24 or 25? 1
冬休みの過ごし方について
そう綴られたプリントをぼーっと眺める。
12月24日から、我が中学は冬季終業に入る。
今は23日、つまり明日から。
体育館での挨拶が終わり、後は先生が来て帰りのHRを終えれば、この学校に用は無くなる。
「さむ」
こんな寒いと言うのに暖房は付けてくれないらしい。
だから、寒さを凌ぐためにこうやってバックに顔を埋めて、身を縮めているわけだ。
「しーちゃん〜!寒いよー、あっためて」
「はぁ」
うるさいのが来た。
「小雪、鬱陶しい」
「あぁ〜ん、冷たい。でも、そこが良い」
「相変わらず寒がりだね。白奈」
小雪だけではなく、美咲も寄ってきた。
傍観してないで、引っ付いてくる小雪を剥がしてほしい。
「ギャル2人は絵になるねぇ、写真撮って良い?」
「いいけど、撮ったら剥がして」
「やだ」
だと思ったよ。
私は諦めて、上げていた顔を下ろす。
「先生遅いね〜」
「んね。さっさと帰りたいよね」
「なんか予定あんの?」
「特にないけど」
モゾモゾと動く小雪が鬱陶しい。
胸に這ってくる卑しい手を払う。思いっきりを叩く度に、文句をブー垂れてくる。
「白奈、25日暇?」
美咲の質問に、少しだけ考える素振りを見せてみるけど、悲しいことに予定なんてない。
巷では、恋人の日とかなんとか。全くもって私には関係無い話だ。
「えじゃあ!クリパしよ!クリパ」
「クリパー?・・・んー、どこで?」
「お父さんが店開けてくれるって」
どうやら、私のクリスマスは美咲のお父さんが運営する居酒屋で過ごすことになるらしい。
「私達だけ?」
「・・・ううん」
「男子もいるってことね」
小雪の反応で納得する。美咲は申し訳無さそうに笑っている。
「珍しいね、小雪が許すの」
「この話してたら押し切られてね。小雪の精一杯の威嚇虚しく」
「もう〜なんでぇよぉ!!」
人の背中でジタバタ暴れないでほしい。
「どうする?」
「んー、まぁ。別にいいんじゃない?
小雪みたいに男子嫌いでもないし、特段断る理由もない。
「ぁ」
「はぁ〜、よかったぁ。しーちゃんが居なかったら、みさみさと2人寂しくポテトを食べることになってた」
「巻き込むな。んじゃ、決定で──」
「あ、ま、待て」
ストップをかける。一瞬、脳裏を横切ったあの人を思い出してしまったから。
「どした?」
「しーちゃん?」
「ぇっ・・・と。と、とりあえず待って」
「・・・はは〜ん?」
「しーちゃんッッッッ!?」
「ぐぇ」
佐藤小雪の絶叫が響く。
木ノ下白奈の首が締まる。
小町美咲が気づく。
「あらあらあら、彼氏さんとの用事〜?」
「いないよね?いないもんね?は、橋下君とかじゃないよね?あの噂、嘘だよね」
「は、噂?」
何やら初耳の情報。
「橋下君と付き合ってるって噂」
「──?」
ちょっと待て、どういうこと?
なんでそんな噂が広まっているんだ?
「それ、嘘だから。私誰とも付き合ってない」
「あ、そうなん?」
「だよねっ!だよねっ!」
「うるさ、耳元で叫ばないで」
とりあえず、否定しないと。なんかめんどくさい事になる前に。
「ん?じゃあなんで待ったをかけたの?」
「・・・あぁ〜。ほら、親が帰ってくるかもだし」
「そっか。それを考慮してなかったね、しーちゃんパパが許してくれないかも?」
「そ、そうそう」
許してくれるだろうけど・・・。まぁ、咄嗟についた嘘にしては上出来だ。
「だから、えっと。許しが出たら連絡する」
「はぁい。朗報を待ってますよ〜」
「頼む!しーちゃんパパ、許してあげてッ」
・・・危なかった。
ポケットからスマホを取り出そうと、手を伸ばすがその動きが止まる。
「・・・持ってないじゃん。そういえば」
姉の方は持ってるけど、あの人のは持ってない・・・。
瞬間、扉が開く。
「すみません、遅れました。では、HRを始めますよ〜」
姉の方に聞く?いや、絶対揶揄われる・・・。
「じゃ、白奈。連絡お願いね」
「あぁ〜、しーちゃんの温もりがぁ〜」
「キモいぞ、小雪」
美咲と小雪が離れる。
でも今は、そんなことどうでもいい。
とりあえず今日。やる事は決まった。




