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しんふぉにー

掃除がひと段落したと同時に2人は帰ってきた。両手に袋を携えながら。


「おかえりなさい」

「ただいま〜、はい。お土産」


渡されたのはアイス。俺の好きなモナカのやつ

恐らくだけど、奏さんが教えたのだろう。


「わざわざありがとうございます」

「悪いね、こんなもんしかあげれなくて。本当はケーキとかあげたかったんだけど」

「飛鳥くんはケーキよりもこれが好きだもんね」


その通りではある。ケーキの絡みつく様な甘さは正直苦手。奏さんが付いていってよかった。


「それじゃあ、俺は部屋にいるんで。お2人はごゆっくりどうぞ」

「飛鳥くんもいようよ」


いや、なんで・・・?


部外者の俺が聞いていい話なのだろうか?

事務所の・・・情報漏洩のリスクとか


「だめじゃないですか?事務所のあれこれですよね?」


桃子さんに視線を送ってみると、人当たりの良い笑みを浮かべられる。


「違う違う、そんな話をここでするわけないじゃん」

「配信者をやっていく上で大切な事を教わるんだー」


あ、なるほどね。


「・・・俺いる必要あるかな」

「弟くん、ちょい」


耳を貸せと視線で訴えられる。訝しむ奏さんを尻目に桃子さんの方へ耳を傾ける。



「奏、結構抜けてるところあるでしょ?私の言った事を正しく伝わるかわかんないからさ・・・。保険のためにいてくれたら、私としても嬉しいんだけど」

「・・・確かに。そういうことなら」


「2人で何話してんの〜?」


頬を膨らませる奏を見つめて、これまでの事を振り返ってみると、確かに。桃子さんの言っていることは正しい


「じゃあ・・・俺もいようかな」


そんなこんなで、奏さんのvtuberらしい仕事を拝見する事になった。



「まず、SNSに載せる挨拶はインパクトがあった方がいいよ」

「インパクト・・・。私、ちはやさんのを越えれる自信ないですよ」

「どんなのですか?」

「これ」


スクショされた一枚。そこに映るのは、なんというか・・・。鼻で笑ってしまうというか、あまりにも言葉に詰まる内容だった。


「凄いっすね・・・」

「頑張って考えたんだよね。そしたら大受けで

初配信の同接は1,000人越えたから」


す、凄い。確かに、初手のインパクトって大事だな。そう聞くと


「ま、ここはのんびり考えなよ。とりあえず名前を覚えて貰える様にって感じかな」

「はい、頑張ります」


「それで、後はーーー」



話し合う2人をぼーっと見つめていると、ふとひとつの好奇心が湧き始めた。


しんふぉにーのこと、あまり知らないな。


vtuberに必要なあれこれも、ざっくりだがネットで調べたことはある。

けれど、それは機材とかあれこれの話で、現に2人が所属する事務所については、あまりにも無知だった。


「しんふぉにーって、どれくらいの規模なんですか?」

「ん?んー、程々ぐらいかな。有名ではあるけど大手ではないかなって感じ」

「へー」


その大手もわからないんだけど・・・。


「ま、私はそれなりに登録者持ってるけどね?」


急に自慢された。


「何人ぐらいですか?」

「30万ぐらい」


おぉ、確かに多い。


「えー、凄い。良かったですね、ちはやさんに教えて貰えて」

「本当にね。面接を担当してくれた時から色々と助かってます・・・」

「え?面接の時から?」


それ・・・いいのか?


「奏に光るものを感じたからね〜。運営の人も気に入ってたし」

「なるほど」


やはり、vtuberとしての才能は大いにあったのだ。俺の目に狂いはなかった。


「そ、そんな・・・私なんてただの引きこもりだし」

「奏には、誰かを惹きつける力がある。私はそう思うけどなぁ〜」


桃子さんにチラ見される。


当たり前だ。そんなの


「自信持ってください。奏さん」

「・・・うん」

「気になったんだけど、2人は姉弟なんだよね?」

「はい」


そう答えると、缶コーヒーに口をつけながら


「ふーん?」


なんて、興味あるのかないのかよくわからん返事をされた。どこまでも自由だな。




2人の話は1時間経っても終わらなかった。その間、俺は適当に反応を示したりしていたのだが、とうとう飽きがきてしまった。


「しんふぉにーって、ホームページとかあります?」

「あるよ、調べたら出てくる」


そう言われて携帯ですぐさま検索してみる。


「あった」


タップして所属している4人のライバーを上から見てみる。


<西園寺 琴美>

歌唱力なら右に出るものはいない程、歌に人生を捧げた歌姫。第一印象はクールに見られがちだが、お喋りが大好きで笑顔をよく見せてくれる女の子。頭が悪いのが、たまに傷。


<歌恋 ちはや>

ノリで生きている地雷系女子。愛される事が好きで好きでたまらないため、ライバーを目指した。好きな物はインディーゲームを漁る事であり、日々PCでゲームサイトを見ている。


<山吹 律>

マイペースで不思議な世界観を持った女の子。

のほほんとした口調とは裏腹に、fpsの腕前は

かなりのもので、"自称"<プロゲーマーにも負けない>エイムとゲームIQを兼ね備えている。らしい


<鳳声 かなん>

不死鳥見習い。人間に化けるのが好きで、人々の生活に馴染んでいる。怒ると怖いけれど、基本的には笑って許してくれる、おっとりとしたお姉さん。



一通りプロフィールを見てみる。


・・・なんというか、キャラが濃いな。


「どの子が可愛い?飛鳥くん」


隣に腰掛けている奏さんが、ニヤつきながらそう問いかけてくる。


「・・・奏さんが、前見せてくれた子ですかね」

「ん?私、飛鳥くんに見せた事あるっけ」

「はい、金髪の吸血鬼。あの子が好きですよ」


名前は忘れてしまったが、どれが好きと聞かれれば、もちろんその子だ。・・・ちょっとズルい解答かもしれないが。


「え、えっと・・・私はまだ、デビューしてないよぉ?」

「でも、しんふぉにーの一員ですよね?」

「・・・も、もう!あんまり揶揄わないの!」

「何を見させられてるんだ?私は」


桃子は両者を呆れた気持ちで見つめる。仲の良い姉弟なのは結構だが、他人様の前で見せつけてくるのは、大変きついものがある。


「弟くんが誠実な人なのはわかるけど、あんまり言いふらしちゃダメでしょー?」

「う、だ、だってぇ」


あ、やっぱりダメだったんだ。あの時は深く考えていなかったけど。俺経由で情報が漏れてしまったら危うかった。


「今日は、白奈ちゃんもいたし。結構危なかったね」

「木ノ下ちゃんがvtuber方面に詳しくなくてよかったです。ちはやさんの声聞いたら、1発でした」

「それな」


本当に大丈夫なのか?この義姉は・・・。


一抹の不安を抱えながらも、当の本人が楽しそうに今後の事を考えているのは、見ていてとても微笑ましかった。


「俺、そろそろ寝ますね・・・。お2人は?」

「ん、もうそんな時間?ちはやさん、今日はこのくらいにしましょう!」

「だね。んーっ!!ふわぁ、一気に眠くなってきた。弟くん、一緒に寝よー」

「ダメですって!!」



・・・本当に大丈夫なのか?・・・色々と。


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