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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
12/79

後輩

あれから2週間がたった。

「あれ」というのは、僕が彼女の素を向き合ったこと。


そう・・・あれから2週間。

なんだかよくわからないが、彼女は今まで以上に僕によくあいにくる。


僕としては、迷惑ではないのだが・・・

自由時間が減ってしまうので、若干苦笑ものだ。


今日もいつのもように家をでて学校に向かう。

学校に向かう途中で必ずその「彼女」こと、僕のなかの一番の問題児「卯月咲良」とあう。

待ち伏せ・・・といっても過言ではない。

まぁ、待ち伏せているとわかっていても、道をかえるのは面倒だし、一緒に学校に通うというのは自由時間が減るわけじゃないから、別にいい。

だからいつもどおりの道を通る。

今日もいつもの場所にたっている。

相変わらず早い。


「ん?おい!!貴様!」

「・・・なんだよ?」

「集合時間より3分も遅刻じゃないか!!どういうことだ!」

「知らねぇ~よ。てか、集合時間なんて決めてないだろうが・・・」


この卯月咲良という人物は二面性のある人物なのだが・・・

まぁ、素と向き合ったということで、僕の前では素でいる。

素でいることはいいのだが・・・


「貴様はなぜそこまでノロマなのだ!?ありえん!!」


散々侮辱されるこちらの立場にもなってほしいものでもある。


「・・・朝はまずおはようだろう・・・」

「なぜ貴様などに「おはよう」などと言わなければならない?」

「うっ・・・」


こいつ・・・

いくら僕の前では素でいいとはいっても限度があるぞ・・・


「てか、なんでお前はそんなに早いんだよ・・・」

「それは貴様がおいていくからだろうが!!」


あ~・・・あのことをまだ根にもっているのか・・・


それはちょうど1週間前・・・

いつもどおりだったのだが、その日は彼女はいつもいるところにいなかった。

僕は、先にいっているのだろうと思い、学校へいったわけだが・・・

どうやら僕のほうが先についてしまい、結果、彼女をおいてきてしまったらしい。

そのことを今でも根にもっているみたいだ。


「おいていくもなにも・・・てか、まず第一に一緒に通うことを頼んでないだろうが・・・」

「フッ、本当はうれしいくせに。こんな美人と一緒に通えるのだぞ!」

「・・・自分で美人って言うな。」


彼女は表向きでは静かで、礼儀ただしい女性だ。

だが、それは父に強制されたものであり、素は違う。


「正直になればいいのだぞ、少年。」

「知らん。意味わからん。僕はアニメにしか興味ない!」

「げっ・・・」


さすがに今の言葉はひいたようだ。

まぁ、それならそれでいいのだが。


「キモッ!ありえない!最低!二次元とか・・・現実逃避じゃん!」

「うるせぇ!てか、アニメを馬鹿にするな!!」


口は悪いが、悪いやつではない・・・

というのがここ最近の僕の結論だ。


「よぅ、今日もやってるな、バカップル。」


と後ろから桶狭間が歩いてきた。


「おい、今の「バカップル」というところは僕は断固否定するぞ!」

「もう、素直じゃないんだから。こんな美人を相手にできてうれしいんだろう?」


どいつもこいつも卯月のことを美人という。


「そ・そんなこと・・・ない・・・ですよ。」


おい!!

さっきまでの僕への強気の態度はどこへいった!?


