【1-5】眷属召喚
ブックマークが徐々に増えていく。
ありがたいことこの上ないです。
『それでは土地の話はここまでにして【眷属召喚】の話に移りましょうか。「管理者の本」で同じように念じてください』
女に言われた通りに実行していくと何かカタログのようなデータが「管理者の本」に表示されます。
どれもこれも動物や昔話の生物のような気がしますけど、ひょっとしてこれを召喚できるという事でしょうか?
『できましたね?【眷属召喚】では召喚コストのマナを支払って眷属として召喚できるのです。だけどこの世界ではそこらにいる生物にこのマナのコストは高すぎるんじゃないかと思いますか?ええ、そう考えるのも当然なぐらいに高いです。ですが!この【眷属召喚】で召喚した生物は絶対に管理者に逆らえません!命令には絶対服従で許可しない限り管理者に危害を加える事もありません!管理者である貴方の言葉は種族に関係なく伝わり、確実に実行しようとします』
なるほど?
一覧を見てると確かに土地を豊かにさせるのと同等かと聞かれると…今の段階ではそうは思えないけど忠実な手駒が手に入るというのはいいかもしれません。
後、私は一般的な女子大学生…それはつまり戦力としては換算できないどころかマイナスなのです。
でしたら確実な戦力を確保できるというのは非常に大きな利点であると思われます。
『では試しに…そうですね例に挙げる生物を一つ表示しますね』
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名称:ファイアドラゴン
種族:ドラゴン
召喚コスト:火16風2土1
維持コスト:肉類
ステータス
体力 :150
攻撃力:100
魔力 :20
持久力:60
俊敏性:40
器用さ:10
装備スロット:0
スキル
①飛行3(中空をそれなりの速さで飛ぶことができる)
②火のブレス(広範囲に高温の火の息を吹きかける)
③火中行動5(溶岩の中で行動できる)
特性
①水弱点(水に関するダメージは2倍受ける)
②炎体質(熱い土地で元気になる、氷点下以下の土地でステータスが半分になる)
③竜の鱗(鱗部分に攻撃を受けた場合、端数1桁のダメージは切り捨て無効となる)
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…ナニコレェ?
というかドラゴン何ているのこの世界!?
そんな物騒な生物がいるのに守り通さなければいけないのはこのぼろい小屋…これって難易度高くないでしょうか!?
思わず提示された情報に食いついていると私がやる気があると誤認したのか女が得意気に説明を続けていく。
『まず召喚コスト、こちらのマナの点数を支払わないと召喚できません。このドラゴンの場合は【火】のマナが16点と【風】のマナが2点と【土】のマナが1点必要になります。マナの後払いや分割払いはできませんので一括払いで支払うように。それと維持コストはこいつが消費する食料みたいなものですね。生きている以上は当然の事ですからこれをあげないと栄養不足で弱くなってそのうち死にますね。まあ大きさによって消費量は変わりますのでそこは個人の感覚でがんばってください』
いけないいけない!
説明を聞き逃しちゃいけない!
また意識が変な方に集中しちゃっていたので説明に意識を戻して続きを聞きます。
『次にステータスについてだけど体力は生命力で…まあこれが0になったら死ぬと思えばいいわ。攻撃力はこの生物の物理破壊力ね。魔力は魔法を行使する際の効果量で…持久力はそっちの世界でいうスタミナかしら?俊敏性はどれだけ早く動けるか。器用さは細かい事が得意かの数値と見てもらっていいわ』
本当にゲームみたいになってきたけど強さの指標が大体わかるというのはありがたいです。
昔話の知識なんかはあまり得意じゃないのでデータで見られるというのは戦略が立てやすくて助かりますから。
『まあ実際には攻撃が急所に当たったり弱点に当たったりどうでもいい場所に当たったりで厳密にこの通りになるとは限らないからね?目安として認識しておいたほうがいいらしいわよ。後は装備スロットの分だけ装備可能なアイテムを装備出来て…それぞれ便利なスキルと特性を持っているぐらいね。あ、そうそう眷属も土地と同じようにカード化して「管理者の本」にしまっておいて必要な時にだけ出し直すというのも可能よ。カードから眷属召喚をする場合は召喚コストは再度支払わなくていいわ。さて説明は終わりよ何か質問はある?』
うーん?一気に説明されちゃって理解した気になってしまったけど絶対穴がありますよね?
少し考えを浮かべると気になる事がぽつぽつと出てきたので、他にもいろいろありそうだけどまずは手当たり次第に聞いておきましょう。
聞かないというのは最悪ですから。
「そこらにいる生物を眷属とする事は可能でしょうか?」
『基本はできないわ。それができたら高いマナを払う意味が無くなるじゃない』
「眷属とした生物の行動可能範囲は?」
『基本的にどこまでも…だけど維持コストを無視するから運が悪いと二日ぐらいで餓死しちゃうわよ?』
「召喚の制限は?同じ眷属は何体までとか…」
『無いわね…ただしユニーク個体というのがいるからそういったのは世界に存在できる数の制限があったわね』
「管理者が先に死んだ場合眷属はどうなるでしょうか?」
『管理者の生死よりも管理者の力が無くなればという話だけど…まあ即座に消滅するわね』
これ以上はこの場では出てこないかな?
ここで時間を使って待たせて不機嫌になられても困りますし…次の説明に進めてもらいましょうか?
そう思っていたのだけれど女の口から出たのはありがたい言葉だったのです。
『そしてなーんと!管理者の皆様は神様より眷属を一体無料でプレゼントしちゃいます。内容は今「管理者の本」に表示されている同マナ2召喚コストに制限させてもらいますがどれでもいいですよ。それになーんと!維持コストに掛かる食料を5日分セットにするわ』
へえ?一体くれるのは気前がいい…という事じゃないよね?
どうせ全員にプレゼントされるのだろうから私達の動きを早くさせて面白い見世物が早く見たいって魂胆としか思えません。
だけど他全員が貰っているのに私だけが貰わないという選択肢は無いので選ぶことにします。
うーん、どれがいいでしょうか?
結構な種類があるのでどれがいいかと悩んでいると女から楽しそうなアドバイスが飛んできます。
『ちなみに私からありがたいアドバイスをするなら「ゴブリン」がお勧めですよ?』
ゴブリン…確かに装備スロットが2つあって標準的で悪くない。
だけど基本スペックが少し高いコボルトもいるし特性も子供を残しやすいというものだしあまり有用じゃ無い気がするけど。
あ、そうかこの女の意図を聞いておけばいいよね。
「どうして「ゴブリン」がお勧めなの?」
『それは貴方が女性だからですよ』
一瞬話が理解できなくてちょっと呆けてしまったけどこの女が何を言おうとしたのかその意図はわかってしまい嫌悪感を感じてしまう。
『見世物としては最高ですから是非そうして欲しいというのもありますが、それを除いても悪い話ではないですよ?貴方はマナを使えるだけの役立たずの管理者ですから母体として働けば2倍働けて効率がいいではないですか?』
明らかに私を娯楽の対象としか見ていない女に怒りが湧いてしまい掴みかかってしまいそうになりますけど、確かにそれはありかもしれないと冷静に考える自分も裏に存在してしまい私は固まってしまいます。
こういったゲームでは初動で手数を多く打てた方が後の有利に響いてきますでしょうし、だけどそれで私を好きなようにさせるというのも嫌悪感が出て吐き気がしてしまいます。
そんな葛藤をしている私に女は面白そうに言葉を続けます。
『あ、またまた説明を忘れていましたね。眷属の子は眷属にする事が可能ですよ。そういった面ではゴブリンは非常にお勧めできるというのは本心ですからね』