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三度目に会えたら  作者: まんまるムーン
4/12

4


 ペンキを両手に戻ってくると、中原君と浅尾さんの姿が無かった。看板の前の椅子に沢見君が一人座っているだけだった。


「あ、おかえり!」

沢見君は私に気付くと笑顔でそう言った。


「中原君と浅尾さんは?」


「あの二人なら帰ったよ。浅尾が用事あるらしくて、中原が送って行くって。」


「そっか。」


 という事は沢見君と二人きりか…。あんな事言われた後だし気まずい…。


 

 沢見君は私からペンキを受け取ると、続きの塗装に取り掛かった。私も自分のやっていた続きを塗り始めた。


 しばしの沈黙…。気まずい…。きっと沢見君も同じ思いをしているに違いない。


 横目で沢見君をチラ見した。そんな私の心配をよそに、沢見君は至って普通の表情をしていた。


 なんだ…。気にしていたのは私だけか…。そうだよね、相手は天下の沢見様だよ! 下々の民である私なぞ、気まずく感じるのすらおこがましいって事だ!


 そう思ったら少し気が楽になってきた。気にする必要なんて元から無かったのだ。



「あの二人、日曜日はデートかな?」

沈黙を破ろうと沢見君に話しかけてみた。


「かもね。」

沢見君は笑顔で答えてくれた。


「どこ行くんだろうね~。中原君、ああ見えてスイーツ好きだから、二人で食べ歩きでもすんのかなぁ~。」

何となく思いつきで言った。


「え、中原って甘い物好きなの? 俺知らなかった…。そんなこと聞いたことなかったよ。」


「そうなの? 中原君って、めっちゃ甘党だよ!」 


「人は見かけによらないなぁ~。意外だ~。意外と言えば…」

沢見君は言いかけて止まった。


「何? 意外と言えば?」


 私が聞くと、沢見君は、いや、何でもないとお茶を濁した。


「何? 言いかけて止めるって気になるでしょ! お願い、教えて!」

私は問い詰めた。


「…夜宮さんとは…意外に気が合うなって…」


 沢見君は笑顔で呟いた。


 急に私の心臓は爆音をあげだした。沢見君のキラキラした目を向けられて、足がフラフラしてきた。


 あれ? 立っていられない…。


 そう思ったのが先だったか後だったかもはや分からない。私は後ろに倒れそうになった。沢見君は驚いて、持っていた筆を放り投げて私を抱きかかえてくれた。


「どうしたの? 大丈夫? 熱、あるとか?」

沢見君は私を抱きかかえたままそう聞いた。


 熱? あると思われるのも無理はない。顔が真っ赤になっているのが自分でも分かった。体感50度は出ている! 50度…もはや死んでいる! しかし当たり前である! 目の前に神であるキラキラしたこの男の顔があるんだから!


「…好き…」


 反射的にそう思った。と、思ったら実際に言ってしまっていた! 


 心の言葉を私は言ってしまっていたのだぁーーーーーーー! 

 この大馬鹿野郎めぇーーーーー!


「…俺も…」


 え? 今なんておっしゃいました? 耳の穴をかっぽじっていたら、なんと沢見君は信じられない行動に出た。



 なにぃぃぃぃぃぃぃ~!!!!!!!!!



 そのまま私たちはキスしていた…



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― 新着の感想 ―
[一言] ええええええ なんとまあ(*^。^*) もう!!( *´艸`)
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