天廻争乱!
ガチョウの羽の煙はすさまじく、瞬く間に地下中に広がった!
「煙で目がいてぇ!」
「秀頼様、目が痛いですよ~」
「こんなところで煙を出しやがって、……しかし、煙が勢いよく流れるってことは、あっちから地上に出れそうだぞ!」
「どっちですか~、秀頼様~」
地下から這い出ると、どこかの建物の床下に通じていた。
「床下か……、畳を押し上げれば部屋に上がれるぞ」
「はい! でも、重いですよ。秀頼様も手伝ってくださいよ~」
「なんかカビが生えてそうだからな、ここは一人で頑張るんだ!」
「なんでそうなるのですか~」
「やや? 上に誰かいるぞ?」
「人間五十年~、下天のうちに~、比べれば!」
「よっ、御屋形様! まじ敦盛そっくりですよ!」
敦盛は死んだほうで、歌うのはおっさんの直実ほうじゃなかったか?
いや、そんな話はどうでもいい。
こいつら、煙にまかれた部屋で敦盛ワンマンショーとか、何をやっているんだ?
「貴様何奴! 床下から攻め込んでくるとは、卑劣な奴め!」
「待ってくれ、俺は攻めてきたわけじゃないぞ、この煙も俺のせいじゃない!」
「何だと? 寺に泊まっている御屋形様の命を狙う謀反人ではないのか?」
謀反人?
御屋形様?
……そうか、本能寺で火攻めにあってると勘違いした、織田信長か!
もはや絶体絶命と、最後の敦盛を踊っていたのか。
「謀反されたと思ったら、逃げるとかしないのか? 敦盛とかワンパターンすぎるぞ」
「そうです! 二番にするとかしないと!」
敦盛に二番があったのか!
いや、信長の歌ってるのいつも同じところだし。
……あれ?
信長サビしか知らないんじゃないのか?
「貴様ら、琵琶ホーシーエイトの敦盛を馬鹿にするのか! 死ぬ時は敦盛と決めているのだ! 夢幻の~ごとく~なり!」
「B、1、4、4。ビーワン、フォーシー! 何をやっている? お前たちもちゃんと合わせるんだ!」
そんな合いの手があったのか!
しられざる敦盛の真実!
しかし、このテンションの高さ、これが死を覚悟した人間のテンションなのか!
「びーわん、ほーしー!」
「千絵、お前まで何をやっている……」
ここが本能寺だとしても、本能寺の変が起こるにはまだ時間がある。
いつまでも敦盛を踊って遊んでいる場合ではないな。
「信長公、これは謀反ではありません!」
「何だと、では……敵襲か? ならば、出陣の敦盛を踊らねば!」
どっちにしても踊るのか!
「踊ってる場合ではございませぬ。今は敵がおらずとも、西の毛利、東の武田、上杉と、京を狙う者たちがいつ攻め上って来るか……」
そうだ、……信長には天下統一の足掛かりを築いてもらわねば、俺の天下のために!
「くっくっく、分からぬか、小僧。人の世で五十年かけて積み上げたものも、下天の一日で崩れ去る。人の世など、我にとって仮の住まいでしかないのだ!」
な、ん、だと……。
ただの敦盛好きのおっさんじゃない。
人の世の五十年、鬼人の一日……、こいつの時間はどうなっている……?
もし本能寺で殺されなかったら、本当に人の寿命で死んだのか?
この世界に覇王が開闢してしまったら誰が止めれるのか?
「……ダメだ。今の俺では、奴を倒せん! 奴を倒すために、仲間を集め力を付けねば!」
ついに世界の秘密に辿り着いた秀頼!
真の天下人となるため、
五大老を集め、
世界の未来を決める争乱に立ち向かう!




