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木ノ下白奈と飛鳥くん

いつになったら、Vtuber要素が・・・

 学校からの帰り道、エコバッグをぶら下げながら、規則的に吐き出される白い息が悠々と舞う様を見て、本格的に冬に突入したのだなと感じる。


「ん?」


銀髪の女の子が、こちらに手を振る。



「ん、おかえり」

「・・・なにをしてる?」


マンションの入り口の前、飛鳥と同じように

白い息を吐きながら、特徴的な銀色と、どこか気怠そうな目つきを備えた少女が、まるで自分の帰りを待っていたかのように振る舞う。


「待ってたんですよ。鳥海さんのこと」


どうやら、本当に待っていたらしい。


「え、なんで。ていうか待つにしても・・・ここじゃなくても・・・」

「・・・まだ、家入れないし」

「そう・・・ですか」


昨日も同じようなことがあった。

 この隣人は、扉の前で寒さに震えながらしゃがみ込んでいた。


「連絡したら、今日の夜に鍵を渡してくれるそうです」

「昨日は結局、帰ってこなかったんだ」

「うん」


どうやら、木ノ下さんの家族はこちらと同じで多忙らしい。どこか親近感が湧く。


「それはわかったけど・・・俺を待ってたっていうのは?」

「昨日のお礼、したいと思ってたんで」


壁に預けていた背中が離れる。その光景が様になっていて、モデルの様だった。


「・・・ほぉ、して俺に何をしてくれるんだい」


そう聞くと、冷たい視線がより一層冷ややかになるのを感じる。

それほどまでに、目の前の銀髪娘の目つきが鋭い。


「・・・えっちだね。結構」

「断じて違う」


怖っ・・・。




マンションのオートロックを解除して、お互い

の号室へと向かっていく。階数は2桁なので

エレベーターへと足を動かすのは当たり前のことであった。


目の前に差し掛かると同時に、行ってしまったけど。


「げ、先行っちゃった」


上へ上へと向かっていく。あぁ・・・俺も乗せて。


「・・・なら、階段で行きます?」

「は?正気か・・・。俺ら、18階だぞ?」


現階数。1階。


「運動運動、こんな寒いんだから」

「無理。木ノ下さんには俺の手に持つが見えないのか」

「私、持ちましょうか?」

「・・・ここでエレベーターを待つという選択肢は?」

「ない。ほら・・・行こっ」


胸ぐらを思いっきり引っ張られて、俺たちは階段で、18階を目指すことに。


せめて、腕を引っ張ってくれ・・・。



3階。


「鳥海さんって、好きなものなに?」

「急だなぁ」

「いいから」

「えー?・・・ゲーム?」

「なにやるんですか?」

「LoL」

「うわ」




5階。


「そういう、木ノ下さんは?」

「私もゲームですかね」

「さっきの反応は、PCゲームやってる人の反応だしね。で、なにやるの?」

「ヴァロ」

「うわ」




12階。


「はぁ・・・ぜぇ」

「き、木ノ下・・・」

「な、なに・・・」

「・・・え、えれべーた。あるから・・・」

「・・・ここまで、来たら。最後までッッ」

「はぁぁぁぁぁぁ?」




15階。


「・・・ぉえ」

「ちゃ、お前マジで・・・吐くなよ」

「は・・・おんな、の子に・・・言うこと・・・?」

「女の子の・・・体裁、保ちたい・・・なら。マジで、頼む」



18階。


「・・・」

「・・・」

「木ノ下」

「はい」


重い。手に持った食材やらお菓子やら、ジュースやらが重すぎる。髪を耳にかけて、肌を露出させる。今はこの冬の寒さを感じたい


「恨む」

「・・・まじ、すいません」


木ノ下も暑いのか、履いていたストッキングを

脱ぎ始める。見ちゃいけないものだと理解して、視線を逸らす飛鳥。


「ふぅ・・・やばいな。階段ってこんな、きついんだ」

「んね・・・」

「ていうか、なんで木ノ下も疲れてんだ・・・」

「インドアですよ。私」

「知らん・・・」


こんなことで汗を垂れ流す2人。ご苦労さまと言うかのように、風が漂う。


「身体冷やしちまう・・・あのさ」

「はい?」

「木ノ下はどうすんの?親、夜まで帰ってこないんでしょ?」

「待つ」

「お馬鹿・・・」


 汗をかいて、この冷風に当てられたら今度こそ風邪を引くのは目に見えている。

そんな、肩で息をする木ノ下を見据え、頭を捻る。


「家来る?親、帰ってくるまで」

「・・・あの、流石に」

「変な邪推しない。姉いるから」

「あぁ・・・そうなんですね」


いやまぁ、確かに。その反応はわかる。対して

仲良くもない男から家に来いなんて言われたら

普通は警戒する。


「じゃあ・・・お願いします」

「え?あ、ああ。はい。わかった」

「なんで言った鳥海さんが狼狽えてるの」

「まさか本当に来るとは」


姉がいるとはいえ・・・本当にいいのだろうか?隣人なんだし、普通のことか?

