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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
18/79

自覚

夜。

それは昼間と違い、闇が外を覆う。


僕の心は今、苛立ちの頂点へと向かっていた。

その苛立ちは闇を生み、闇は僕の心を蝕んでいくとも知らずに。



「・・・はぁ・・・」



僕は家に帰ってから、ベットの上に寝転んだ。


え?なんでこんなに苛立っているかって?

それは今日・・・

卯月咲良に失望したから。

失望は怒りを呼び、そのおさえることのできない怒りは苛立ちとなる。


原因はもちろん優柔不断な僕にある。

けど・・・それでも今日は彼女を許せない。


僕のことならなんとでもいってもかまわなかった。

けど・・・

桶狭間や関ヶ原を巻き込んだのは許せない。

彼らは彼女の理解者であり、僕の友達。

友達を巻き込んではいけなかった。


・・・そして、その友達を巻き込んだのは、咲良だけでなく・・・

やはり一番の原因は僕にある。


そうは自覚できているものの・・・

なんだかよくわからない無気力感に襲われる。


まったく眠くないのに、ベットでずっとごろごろとしている。

何もやる気にならない。

今は・・・大好きなアニメさえ見ようとは思わない。


ベットに寝転がりながら、なんとなく窓の外を見ている。


「・・・今日の空・・・あまり好きじゃないな・・・」


いつもは夕日がさし、カラスが「アホー」となく。

でも今日は暗い。


なんとなく・・・雲の流れを目で追う。

あいつも今、この空を見ているのだろうか?

なんてことを思ったりしている。



そんな何に対しても無気力な状況からどれほどたっただろうか。

外から「ザァ~」という音がきこえる。


「・・・雨か。」



なんだよ・・・天気は僕に同情してくれるのか?

外は、僕の心のように暗く、雨はまるで涙のようだ。



「・・・そういえばあいつ・・・今日、かさもってきてなかったな・・・」


なんだかんだいっても、僕は彼女のことが心配なんだろうか?

いや、別にそんなわけじゃない。

ただ・・・そう、なんとなくだ。



「星矢!ご飯できたわよ~!」


そんなこんなでボォ~と時間をつぶし、気づけば7時となっている。

夕食の時間だ。


とりあえず二階から、一階に降りる。



「星矢、やっぱ「とらドラ」は面白いな!!」


なんてうちの馬鹿親父がいってくる。


「・・・あぁ、そうだね。」


なんて、テキトーに返事をする。

いつもの僕なら、親父が苦笑して、呆れながら「わかったわかった・・・」というまで語り続けるのに・・・

それさえもやる気がでない。


「ん?何かあったのか?」

「・・・別に。」



さすがに親父も気づいたようだが・・・

別に親父にいったって何もかわるわけでもなければ、救われるわけでもないし、無気力感がなくなるわけでもない。

むしろ、またあのことを思い出すと、苛立ちが湧き上がってくる。



ちなみにうちの親父・・・

十六夜いざよい 蒼侍そうじ」は、別に無職なわけではない。

職業は漫画家である。

毎日土日は僕に「ネタがねぇ~!!」とかいってきて、うるさい。

僕が「売れてるの?」ときくと、親父は苦笑しながら「関係ないだろう?」という。

その反応からあまり売れていないようだ。


親父もアニメは大好きで、よく「参考にする」という名目のもと、アニメをひたすらに見て、母の逆鱗にふれる。

僕がアニメがすきなのも・・・多分、血筋。



「ご馳走様。」


そういうと、自分の食器を台所にもっていく。


「あら?今日はずいぶん小食ねぇ?」

「・・・星矢、やっぱ何かあったのか?」

「・・・別に何もない。」



もちろん何もないわけがない。


・・・もう今日は寝よう。

もう、嫌なことなんて忘れて、寝よう。

寝れば、スッキリするかもしれない。



そう思い、ベットに横になる。

が・・・やはりなかなか眠れない。

いいさ、ここは気合で寝てやる!!




