恋を哀する詩
本来、恋や愛について語るほどの上手ではないのですが、想う相手を目の前にして、自身は何を求めるのだろう、あげられるのだろうと考えることはあります。
個人的には、鮮やかな花を咲かせようとする人は、やはり苦手で、切り花に根を育てようとするような見えない努力を重ねる人が大事に思えたりします。それに、上手に答えられないのは残念なのですが、その地味な営みを苦にしない人だから、忘れられないのかなと思います。
恋を詠えば、切り花の やがて枯れゆく定めさえ
知らず、蕾を開かせる その無邪気こそ、愛しけれ
想い染めれば、彼の人の 言葉ひとつに浮き沈む
こころの浮きの軽さゆえ 割るることこそ、哀しけれ
想い遂げれば、この恋の 永遠につながる心地して
浮きたつ胸に喜びの 満つることこそ、愛しけれ
愛に移らぬ恋ならば やがては朽ちてゆくものを
水を過ごして根枯れして 悔いることこそ、哀しけれ
愛に変われば穏やかに 想い育ててゆくはずも
思い違えば道を分け 捨つることこそ、寂しけれ
恋や愛との道行の そは細道と知るべしを
知らず、荒れ野に踏みいでて 枯らすことこそ、淋しけれ
恋を愛へと変えるなら 還る心を持たぬよう
己が片身を切り裂きて 捧げ、悔いなくあるべきを
成さむ覚悟の成らぬこそ、世の常なれど、哀しけれ