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十六夜に落ちる  作者: 長文。
神様の本
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プロローグ

 ぽっかり空いた穴に落ちたような漆黒の夜でした。


真っ暗な闇の中で生まれたその御子は、闇夜を照らす

明かりとなり、光の無かった世界を照らしました。


この御子をのちに満月と名付けられます。


満月は暗闇に一人、この者は生まれたころから

自分が自在にあらゆる物質を作り出せる力を持つと

理解しておりました。


初めに「闇」を、次に「光」を作り出しました。


満月は次々と己の周りに物を作り

やがてちいさな「世界」を作ったのです。


その世界の名は「十六夜」


満月は十六夜を作ると、時々降りてきては

世界に起こる出来事を楽しそうに見物しに来たそうです。





「――というのが

昔から語り継がれた、世界の始まりと神の誕生の話」



分厚いメガネを威嚇するようにかけた弁護士がつらつらと述べたのは、これまた分厚い本に書かれたこの世界の神話だった。


高さも奥行きもあり、その幅尺に観衆がみっちり詰まった裁判所はシーンと静まり返り、その静寂がまだ幼い少年の胸をぎりぎりと痛めつけてくる。



(なんでだ、なんでこうなったんだろう。)



頭の中で時計を逆回転させてみても

思い当たる節なんて一個もない。


唸っているうちにも話は刻々と進んでいく。



「よって被告を」


「断罪する」



(なぜそうなるのか!!)



その疑問は周りの視線の的になった瞬間に弾け飛んだ。


そんな問いかけなど無意味なのだ。


これが世界の、圧倒的かつ暴力的な程の数の、


賛成可決なのだ。




何もかもが理不尽なこの世界で


おれは今早速


死ぬかもしれません。


しかも


この世界の






神様 なのに。









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