そしていつの間にか次の日となっていた。

雨はすっかりとあがり、水のしずくが太陽の光に反射して、キラキラと輝いている。


のだが・・・

僕の心はやはりどんよりとしている。


とりあえず目覚ましをとめるも・・・


「・・・ダルい。」


無気力感もとれない。

この際、今日は休もう。

ということで二度寝をした。


次に起きたのは、午後の3時。

久々に寝坊できた。

寝不足解消だ。


そろそろ起きよう。

日差しが明るい。

自分の部屋のドアをあける。


すると親父がいた。


「あれ!?学校は?」

「寝坊した。」


もちろん嘘。

たんにいきたくない。

面倒。



「・・・嘘だろ。」


だが・・・親父にはそれが嘘だと見抜かれていた。


「嘘じゃねぇよ。」

「そうか?・・・そういえば昨日、お前、風呂に入らなかっただろう?」


そういえば風呂に入らないまま、寝たような気がする。


「きったねぇ~の。」

「・・・」


もう無気力すぎて・・・つっこむ気にもなれないし、もちろん怒る気にすらならない。



「・・・やっぱお前、何か学校であっただろう?」


しまった・・・

今のは罠か。

いつもの僕なら「うるせぇ~よ!」というところだ。

ついつい、忘れてしまっていた。

無気力感というのは、本当に人をかえるなぁ・・・

と思った。



「何もねぇっつってんだろうが・・・しつこいぞ?」


なんていつもの対応っぽくしてみる。

てか、いつもの対応は無意識にでるものだから・・・

それを意識している地点で、もういつもの対応ではないが。


とりあえず三度寝でもしようか・・・

やることもないし。

僕は後ろに振り返り、自分の部屋のドアに手をかけたときである。



「・・・咲良ちゃんとでも喧嘩したか?」

「!!!」


親父・・・

もしかして最初からわかってたんじゃねぇ~のか・・・

なぜこうもまわりくどくしたんだ?


「ははぁ~ん、図星か・・・」

「・・・うるせぇ~よ。」

「なぁ、星矢。俺の部屋で少し話さないか?」


親父は珍しく、「話さないか?」なんていってくる。

いつもは「ネタをくれぇ~!!」とかしかいわないくせに。


「・・・男同士の話だ。・・・大切な・・・な?」



親父の目はいつになく真剣である。

仕様がねぇ・・・つまらないことならサクッと自分の部屋に戻ろう。

それを条件に、親父の部屋に入る。



親父の部屋は相変わらず散らかっている。

机の上には、紙とえんぴつ・・・

それにパソコンがおいてある。

パソコンの画面は「アニマックス」のページとなっていた。


親父・・・また仕事しないで、アニメを見てやがったな・・・



「そうそう、星矢!」

「なんだよ?」


親父はサクッとページを戻し、ニコニコ動画へとつなげる。

この親父・・・どんだけ遊べば気が済むんだ?


親父はニコニコ動画の動画を再生する。

名前は・・・「冥土のメイド」とかいうよくわからないタイトルだ。


すると始まってすぐにアニメのメイドがでてきた。


「いやぁ~・・・やっぱメイドって可愛いよなぁ・・・」

「・・・」


親父・・・

頼む・・・マジで仕事してくれ!!



「星矢、お前もそうは思わないか?」

「思わねぇ~よ・・・」

「なんだ?お前は猫耳派か?それともナース服?あ、わかったぞ!!チャイナ服だな!」


どれも違ぇ~よ・・・

てか、僕にそんな趣味はない!!



「どれも興味ねぇ~よ!」

「ん?あ、なるほど。エロいお前のことだ・・・スク水か・・・」

「だぁ~!!興味ねぇ~!」


今、親父に「スク水」のアニメ女の子が星矢は好きらしい、なんて母にいったら、僕は母から毎日冷たい視線をおくられることになるだろう・・・

・・・考えるだけで恐ろしい!!



「そっか・・・そうだな、お前はSHUFFLEの・・・」

「だぁ~!!それ以上言うなぁ~!!」


まったくこの親父は余計なことをペラペラと・・・



「・・・てか、親父・・・なにが「大切な」だ?ぜんぜん大切じゃねぇ~じゃねぇか・・・」

「いや、大切だぞ!男は皆、エロい!!」


んなことを堂々発言されても困るのだが・・・


「そこを認めるか認めないかで価値はかわるんだ!!」

「・・・だからなんだよ?」

「つまり!!お前は・・・エロいか?」


なんで、んなことを僕にきくんだ!?

