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【4-16】把握と後処理

しばらく盛大に混乱した後…私の体力が持つ間になんとか収拾がついたのは幸運でした。

しかし終わった後に結果だけを見てみると…勝手に自分だけ錯乱してパニックを起こしていただけというのは疲れが更にどっと積もってしまいました。


まずは見慣れない魔物達…これは全部私の眷属であることを確認しました。

一体一体恐る恐る点呼を取っていき、命令が有効である事を確認し…時間はかかってしまいましたが何とか脅威では無い事が確認できてよかったです。

終わってみればもっとさくっとやればよかったと思わない事も無いですが、何事も慎重すぎて悪い事は無いのです。

なにせ命は一つしかありませんから…近くで転がっているような肉片になってからでは遅いのです。


そして見知らぬオレンジの羽根の生えた女性…こちらも子供である事が確認できました。

言葉による自己申告しか証拠は無いですが、声質は似通っていましたしここでこんな嘘をつく利点は無いのでほぼ間違いないと思います。


しかし羽根があるというのは…まさかあの性悪女と関係があるのでしょうか?

その点は近いうちに調べれるだけ調べましょう。


さて…どうしてこんな不思議な事が急に起こったのか、それは「管理者の本」に答えがありました。


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【TOPIC】


・管理者の本拠点を破壊するとその管理者は「管理者の本」を失います。

 本拠点に設置されている「奇跡の箱」「マナの箱」「資材管理箱」は消滅します。


・「管理者の本」を失った際、その「管理者の本」で召喚された眷属は消滅します。


・管理者を殺した場合、以下の特典を得る事ができます。


(1)殺された管理者が所持していたマナおよび神の奇跡カードは殺した管理者にそのまま移行されます。


(2)殺された管理者の「資材管理箱」の中身は全て殺した管理者の「資材管理箱」に移されます。


(3)殺された管理者の支配領域は殺した管理者にそのまま移行されます。


(4)殺された管理者の本拠点レベルに応じて、管理者の本拠点および本拠点の付随設備がレベルアップします。


(5)殺した管理者の管理下にあるものは進化に必要な経験値を獲得し、場合と条件によってランダムに進化する可能性があります。

これは管理者がマナを扱える事によりこの世界の中でも莫大な経験値を保有しているためです。


・この情報は「管理者」になって30日経過後に全管理者に公開されます。

 この情報は他の「管理者」を殺した管理者に即時公開されます。


------------------------------------------------------------------------------------------


人殺しをさせる事でその人が有利になる…デスゲームのような文章に、あの女達の性根の悪さが本当に現れています。

ですがこの情報も取得する時期によって有利不利が出ますので早めに取得できたのはよかったかもしれません。

…気に入らない事をさせられている点を除けばですけれど。

特に管理者を殺す事で利点があるという事…これで管理者は積極的に殺し合うように動く、今から20日後ぐらいからは確実にそうなるというのは知っておいて警戒しておかないといけません。

そしてこれをこちらの世界の人が知ったとしてもやはり命を狙われますのでより情報管理が必要であり…ここにいる男と同じぐらい思慮が足りない管理者が情報を漏らすケースも考えてやはりこちらの世界の人と接触する際も警戒が必要になるでしょう。


さて、今回眷属達が姿を急に変えた原因は(5)の部分に当たると思います。

「管理者の本」で眷属の一覧を確認すると名称の変更が確認できました。

恐らくこのように進化したのではないかと予想できます。


ウルフ → ウルフリーダー

ヒポグリフ → グリフォン

スノーシルフ → スノーホワイト

火よこ → 日輪鳥

エビルシスター → エビルプリースト

スケルトン → スケルトンワーカー


どうやら小屋の周囲で警備のため待機させているアンデッド達も対象のようです。

理想論を述べるのでしたら…漏れなく全ての眷属が強化されますので、残った死体でスケルトンを上限まで召喚して、さらにマナを使い切ってでも追加の眷属を召喚していたのですけれど、この情報を知らなかったのでは結局そんな無計画な事を実行する気は起きなかったでしょう。

