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戦国異伝~悠久の将~  作者: 海土竜
戦国異伝
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西から来た男

「やっぱ、京の都は落ち着くな。そもそも天下人に田舎は似合わんのだよ」


「秀頼様、天下統一はもう良いのですか?」


「うむ……。都会を抑えてれば十分じゃないのか? 富士山より東とかヒグマとタヌキしかいないからな、あんなところこの先何百年たっても人が住めるようになったりしないって」


「そうなのですか~。でも、誰か来たようですよ?」


「朝廷に仇名す賊どもめ、成敗してくれるぞ!」


「誰だお前は?」


「何奴! まさか、私の有名人名鑑によると、貴方様は天下人・秀頼様では!」


「……いかにも」


「相良です! 相良義陽がお助けに参りました!」


「近い! 近づくな、暑苦しいは!」


 何をしに来たのかよく分からん奴だ……。しかしわざわざ九州から駆けつけて来るとは、中々の忠誠心、もしかすると使える戦国武将なのかもしれん。


「おー! あそこにいるのは剣豪将軍・足利義輝様だ! 相良です! 相良義陽です! 将軍様! 私が相良です!」


「何がしたいんだ!」


「流石は京の都、立て続けに有名人に出会えるとは、来た甲斐があると言うものだ」


 確かに征夷大将軍に気軽に会えるのは京都だけか、田舎から出て来た田舎者がはしゃぐのも無理はない。


「大丈夫か? 剣豪将軍にいきなり抱きつくから、ちょっと斬られたんじゃないのか?」


「何、剣豪将軍に斬ってもらえるほど名誉なことはございません! この傷は一生、縫わず、洗わずに大事にします!」


「一生残るというか、化膿するで?」


 九州人は体が丈夫なだけが取り柄だとは聞いていたが、刀で斬られても平気とは侮れんな……。


「おー! この美しい女性はどこぞの名家の姫君ですか!」


「えっ、姫だなんてそんな~」


「それは、ただの町娘の千絵だ」


「なんと! いやー、これは一本取られました、流石は京の都、町娘も美しいとは、こうなれば早速、街へ繰り出して、有名人に会わねば!」


「……ほんと何しに来たんだ」


 有名人に会うためだけに数百キロ移動するような奇怪な行動を取る奴が日本にいるとは、俺が天下を取ったとのは常識であるとしても、常識外の奴らがまだ日本に居るのではないのか? そう、合戦にも出ず戦国大名を名乗ったり、剣も振らずに剣豪を名乗ったりする輩が! 働きもせず楽して暮らせると思っている奴らなど、根絶やしにしてしまわねば!


「でも、合戦も終わって平和になってよかったですね~」


「そうだな。……しかし、いつまた反旗を翻す輩が出て来るかも分からん。今のうちに兵を揃えておかねば……」


「はい、爆発した蒲生氏郷様の兜も順調に修復が進んでおります。蒲生氏郷様が量産の暁には……ふっふっふ」


「うむ、そいつは楽しみだ……?」


 蒲生氏郷を量産できるのか? まさかあ奴は兜が本体なのか? あの兜さえ被れば、誰でも蒲生氏郷に……いや、そんな筈は無い……、待てよ? そう言えば兜の印象が濃すぎて、氏郷がどんな顔していたかはっきりと思い出せん。もし、同じ兜を被っている奴が複数現れたら、一体どこで見分ければいいのだ。

 そう言えば、信繁も似たようなこと言っていたな。


「この兜かぶってたら、武田信玄だと思って相手ビビるんですよ!」


 いや、それはない!

 そんな兜かぶった所で何十年も前に死んでた奴が生き返ったなどと思う奴がどこにいるというのだ?

 絶対にないと思ったのに、徳川家康はまじでビビってたしな。タヌキが化かされてどうする? いや、もうボケが進んでいたのかもしれん。

 まぁ信繁も、初めは真田だって名乗るから、親父の昌幸だってみんな言ってたもんな。上田城守った昌幸なら天下の名将だと思ってたら、息子だもんな。それでもけっこう活躍はしたんだけど……。

 もしかしたら、戦国武将は被っている兜によって強さが決まるんじゃないのか?

 天下人ならば、相応の兜を被らねばならん! 今まで誰も被った事がないような、豪華絢爛な究極の兜を! その見た目だけで天下にその名を知らしめる天守閣のような! いや、城だけではない、この国全てを被ってこその天下人よ!


「秀頼様の兜、お城や堀もついているのですね~」


「ふっふっふ、よく見ろ、賑やかな城下町や田畑もあり、そこで働く人々の姿も再現されているのだ。緑豊かな山やそこから流れる川、この国の全てが兜になっている! これこそテンカブトよ!」




 重すぎるため実際に使用されたかどうか定かではない秀頼のテンカブトであるが、日本初のジオラマとして後世に語り継がれたのであった。


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