さっき自分で、僕のことを「エロい」といったじゃないか!!



「しらねぇ~よ・・・」

「認めろ!真の男になれ!!」

「・・・」


この親父・・・

仕事しないをしないで・・・

しかもこの僕にそんなことを言うためにここにつれてきたのか!?



「・・・というわけで・・・これを読め!!」


と親父がたんすの後ろから出したのは、明らかに「エロ本」とよべるものだった。


「・・・親父・・・これはさすがにひくぞ?」

「なぜだ!?お前は俺と同じ、同志!男じゃないか!!」


そういうと、さらに「ギャルゲー」と思えるパッケージの箱をたくさんだしてきた。


「これをやって、男を磨くんだ!!」

「・・・」


この親父はいつも「ひもじい」とか言っておきながら、こんなことに使い込んでいるのか!?

・・・なんというか・・・

・・・くだらなすぎて、何もいえねぇ~・・・



「・・・親父、僕、部屋にもどるわ・・・」

「待て待て!!」


親父はとめる。


「もう少し語ろうじゃないか!!」

「嫌だよ!なんで僕がそんなことについて語らないといけないんだ!!」

「・・・じゃぁ、咲良ちゃんのことについて語る!?」

「はぁ!?」


いや、なにがしたいんだ、この親父は・・・

マジで。

意味わからねぇ~し・・・



「いや、咲良ちゃんって可愛いよね!和服とか似合いそうだし!!」


てか、勝手に語り始めるなよ・・・

親父。

これを卯月がきいていたら、殺されるぞ・・・


てか、親父ぃ~!

女性は、和服が似合うかどうか決めるものなのか!?

僕は初耳だぞ、そんなこと!!



「あ、でも猫耳とかにもしてみたいよね!?あ、メイドにして、ご奉仕させたら、たまらんなぁ~!!」


卯月咲良・・・

思い出すと、イライラとしてくる。



「うんうん・・・巫女さんとかにもしたら・・・」

「あ~、もう!!卯月は関係ないだろうが!!!」


ついイライラを抑えられなくなってしまった。

本音がでてしまった。


それを見て、親父はニヤりと笑った。


「やっぱ喧嘩したか・・・」

「!!」


まさか・・・

この非常にどうでもいい話はこれにもってくるための策略!?

僕はこの親父の策略に見事にハマったというのか!?


 

「はぁ・・・星矢、お前はこうでもしないと話さないからな・・・」

「親父・・・てめぇ・・・ハメやがったな・・・・」

「いや、お前が勝手にハマったんだ。」


畜生・・・

やられたぜ・・・



「どうせお前のことだ。学校を休んだのも寝坊じゃなくて、単に咲良ちゃんに顔をあわせたくないだけだろう?」

「うっ・・・」


なんだよ・・・

今日の親父は鋭いじゃないか・・・

見事に図星である。



「フッ、俺も一応お前の母さんと付き合ったんだ・・・お前より女性のことはわかってるつもりだ。」

「・・・」

「どうだ?話してみろよ?」


それは軽く「言え!」と強制が入っている。


「・・・」

「言えば少しは気持ちが楽になるかもしれないぞ?」


ったく・・・

なんなんだよ・・・

この、次の言葉に「カツ丼でも食うか?」とか出てきそうな、この展開は・・・



「わかったよ・・・」


どうせ親父がこのことのために僕を部屋に呼んだなら、もう逃げられないのは確実なんだ。

無駄な努力をするよりかは・・・素直にいったほうが、楽だ。

もちろん、精神的にも肉体的にも。



「・・・ということだ。」


とりあえず5分でこと細かくしゃべった。

僕が怒ったこと。

怒った理由。

卯月が泣いてしまったこと。

・・・全部、あますことなくしゃべった。



「・・・」


親父はそれを静かに、真顔できいていた。



「・・・なぁ、お前は今回のこと・・・誰が悪いと思う?」

「もちろん僕だ。」

「あぁ、そうだな。けどな・・・それと同様に咲良ちゃんにも責任がある。」


なっ!?

