【2-17】戦利品の確認
まずするべき事は死体の確認…全員の息の根がしっかりと止まっている事を確認します。
死体を直視するのは気分があまりよくない…いえ正直に言うべきですね。
気が滅入るぐらいに気持ち悪いです。
ですけど危険なものは確実に排除しておかないといけません。
念入りに蹴飛ばしたりして反応が無い事を確認して…全員が死んでいる事を確認しました。
私が殺すよう命じた護衛の冒険者という人が二人に仲間に殺された一人で併せて三人。
ここに来る前に死んでた商人一人に今ここで死んだ六人の商人の併せて七人。
馬鹿な事さえしなければこんな所で死ぬことも無く穏やかな人生かまたは輝かしい人生を歩んでいたのかもしれませんけど結果は御覧の通りですね。
合計十体の死体を確認し終えると次は馬車の中身を確認していく事にします。
幌馬車…馬は前の世界と同じなのですね?
異世界ですから引っ張っている動物も異なるかと思いましたが、立派な体躯のお馬さんです。
さてここにある馬車は全部で四台、先頭が魔道具を密輸しようとした商人の馬車、それに続いて禁輸品を密輸しようとした商人の馬車、最後の二台がここに来る前に死んでいた奴隷密売の商人の馬車という事は確認しています。
まずは先頭から見ていきましょうか…幌馬車の中身は奥に木箱が四つか五つ積まれていて手前には布製の敷物らしき物と持ち運べるランプが置かれています。
…これを全部手で運ぶのは現実的では無いですね。
仕方ありません馬車の操作はできませんが馬車ごといただく事にしましょう。
ウルフとヒポグリフに馬を脅かしながら進ませればできる…といいですね。
まあ物は試しですから後でやってみましょう。
…え?
人を殺して物まで全部盗むのかですって?
当然です、ただでさえ物資が乏しいのですからゴミであってもひとまずは回収します。
それに命を奪った以上は残らず利用してあげるのが供養であると言われていますから私が有効活用してあげませんと。
誰に聞かれたかわからない質問に心の中で返しながら二つ目の馬車、三つ目の馬車も確認していきます。
どちらも似たような構造で積んである中身は違うのかもしれませんがぱっと見は同じなので割愛していきます。
あ、そうそう二台目の馬車は持ち主の会長さんが死ぬ前にお話ししてくれた通り二重床になっていて床の底には何かの種が入っている袋が見つかりました。
確かアデリアの種と言っていましたっけ?
何でも種の状態でも煎じて飲めば如何なる病もたちどころに治り、花はポーションの材料になるとの事でしたが生育の成功例は驚くほど少ないという説明だったような気がします。
…信じる信じないはともかくこの種も資材管理箱に放り込めば鑑定してくれるでしょうし正しいかどうかはその時に判断すればいいでしょう。
そして三台目ですけどこちらはここに来る前に矢で死んだ会長の持ち主だった馬車ですね。
従業員の商人が一人生き残っていたので話は聞いていますが…どうやら食料と水がほとんどをしめているようですね。
ちなみに売り先の帳簿等の秘密にしたい書類については木箱の裏に挟んであるという事ですが…ああ、ありました。
字は…こちらも不思議な事に読めてしまいますね。
原因はわからなくて不気味ですけど言語を話すだけでなく読めるようで一安心です。
外国語を覚える労力を割かなくて済みましたし…情報が分からないで放置する状況が発生しないのはありがたいです。
さて、帳簿によると売り先と共に四台目の場所に四人の奴隷が乗っている事が書かれています。
大人が三人に子供が一人と…売り先は身分が付いているので貴族様なのでしょうか?
なるほど、こちらの世界は身分社会であると…いまさらですけど私も外部と接触する時は注意をした方がいいですね。
もっとも疲れるし面倒なのでそんな機会は来ないに越したことはないのですけど。
これで三台の馬車の確認が終わりましたので、後回しにした最後の馬車に手を付けるとしましょうか。
生き物なので後回しにしてしまいましたが、どんな結果になるにせよ覚悟は決めておいた方がいいですね。




