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【2-19】後始末

…よし、決めた。

私は最後の生存者の処遇を頭の中で決定すると牢の中にいる子供に遠巻きに話しかける。


「出て来なさい。そこで生きてるのはわかっています。そのままそこにいる気なら殺しますよ?」


私がそう脅しも含めて宣言してしばらく時間が経つと中から子供がおっかなびっくりで馬車から降りてきました。

さて、ここで殺してもいい…というよりも殺しておいた方が私がやった事がばれない、私の事が外に知られないといい点は多いでしょう。

ですがこの時の私は…言い訳にしかならないのですけど人の死ぬ様を見すぎて精神がだいぶ参っていたのです。

なので私は…。


「…行っていいですよ。正直に答えたご褒美です」


「…え?」


理解が乏しそうな子供に向かって私は北の方を指差してさらに促します。


「あっちが貴方達が来た道で人の町がありますよ。危害を加えるつもりはありませんので好きな方に行って構いません。さあ自由にしてください」


一応、この子供が私に危害を加えようとした場合は子供を殺すよう命令は出しています。

まあ牢の中に入れられていて…隠すような場所も無いぼろい服しか着ていないので凶器も持っていないでしょうし、多分大丈夫だと思います。


さて、生かしておいてよかったのかはわかりませんけど、それでもこの子供に構い続けている暇はありません。

まだ陽が沈むまでに時間はありますがやる事は結構大変そうなのですから。

私はやるべき事を考えて実行に移していきます。


まずは痕跡をあまり残しておきたくないので全部回収しておきたい所です。

馬車は回収してしまうとこの国の兵士に見つかった時に詰問される可能性はありますが…まあその時はその時であきらめるとしましょう。

後顧を憂うよりもまずは物資を手元に集めておきたいです。


そして目的をたてたなら後は実行していくだけです。

まずは死体…こちらも装備や着ているものは利用できるかもしれないですし、肉は眷属の餌になると思いますし回収しましょう。


ちょうど空の馬車…奴隷が入っていた牢屋の馬車がありますのでこちらにつめこんでしまいましょう。

こちらは体格とパワーが最適なヒポグリフにお願いしましょう。

後は馬車についてですけど当然馬車を扱える人なんていません。

なのでウルフに頼んで少し圧力をかけて馬を追い込んでもらいましょう。


…牧羊犬のような真似をさせようとしているのだけれど大丈夫かしら?

できるか確認したところ首をかしげていますね…まあ試すだけ試してみましょう。

私も映画での見様見真似ですけど御者として座って手伝いますから。


スノーシルフは…子供の見張りですね。

不審な事をしたら殺す、ある程度離れた所まで見送ったら帰ってくるようにと命令済みです。

まあ手がすき次第私達の方を手伝ってもらいましょう。

馬で馬車が動かせなかった場合は力仕事…手作業で中の荷物を運ぶことになりそうですしね。












あれから時間が経過しまして…結論から言うとなんとか当初の目標はおおかた成功を納めました。

陽が落ちる前までに馬車を四台全てを私の小屋の前まで移動させました。

途中、ウルフが馬を脅かしすぎて馬車が暴走し私が悲鳴を上げまわった以外は特に順調に進んだといっていい。


…ええ、安全性なんかまったく担保されていないので絶叫マシンなんかより遥かに怖かったですよ!

けど何度かやれば身につくとはよくいったもので、おっかなびっくりですが何とか全部終わらせました。


…まあ一番頑張ったのは馬が変に暴れないようににらみをきかせてくれたウルフとヒポグリフですけどね。

とりあえず今日の所は疲れたのでここまでにして明日から戦利品の山を少しずつ整理していくことにしましょう。


では、おおかた成功したと述べましたが一つ完全に失敗した事があります。

それは何ですけど…


「…どうしてここにいるのです?」


「…自由にしろと…言われましたので」


何故か子供が付いて来てしまった事ですね。

離れもせず私達の作業を傍から見てそのまま付いて来てしまったと。


…ええ…ええ、誰かから言われずともわかりますとも。


私の見通しが甘すぎるというのと、子供が確実に生き残るにはどうするのが正解かを考えればこうなる可能性が一番高かったはずです。

まさか目の前で三人も殺した人間について来ることはないでしょうと甘く見ていた私が悪いですね。

そして町の方を指し示して歩かせるよう誘導すれば途中で力尽きて野垂れ死にする可能性が高いと私も思っていましたのでこの判断をした子供はある意味正解を導き出しているのでしょう。


「人の町の方が生活しやすいと思いますよ?私なんか自分の生活をするので精一杯なので余裕が全くないですから」


「身寄りが…無いです。行っても何も食べれないです」


「奴隷といっても家族はいるのでは?帰る家はあるのではないかしら?」


「…売られたから帰る家も…無いです」


なるほど、これは私の奴隷に対する想定が間違っていたのかもしれません。

解放すればさっさと故郷に帰るという事も打算にはあったのですけどそういう事情なら無理ですね。



…って納得している場合じゃありません!?


そうだとしたらどうしましょうか?


別に私の言う事に従っていないという事は無いのですけど…今からでも殺しておいたほうがいいでしょうか?

あまり不確定要素を発生させそうな者を近くに置いておきたくは無いという反面、これで殺してしまったらもう人として終わっているような気もしますし…。


駄目ですね…人を殺して死体をたくさん見て気が滅入っている上に色々と疲れているので頭が正常に動いているとは言えません。

一晩休んで明日頭をすっきりさせてから結論を出しましょう。


「はぁ…では好きにして構いません。ですが、私達におかしな事を働こうとすれば…殺しますので気を付けてくださいね」


子供は私の脅しに無気力そうにこくんとうなずくと…そのままその場に座り込んでしまいましたね。

…私にどうしろというのでしょうか?むしろ私が何かする必要はあるのでしょうか?

私は盛大にため息をつくと追加で言葉を発します。


「そこにある泉の水は飲み水にしても構いません。森の中の食料は取れるなら取って食べて大丈夫です。後は明日決めましょう」


そう言うと私は眷属たちを呼び、おかしなことをすれば警告しそれでも聞かないなら殺すよう命令します。

そして全てが終わると頭のくらくらがひどくなり、手早くマナとアイテムを回収するとそのまま突っ伏して眠りについてしまいました。

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