なにを!?

卯月にはたしかに失望したけど、そうなったのは僕のせいで・・・

僕のせいなのに、イライラしているだけだ。

卯月は悪くない。



「お前は自分が優柔不断だからこうなったと言ったな?」

「あぁ。」

「それはたしかにそのとおりだ。」


ならなんで?

卯月は関係ないだろう?



「ここでひとつ、お前に問題をだそう。」

「問題?」

「あぁ。簡単な問題だ。」

「・・・」

「あるところで殺人が起こりました。殺されたのは夫。夫を殺したのは妻の友達ですが、殺せと命令したのは妻でした。さて・・・このなかで刑務所行きなのは誰でしょう?」


なにがしたいんだ?

とりあえず答えよう。



「もちろん、命令した妻もそうだし、殺した友達も刑務所行きだろう?」

「そのとおりだ。・・・それと同じなんだよ。」

「え?」

「はぁ・・・相変わらず鈍感だなぁ・・・」


だぁ~!

親父にいわれると、非常に腹が立つ!!



「今回の出来事の原因を作ったのはお前だが・・・実際にやらかしたのは咲良ちゃんだろう?」


大体言いたいことはわかった。

けどな・・・親父。


「・・・親父・・・僕は今・・・親父に失望した。」

「え?」

「どうしてそうやって人に責任をなすりつけるんだ!?それこそ、最低だろうが!」


そういうと親父は満足そうに笑みをうかべた。


「そう、それが正解だ。」

「は?」

「もし、今ので、お前が「たしかにそうだな」といっていたら、救いようのない馬鹿やろうだと俺は思った。」

「・・・」


また引っ掛けかよ・・・



「よし、俺のいったことを復唱しろ。いいな?」


は?ホントに何がしたいんだ?

意味わからん・・・


「俺は馬鹿野郎だ!!」

「僕は馬鹿野郎だ!」

「すべて俺の責任だ!!」

「すべて僕の責任だ!」


そう・・・すべて僕の責任。


「だからなんだっていうんだ!!」

「だから・・・って、は!?」


また引っ掛けか?


「・・・親父・・・意味わからん。」

「いいから復唱しろ・・・」

「・・・あ・あぁ・・・」


親父を話していると頭が痛くなってくる。

引っ掛けやら、意味のわからないことやら・・・

ホントに何を考えているかわからない人だ。



「だからなんだっていうんだ!!」

「だからなんだっていうんだ!」

「俺はドジで馬鹿野郎だからこそ、やるべきことは1つじゃないか!!」

「僕はドジで馬鹿野郎だからこそ、やるべきことは1つじゃないか!」

「・・・よし、もういい。」

「・・・」

「じゃぁ、そのやるべきことって何だと思う?」


だぁ~!?

親父・・・頼む・・・頼むから!

普通に説明してくれ!!


「お前・・・世の中のルールってのは理解してるか?」

「・・・あぁ、ある程度は・・・」

「じゃぁ・・・質問する。まるかばつで答えろ。」

「・・・」


また1つ解決してないのに、違う方向へもっていく気なのか!?



「人を殺したらいけないことだ。」

「まるだ。」

「人を殴っていい。」

「ばつ。」


なんなんだよ・・・

この低レベル、かつやる気のない問題は!!

今回のこととまったく関係ないじゃないか!



