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【1-17】処刑

小屋の外に出ると真っ暗…と言う事は無く満天の星空がキラキラ輝き、うっすらとですけど周りを見ることができますね。

町の光が無い空は初めてですけれど、ここまで綺麗に見れてそれなりに明るいのですね。


…と見惚れている場合ではありませんね。

ウルフは伏せをして小屋の周りで休んでいますね。

あ、こちらに気付いて立ち上がったけど周りに注意をかけているのでしたら休んでいても問題ないですよ?


それよりも問題かつお目当ての相手はと言うと…私が動くなと命令していたせいか一歩も動かず、黙れと命令していたので何も言ってきません…素晴らしいぐらいに静かで大変結構ですね。

ですけど明らかに私に不満を持って睨みつけている視線は…まあ予想通りでしたけれど反省はしていませんね。

これは私の期待通りで本当に良かったです。



…これで心置きなく実行できますからね。



ですがそれだけでは私に対する心労への返済はできていませんので、少しでも苦しんで後悔していただきましょうか。


「しゃべっていいですよ?」


私がゴブリンに許可を出すと怒りを露わにして口を開きます。


『フザケンジャネエゾ!ナニカンガエテヤガル』


「うーん特にこれといっては?それよりも自由に動けるのとご飯どちらが欲しいですか?」


『…メシハヒトバンハガマンシテヤルカラ、トリアエズウゴカセルヨウニシロ』


ゴブリンは私の態度に怪しさを感じてしまったせいでしょうか?

怒りはなりを潜めて私の様子を伺うように慎重になってしまいました。

ですが私が欲しかった情報は確認できましたので気にせずに進めてしまいましょう。


「そうですね…私も少し厳しく扱いすぎたかもしれないと反省しているのですよ?ですからご褒美を一つ上げようと思います。ご褒美として貴方の希望を何でも一つだけ聞いてあげますね」


私がにこやかに言ってあげるとゴブリンは喜色に満ちた笑みを浮かべて私に返答します。


『ホントウカ!?イッパツヤラセロ!ヒンソウダガ、ガマンシテヤル!』


…試しに聞いてみましたが本当に聞くに堪えないとはこのことですね。

まあ希望は聞いてあげるだけ聞いてあげたのでもういいでしょう。


「じゃあもう一度口を閉じて二度と開かないでください」


私がそう言うとゴブリンはまた喋れなくなりもがき始めます。

っして私に向かって何かしようとしたようですけど、動くなという命令は有効で…その場でジタバタとしています。

では次の準備をしましょう。


私は「管理者の本」の「管理者ネット」を開いてあらかじめ決めていた目的の神の奇跡カードを次々と購入していきます。


そして購入したカードを手元に出現させます。

手には十数枚のカード、本当なら私には買えるような代物ではないのですけれどとてもお買い得な品々なお陰で私にも買う事ができるのです。


さてこれをどうするのかといいますと…。

私はカードを持ったまま動けないでいるゴブリンに全て手渡します。


突然の私からのプレゼントだったせいでしょうか?

ゴブリンは動きを止めて呆けており、しばらくしてようやく手渡した物が何なのかを確認し始めました。


「では私からの最後の命令です。そのカードを1枚残らず肌身離さず抱えて一晩過ごしなさい。そのカードを1枚も捨てたり離したり壊そうとする事を禁止します。また貴方が自殺する事を禁止します」


そう言うとゴブリンは命令に強制的に従って神の奇跡カードを抱えてしまいます。

ですけどその顔には既に恐怖が浮かんでおり、これから何が起こるかわかってしまったようですね。


ちなみに「管理者ネット」には履歴が残るようで私の購入履歴にはこう記されています。


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訪れる死1枚:マナ【火】1【水】1【風】1【土】2獲得

訪れる死1枚:マナ【火】1【水】1【風】1【土】1獲得、アイテム「栄養の無い土」4獲得

明日の毒1枚:マナ【水】2【風】1獲得

明日の毒1枚:マナ【火】1【水】1【土】1獲得

明日の毒1枚:マナ【火】1【水】1【風】1【土】1獲得

突然の壊死1枚:マナ【火】1【水】1【風】1獲得、アイテム「綺麗な水」1獲得

突然の壊死1枚:マナ【火】1【風】1【土】1獲得

突然の壊死1枚:マナ【水】1【風】1【土】1獲得

痺れる翌日1枚:マナ【風】1獲得、アイテム「綺麗な水」2獲得

痺れる翌日1枚:マナ【風】1獲得、アイテム「栄養の無い土」3獲得

巡る悪寒1枚:マナ【風】1獲得


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「訪れる死」はさっき見た通り翌日になると死ぬカードですね。

他の「明日の毒」翌日になると体に毒が回るカード、「突然の壊死」は翌日になると体の一部がボロボロになって壊死するカード、「痺れる翌日」は翌日になると体に痺れるカード「巡る悪寒」は翌日になると風邪をひくカードとまあ類似効果を持つカードの皆様ですね。

明日不幸になるファミリーとでも言うのでしょうか?

