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【4-8】強気でいく

「…という事なんじゃ」


「はぁ…」


メルゾさんが話してくれた情報は私にとって千金にも値する情報なのは間違いないでしょう。

ですけれどあまりの情報量の多さと南西の管理者の異質さに私の頭の処理が追い付きません。

まずは私と同じ管理者…あの羽を生やした腐れ外道共が自分達を面白くするために絶対に他にも多数いると予想していましたけれど思ったよりも近くにいたようで…マイルドに表現するならそいつはかなりいかれているようです。

そしてこの話が本当なら…あのランドトレーサーという魔物の鳥はそ管理者のの男の眷属で間違いないでしょう。

目的はドワーフ達の住処を割り出すのが目的でしょうか?

全く私の所へ寄り道なんかしなければこんな厄介な事には…。


「そして最後にゴルム爺はこう言ったんじゃ!「お前のような品性の無い小僧よりもまともな奴に話を持って行くだけじゃ!」ってな!いやいやあいつも呆気に取られておったしきっと今頃悔しがって…」


「私の事も話したんですか!?」


思わず叫んでしまいましたけど、こんな中世ぐらいの文明の世界…個人情報を守る法律なんて当然あるわけもありません。

そりゃあ人の口に戸は立てられませんけれど…そうだとするとあのランドトレーサーは私の位置を探る目的もあったのかもしれませんね。


それは…非常にまずいですね。

確かに相手の管理者の男はランドトレーサーを失う事により風のマナを1点分喪失したでしょう。

ですが、私の本拠点は一方的に相手に知られた可能性があります。

地理情報のアドバンテージを持たれたままというのはよくないです。

私が急に叫んだことでたじろいでいるドワーフ達に向き直ると私に必要そうな事を慌てて聞き出そうと口にしようとして…一旦息を吸って落ち着かせます。

まずは聞く前に目の前のドワーフ達に踏み絵を迫る事が最初ですね。


「まず…あなた達はどうするつもりでしょうか?」


「ど、どうするってどういう事じゃ?」


話を端折り過ぎたでしょうか?

もう少しわかりやすくかみ砕く必要がありそうです。


「あなた達が軽率に発言したせいで盗賊の一味に私の家の場所がばれてしまいました。私にはあなた達が中立の立場にいるのかそれとも敵なのか…残念ながら判断がつかないのです」


「いや、そのようなつもりは無いぞ。確かに言うべきでは無かったかもしれんが信用してほしい」


信用…ね?

顔を二度会わせただけの他人にそんな重要な物があるとでも思っているのでしょうか?

必要な事を端的に問い詰めていくつもりでしたけれどふつふつと内心でイライラが湧き出て来ます。


「言葉だけだと何とでも言えますね。では何を根拠に信用すればいいのでしょうか?あなた達がしたことといえば不法侵入と盗賊への情報提供ですよ?…そういえば今回のランドトレーサーも気付いていて私の方に誘導した可能性もありえますね?まさかあなた達も盗賊の一味という可能性も…」


「なにをぅ…?流石に失礼ではなかろうか!?」


後ろにいた別のドワーフが我慢できなくなったのか私に叫んできましたけどさほど怖くはありませんでした。

内心怒っているせいで平静ではないせいでしょうか?


「最後は推測ですけれど…最初の二つは事実でしょう?ですので立場をはっきりさせてください。あなた達はどの立ち位置にいるつもりですか?」


恐らくこんなに強引に話を持って行くのは著しく悪い心象を与えますし、話がこじれる可能性も非常に高くなり今後友好的に交流をしていくというのも難しくなるでしょうし、するべきではないのでしょう。

ですが、今必要なのは正確な情報です。

ここでドワーフ達が敵対するようになってしまうというのなら…あまり好ましくは無いですけれどそれは仕方ないでしょう。

その場合は東に敵対的な集団が存在するという事になり、近いうちに対処が必要になると思います。

今一番問題なのはどっちつかず、不明瞭、未知等わからない推定だらけで埋め尽くされる事だと私は思います。

私にできる事といえば考える事ぐらいしかないのですからここを譲るべきではありません。


「ゆっくりと選んでいただいても構いませんがすぐにお返事いただけないと私としましても…」


私が言葉を口から吐き出すにつれて最悪の場合私がやらなければいけない事が頭によぎり、段々と迫られてきます。

まずは情報を貰うために無力化…ですけど最優先は口封じのためにこの場で全員を殺す必要があるでしょう。

…気が進みませんしやりたくもありませんが仕方ないと強引に自分を割り切らせ飲み込みます。

自分が生きるためとはいえどうしてこんなという不満も全て切り捨てて覚悟を決めます。

そして相手がどうでるかを睨みつけて待っていると…。


「ま…待てい!早まるな!儂等はならず者ではない!…確かに軽率だった事は認める!それを踏まえた上でそちらは何を望む!?こちらとしてはそちらに対して誠意を示したい!」


