【1-11】神の奇跡カード使用
評価いただきありがとうございます!
また本日投稿ぎりぎりになり申し訳ありません。
『ワウ!?』
私の奇行にウルフが心配そうに声を上げます。
…うん、確かに今の私の行動は不審者のものそのものでしたね。
それに悪いカードと決まったわけではありませんし、まずは確認をしてみませんといけませんね。
床にたたきつけたカードを拾って内容を確認してみる事にします。
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☆ゴブリンカード
管理者のみ使用可能
神の御業によりこのカードの使用者は種族「ゴブリン」の眷属をランダムに1体召喚できる。
このカードの眷属召喚による召喚コストは発生しない
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うーん、どう判断すべきでしょうか?
まず召喚コストがいらないので無料で眷属が一体増える。
損はありませんね。
そして弱いゴブリンが一体ではなくランダムなゴブリンが一体…お話でよくあるようなホブゴブリンやゴブリンキングなんて強いゴブリンが召喚できるかもしれないですし期待感はあると思います。
問題点は…維持コスト。
ただでさえ食料が足りないのに新たに割かなければいけない事でしょうか?
それらを踏まえた上で…使うのか取っておくのかそれとも【管理者ネット】で売ってしまうのかどれがいいか考えた上で…私は使ってみる事にします。
まずは私の安全が第一ですし…それが満たせるならこのカードは切っておくべきでしょう。
そして維持コストが払えないなら…カード化して保管しておけばいいのです。
…あれ?カード化しても維持コストはかかるのでしょうか?
その辺りもあのいけ好かない女に質問しておくべきでしたね、迂闊でした。
まあ維持コストが厳しくなってきたら…格安で「管理者ネット」で売りさばくか売れ残るようならもったいないですけど自害させるのも手ですね。
とにかく周りがどういう状況かわからない状態で周辺を散策するのですから戦力は多い方がいいでしょうし早速使いましょう…と思った所で思いとどまります。
ひょっとしたらこのカードの面白い使い道を思いついたかもしれません。
「ちょっと来て」
『ワゥ!?』
私が手招きするとウルフが近寄ってきてお座りをする。
あまりにかわいかったので思わず頭を撫でてしまったけど思いついたことを実行してもらうためにお願いする事にする。
「ちょっとこのカードを咥えて離れてもらっていいかな?」
私がそうお願いするとウルフはゴブリンカードを口に咥えて駆け出していく。
そしてある程度離れた所でゴブリンカードを使用するように念じてみます。
…だけどいつまでたっても何の反応もありません。
遠隔で使えたら便利かなと思ったけどそれはだめみたい。
だとしたらこのカードの使い道は純粋な戦力強化と…緊急時に護衛を呼び出せる事かしら?
やってみたい事の確認が取れたので私は素直にゴブリンカードを使用してみる事にする。
するとウルフを眷属召喚した時と同じように魔法陣が現れて私の背より低い小柄な者が現れる。
人とはまるで違う緑色の肌に尖った耳、鋭い歯をしていて腰に草で作ったミノでしか下を覆っていない。
よく観察すると小柄であまり筋肉質にも見えない所をみると普通のゴブリンなのかしら?
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【土属性】
名称:ゴブリン
種族:ゴブリン
召喚コスト:土2
維持コスト:肉類、魚類、穀物類
ステータス
体力 :3
攻撃力:2
魔力 :0
持久力:3
俊敏性:5
器用さ:5
装備スロット:2
①空き
②空き
スキル
①武器修練1(簡易な武器がわずかに得意になる)
特性
①繁殖3(自分の子孫を増やしやすい)
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「管理者の本」経由で確認したところ間違いないみたいですね。
とりあえず随行させようと思って話しかけようとした所でゴブリンの方が先に口を開いた。
『オマエガシュジンカ?』
どうやら人語を解せるようでコミュニケーションは取れるのかな?
これはゴブリンにも利点が多いかもしれないと私が評価を改めているとさらにゴブリンが話を続けてくる。
『フーン。カラダハヒンソウ、ニクツキモワルイ、オンナトシテハアマリヨクナイケド、マアコレデモイイヤ。シュジンイッパツヤラナイカ?』
目の前のゴブリンの言葉がすぐには理解できなかったけど内容を噛みしめていくと…かなり馬鹿にされているのかそれともそういう風に私を見ているのか…ケラケラ笑いながら私を見下すように見ている事からなめた態度を取られているのは間違いないようです。
そして私が言葉を間違える…今のゴブリンの言葉に対して許可を出したりしたら間違いなく襲ってくるでしょう。
「駄目よ」
『ヘルモンジャナイノニケチダナ。ソンナニヒヨワナカラダダトマンゾクニハタラケナイシ…コドモウンデタホウガヤクニタツゾ?』
言葉だけは主人とか使っているけど敬意を払う欠片も感じないですね。
これは種族によるもの?それともこいつが外れなのかな?
どちらにせよ従順でなく油断できない眷属もいるという事が分かったのはいいけど…不快ですね。
私はクツクツと自然に沸き上がる怒りを抑え込みながらため息をつくとゴブリンに指示を出す事にします。
「はぁ…今から北に向かって周囲の地形を調査しに行くので私の護衛に付きなさい。いいわね?」
私がそう言いきるとゴブリンは私に相手にされないのが癇に障ったのか不愉快そうな顔を浮かべて小屋から離れていきます。
そして私はこの事態の成り行きを見守っていたウルフにも同じように命令して出発する事にしました。
…この先大丈夫なのかと不安になりながら。




