【1-2】目の前の女から情報を引き出そう
ブックマークがついた!?
勢いで投稿しているのにありがたい事この上ないです。
頑張って連日投稿にチャレンジです。
家も車も…文明らしき物が一切存在せず、地平線だけがどこまでも続いている目の前の光景に私は唖然としてしまいます。
そして振り返ると私が寝ていた部屋はどうやら粗末な木製の小屋だったようで…明らかに自分の家ではありません。
『ようやく小さい脳みそでも理解できたかしら?さあ説明する事はいっぱいあるんだから小屋の中に戻りなさいね』
背中から聞こえてくる声に対して目の前の現実にショックを受けていた私はおとなしく小屋の中に戻りベッドの上に力無く座り直します。
そのまま小屋の外に駆け出して逃げるというのも頭の片隅で考えましたけれど、そうした場合何も情報が無い状態でこの先進めていかなければいけなくなりそれはあまりにもリスキーと判断したためです。
…それ以前に私、体力には自信が無いのでこの女性から逃げきれる気も起きなかったですからね。
さて、この人のペースに戻る前にこちらから確認すべき事はしておくべきでしょう。
「私はこの世界に転生したの?それとも転移したの?」
『転移ですね。我が主上の御力によりあっという間にここまでお連れいただいたのですよ』
なるほど単独犯ではなくさらに上の人間がいるという事でしょうか?
もっと情報が必要ですね。
聞くのはただなので質問してみましょう。
…もっともこの質問は怒らせてしまう可能性がありますけれど。
「地球に帰る方法はありますでしょうか?」
そう聞くと何故か目の前の女性は口元をいびつに歪めてにやにやとし始めました。
なんでしょうか…怒らないどころか喜び始めたましたよこの人?
何かおかしな事を聞いてしまったのか不安になった所で女が得意気に口を開きます。
『ええ、ええ、いつでも帰してあげることは可能ですよ?』
あれ…おとなしく帰してくれるの?
それはとてもありがたいのですけど…いや裏があるかもしれませんね。
いきなり誘拐してくるいかれてる思考の人が言いだす事ですから警戒する必要があります。
ですのでおとなしく女の話の続きを待つことにします。
『そうですねいい事を思いつきました!特別大サービスであちらがどうなっているのかを見せてさしあげましょう。私は心優しいですからね!では早速…』
本当に優しい人は人を見下して話したり、増してや誘拐なんてしませんよ?とは空気を読んで突っ込まないでおきます。
さて両手を合わせた女の手元からは光り輝き何かがぼんやりと映り始めました。
本当に私の世界なのかも確認が必要ですし覗き込ませてもらうと…そこには衝撃的な映像が映っています。
ほとんど剥き出しで溶けている鉄骨のビルに燃え盛る地面、空は黒い雲で覆われており空中には白い灰が舞い続けているという尋常な風景ではありません。
まるで何か天変地異に襲われて崩壊してしまった光景に思わず絶句してしまいます。
『貴方達をこちらに転移させた直後にかくせんそう?というのが起こったらしいわよ?自分たちの作ったもので滅ぶとか人間って本当馬鹿よねえ?』
そして炎に包まれて完全に崩れた私の家が映ると…私は目の前が暗くなり倒れそうになってしまいました。
『もう地上の人間はほとんど死んじゃって自分が偉いと思っている人が宇宙空間で少しだけ生きているぐらいらしいわよ?だから私達は貴方達の命の恩人にあたるの。感謝して崇め奉りなさいよね』
当然目の前の女が何を言っても耳に入らないぐらいに茫然自失となってしまいました。
『ああもう!人間ってこんな些細な事でショックを受けるなんて面倒くさい!使えない上に壊れやすくて脆すぎて本当に粗悪品すぎるわね!ところで呆けるのは自由ですけど、話を聞く気がないなら説明するのを止めて私は帰るんですけど?』
しばらく呆けていたけど私も本能的にそれはまずいと脳から危険信号を発し始めて機械のようにぎこちなく動き出します。
あの光景が本当なら父も母も友達も…生きている可能性は低いと…いや無いと思われます。
地球に戻るという選択肢は無くなった…それならここで生きて行かなければならないということなので、それならこの女からの情報は絶対に必要なのですから。
…嘘か真実かは定かでない事は置いておくとしても。