「じゃぁ・・・女性を泣かせてもいい。」

「!!」

「どうした?」

「・・・ばつだよ。」


そう・・・親父が「女性を泣かせてもいい」という言葉であのときの光景が頭によぎった。

卯月は・・・泣いていた。

僕が・・・泣かせたんだ。



「そう、いかなるときでも男ってのは女性を守るべき、いわばナイトとなるんだ。そのナイトが女性を傷つけてはいけないだろう?」

「あぁ・・・」

「いかなるときも・・・女性を傷つけちゃいけないんだ。・・・身体的にも、精神的にも。」


親父の言葉が胸にグサリとささる。



「今、多分咲良ちゃんは泣いてる。昨日は、その涙が外にでた。今は多分・・・心のなかで泣いてる。」

「・・・」

「今も、自分のせいだと自分を責めてる。」

「・・・」

「ここでさっきの質問に戻そう。・・・お前のやるべきことはなんだ?」

「僕の・・・やるべきこと・・・」



卯月は今も自分を責めているのだとしたら・・・

あいつは悪くないのに、傷ついているとしたら・・・


そう、やることは1つじゃないか。



「・・・謝る。」

「そのとおりだ。」



今、気づいた。

僕は今まで、何にイライラしていたんだ?

自分のせいとか思っておきながら・・・

心の奥では、全部卯月のせいにしてたんじゃないのか?

その自分の醜さと、悪役になった卯月に対する怒りで苛立ってたんじゃないのか?


だから、最初から「謝る」という選択肢がわかっていたのに・・・

謝れば、すべて自分のせいになるから・・・

卯月のせいにできなくなるから・・・

自分にすべてがのしかかるのが怖いから・・・

動かないほうがマシという結論を僕の心の奥でだしたんじゃないのか?

だから・・・無気力感がわいた。


やっぱり僕は最低だ・・・


昨日のそうだった。

卯月は何も悪くないのに、僕に謝ってきた。

それを僕は、僕が悪いのにもかかわらず、謝りもせず・・・

逆に、彼女を責めてしまった・・・

彼女が自分を責めていることを知っておきながら・・・



「・・・親父・・・」

「なんだ?」

「僕は一発ぶん殴ってくれ。容赦しなくていい。」

「・・・痛いぞ?」

「覚悟している。」

「わかった。」


バキッという音が部屋中に鳴り響いた。

痛かった。


「・・・親父・・・効いたぜ・・・」

「フッ・・・だから言っただろう?」

「・・・んじゃぁ・・・ちょっくらいってくる。」

「おう・・・しっかりやってこいよ。」


そういうと、僕は親父の部屋を飛び出し、階段を走ってくだり、急いで靴をはく。


「母さん、ちょっといってくる!!」


そう・・・けじめをつけるために。



「・・・はぁ・・・」

「・・・ご苦労様。」


一人となった親父の部屋に母が入ってきた。


「・・・きいてたのか?」

「えぇ。最初は思わず、殴りにいこうかと思いましたよ。」

「ハハ・・・」

「まぁ・・・あなたもたまには父親らしいことをいうんですね?」

「そうだな。」


父である「蒼侍」は窓の外を見つめながらいった。


「俺にも・・・あんなときがあったな。」

「私も・・・ずいぶんあなたに傷つけられましたからね・・・」

「ハハハ・・・あのときはすまなかった。」

「もう気にしてませんよ。」


母も、蒼侍と同じ、窓の外をみる。



「・・・うらやましいよ・・・あいつが。」

「青春ですね。」

「・・・謝るってことは難しいことだけど・・・星矢、頑張れよ。」





僕は彼女の家の方向へ走っている。

目的はただ1つ。

僕が最低な人間だって、自覚したから・・・

謝りにいかなくちゃ。

彼女をこれ以上追い詰めないように!


すると・・・



「・・・十六夜さま・・・」

「・・・あなたは・・・」


この人はたしかボディーガードのときに、迎えにきた人・・・


「お嬢様・・・卯月咲良さまの執事であります、「比叡ひえい」と申します。」

「は・はぁ・・・」

「もしよければ少しお時間をとらせていただけませんか?」


くっ・・・急いでいるのに。

でも、比叡さんを無視するわけにもいかないし・・・


「わかりました。」

「では、私の車で、お嬢様の家までお送りします。お話はそこで・・・ということで。」

「・・・」


僕は車にのった。

そして、車は走り出す。

目的地は彼女の家。

比叡さんとの話も気になるが・・・

まず第一は謝ること。


・・・僕は、自覚したんだ。

この自覚がいい方向に向くかは僕次第。


さぁ・・・行こうじゃないか。

彼女の家へ!!



                        「自覚」  完

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