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【3-18】続く一台目の馬車整理

「あれ?全てしまうとおっしゃっていましたけど、その地面にある物はどうするのですか?」


奥からまた物を運んできた子供は無造作に地面に放棄されている皮水筒や寝袋を見て不思議そうに首をかしげています。

当然そんな事は決まっています。


「全て燃やします!」


「え、えぇ―――!?もったいなくないですか!?」


そうですね、指摘されたとおり使えるかもしれない物を捨てるのはもったいないかもしれないです。

ですが皮水筒は誰かが口を付けているだけではなく内側にカビがはえていますし、寝袋に至ってはひっくり返したら虫が出てきますしそれ以外にもところどころ破れていますし臭いがひどすぎます。

何よりもこの臭い…言いにくいのですが、その何と言いますか子供の教育に悪いものまで混じっていそうです。

ですので洗っても生理的に再利用が無理な物は処分するしかありません。


「もったいないですけど仕方ないのです。…何か問題はありますか?問題が無ければ仕事を続けてください」


「ご、ごめんなさい!」


そう言うと子供は慌てて奥へと引っ込んでいきました。

…少し強く言い過ぎたでしょうか?

ですが何か言われてたとしても妥協して決定を覆す気も全くありませんでしたしこれでよかったと思うしかないでしょう。


さて次は何が運ばれてきたかと確認してみると…木箱でしょうか?


「ううぅ…重い!?」


こんな事をしていたら腰を痛めてしまいそうですけどやらなければいけないと思い踏ん張って抱え込み、何とか馬車から地面へと下ろします。

そして物音を立てて地面に置かれた木箱には鍵も何もかかっていなかったのでそのまま蓋を開けて中身を確認する事にします。


「これは…毛皮でしょうか?」


中には茶色の毛皮が複数枚重ねて積み重ねられていました。

なるほどこの木箱が重いのも納得できます。

そして私がこの馬車の持ち主から生前に聞いていた話とあわせると…なるほどこれはにおいますね。


「ちょっと整理に時間がかかりそうだからゆっくりでいいですよ。次が運び終わったら休憩していてください」


「わ、わかりましたー!ありがとうございます!」


馬車の中から小さくもはっきりした返事が届きましたのでゆっくりと腰を据えて箱の中身を丁寧に取り出していきます。

1枚1枚ゆっくりと毛皮を取り出していくと、やはりあった目的の物を見つけます。


「この馬車の持ち主は魔道具の密輸をしようとしていた話でしたよね。という事は毛皮の間にあったこの液体の入った瓶…これが魔道具という事でしょうか?」


この馬車の持ち主である死んだ商人はきっと皮商人を表向きのなりわいにして密輸を繰り返していた事が予想できますね。

割れないように毛皮をクッションにしていた…のでしたらきちんとしたところで包んでいるでしょうし。

ご丁寧に箱の隅に若干寄せてあるのが大事な物だった証拠だと思います。


さて、この魔道具が何なのか…何かの液体が入った瓶である事はわかりますけどこんな赤色の液体…血でもないようですけど私にわかるはずもありません。

ですのでこの瓶は「資材管理箱」に入れて鑑定してみる事にしましょう。


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・ズーボアの毛皮:12

・勇気の酒:1


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なるほど「勇気の酒」というのですね。

お酒…道具と聞いていましたけどまあいいでしょう。

使い切りの物と考えるのが妥当でしょうか?

まあ予想をしていても仕方がありません。

詳細を確認すれば恐らくすぐにわかるのですから早速確認してみましょう。


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名称:勇気の酒


効果

①使用する事で「勇気の酒」の服用者は以下の効果を5時間獲得する。

 ・負の感情(恐怖・迷い・不安等)が取り除かれ効果時間中は負の感情に掛かりにくくなる。

 ・攻撃力、持久力、俊敏性のいずれか1つのステータスを2倍にする


②勇気の酒は使用すると消滅する。


【フレーバー】

高揚効果と身体能力向上が合わさった魔法の酒

この酒を常用する者の死亡率は高い


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え…え?

