【3-3】魔物の召喚?
私はチートの力を貰いましたけど超能力はもらえなかったのでテレパシー能力なんてありません。
ですのでこの子供が何を考えているのか100パーセント知る事はできないのです。
裏で何を考えているかわからない…前の世界ではまあ法律があり秩序がありしっかりとした住居があり気にしない程度、または我慢できない程度の不安しかありませんでした。
…ですがこの世界では違います。
一歩間違えば確実に死ぬでしょう。
死ななくても怪我や病気でさえも前の世界の医療技術も無いのですから…生に対する不安は天井知らずです。
なので他人にはそれ相応の保険をかけるしかありません。
私は「管理者の本」を取り出すと前に目にした眷属の情報を参照し…眷属召喚する事を決意します。
丸い赤く光り輝く玉が「管理者の本」から飛び出すと地面に魔法陣を描き始め、光を放ったその後には…。
40センチぐらいの高さの…ちょいと目付きが悪いオレンジの毛並みの鳥の雛がぺたんと座っていました。
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名称:火よこ
種族:鳥
召喚コスト:火2
維持コスト:昆虫類、魚類、穀物類、果樹類
ステータス
体力 :2
攻撃力:1
魔力 :0
持久力:5
俊敏性:3
器用さ:1
装備スロット:0
スキル
①火魔法1(初歩の火魔法を行使できる)
②火中行動1(火の中で行動できる)
③常時発火1(常に火が灯っており火を行使できる)
特性
①水・冷気弱点(水・冷気に関するダメージで即死する)
②炎体質(熱い土地で元気になる、氷点下以下の土地で存在できない)
③急成長(維持コストが豊富な場合進化しやすい)
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私が召喚したのは火よこ、最初に貰える一体の眷属のリストにあった奴ですね。
正直即戦力としては役に立つとは全く言えず将来性に期待するしかないギャンブル性の高い眷属ですが、今必要な労働力…一人の子供をつきっきりで見張るという面では十分に対応できると思います。
将来への投資にもなりますし、火元が手に入るのもいいですからね。
…何よりも火起こしはもうこりごりですので。
『ピ…?』
さて、こんなに愛嬌のある声で鳴く子供のような鳥ですけれど油断はできません。
召喚したからには例外なく私の考えた基本命令セットをすぐに叩きこんでいきます。
得に火を使える眷属が勝手な事をすると大惨事になりますからね…より念入りに伝え忘れが無いようにしっかりとしていきます。
それが終わると今回召喚した趣旨である命令を小声で火よこに伝えます。
「私から特段命令が無い限りはあの子供と付きっ切りで行動しなさい。もし不利益な事を考えているなら隙を見て周囲に伝え…どうしてもやむを得ない場合は殺していいですよ」
『ピピピ…ピ!』
元気よく返事したので恐らく理解しているのでしょう。
さて、ではこの火よこを…ってあら?
何故か子供がこっちを見ながら尻もちをついて怯えていますね…どういう事でしょうか?
ひょっとすると何かこちらの住人にしかわからない認識があるのかもしれませんし、先のために確認しておきましょう。
「あら?何か驚くようなことはあったでしょうか?」
私が問うとさらに怯えてずりずりと後ろへと下がっていきます。
だけど下がるのがまずいと考え直したのでしょうか、顔を取り繕いながら座り直すとしどろもどろに言葉にし始めました。
「う…あ…ま…魔物を…生み出し…ました?」
「ええ、それが何か問題でしょうか?」
眷属ですけど…まあこちらの世界では魔物というらしいですね。
単語は違いますけど同じ事でしょう、なので私が肯定をしつつも重ねて問いますと言いにくそうに子供が言葉を並べ始めます。
「魔物を何も…無い所から生み出すなんて聞いたことがありません。魔物を飼育して言う事を聞かせる魔物使いはいますし、精霊を呼び出して使役する精霊使いもいますけど…。あ…貴方様は魔王なのでしょうか?」
…言われてみて気付きましたけど確かにそれはそうでしょう。
何も無い所からいきなり魔物を生み出せば他人からはそう取られるのも無理は無いです…これは私が迂闊だったと言わざるを得ません。
しかし同時に早いうちにこういった事を知れたのは幸運だったのかもしれません。
思い返せば与えられたチート能力を当然のように軽く行使してきましたけれど、この世界の住人からすれば驚異的…しかも大多数には私達へ憎悪をかきたてかねない物なのでしょう。
…絶対あの女はわかってて仕組んでますね?
羽の生えた意地の悪いこの世界に拉致した女を思い出すとほぼ確実にそうだと結論付けます。
私達がする事なす事こちらの住人と軋轢を生んで衝突が起きやすいように設定して細工をしているのでしょう。
…まあいいです。
どうせこの管理者のチート能力が無いと生きていけないので悪意が仕込まれていたとしてもそこは我慢するしかないのですから。
「どうだと思いますか?」
「へ…え…?」
うろたえているし確証を持っていない…これでしたらごり押しも可能かもしれませんね。
「残念ながら私は貴方の期待する魔王ではないですね。貴方は知らないかもしれませんけど私と同じ事ができる人って結構この世界にいるのですよ?」
「そ…そうなのですか?」
本当に残念な事にこれは嘘ではないのです。
私と同じ管理者が道化のようにあいつ等に楽しませるために複数いるのはほぼ確実でしょう。
「ええ、知見を得ることができてよかったですね。さて、他に聞きたい事が無ければ仕事の話に入りましょうか。貴方の仕事ですが…この子の面倒を見る事です」
『ピィ!?』
そんなの聞いてないぞ!そもそも子守をやらされるのかという抗議の声だと思いますけど却下です。
「昆虫類、魚類、穀物類、果樹類…割と何でも食べるみたいですけど食料を探して飢えない程度に与えて育ててください。それ以外にも雑用で働いてもらいますけど何か質問はありますか?」
私が聞くと子供はしばらく固まっていたけど突然ブンブンと頭を縦に振り始めた。
とりあえずは大丈夫そうなのでこのまま進めさせてもらう事にしましょう。
…それにしても魔王ですか?
新しい単語であるのは間違いないので時間が出来たらこちらの情報も聞いておいた方がよさそうですね。




