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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
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逃走

「ですから・・・僕はその・・・遠慮したいといっているんです。」

「なぜだ?」

「え?」


彼女はしつこい。

彼女は同じクラスの女性である。


本来なら高校男子は皆、モテたいと思う年頃だそうだ。

そう、何かの本で読んだ気がしなくもないような・・・


だが僕は違う。

モテたいとも思わないし、当然女性と付き合おう、なんて気もサラサラない。


というのは・・・


「おい、説明しろといっている!」

「・・・はぁ・・・」


この理由で納得してくれるだろうか。

仮に僕が逆の立場なら納得なんて当然できない理由である。


その理由とは・・・

まぁ、自由気ままに生活していたい、というのが平たい説明である。


何しろ女性と付き合うとまずお金が減る。

すると欲しいものが買えなくなってしまう。

かといって、バイトをする気にもなれない。


なぜなら自由な時間が減ってしまうから。

僕はただ好きなことをしていられればいいのだ。


それはまわりからみればとてもわがままなこと。

自分でもわかっている。

わかってるけど・・・

でも諦めきれないんだ。


そのことを素直にいうことにした。


「・・・ということなんだ。」

「・・・」


相手の女性は呆れているのか、それともびっくりしているのか?

いや、それとも怒っているのか?


「・・・そんなに時間を大切にして何に使う?」


予想外の反応。

意外と冷静である。

・・・ん?僕、今、ちゃっかり失礼なことをいった?

・・・まぁ、いいか。


「・・・」



自由な時間。

僕のしたいことをする時間。


それは自分の趣味といえばいいのだろうか?

結論としていえば、パソコンとかである。

You tubeとかニコニコ動画を見たりしたり・・・

アニメサイトでアニメを見たり。


これは世間的にみれば「ヲタク」とよばれるものらしい。


実際僕はどちらかといえば「ヲタク」傾向にあるだろう。


現実よりアニメのほうが好き。

運動するより、アニメを見るほうが好き。


そんな僕である。

そんな僕は身だしなみとかにも特に気を使っていない。

今、男子はワックスというものを髪につけて、整える。

でも、僕はそういうのは一切つけない。

面倒くさい。

それにお金が減る。


うちは貧乏だから、お小遣いも少ない。

高校は無償だからこれたけど、大学はわからない。

そんな状況だ。


だから、女性と付き合っている時間もないし、お金もないのだ。

そのことを個人的にはうまく説明できた・・・と思う。


「・・・」


相手の女性は黙ったままだ。


「ふざけるな!!」


とうとう相手の怒りも限界のようだ。


「なんだよそれ!?自分勝手すぎるだろうが!」


と胸倉をつかまれ、壁に押し付けられる。


女性が行う行動とは到底思えない。

僕もびっくりだ。

この女性・・


「・・・卯月さん・・・ちょっ・・・痛い・・・」


この女性・・・

卯月うづき 咲良さくらが、こんな行動をするなんて。


「・・・あ!・・・ご・ごめんなさい。」


彼女は我にかえったように胸倉をはなす。


それから気まずい空気が絶えず流れる。


「ん?おい、十六夜。何やってんだよ、こんなとこで。それに卯月さんも。」


不意に心強い声が聞こえた。

彼の名前は 五月雨さみだれ 時雨しぐれ


僕の中学時代の親友のうちの1人である。

そして、頼れる存在でもある。


「あ、さ・五月雨!そういえば、お前と今日、打ち合わせの約束をしてたな?」


といって五月雨に近づく。


「え?なんのこ・・・」

「いいからいいから。」


五月雨の肩に手をおいて、目で合図をする。

五月雨もわかってくれたようだ。


・・・僕は馬鹿だ。

このまま去ればよかったものを・・・


「そ・そういうことだから、卯月さん。この話はまた今度ということで!!」



この「また今度ということで」といってしまったことに僕は後々非常に後悔することになる。


そして僕と五月雨は疾風のごとくその場から一目散に退散した。



                            「逃走」 完

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