勝者の権利 4
vtuber要素、isどこ?
「ふぅ、いいお湯だった」
満足気な奏さんが現れる。
・・・風呂上がりのその台詞。年寄り臭いな
「木ノ下は?」
「もう少し時間かかるかもね。風呂上がりの木ノ下ちゃんみたら、ドギマギしちゃうんじゃないの?」
「しないですよ」
冷蔵庫に向かう奏と、テレビでバラエティを見ている飛鳥。
お客人が来ていても、2人の生活スタイルが変わる事はない。
「んく。ぷは」
コップに注いだ牛乳を飲み干し、白い髭なんて気にしないまま。
「奏さん、髭。出来てますよ」
「んー」
「あと髪、ちゃんと乾かしたんですか?」
「・・・やってよー」
言うと思った。
初めの1回目でお気に召したのか、時よりこうやって俺に手入れを頼んでくる。
髪は女の子の命と言うし、正直のところ俺が手入れするのは良いものなんだろうか・・・。
「奏さん・・・あの」
今日は木ノ下もいるんだし、断ろう
そう思い、口を開こうとすれば。
「だめ?」
なんて、甘えた声で言われる。
俺の弱点を的確についた完璧な一撃
これを相手にNOを言い渡せれる人類はいるのだろうか?
「────ドライヤーとタオル。持って来てください」
「わかったッ」
・・・呆気なく撃沈。
そう言えば、嬉しそうな顔をして指定した2つを持ってくる。
そんなに嬉しいものなんだろうか?
誰かに髪を乾かしてもらうのは。
「持って来たよ」
「じゃあ、はい。こっちにおいで」
「──っ、うん」
すとん、と足の間にちょうどよく収まる奏さん。小さいから、重みを感じない。少し心配にはなるけど、今、この状況では非常に助かる。
「ちゃんと拭いてませんね?」
妙にしっとりした髪の感触にため息が溢れる。
問い詰めれば、悪戯がバレた子供の様にはにかんでくる。笑ってる場合か。
「バレた」
「風邪引いたら、辛いのは奏さんですよ。ちゃんと拭く様に」
「えへ、うん。わかったよ」
はたして、このやり取りも何度やっただろうか
奏さんって雑だし、めんどくさがってちゃんと
拭かないことが多い。
「適当に手入れしたら、綺麗な髪が勿体無いですよ」
「綺麗だと思ってくれてるんだ」
「もちろん、地毛が茶髪なんて、大事にしない理由がないですよね」
「う〜ん、飛鳥くんが私の分も大事にすれば良いんじゃないか」
どういう理論?それは・・・。
「飛鳥くんは?お風呂入る?」
「いや、明日の朝にシャワー浴びます。もしかして、臭かったりします?」
「ううん、全然」
すんすんと首元の匂いを嗅がれる。
嗅ぎ終わってから、否定して。せめて
「はい、終わり。退いてください」
「えぇー、もうちょっとこのまま」
駄々っ子か。
なんて、微笑ましいやり取りをしていると
ピロリン、という可愛らしいシャッター音が俺の耳に届く。
「何撮ってんの」
「可愛いやり取りしてるから。写真撮りたくなっちゃった」
きっと、側から見れば俺がお兄ちゃんで奏さんは妹に見えるだろう。実際は逆だけど。
「その写真頂戴!」
「いいですよ、じゃ、連絡先交換しましょう」
木ノ下が俺の隣に座り、足の間に座っている奏さんと連絡先を交換し合っている。
送られた一枚の写真を眺める奏さん。
「よく撮れてますね」
「んね、木ノ下ちゃん。カメラマン向いてるよ」
「普通に撮っただけだよ」
短いやり取りを終えて、髪もしっかりと乾いた。終わりを告げるように、頭を優しく叩く。
「ありがとう、飛鳥くん」
「どういたしまして」
「・・・私も、いい?」
「は?」
何言ってんだ?
「大胆・・・」
「流石に自分でやってよ」
奏さんと一緒に、木ノ下の発言に慄く。
すると、自分の発言のヤバさに気付いたのか慌てて首をブンブンと振り始める
「ち、違うから!ドライヤー!貸してって意味!」
「あぁ、そっか。ごめん」
「この際、やって貰ったら?」
「え、えと・・・じゃ──」
「嫌ですよ。流石に」
奏さんは家族だから良いけど、木ノ下は流石に気が引ける。仲が良いとはいえ・・・。
「──そんなに嫌そうにしなくてもいいじゃん」
「なんて?」
「知らないっ」
ボソッと何かを呟いた木ノ下は不機嫌な顔立ちのまま、洗面台へと向かって行った。
程なくして、ドライヤーの音が響き始める。
「今のは酷いよ〜」
「無理なものは無理ですよ・・・。女の子の髪ってそう易々触っちゃダメでは?」
「私は?」
「奏さんは特別だからね」
さて、やる事もないし。寝るとしよう。
ソファから立ち上がり、伸びをしてみると小気味の良い音が背中から放たれる。
「んじゃ、俺はそろそろ寝ますね。おやすみなさい」
「──あ、うん。おやすみ・・・」
こうして俺の、内容の濃い1日が終わった。
「・・・あれ?鳥海さんは?」
「寝るって」
「──そっか」
ソファの上で寝転がり、スマホを弄っている
奏さんは完全にリラックスモード。
そんな女性の近くに腰掛ける。すると、無造作に、私の太ももの上に足を置かれる。
「木ノ下ちゃんは私と一緒に寝ようね」
「あ、はい。お願いします」
気になっていた、自分の寝床。どうやら、奏さんと一緒に眠るらしい。
寝相は悪い方ではないし、多分私が眠りを妨げる事にはならない筈。
「・・・さっき、髪やって貰えば良かったのに。飛鳥くんって押しに弱いから、頼めばやってくれるよ?」
急に、先の事を問い詰められる。
奏さんが言う以上に、そういう行為は難しいのだ。
「い、いや・・・流石に」
もしも、の光景を想像してみる。
身体が少しだけむず痒い、決して嫌なわけでは無い。
ただ、ひたすらに恥ずかしい。付き合ってるわけでもない男女の距離感ではないのは確かだ。
「今日は木ノ下ちゃんが勝ったんだから、甘えるチャンスだよ?」
「・・・う〜ん」
「あはは、まぁ。無理にとは言わないけどね。じゃ、そろそろ私の部屋行こっか」
立ち上がった奏さんの後をついて行く。
明日も学校なんだし、夜更かしは良くないのはわかるけど、この1日が終わってしまうのは
名残惜しい。
「・・・勝者、か」
ほんと、名残惜しい。
もうそろです。もうそろなんです。まじで期待している人達に申し訳ないです・・・。
でも、なんかランキングに入ったりしてマジで嬉しいです、応援してくれる人ありがとうございます。
数字に現れるとやっぱり嬉しいですね




