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【1-12】少し北へ足を延ばして

意気揚々と小屋を出て歩き出した私達…。

最初は元気だったので問題は無かったのですが、歩を進めるにつれて次第にそれは顕在化し始めました。


まずは足場、荒地という名称は伊達ではなく水分も無い乾ききった土地ですね。

地面に全く栄養が無いせいでしょうか?私が一歩踏み出すたびに地面へ体重をかけると不規則に沈んでいってしまいます。

そこからさらに足を上げるとまた地面が崩れていき…一歩歩くごとに力のかけ方が変わるせいで予想以上に足に疲労が溜まってしまっています。

コンクリート舗装の道路がどれだけ人にとって歩きやすく、ありがたい存在だったのか今になって思い知らされます。


そして、正午をまわってピークを過ぎたにせよ日差しが強く…その暑さは私の体力を少しずつ削っていきます。


加えて私は状況を確認するために「管理者の本」を開きながら歩いています。

状況確認のために必要と判断してですが、予想以上に手の動きが拘束されて疲れる原因の一つを担っています。


最後に一番大きな要因なのですけれど…実は私って運動もあまり得意ではありません。

積極的に鍛えた事もない私の体は人に優しくないこの環境にすぐに音をあげ始め…疲労を示す呼吸が口から漏れ出ています。


それは先頭に歩いていたウルフにも聞こえており、心配そうにこちらを見ています。

…本当不甲斐なくて申し訳ないです。

もう少しは元気に活動できるとは思っていたのですけれど予想より私の体力は駄目過ぎたようです。


『ハァ、コレダカラヤクタタズハ。ダカラコドモツクッテジットシテオケバイイノニ』


…そんなに私にいやらしい事が出来なかったのが不満なのかゴブリンは冷めた目で私を見てますね。

確かに体力不足で迷惑かけてますけど…そもそも私の方が立場が上なのを理解できているのでしょうか?


「ぜぇ…体力が無いのは自分でも不甲斐ないと思いますし、理解できています。それよりも周辺は大丈夫なのですか?」


『ワゥ!』


『コンナミハラシノイイトコロデミノガスマヌケハイナイゾ?メモワルイノカ?』


一々私の癇に触れる事しか言えないのでしょうかと問い詰めたいですけどきちんと周囲の警戒をしていただいているのなら今は不問にしておきます。

それにしても結構歩いたのですけれどまだなのでしょうか?

そう思いながら苦しくも歩いていると私が待ち望んでいた反応が「管理者の本」から返ってきました。


ええ、ようやく自分の管理している土地の北端から抜け出して余所の土地へと足を踏み入れたという反応です。

私は全員に停止と周囲の警戒を命令すると来た道を振り返ります。

本拠点である小屋がかなり小さく見え…「管理者の本」で表示される四角いブロックマスの1マスは距離にすると500メートルといった所でしょうか?

これがわかっただけでも私にとって収穫ですが、北端を出たというのならやっておかないといけない事があります。

私は地面に手をかざすと自分の土地になるように念じます。

すると土地が一瞬光り輝きますが…すぐにそれは消えてしまいました。


これで大丈夫なのでしょうか?

私は「管理者の本」に目を向けて状況を確認してみます。



 □

□□□

□■□

□□□


どうやら成功したみたいですね。

私の支配する土地が北へ一つ増えています。

土地は「何も無い荒地」でいい土地とは言えませんけれど初めての拡張という成果に思わず心でガッツポーズをしてしまいます。

一度土地を増やしてしまえばそこから恒常的にアイテムが入手できるはずですからそれが一日一日と積み重なっていくと後から大きくなっていくでしょう。


それなら次はどちらに進むかですけど…1マス500メートルもあるとは思わなかったという見通しの甘さもありますけれど私は予想以上に体力を使って疲労しています。

そして時刻についても既にお昼をまわって日は傾きつつあります。

日が完全に沈んでしまうと文明が無い土地…灯りなんか一切無く真っ暗になってしまうでしょう。

夜がどうなるか何て全くわかっていない状態で野宿なんて無謀な事をするつもりはありませんし、真っ暗になってもやりたい事はありますのでそれまでに小屋に戻るのは必須の条件です。


これらの事を踏まえた上で…これ以上北へ進むのは止めて、周囲を埋めていく事に決定します。

ただ戻るだけですと得られるものは少ないですから…検証も兼ねて一手打ちましょう。

私は思いついたことを伝えるために眷属を呼び寄せる事にしました。

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