深刻でないカードはマナの方を基調と見た他の人に買われて数が少なかったのですが、深刻になりそうなカードはほとんど残っていました。


流石に明日が差し迫って来たせいでどうしても手放したかったのでしょう。

貰えるマナの量がさらにつりあがっていてとてもお得に買い物させていただきましたね。

もっとぎりぎりになればさらにお買い得になる可能性も十分にありましたが…時間が正確にわからないので止めておきました。

欲張って時間が足りなかくて対処する時間が無くて死んだら笑い話にしかなりません。


さて、これらのカードを買い占めたからといって私に自殺願望があるという事はありません。

既に対策は考えています。


獲得したマナを使って何かをするか?

それはないですね。そんな検証をしている間に明日が来てしまい私が死んでしまいます。

ここでもう一度カードの内容を思い出してみましょう。

全て同じなので1枚でいいでしょう。


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☆訪れる死


神の御業によりこのカードの所持者は翌日を迎えると死ぬ


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よく読めばわかるのですけど…他のカードは管理者しか使えないと書かれている事が多いのですが、このカードは所持者が指定されていますよね。

恐らくですが生きていれば誰でもいいのでしょう。

他の神の奇跡カードが管理者だけと書かれている事が多くて誤解していましたがこう書かれると単なるデメリットではなくこっそりと暗殺などにも使えるカードだったと若干のメリットを見出すことができます。


そして今殺しても惜しくもなんともないのは…目の前にいるこれですね。


そしてこれまでの経緯で自分の運命を察したのでしょうか、ゴブリンがウルウルしながら懇願するようにこちらを見て来ます。

当然今さら従順なふりをしようとする相手に対する私の回答は決まっています。


「安心していいですよ。きちんと最後まで見届けてあげますから」


何か不測の事態が起きたらまずいからね。

結果だけは見届けないとおちおちと寝る事もできません。


それからずっとゴブリンは何とか生きようとして私を睨みつけたり命乞いの顔を浮かべたりせわしなくなんでもしていった。

そんなに長い時間じゃなかったはずだけど私にとっても勝つ確率の高い博打を打っているのだから緊張し、その時が訪れるのを内心はドキドキしながらも、そんなのをゴブリンにさらけ出すのは嫌なので平静を装います。


そして月が輝く中…あまり時間は経っていなかったと思いますけどとうとう時間が来たらしく、ゴブリンの胸元から複数の光がはじけ飛び始めます。

光り輝いた後には何も無かったかのようにゴブリンはきょろきょろし始めますけど、目の前で見ていた私にはゴブリンに起こった異変が目に映っています。


右耳は腐れ落ち、左足は穴だらけになり、右手はぼとりと地面に落ちる。

気付くのが遅れたのは恐らく麻痺してしまったせい…それに気づいたゴブリンは何か叫ぼうとして叫べず…やがて毒が回ったのか苦悶の表情を浮かべて口から泡を吹かせながらもがき始めます。

そしてビクンと陸に上がった魚のように体を震わせ始めると…あっという間に白目を剥いて地面に倒れてしまいました。


私はゴブリンが動かなくなったのを確認してしばらくすると恐る恐る近づき…首元に手を当てます。

息は…していませんね、明らかに死んでいるようです。


それを確認すると胸にどっと殺しという重い物がのしかかってきます。

確かに死んで当然だと思いますし、こいつを残しておくという選択肢はありえません。

それでも私が殺意を持って殺した事に変わりなく気分が優れないです。


死体を見続けているのがいけないのかもしれません。

そのまま死体を後にすると小屋に戻りベッドに入って強引に横になります。

暗い中という事もあり、目をつぶると余計に重い気分になってしまいましたが、それでも疲れていたせいかいつの間にか眠りに沈んでしまいました。


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章末のため現在の地図を追加します

挿絵(By みてみん)

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