そんな効率を取る事は無理だったとあきらめるしかありません。


そして「管理者の本」から進化した眷属の詳しい情報も見る事ができるのですけれど、それは小屋に戻ってからゆっくりと確認させていただきます。

眷属達はこれでいいとして問題は子供…いえ元子供と言うべきでしょうか。

人間が何か別の物に進化するのであるのなら利用価値があるというか怖いというか…まあ、確認をしておいた方がいいでしょう。


「念のために聞きますけれど。あなたは人間でしたよね?別種の種族に進化したり突然変異を起こす事ってあるのでしょうか?」


まずは人間であるかどうか子供の起点を確認、この前提が間違っている可能性もありますからね。

そして私の懸念通りふるふると首を横に振りながら、しどろもどろになりながらもゆっくりと答え始めます。


「そ、その…私は純粋な人族ではなく鳥人に属する獣人です。け、けけけ決して後ろめたくて隠していたという事は…あの、その…」


その不審な態度が逆に後ろめたさを表していると言いたい所ですがまあ嘘は言っていないように思います。

ですので人から他の種族への進化は今の所は確認できないという事でいいと思います。

そしてあの女との関係性は…性悪女の方の情報が不足していてわからないままです。

別れる前に聞いておけばよかったと後悔しますけれど、あの時にこんな事を聞く余裕は無かったでしょう。

解決しない事があるのは望ましくないですけどここは納得するしかないでしょう。


「わかりました。ですが何故貴方は羽根が生えていなかったのですか?」


「それは…私達の一族は羽根が生える事が一人前の証で、一方で羽根が生えない半端者と呼ばれる人もいます。私はそうでしたので奴隷として売られまして…」


だから親に価値が無いからと安直に売り飛ばされたと…聞いた話だけですがその中では辻褄はあいそうですね?

…聞いた話の情報しかないので真偽はまるでわからないですけれど。


一応「管理者の本」の【戸籍】から位置情報を確認したので同一人物という点はあっているので…まあ多分問題は無いでしょう。


…それにしてもこの調子で眷属も戸籍を持たせて配下にした人間も大量に強化できるのであれば、これ等を多数従えた管理者はその数に比例して強力になっていくという事ですよね?

私のようなぼっち主義は撤回して積極的に動いていかないとまずいでしょうか?

こちらも小屋に戻ったら方針を検討をしてみましょう。


それでは混乱も収まりましたので…ここでやるべき事を済ませて早く帰路につきましょう。

もう疲れてさっさと帰ってしまいたい欲求に駆られますけど、ここでしかできない事もありますし、この距離を行って戻ってくるという二度手間はもっとやりたくありません。


「それでは小屋を掘り返してください。回収したいものがあるのでできるだけそっとお願いします。目的としている…水瓶らしきものがあると思うのでそれを目指して頑張ってください」


そう命令すると眷属達はうなずいた後に小屋の周りに移動し瓦礫をどかす作業を始めます。

そして子供…では無く元子供も眷属達に加わって自主的に手伝っています。

埋まっているであろう水瓶も貴重なマナを使って作ったアイテムですし…回収できるのならしておきたい所です。

他にも予想をはるかに超えて頑丈であった小屋の残骸…木片も余裕があれば持ち帰りたいですね。

何か特殊な素材である可能性もあります。


さて、眷属達が働いているのに私がさぼるわけにはいきません。

男の拠点の周囲を歩いてめぼしい土地は無いか探していきます。

そして数十分かけて歩いた所…進化させていた土地が目に入った水田ただ一つだけだったとわかりました。

…これでどうやって眷属を養っていくつもりで…いえ、盗賊と組んで全て略奪でまかなうつもりだったのでしょう。

私とはやり方が異なりますけれどこれはこれで迅速に戦力を展開していく分には効果的です。

…どこかでつまずいてしまうと立て直しがきかないので取り返しのつかない事になってしまいますけれど。


まあ死んだ男の話はこの際いいとしましょう。

私は水田を「管理者の本」へと回収してしまいます。

私も稲作は全く分かりませんが…土地としてのスペックは荒地よりもいいので開いている場所に改めて展開させてもらいましょう。


私のやるべき事はこれぐらいですね…あちらの進捗はどうなっていますでしょうか?

確認のために近づくと元子供が困った顔で近づいてきました。


…何か問題でも発生したのでしょうか?

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