなんというか・・・

ホントに優しいやつだと思った。


・・・なぁ・・・仁村。

やっぱお前は選択肢を間違ってるよ・・・


今日は金曜日だから・・・

月曜日にそれをしっかりと伝えよう。

今ならまだ間に合うさ。



「けど・・・やっぱり・・・彼と別れるって思うと・・・すごく悲しい・・・」


今・・・また「安心しろ!」とか余計なこといって、失敗したら余計に彼女を傷つけちまう・・・

だから、月曜日にしっかりあの馬鹿を説得して、彼に謝らせよう。

うん、それで元通りだ。



・・・元通りになるはずだった・・・



だが・・・

きたるべき月曜日。


朝から最後まであの馬鹿はくることがなかった。

学校への連絡もなかったらしく、完全なる無断欠席。

あいつが無断欠席なんて珍しい。

てか、初めてだろう。


さすがに心配になり、夜に電話をしてみる。



「もしもし、仁村でございますが、どちら様でございましょうか?」


そのしゃべり方は仁村の母だな・・・


「あぁ、え~と、時津風です。」

「あら?その声、斬くん?」

「はい、愁都いませんか?」

「声、大人っぽくなったわねぇ~・・・」


んなことはどうだっていいんだよ!!



「愁都?いるわよ・・・今、かわりますね・・・」


といって、はや5分。

遅いな・・・

てか、小さく怒鳴り声がきこえるのだが・・・

もしかして、俺の電話を無視しようとしやがったな・・・


すると、やっと声がきこえた。



「もしもし・・・愁都です。」

「おぅ、斬だ。元気にやってっか?」

「・・・」


返事はない。

まずいことでもきいちまったか・・・



「な・なぁ?今日はなんで休んだんだ?心配したんだぜ?」

「・・・」



やはり返事がない。

・・・どうしたのだろうか?



「なぁ?きいてるか?お~い・・・」

「斬・・・うちにきてくれないか?相談がある。」


そのときの時間が午後6時。

うん、今ならまだ夕食に間に合うぜ!!



「OK。親友のためとあらば、アメリカにでも、ブラジルにでも、木星にでも、ブラックホールにでもいきますよ。」

「サンキュー・・・」


・・・突っ込まないのかよ・・・


いつもの仁村なら「木星はいきすぎだろ!!でもって、ブラックホールは一回いったらでれんわ!!」とかいって、突っ込んでくるのだが・・・

やはり、テンションが異常に低い。


なにかあったのだろうか・・・

胸騒ぎがするぜ。



急いで、我が親友の家のもとに、自転車をこいて向かう。


信号?

んなもん、無視するべ。


人?

あっちから避けてくれるべ。


そんなこんなで一直線に親友の家にいき、わずか3分でつくという大きな記録をだした。

インターホンをならすと彼がでてきた。


「よぅ・・・少し俺の部屋ではなさないか?」

「おう。」



なんていって、彼の部屋へと入った。

久々にきたぜ・・・この部屋。



「で?今日はどうしたんだ?」

「・・・少し気分が悪くてな。」

「ほう?」


見たところ元気そうだけどね・・・

テンションは低いが。



「そういえばお前・・・白湯が泣いてたぞ・・・お前、とるべき相手を間違ったんじゃないか?」

「・・・」


すると彼は急にしたを向いた。



「・・・ハハ・・・やっぱ二頭を追うものは一頭も得ず・・・か。」


え?

そりゃぁ、どういうことだよ?


と聞く前に彼が口をひらく。




「昨日・・・卯月にふられた。」

「・・・はぁ!?」



おいおいおいおいおいおい!!

おかしいだろ、それ!!

付き合い始めたのは・・・え~と、金曜だよな?

日曜に別れただと?

最速すぎないか?




「欲しいっていうもんは何でも買ってやったし、なんでもしてやったのに・・・何がいけなかったんだ?」

「・・・」


知らんよ、そんなこと。



「・・・いまさら・・・白湯に謝るなんて・・・どの面さげていきゃいいんだ?」


こいつ・・・

まさか謝りにいかないつもりか?



「お前、白湯はお前のことなんて責めてないぞ。」

「・・・」


彼は再び下をむく。



「・・・はぁ・・・金をあいつに全部つぎ込んだのに・・・」

「・・・」


嫌な話にもってくなよ・・・



「・・・お前さぁ・・・」

「・・・なんだよ?」

「馬鹿だな。」

「!!」


仁村はイラッとしたようだ。

だが・・・

実際に馬鹿なんだから仕方ないじゃないか。



「だから俺はあんな女、やめとけっつったのに・・・」

「・・・」

「しかも、白湯まで泣かせてさぁ・・・」

「わかってるよ・・・わかってるさ。」



ったく・・・

こいつがここまでへたれだったとはな・・・

だが、実際にネットで「たまたま」見たのだが・・

誰かと付き合うために現彼女と別れて、その誰かとすぐに別れちまったら、また現彼女と付き合う・・・

という可能性は100%中1%にも満たないらしい。


まぁ・・・たしかに気まずいのはわかるけどな。



「なら・・・やることは1つだろう?」

「・・・」



やっぱへたれだな・・・

けど・・・白湯がそれじゃぁ、あまりにも可哀想すぎるぜ・・・



「・・・謝るよ。」


さすが我が親友!!

