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21時。

お久しぶり。

「きゃぁ!やばい!」

「っ!ーー!」

「ちょ、タンマタンマ!」


ピーチとヒカリが戦場の舞台でしのぎを削っている。

上手い部類に入っていると思っていた、うちの義姉は木ノ下の猛攻に耐えるのに精一杯だった


「うっわぁ、上手いねぇ。スマブラが上手い人の頭ってどうなってんだろ」

「同感ですね」


早々に脱落した雑魚2人は、大画面のテレビをぼーっと見つめる。


木ノ下・・・上手いなぁ〜。


なんて、考えていたら


「あぁぁぁ!」

「っよし!」


残りのスタックを消し飛ばして、木ノ下の勝利で終わった。

ガッツポーズ。ドヤ顔を奏さんに見せつけて、してやったぞとでも言いたそう。


「私の方が強いみたいですね」

「えぇーーー、くやしぃぃぃぃ!」

「いた、痛い痛い・・・。奏さん、落ち着いて」


こちらに寄りかかりながらジタバタと暴れる奏さん。顎に頭突きされたら、流石の俺もキレそうにはなる。


「にしても、上手いな木ノ下。普段からやってるの?」

「たまに」


勝てて上機嫌な木ノ下は、次は何のキャラを使おうか悩んでいる。


けれど、残念ながらこのゲーム大会はお開き。

壁にかけられた時計をチラッと見てみれば、21時を差し掛けていた。


「木ノ下、時間」

「え」

「あらら、時間が経つのは早いねぇ。もう一戦ぐらいなら出来そうじゃない?」


桃子さんの甘い誘惑を聞いて、飛鳥の方へと視線を向ける木ノ下白奈。

まだやりたいという思いがひしひしと伝わってくる。


「だーめ、木ノ下ちゃんの親御さん心配しちゃうから」

「う・・・はい」


しかし、うちの義姉の一言で、その思いは打ち壊される。

どこか気落ちした木ノ下は、俯いてしまった。


「あ、奏泣かした」

「いけないんだ〜」


雑魚2人の野次。

泣いていないけど、とりあえず奏さんを責めることにした。雑魚には雑魚の美学ってもんがあるんだよ・・・。


「な、泣かないで〜!!ほら、お隣同士だからさ!いつでもうちに遊びにおいで?ね?」

「い、いや泣いてませんし」


なんて、ふざけあっていたら21時になった。

それと同時に、木ノ下のスマホが揺れた。


「・・・パパ、帰ってきたみたい」

「下まで迎えに行く?」

「んー、玄関の前で待ってる。着替えるね」


そういえば、服を貸していたんだ。

危うく忘れるところだった。


「あげれば?飛鳥くん」


唐突な奏さんの提案に時間が少し止まった様に感じた。けれど、それを一瞬で打ち砕いたのは

桃子さんだった。


「そうだよ、弟くんが後でよからぬ事に使うかもしれないし」

「使いません」

「・・・ほどほどにね」

「使わないって」


桃子さんのおっさんみたいなボケは放っておいて、確かに渡したパーカーとズボンは普段着として使うには、少しだけサイズが厳しかった。


「どうする?」

「うー・・・ん、なら・・・貰う」

「わかった。着てた服、忘れない様に」

「うん」


外に出て身体を冷やさない様に、持参していた上着を羽織って、身嗜みを整える木ノ下。


「・・・どう?」

「ん?何が?」


立ち鏡越しに、そう問われる。

どう、というのは?


「似合う?」


「可愛い〜!」

「可愛いよぉ!白奈ちゃん〜!!」


しんふぉにー2人からの感想。仲良いね君達


「ありがとうございます。・・・鳥海さんは?」

「イケてるッ!」


サムズアップ。

モデルと見間違えるぐらい決まってるぜ!



「ないわ〜」

「飛鳥くんは女の子の心がわからない・・・」


どうやらダメだったらしい。

どこか萎えた2人のダメ出しとは裏腹に、木ノ下は表情を緩めて微笑んだ。


「へへ、ありがと。大事にするね」

「そうしてくれ」

「うん、それじゃあ・・・今日はありがとうございました〜」


知り合った時と比べて、少しは打ち解けることが出来たのか、木ノ下は笑顔を見せてくれた。



ちょっとだけ、見惚れてしまったのはここだけの話。





「さて・・・ちはやさん」

「はいはい。あぁぁぁぁぁぁ、だる」

「ちょっとぉ!!今日はそもそも、私の相談に乗ってくれる話ですよね!」


そうだった。桃子さん、そのために来たんだった。


「けど、今からですか?時間も時間ですよ?帰りの時間とか大丈夫ですか?」

「ん、今日泊まるしね」

「・・・はぁ?」


何を言っているんだ、この人は?


「えっと・・・荷物は?」

「あるよ、あの中に」

「そう、ですか」

「あ、下着とかは買いに行かないと。コンビニあったよね、ここら辺」

「ありますよ〜」


ま、いいか。

夜道を帰らせるよりも今日泊まって、明るいうちに帰ってもらう方が安全だ。


「弟くん、一緒に寝る〜?」


「ダメに決まってんじゃん!?」

「事案ですよ・・・」


「冗談だよ、冗談。さて、とりま下着買ってくる〜」


財布をバッグから取り出して、コンビニへ行こうとする桃子さんを、奏さんが止めた。


「一緒に行きます、夜道危ないですよ」

「はいはい、弟くん。欲しいものある?奏のせいで手ぶらで来ちゃったからさ〜」

「あはは、お構いなく」

「おっけ〜!適当に買ってくるね」


意外と律儀な人だ。


「ちはやさん、少し待っててください。準備してきます」

「はいよ、なる早でね。・・・白奈ちゃん、いるかなぁ?」


そう言って、桃子さんは外に出てしまった。


「・・・飛鳥くん」

「どうしました?」


座っている飛鳥の前に立ち塞がる奏。しばらく、見つめ合った後。


「か・・・なで、さん?」


奏さんは、急に無言で、俺の首に腕を回して全体重を預けてきた。


・・・少しだけ驚いたが、抱きつかれたと理解し、奏さんの背中を優しく叩いてみる。


「何かありましたか?」

「・・・飛鳥くんが女の子を連れ込んでた」

「言い方・・・ぐぇ、苦しい」

「たらし」


木ノ下と打ち解けたと思ったけど、やっぱり印象はあまり良くなかったようだ。


「木ノ下ちゃん、良い子だったね」

「そう・・・ですね?」

「好きなの?」

「は?いや、ないですよ」

「・・・ふぅーん」


この拘束はいつになったら終わるんだ?だんだん締め付ける力が強くなってきたし・・・。

ちょっと、そろそろ離してほしいかも。


「よし、じゃあ行ってくるね。戸締りちゃんとね」


急に解放されて、面を食らっている飛鳥を尻目に、いそいそと出掛ける準備を進める奏。


「あぁ、はい。お気をつけて。あ、携帯!忘れないでくださいね」

「持ってるよ〜」


奏さんは桃子さんを追う様にコンビニへ行ってしまった。



「何だったんだ?」


先程の義姉の奇行はなんだったのか?色々と考えてみても、答えは見つからない。


「・・・」



よし、とりあえず掃除でもするか。


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