【6-4】推測重ね
「えぇ!?これってどういう事なんです!?」
最初は表示されている内容が信じられず、言葉にする事もできずその場で口をパクパクとする事しかできていませんでしたが、事情を咀嚼して飲み込めていくにつれて今度は理解が及ばずそれが頂点に達した事で叫び声が飛び出てしまいました。
「な…何か問題がありましたでしょうか!?」
朝ごはんを美味しそうに口に運んでいた元子供…じゃなくてアケミもびっくりしてしまったようで慌てて口の中の物を飲み込むと慌てて私を見上げてきます。
…こういった慌てふためく態度を他人に見せるのは弱みを見せる事ど同一なのでよろしくないというのは聞いた事はあります。
そして何か起こったという事をもう隠せません…未熟な事に驚くという態度を表に出してしまいましたから。
ではどうするべきでしょうか?
…ここで慌てて結論を出して変な方針を定める方が問題のような気がします。
「少し考えたいので待ってもらえる?」
急場しのぎのために私はそう言い、この状況について考える時間を得る事にしました。
問題は屠百舌が運んできた情報、今回は南東に飛んで帰ってきたのですが予想をはるかに超えた成果がありました。
まだ私が認知していなかった新たな管理者と思われる情報…これに対して驚かされた事で恨むなんて事は一切無く、むしろこの情報を知らずにいたらと思うと感謝しかありません。
…ですがここで疑問が1つ浮き出てきます。
それはドワーフ達が話に出さなかった事です。
確かここから東に里があると話をしていましたし…既に死んでいる南にいた管理者とも直接会ったという話も聞いています。
…それならコース上この管理者の事も見つけて接触を持っていたという方が自然なはずです。
…敢えて私に隠した?
それとも本当に見つけられなかった?
いずれにせよドワーフに対して新たな不信感がまた浮上したのは言うまでもありません。
どんな人間でも完全な白になるという事はありませんが…こんなにグレーゾーンと真っ黒を行き来されるとどう接すればいいか私としても困ります。
まあ疑問は疑問であり、この場で解決しない以上は推測だけにとどめて後に残しておきましょう。
今必要なのは…この見つけた管理者をどう対処するかですね。
地図で確認した所…相手の管理者は畑に森に水田と進化をさせた土地をたくさん持っているようですね。
楽観的に見るのでしたら地力を育てて備えているのか、それとも楽観的に生きるために食料確保のために動いている。
…まあこんな頭がお花畑の人はそうそういないのでたぶん後者はないでしょう。
悪い方を想定するのなら…私みたいにマナを稼いでそれだけの土地を確保している、それだと私と同じかそれ以上の眷属を召喚して戦力として用意しているかもしれません。
更にドワーフや盗賊、またはエルフと手を組んでいる場合…ドワーフはわざわざ話をせずにこちらに情報を渡さなかったと考えるならこの線もありそうですし…警戒は必要です。
他にも最低1枚は持っているであろう神の奇跡カード…どんなカードを持っているのかわからないというのも怖いですね。
そして…私の意図していなかった事ですが、屠百舌がこの管理者の支配領域に入ってしまった事実も捨てておけません。
確かにあちらの位置情報を掴めた分、地の利は私の方にあるのでしょうが…あちらにも侵入が気付かれてしまったでしょう。
それが他の管理者の眷属かそれとも野良の魔物かまでは判断できないでしょうが相手の警戒感が強いと今ごろ怪しまれているでしょう。
そこから考えるに有効な手としては…先手必勝?
こちらの支配領域に入った形跡もないですから、私の方から戦力を差し向けて奇襲をかける事ができたら相手の物を全て奪えま…。
いえいえいえ!?
そこで私は憑き物を落とすかのように慌てて首を横に振ります。
確かにここは異世界…前の世界の法律もありません。
ですがそれはそれ、楽だからと言っていきなり倫理観を捨てて蛮族のような選択肢を取るというのは流石にまずいとしか言いようがありません。
確かに殺人はしましたが…商人達は元々犯罪者でしたし私を殺そうとしたので正当防衛、管理者の男は明らかに私への悪意がありしかも話が通じませんでした。
理由付けをしただけとか正当性を持たせただけとか言われるかもしれませんが、それすらも一切無く躊躇なく一方的に殺して奪うようになってしまえば…もはやそれは私では無いのかもしれません。
とは言いましても異世界へ来た環境の変化のせいか短絡な思考を取りつつある事も否定できないでしょう。
少し思考のタガが外れないよう気を付けないといけません。
…さて、話を戻しますがではこの管理者に対してどう対処するか。
とりあえずは一度接触を試みたほうがいいのではないでしょうか?
話ができれば一番いいですが、そうでなくても相手の様子や出方を見れるだけでも判断材料は増えると思います。
そうと決めたら…今日は遠出に決定です。
しばらくはゆっくりとできると思ったけれどそうはいかなかったのが残念…ですが仕方ないでしょう。
こうして予定も含めて考えがまとまり始めると次第に頭が冷えてきて…とりあえずはそのまま座って残りの朝ごはんをいただくことにしました。