「まぁ、元気が一番だっぺ。」

「そのしゃべり方をなんとかしろだっぺ。」

「ほぅ・・・十六夜、お前もなかなか言うようになっちょるな。」

「・・・悪乗りしすぎた。もうついていけん。」


関ヶ原がやってきた。

いつもどおりのメンツである。

ここにもう2人くる予定になっている。


「よぅ、十六夜。」

「おう、おはよう、五月雨。」


親友の五月雨が歩いてきた。

このなかでは唯一「まとも」といえる部類に入るだろう。


「相変わらず一緒に登校とは熱いねぇ~。」

「・・・お前までそんな冗談をいうな。」

「まぁ、そうかたいことはいいなさんなって、アニキ。」

「いつから僕はお前のアニキになったんだ・・・桶狭間。」


こう見ていると、高校生活はいい奴らに出会えて、充実しているといえるだろう。


「悪ぃ、遅くなっちまった。」

「おう、おはよう。」


最後にくるのは大抵「長篠」だ。

前はあまりなじめていないムードがでていたけど、だいぶなじんだようだ。


「んじゃぁ、将軍もきたことだし、学校まで全速前進といきますか!!」


そういって桶狭間がいつも先陣を突っ切る。

ちなみに「将軍」というのは長篠のあだ名的なものである。

「大戦略」・・・

というか知的なものに非常に強いため、このあだ名がついた。

ちなみに、このメンツで、彼に将棋を勝ったのは1人もいない。




学校につくと、時津風が走ってきた。


「おはよう、時津風。」

「よぅ、どうだった?例のゲーム。」


例のゲームとはこの間、こいつに借りた「グランドセフトオート チャイナタウンウォーズ」のことだろうか。


「あ~・・・ありゃぁ、操作がやりにくいね・・・」

「そうなんだよ・・・あれは失敗作だよな・・・」


んなら僕に貸すなよ!!

とか思ったりする。

こいつはかなりゲームが好きな男だ。

基本ゲームはなんでもやるといっている。

が!!

こいつはなぜか僕に彼曰く「失敗作」ばかりを貸してくる。


「じゃぁ、今度はテイルズオブテンペストを貸してやる!」

「・・・信用できん。」

「んなこというなよぉ~、親友だろ?」

「・・・誰がいつお前の親友になったんだ?」

「なんと冷たい!!これは氷河期!絶対温度!ケルビンさんもびっくりだよ!」


昨日理科で教わったことをいきなり使うな!

てか・・・この使い方、正しいのか?


「冗談だよ、冗談。」

「いやぁ~、嫌われたかと思ったぜ・・・」

「・・・いや、意外に本気かも?」

「え!?」

「桶狭間!誤解を呼ぶようなことをいうんじゃね!」


いつもどおりの日常。

それは僕にとってはすごく大切なものだ。


「おい、十六夜。」

「ん?」


後ろを向くと、今度は川中がいる。

周囲には子分らしきクラスメイトが4~5人。


「貴様、私の貸した宿題のプリントはいつ返ってくるんだ!?」

「え?あれ?返さなかったっけ?」

「知らんぞ。」

「・・・あれ?」

「えぇ~!?十六夜、まさかの借りパク疑惑!?」

「うるせぇ!黙ってろ、桶狭間!」


この高校に入って早1ヶ月と半。

気づけば、もうこんなにも僕の周りには友と呼べる人々がいる。

とてもうれしいことだ。



そんなこんなで学校もすごく楽しく、すぐに終わってしまう。



そして気づけば帰り道。


(今日はアニメ・・・何見ようかなぁ・・・)


なんてことを思いながら、空をぼんやりと眺めている。


皆とはわかれたのだが例外が1人・・・


「なぁ・・・毎回思うんだが・・・お前の家って正反対だよな?」

「まぁ、細かいことは気にするな。」


先ほどもいった、僕の一番の問題児「卯月」である。


「いや・・・細かくないだろう?」

「今日はお前の家で飯を食べていく予定だ。」

「・・・はぁぁぁぁぁぁ!?」


それはいきなりのことで正直びっくり。

・・・を通り越して、今、こんにゃくゼリーを食べたら明らかにのどに詰まらすだろう!

それぐらいのレベルだ。


「なんだ!?そんなにうれしいのか?」

「なわけないだろうが!!」

「そうかそうか、素直じゃないお前のことだ。そんなにうれしいのか・・・うんうん、私もいくかいがあるというものだ。」

「・・・」


なぜこうも良い方向にばかりものを考えられるのだろうか?

