最終話 夢想の果てに
これは懐古人類思想の宇宙船だ
その宇宙船は地球外部に張られていた領域防壁を無効化していた
無干渉化する術を懐古人類思想は探していた
そして残ったIDの羅列を取り入れた宇宙船は難なく地球外部を航海出来ていた
「宇宙に飛来出来たのはアレストのおかげだ」
そう
アレストは最後に自身の持っていた
人口量子データのIDライセンスの複製を生成していた
強制転送される直前にドームに残していたのだ
そしてドームで生き残っていた人間が再び復元した時
その物語は再び動いた
「そして今この時がある
サイバーコロニー
僕らはまた現実に戻る事が出来る
だからきっと帰らせない」
IDライセンス認証可能なサイバーコロニーに到達していた
そしてそこにはアレストが存在した
ここはアレストが管理しているサイバーコロニーだった
「そこでは人々が中立思想で暮らしていた
アレストも結局人だったからこそ
同じような仮想国を建国していた
だからアレストは人類の考えも分かっていた
どれだけ恨みが残っていても地球人類という軸は一緒だからだ」
だからアレストは自らのクロニクルに準じてもらいたかった
その考えを理解する時がいつ来るかは分からない
しかしそのサイバーコロニーに辿り着いた懐古人類は
地球にいた頃よりもずっと笑顔であった事を
アレストもアリスも知っていた