話がわかって素晴らしい!

フッ、ネットめ!

みたか、1%に満たない確率を可能にしてやったぜ!!

・・・俺じゃないけど。




「白湯も喜ぶよ。」

「・・・だといいがな。」

「・・・それとよ、今度は金を使うんだったら、白湯になんか買ってやれよ。」

「え?」


こいつは・・・

いつも尽くしてもらいながら、お前は尽くさないのかよ・・・

チクショー、うらやましいぜ!!

・・・じゃなくて・・・



「あいつ・・・ホントにお前のこと、想ってるから、なにか買ってやったら、すごく喜ぶんじゃないか?」

「・・・」

「卯月よりずっと喜んでくれると思うぞ。」

「・・・そうだな。」



そんなわけで次の日、こいつと白湯は仲直りして、前の仲を取り戻すことができた。


だが・・・

これが唯一の成功例である。

さすがネットに1%以下と書いてあっただけあり・・・

それ以外のカップルは俺がどう頑張っても、破壊されていった。


まさしく「卯月咲良」は破壊神だ。

しかもそれどころじゃない。

あいつは男はランダムで選んでいるらしい。

とんだ「通り魔野郎」だ。


そして・・・

中学2年後半、俺が知ってるなかで、7つ目のカップルが粉砕されたとき・・・

俺のなかの怒りは爆発した。



「・・・ざっけやがって!!」


人の心をもてあそびやがって・・・

最低な野郎だぜ・・・




そしてそれから2週間後・・・



「おい、きいたか・・・今度は西野と付き合うみたいだぞ、卯月。」


西野?

西野って・・・1週間前に告白して、やっと愛しの人を射止めた・・・

って喜んでいたやつだな。


・・・んでもって、そいつと俺は仲が非常にいいというこの状況。

神様・・・あんたはまた俺に走れ、というのか!!


正直、1回目のは奇跡だ。

もう奇跡なんて起こるわけがない。


が!!

仲がいい友達をほっておけるほど、俺は人ができてないぜ!!




とりあえず今、西野と話しても卯月の洗脳にかかってるから・・・

彼女を探そう。


そしてあることに気づく。


「・・・そういや彼女って誰だ?」


とりあえず3組というのはきいた。

3組を見てこよう。


廊下を走り、3組前にいくと・・・



「・・・」


なんかすごいオーラをだしている人が1人。

なんか・・・殺戮的なオーラだな・・・


正直お近づきになるのは怖いが・・・

放課後に3組前で待ち伏せて、ホームルームが終わって、でてきたら話をきいてみよう。




ということで・・・

放課後、ホームルームも終わったのだが・・・


「・・・なんであいつ、でてこないんだ?」


気づけば、その危ないオーラをだしている人、1人になっている。


よし、教室に入ろう。

別に大丈夫だろう・・・先生もいないし。


ガチャリとドアをあけると・・・

なんか・・・すごい目つきでにらまれてるんですけど?



「・・・貴様、どこのクラスの人間だ?」



「貴様」って・・・

おいおい・・・顔は良いというレベルだが・・・

こいつは「ヤンキー」か?



「なぁ・・・西野を知ってるか?」

「西野?・・・あぁ、私が今、真っ先に殺したい男NO,1の男のことだな。」



・・・やはり殺戮的だ。

今、こいつと西野とあわせたら、西野は終わるだろうな・・・

いろんな意味で。




「あの男・・・私に告白しておいて、許可をだしたと思えば、卯月のほうへいっちまいやがった・・・」


こりゃぁ、確実にこいつだな。

・・・西野も変な趣味があるんだな・・・

こんな怖ぇ女がいいのか?




「で?貴様、何のようだ?」

「・・・単に仲直りさせたいだけだよ・・・お前と西野をな。」

「!!」


するとその女の目つきがかわった。



「ほぅ・・・お前が噂のピースメーカーか。」


ピースメーカー?

なんじゃそりゃぁ・・・



「なんでも卯月に破壊されそうなカップルを助けてもらってるとか・・・まぁ、成功したのは1回のみのヤブらしいがな。」


それって・・・

明らかに俺じゃないか!!



「どうせヤブなピースメーカーだよ・・・」

「なるほどな。」

「・・・で?西野と話すか?」


とりあえず西野はまぁ・・・

後で・・・だけど、説得できるぜ。



「いや、いい。」

「え?」

「てか、安心しろ。」



あぁん?

何をだよ?