これは「プラス思考」の領域を軽く超えてるぞ!!

なら・・・ハイパープラス思考?

・・・ネーミングセンスねぇ~・・・


「まぁ、お前、前にお前の家で飯を食べてもいい、的なことをいっただろう?」


・・・いったっけ?

・・・たしかにそんなような似ているようで似ていない言葉をいったような覚えはある。

よく思い出せ!

思い出して反撃に活用するんだ!


「あ!」

「どうした?」

「思い出した。」

「・・・自分でいったことも覚えてないとはとんだ間抜け野郎だな。」


それが女性のいう言葉なのだろうか?

僕はつくづく疑問である。

正直、イラッとくる言葉はスルーして・・・

反撃にうつる。


「あれはお前が飯を抜きになったら!・・・という仮定の話だろうが!」

「ほぅ、そうか。なら、私は今日、飯抜きになった。よし、お前の家にいくぞ。」


絶対嘘だ・・・


にしてもなんでそんなに彼女がうちにくるのを拒むかって?

それは・・・

うちの馬鹿親父と母が勘違いをするからだ。

あ~・・・我ながらなんで、あのときにあんなことをいってしまったのだろうか・・・


なんて後悔が体のなかをグルグルと回転しているような気がする。

そんな後悔に蝕まれつつ、細道を曲がる・・・

と!

人にぶつかってしまった。


「あ、すみませ・・・」

「こっちこ・・・」


と相手を見てみると・・・


「あぁ~!!!」

「うぉ!?」

「・・・なに?」


これが3人の反応だ。


「・・・誰?こいつ。」

「・・・お前こそ誰だ。」


最初の出会いは最悪だな・・・

なんてことを思い始める。


「おい、卯月。こいつは僕の後輩の・・・」

「後輩だけじゃないだろ!恋人だろう!」

「え!?」

「だからいつそうなったんだ!?」


その「恋人」というのは死んでも断固否定するだろう。


「・・・最低ね。」

「なんでだよ!?」


てか、なんで僕が最低呼ばわりされなければならないんだ!?