いえ、事前の予想通り使い捨てであるという点は不満があります。

ですがこのお酒ですか?

これの効果は破格すぎると思います。


ステータスが2倍…今の眷属だとあまり効果は期待できないかもしれないですし、私なんかが使っても泣きたくなるぐらいに効果は無いでしょう。

ですが…以前リストで見たドラゴンみたいな強大な眷属に使った場合…その効果はあまりにも高すぎます。

…これは危険物扱いになるはずですね。


ここまでの物になると他の管理者に売るなんて当然できませんし、「管理者ネット」に載せて情報漏洩するのもとんでもないレベルです。

おとなしくいざという時のために「資材管理箱」で保管しておきましょう。


さて、子供を待たせてしまっているので次に移りましょう。

次の木箱は…さっきよりは軽いし小さいですね。

中身は…おっとこれは嬉しいですね。

肉の塊やチーズや真っ黒な…パン?

どうやら食料を入れていた箱みたいですね。

これはありがたく全てちょうだいしましょう。

食事にバリエーションが出ますしいい事しかありません。


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・干し肉の塊:5

・ブロックチーズ:1

・黒パン:2


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私はホクホク顔で「資材管理箱」に入れると次の木箱へと向かいます。

ってこれもさっきみたいに重い!?

中身はズーボアの毛皮が入っているだけで魔道具は隠してありませんでした。

これが2回続いた後に、ようやく新たな魔道具が入った箱と出会えました。

あまりにも小さくて皮を持ち上げた際に落ちなければ私も気付かなかったほどです。

これは…金属製の指輪でしょうか?

綺麗にカッティングされた赤色の宝石がはめ込まれています。

ではこちらも「資材管理箱」に入れてどんな魔道具か見てみましょう。


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名称:灯揺らめく指輪

使用装備スロット:1


効果

①この指輪の装備者は以下の効果のいずれかを獲得する。

 ・火魔法のスキルを持っていない場合火魔法1(初歩の火魔法を行使できる)のスキルを獲得する。

 ・火魔法のスキルを持っている場合火魔法のスキルを1向上する


②この指輪の装備者は以下の効果のいずれかを獲得する。

 ・火耐性の特性を持っていない場合火耐性1(火や熱に対して若干の耐性がある)の特性を獲得する。

 ・火耐性の特性を持っている場合火耐性の特性を1向上する


③この指輪の装備者は魔力5のステータスを追加で得る。



【フレーバー】

ランデ金属で鋳造されたリングに火の精霊が中に存在する宝石を組み合わせた指輪

ゆらゆらと火のように揺れる宝石は魔道を追求する者を魅了してやまない


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何と!?

これもすごくいい物ではないでしょうか!?

それに…!

効果を読んだところ魔力を得てさらに火魔法のスキルを得られると書かれています…という事は私にも魔法が使えるという事じゃないでしょうか!?


…恥ずかしい話かもしれませんけれど子供の時は魔法を使うのにあこがれた事もありました。

ですがそんな幼い時の夢が今ここで叶うのは…それはそれで素敵な事では無いでしょうか?


まあそれよりも前の生活を返せっていう怨嗟の方が遥かに大きいですけれど。


ですが機会があるのならば逃すわけにはいきません、では早速指輪をはめてみましょうか。

私が人差し指に赤く輝く指輪をゆっくりとはめようとした所で…。


チリーン。


何故か反発するように宙を舞い地面に落ちてしまいました。

おかしいなと思ってもう一度はめようとして…。


チリーン。


また虚しい金属音が鳴り響きます。

この指輪はジャンプする効果もあるのでしょうか?

何故かぽーんとすっぽ抜けて宙を舞ってしまいます。



…え?

本当にどういう事でしょうかこれは?


いえいえ慌ててはいけません。

一息ついて冷静になると何か解決策は無いかと思って「管理者の本」を開いてみます。

すると何故か光ってメッセージが表示されていました。


『管理者は装備スロットが0のため装備できません』


「どうしてよ!?」

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