う、うーん。そうはいっても、女の子だし。

奏さんになんて説明しよう?


「鳥海さん、着いた」

「おぉ、ごめんごめん」

「邪推、してんの?」

「使い方間違ってるぞ。それ」

「ふぅーん。ま、大丈夫だよ」


鉄仮面を解いて薄く笑われる。


「・・・」


不覚にも、少しだけ。その表情に心を奪われた

何が大丈夫なのか。



「鳥海さん、女の子みたいな顔してるし。私の

タイプじゃないです」

「そういう心配じゃねぇ・・・はぁ、悩んで損した」


気にしてないなら、ま、いっか。


ガチャリと開き、靴を脱ぐ。


「ただいま」

「お邪魔します」


俺の声に釣られて、木ノ下も声を張って己の

存在を主張する。

さて、どうやって説明しようか。


し〜ん・・・。


「・・・あれ」

「?」


帰ってきたのは沈黙。寝てんのかな?それとも

客が来て、ビビっているのか。


「寝てるかも、とりあえず手を洗ってリビングいてよ」

「はい」


持っていた袋をおろして、肩を回す。やっと

解放された。肩と腕が軽く感じる。


「あの、本当にお邪魔して大丈夫でした?」

「ん?基本的に、部屋から出ない人だから」

「・・・親は?」

「仕事の都合で色んなところ引っ張りだこでして」

「・・・一緒ですね」


鉄仮面がより一層硬くなる。さて、デリケートな部分だから、触れづらい。


「あぁー、夜まで帰ってこないんだっけ?何時ぐらい?」

「さぁ、21時ぐらい」

「だいぶだな・・・ご飯、うちで食う?ちょうど鍋にしようとしてたし」

「・・・なんか、すいません。本当」

「いや、流石に昨日みたいにされたら困るし」


中々にショッキングであった、あんな夜中に

1人で縮こまっていたのは。可哀想にも程がある。


「嫌いなものある?」

「ないです」

「じゃ、適当にゆっくりしてて。テレビのリモコンそこ」

「あ、はい」


手を洗い、エプロンをつける。食材を取り出しながら、そういえばと思い出す。



「汗、気になるならシャワー入れば?」

「・・・慣れてます?」

「俺をなんだと思ってるんだ」


どうやら、木ノ下から見た俺はすぐに手を出す輩かなんかだと思っているらしい。

・・・いや、実際そう見えるか。



「木ノ下は俺の好みから外れてるから。安心してくれい」

「・・・ちょっと、ムカつくかも」

「俺の気持ちがわかったか」

「はい。・・・じゃあ、お言葉に甘えます」


どうやらわかってくれたようだ。


「場所、分かる?」

「うちと同じですし、わかる」

「着替え。置いとくから」

「・・・ありがとうございます。その・・・本当に」

「うんー」


パタパタと、お風呂場へと向かっていく木ノ下を見送り、俺は今日の夜ご飯を作ることに専念する。



数分後・・・


「よし、そろそろ・・・着替え置くか」


たしか、奏さんの部屋着はオーバーサイズが多かったし。それでいいか。


奏の部屋へと向かう飛鳥。無断で貸すのは良くないとわかっているので、許可をもらうために




「奏さん。あの・・・」


違和感。


「・・・奏さん?」


変だ。ゲーミングチェアに腰掛けてもいなければ、ベッドで横になっているわけでもない。


ただ、衣服が乱雑に放り投げられている。


「出掛けた・・・?」


スマホを動かし、奏さんに連絡を取る。


「は・・・おいおい」


ベッドの方から、本来鳴ってはいけない音楽が鳴り響く。携帯を携帯してないなんて、現代人にとってどうなのか?


「まずい・・・木ノ下のこと、なんて説明すれば」


帰ってきて鉢合わせー。なんて、面倒くさくなるのは目に見えている。


ふと、スマホが鳴り響く。着信主はわからない。知らない番号だ。


「え、えぇ・・・もしもし」


<あ!飛鳥くん!!私私>


「私私詐欺・・・」


<奏だよ!>


どうやら詐欺ではないらしい。


・・・っていや、どこの番号からかけたのこの人?スマホも2台持ちだったの?


<今ね!ちはやさんと一緒にいてね、スマホ借りてんの。ごめんね、スマホ忘れちゃって>

「あ、あぁ。そうですか」

<えとー、それでね?今日、ちはやさんにね?Vtuber業のこと教えてもらうために家来てもらう!>

「・・・は」

<ごめん!!本当、いきなりだよね>


本当にね。え、まずいこれどうする?


「あのあのあの」

<ん、ん!?どした?>


普段聞かない、ちょっと怯えた飛鳥の声に

奏は驚く。


「いつ頃・・・帰ってきます?」


<え?あー、あと10分ぐらい?近くの公園いるよ>


「えぇ!?」


<・・・なんか様子変だね。もしかしてさ>






<女の子でもいるの?>



急募、現状の打開策。



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