謎である。


「卯月・・・こいつは僕の後輩の、「不知火しらぬい 疾風はやて」だ。」


不知火 疾風。

僕の後輩で、中学3年生。

名前の「疾風」はまさにこいつにはピッタリだろう。

なんたって、100m・200mは全国大会。

棒高跳びは関東大会まで進出しているのだから。


「十六夜先輩、私はすでに先輩が知っている私ではない!」

「・・・というと?」

「私は走り幅跳びで関東大会までいったのだ!!」

「おぉ!そりゃぁ、すごい。」


こいつは陸上なら何をやってもできる。

まさに「疾風」だ。


「・・・お前、中学の頃、陸上をやっていたのか?」

「いやいや、僕がするわけないだろう?」

「・・・」


・・・何かまずいこといったかな。

卯月に「死ねよ」って目で見られた気がするんだが・・・


「じゃぁなんで?」

「それは十六夜先輩が私と付き合ったからだ!」

「だからありもしないことをあたかもあったかのように言うんじゃねぇ!!」


もちろん付き合ったなんて事実はない。

てか、そんなに僕はモテない。


彼女とあったのは、僕が中学2年だったころ。

つまり彼女が1年のときだ。

その後半のときに、知り合った。


たまたま学校に大事な忘れ物をして、放課後に・・・

学校がしまったあとの学校に勝手に忍び込んだときに体育館で「ドスッ!」

という音がきこえたのでいってみたら・・・

こいつがいた。

それが最初の出会い。


「ハハッ、相変わらずかわってないな、先輩は。」

「ありがとよ。」


こいつは誰もいない体育館で1人、高飛びの練習をしていた。

そのドスッという音はどうやらマットに落ちたときの音だったらしい。


「先輩・・・先輩からの恩は忘れてませんから。いつか必ず返しますから!」


恩というほどのことではない。

陸上に関して何にも知らない僕が、一般人としてアドバイスをあげて、練習を手伝った。

それだけのことだ。


だがこいつはそれをただの「恩」と思っている様子ではない。

僕がそれを「ただの」というと、かなり怒る。

もちろん否定しても怒る。

よくわからないが、ここは肯定するしか道はなさそうなのである。


「ハハハ・・・期待してるぜ。」

「あぁ。」

「ところで・・・そこの女はなかなかの美人だが、先輩の・・・コレなのか?」


そういうと不知火は小指をたてる。

それは「恋人」なのか?

ということだ。


「なわけねぇ~だろうが・・・」

「よし、ならばいい!」

「何がだよ・・・」

「勝手に浮気をされたんじゃたまらんからな。」

「・・・」


もう・・・何もいえねぇ~・・・

とはこのことである。

だが、最初にいった本人はうれしさのあまりの言葉だろう。

が!!

僕は・・・本当に途方にくれていて何もいえないのである。


「そうだ、先輩。今日、うちで飯を食べて言ってはどうだろうか?」

「なんでそういう結論にいたるんだよ!?」

「あら?十六夜くんは私に貴方の家でご飯をおごってくれるのよね?」

「誰がそんなことをいった!!」


どっちに転んでも向かうのは、がけの底・・・

というやつか。

いや、むしろ海底か。

なら、アトランティス化も夢じゃない。


「先輩、うちで食べていけよ。」

「いや、おごりなさい。」

「・・・はぁ・・・」


頑張れ、僕!!

2人とも目が本気なのが怖い。

てか、なんで強制なんだ!?

これは僕の自由なんじゃないのか?

なのに、この断れない空気はなんなんだ!?


あいにく僕は家に帰って、「とらドラ!」を見直すという作業が待っているのだ。


「・・・なぁ、断るってのはダメか?」

「あぁ!」

「えぇ!」


それは2人とも即答だった・・・

逃げられない運命というのはあるようだ・・・


まぁ、どちらかのほうのをきくと、どちらかが反対するのは目に見えている。

が!

両方力押しで断ると、両方から殺戮光線を喰らう危険性がある。


「なぁ、不知火。これはお前の家じゃないとダメか?」

「あぁ、せっかく招待しているんだ。それに・・・先輩の家だと誤解されるだろう?」


そうか・・・

こいつが自分の家に誘ったのは、僕を気遣ってくれたからか。

そう思うと非常にありがたい。

が!!

だったら、この場から逃がしてくれ・・・

とも思う。


「まぁ、私は誤解されたほうがいいのだがな!」

「・・・」


ここはスルーの方向でいこう。

しかし・・・

僕は不知火の気遣いに感謝し、頼ることにした。


「・・・わかった。じゃぁ、こうしよう。」


僕は1つの提案をだす。


「不知火・・・お前の家でご馳走になるとする。」

「そうか!なら腕によりをふらないとな!」

「なぁ・・・卯月もいいか?」

「別に断る理由はないが?」


相変わらず話のわかるやつで助かる。

問題は、こっちだ。

こっちが納得するかが大切だ。


「卯月、不知火の家でもいいか?」

「なぜだ!?私はお前の家に・・・」

「不知火は料理がうまいからな。こっちのほうが期待できるぞ?」

「・・・」

「・・・どうだ?」

「・・・」


卯月は珍しく考えこんでいるようだった。

いつもサバサバとしているのに・・・珍しいこともあるようだ。


「・・・わかった。」


意外と聞き分けがよくて助かった。


「よし、先輩、いくぞ!」

「・・・悪いな。」

「いやいや、こっちは2人とも大歓迎だ!」



そんなわけで僕たちはこれから不知火家に飯を食べさせてもらいにいくこととなる。


  

                        「後輩」   完



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