「私はもう西野とよろしくやるつもりはない。」



はぁ・・・もうお前はすでに死んでいる状態か・・・

なるほどねぇ・・・こいつはムンクの叫びをしたいぐらいだ。


・・・そういえばムンクの叫びって明らかにあごがはずれてるよな・・・

なんであんなにのびているのだろうか・・・

いやいや、てか、顔の形がまずおかしいな・・・

なんか、ひょうたんみたいな形をしていた覚えがあるぞ・・・(←してません




「・・・そう、じゃぁ、役立たずなヤブピースメーカーの名前がさらに拡大するな。」

「・・・お前・・・名前は?」

「え?時津風だが・・・」


なんでこいつは名前なんてきいてくるんだ?



「時津風・・・かわった名前だな。」

「よく言われるよ・・・」

「・・・なるほど。じゃぁ・・・卯月への意見をきかせてくれ。」



はぁ?

今度はなんだっていうんだよ・・・



「まぁ、人の心をもてあそぶなんて許せないよな。」

「・・・OK、気に入った。」



なぜお前に「気に入った」と気に入られなければならない?



「よし・・・」



なにが「よし」だ・・・

てか、なにが「よし」なんだ?

これから何をするつもりだ?



「これから同盟を作ることにする!」


・・・え?

まぁ、作れば?



「あ、そう。」

「まぁ、当然私がリーダーを勤めるとして・・・お前が副を勤めろ!!」

「はいぃぃぃぃ!?」



なんでだよ!?

おかしいだろ!

てか、俺は剣道部があるっつうの!!

それに暇なときはゲームしたいっつうの!!



「あの男・・・許せん。人をその気にさせておいて・・・だが、卯月はもっと許せん!!人の男をとりやがって・・・」


・・・もしかしてこいつ・・・

本当は西野のこと・・・



気づけば、彼女の目がほんのわずかに潤んでいる。

こらえていたのだろうか?


やはり・・・

口は悪くても、女性だな。



「おい、ヤブピースメーカー!」


誰がヤブピースメーカーだ!!

・・・俺か。



「なんだよ?」

「そういうわけだ。手伝え!」


・・・強制ですか・・・



「よし、これから生徒会公認の同盟を作るぞ!!」



部活じゃねぇんだから、生徒会公認なんていらないだろうが・・・

・・・面倒だ!

今日は退散することにしよう。



「悪い、用事ができた!!じゃ・じゃぁな!」


そういって、外にでた。

・・・が、なんとなく行くあてもない。

あの女性に見えないように、壁に寄りかかる。



「はぁ・・・」


でるのはため息。

あの女性を手伝うかどうか・・・


少し考えてみるも・・・

・・・はぁ・・・答えは1つか。

俺は人が困ってたらほっとけないタイプか。

今度、自分の長所のところにそう書くか・・・



ドアを再び開ける。



「!!」


彼女は不意に後ろをむいた。



「ど・どうした?」

「・・・泣いてたのか?」


いやぁ~、俺ってホントにデリカシーねぇ~・・・



「な・泣くわけないだろう!!私は3組一厳しいと言われている女だぞ!!」


たしかに厳しそうだな・・・

けど・・・

その台詞、後ろ向きながらいわれてもまったく説得力ねぇぜ?



「・・・ふっ・・・」



素直じゃねぇやつ・・・

そう思うと少し笑いがこみ上げてくる。

「可愛くねぇな」・・・と。




「笑うな!てか、泣いていて何が悪い!」


いや、誰も悪いなんて言ってないし・・・



「普通好きだったやつが、他の女にとられたら、悔しいし悲しいだろうが!」

「そりゃぁそうだな。」

「その悔しさや悲しさを涙であらわしてなにが悪い!!」


いや、だから悪いなんて一言もいってないし・・・



「・・・てか、同盟の話はどうなったんだよ?」

「え?・・・手伝ってくれるのか?」

「人が困ってるのを見かけると、ほっとけない性質でね。」


やべ、今、俺、最高に格好よくなかったか?



「それに・・・卯月のことは気に食わないし。」


別に嫌いというわけではない。

やり方が気に食わないんだ。



「よし、じゃぁ、同盟を作るぞ!!」

「・・・お前・・・名前は?」

「・・・川中だ。」



そう・・・

それがこいつとの初めての出会い。


そして、同盟を作ったきっかけ。


次の日、同盟を作ることに成功するが、何気に対卯月同盟は多く、「5番目」となってしまった。

名前を考えるも、ネーミングセンスなんてないし・・・

もちろん川中も何も言わなかった。

だから名前はそのまま「第5同盟」となった。


やることは主に次なる被害の阻止。

そう・・・生徒会から言い渡された。



俺は同じく卯月に反感を持っているやつらをかたっぱしから集め、「第5同盟」にいれた。

おかげで最終的に中学では47人も集まった。

そして、5つの同盟のなかで一番大きい同盟となった。



こうして「第5同盟」は結成された。

この「第5同盟」は「霧島第3高校」でも引き継がれる。

何しろ、リーダーである川中と、副リーダーである俺が二人とも「霧島第3高校」にいったんだ。

他のメンツは4人。

合計で6人となった。



中学では47人もいたのに・・・

ほぼ何もできなかった。


だから・・・

今度こそあいつの暴走をとめるんだ。


高校に入学した俺はそう・・・

空に誓った。



                        「過去」  完

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