【2-14】偵察と決断
「ワウ」
森の北端の茂みで伏せていると側に控えていたウルフが短く小さく吼える。
どうやら偵察にでかけていたスノーシルフが無事に戻ってきたみたいですね。
待ちに待った情報が手に入るかもしれないとなると少し緊張しますね。
「管理者の本」に侵入者の一団が表示されてから私はなるべく早く動きました。
私とウルフとヒポグリフは森に待機…片方は自分たちの食料確保のために狩をしてもらって片方は私の護衛についてもらっています。
そして本命であるスノーシルフはその隠密性を最大限に活かすべく、偵察を行ってもらいました。
危険があれば引き上げてきていいですし無理もしなくてもいいですし、そこは誠実に判断して行動するように命令しておきましたが…時間がかかった以上成果はあったのでしょうか?
ようやく見え始めたスノーシルフがくるくるとローリングしながらこちらへ飛んできて…そのまま私達のいる場所を通り越してそのまま後ろへと飛び去り、直後激しくぶつかる音が響きます。
慌てて振り返るとスノーシルフが顔から木へと突っ込んでおり、ふにゃふにゃになりながら地面へと落下していきました。
…まさか死んでませんよね?
誰かが受け止めてくれるとでも思ったのでしょうか?
まあスノーシルフの評価は…今のところ馬鹿であるとしか言えませんね…見た目は本当に可愛いのに。
本当ならこのまま気絶させておき知らんぷりでもしておけばいいのでしょうけど今はこの子が何をしてきたのか知る必要があります。
「ほら、起きてください。失敗でもいいから早く報告をお願いします」
私がぺちぺちと頬を叩くとはっと目を覚ましすぐさま変な言語を唱え始めます。
すると風が球状に蠢き始め…複数の声が流れ始めました。
これがこの子の使用できる風魔法の一つ…名前はわからないですけど録音のような事ができるのです。
眷属召喚をしてから4日…何もしていないという事は無く余裕がある時に使える魔法を色々と見せてもらいました。
例えば風魔法だと空気を圧縮した塊を打ち出す魔法であったり、スタンガンのような小さな雷を指元から発生する魔法、そして空気の流れを操るような魔法があり、この魔法は空気の波である音を一定時間記録する事が可能という諜報に適した事ができるのは把握しています。
そしてスノーシルフの手元の風の球から複数の人の声が聞こえ始めました。
どうやら成功したようですね。
もう陽が傾いてきているので聞くのは小屋でという事にして…今日はこのまま下がるとしましょうか。
ウルフにはこのまま遠巻きに監視をしてもらって動きがあり次第連絡してもらいましょう。
私がそうウルフに命令するとスノーシルフと一緒に一度小屋に戻る事に決定しました。
さて、もう小屋に戻った頃には陽が暮れ始めてしまいましたけど、そこで録音された内容は全て聞き取る事が出来ました。
どうやらあの集団は商人の集団とその雇われ兵で構成されていて犯罪を犯して逃走してここまで逃げてきたという事が分かりました。
しかも禁止物の取り扱いに兵の静止命令の無視…放置してもしなくてもこっちへ追っ手が来る可能性があるって非常に迷惑ですね。
そして三つの商人のトップのうち一人が死んで二人が揉め続けていると…恐らくこれは当分新しい動きは無いと思いますね。
船頭多くして船山になんちゃらといいますのでまとまる…事も無さそうですし統一されるまではまだまだ時間がかかるでしょう。
加えて護衛が減りに減って残りは2人…剣を使う女と弓を使う女がいる。
後気になるのは…エルフと盗賊団が西にいるのはほぼ確定したという事でしょうか?
こちらは情報の出所が二つになったのでほぼ確定と見ていいかもしれません。
そして話はもつれにもつれ…西に進む意見が出たり、私達がいる南の方に行ってみるといった意見が出たりと色々出ているようですが、何をしでかすかわからない武装勢力が近くにいるリスクがあり続けるのは好ましくありません。
…よし、排除しましょう。
犯罪者集団である、仲間も平気で殺す、私利私欲だけで動いていて冷静さも無く交渉は困難、どんな行動を起こすかわからない危険さ…残しておいても危険が残るだけでしょう。
こんなつまらないのに気を取られ続けるぐらいならみんなまとめていなくなってもらった方がいいです。
そうと決めると私は横になる事にしました。
早く寝て明日に備えましょう。
そして眷属にはあの集団を監視しつつ休むよう命令すると私は回収する物を回収して眠りにつくのでした。