ふぅ…。

どうやら目の前のドワーフはこちらの要求を飲むことを決めたようなので…とりあえずは最悪の事態は避けれそうです。

私は緊迫して張り詰めた心を冷やし落ち着かせるとここで、そもそも何を求めようとしていたのかを思い出し口に出す事にします。


「まずは貴方達…ドワーフの立ち位置をはっきりさせてほしいですね。私の味方をしろと言うつもりはありません。ですがいつまでもコウモリでいてもらっては困ります。まだ南西の方に未練があるようでしたら…」


「コウモリというのはよく知らんが…儂等も賊と手を組むような信用できん奴と関わるつもりは一切無い。それはここで明言させてもらおう」


…これが本音なのか口からの出まかせなのか判断はつきませんが…まあいいでしょう。

これ以降ドワーフ達が南西の管理者や盗賊と接触しようものなら、もはや敵として処理をするまでです。


「もう一つは…貴方達が会って来た南西の人の情報をより詳しく聞かせていただけるかしら?」


「…それだけでよいのか?何か物を要求するとか…」


「必要ありません」


私はきっぱりと断ると必要な情報を執拗なまでに詳細に聞き出していきます。

相手の管理者の位置、管理者の身体的特徴、言動、周りの土地の情報に使役している眷属の情報。

当然聞き逃しをしないように同じ質問を最低二回は繰り返します。

ドワーフ達も最初は焦っていましたけれど長く続く質問の数々に段々と疲れを見せ始めてきます。

そして聞ける所を全て聞けたと判断した私は手をパンと叩いて笑顔を浮かべます。


「大変参考になりました。ありがとうございます。今回盗賊に情報を漏らしたことはこれでチャラにします」


「ちゃら?ちゃらという言葉はわからんが許してもらえたという事でよいのか?」


「ええ、その通りですよ。そして私はやる事ができてしまったようなので今回はここまでにしましょう。またお話の続きをお望みでしたらまた別の時にご足労ください」


知りたい情報も知れましたし、ドワーフ達のせいで厄介な事になったのでこれからどうするか決めなければなりませんし…何より物凄く疲れてしまいましたからお話はここでおしまいにしたい所です。

これで今回は解散とドワーフ達に告げるとドワーフ達は顔を見合わせて相談を始めました。

…こそこそ話すのはやめてほしいのですがまだ何かあるのでしょうか?

確かに高圧的に情報を強引に聞き出してしまいましたし私への心象が悪いのは間違いないでしょう。

それにあちらの成果らしい成果は無いですし…何か私に対価として要求をしたいともめているのかもしれません。

さて、ドワーフ達から何が出て来るのかと少しだけ待っていると遠慮がちに問いかけて来ました。


「あー…もう要求は無いのか?儂等の武具を要求するなり人質を要求するなり…」


へ?

私の予想とは違ったものが出てきましたので少し呆けてしまいましたが、すぐに何とか取り繕います。

少し考えを巡らせて…私はきっぱりと断る事に決めました。

だって物を要求したってすぐには持って来れないですよね?

というよりもこれ以上悪い印象を与え続けたらその武器で私を襲う確率が上がりますよね?

もう手遅れかもしれませんけれどそういうリスクは無駄に取りたくはありません。

人質なんてもってのほか、ただでさえ生活基盤が危ういのにもう何人も養うとかしたくも無いですし、人質を通して私の秘密がドワーフ達に漏れる一方ですからね…これは当然の結論でしょう。


「結構です。正直に話していただけていたのなら問題はありませんよ?それとも何か後ろめたい事でもあるのでしょうか?」


「と…とんでもない!そんな事は無いぞ!」


無いなら無いで終わりに…いえ、ちょっと待ってください。

もう悪い印象を与えてしまっているので少しぐらいは中和できそうなことを少し考えつきましたのでドワーフ達に待つよう伝えて小屋に戻ります。

そして「資材管理箱」から重い塊を取り出すと話をしていたドワーフに手渡します。


「…これは?」


「貴方が前回気になっていた山から採れた鉱物です。これをあげますので何か活用できる方法が見つかりましたら教えてください」


3人のドワーフ達は手渡した銀鉱石に引っ張られるように注目し始めましたが…私の話は聞いていますでしょうか?

流石に目の前で話した事は聞き流していないだろうと決めつけ、私はこの場の解散を宣言し小屋に戻る事にしました。

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