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戦国異伝~悠久の将~  作者: 海土竜
戦国異伝
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無限の不死鳥・小田氏治

 早速、将軍を連れて京へ上ろうかと思ったが、肝心の三好長慶に追い出され放浪中の足利義輝はどこに居るんだ?


「秀吉様~、将軍・足利義輝様を見つけましたよ~」


「でかした千絵!」


 こやつ意外に使える。流言も流せない奴だと斬って捨てようかと思ったが、思いとどまってよかった。どんな奴でも使い道はあると言うものだ。では、将軍を捕まえに行くか……。


「キェェェー! ふぅ、もう100本は割ったが、流石は奥義・新当流・薪割り、刃こぼれ一つせんとはっ!」


 刀を構えて満足げな表情だが足元に散らばっているのはただの薪、とても剣豪将軍と呼べる姿ではないが流浪の身とはこういうものなのであろう。


「何が奥義だ。天下の名刀で薪割りしているのか?」


「お前は、秀頼! 何しに来た!」


「三好長慶に京都から追い出された将軍様を見に来たんだよ」


「何だとー! 京都など直ぐに取り戻してくれる!」


「それで、薪割りしているのか?」


「いや、これはだな。城が無くなったんだから、日々の生活ってものがあってだな……」


「生活のために将軍様が薪割りか?」


「うるさい、飯を炊くにも風呂を沸かすにも薪が必要なのだぞ! お前も薪を割らねば飯は食えんだろう!」


「ふっ、天下人は薪など割らんのだよ。貴様も直ぐに、薪を割れなくなるがな……」


「貴様まさか! 放浪中を狙って将軍であるこの足利義輝を亡き者にするつもりか! 三好長慶でもそこまでしなかったというのに何というやつだ、こうなれば天下五剣が全て折れるまで戦うまでよ!」


「城もなくした将軍を殺してどうなるというんだ? まぁみていろ、俺が三好長慶から京都を奪い返してやる! そして、薪は割るな。一向一揆衆三千人が毎日割っているからもう山がはげ山になりそうだからな」


「貴様が俺に味方するというのか?」


 意外な事に足利義輝は、殺されると思った時より味方だと分かった今の方が意外な表情を作った。

 なんて失礼な奴だ、やはりここで斬り倒して置こうかと思ったが今死なれては京に攻め上る口実も無くなるし、わざわざ天下人である俺が手を下さなくともどのみち暗殺されるのだしな、と思いとどまった。

 死ぬ間際に百人斬ったという逸話が気になった訳では決してない。


「三好長慶の天下を受け入れられんのは、一人や二人ではないという事よ」


「しかし、一向一揆衆程度では三好の軍勢は倒せんぞ?」


「俺の手ごまはそれだけでは無い、主を裏切る事にかけては右に出るものがない松永久秀を仲間に引き入れておるのだ!」


「……そいつは仲間にして大丈夫なのか?」


「ご安心下され、わしは裏切るに値する肩書を持つ相手以外は裏切りませぬ」


 何と潔い外道っぷり。しかし、ここまで堂々と言われると裏切られても主と認められたという気がして、悪い気がしないでもないから不思議だな。


「それに心強い助っ人も用意しております。こちらが奪い取られた城を取り返す事に関しては天下一の小田氏治殿にございまする」


「結城に奪われ、佐竹に奪われ、上杉に奪われ、何度城を奪われても小田城は私の元に帰って来た! 私は何度でも甦る、無限の不死鳥・小田氏治である!」


「おお、それは……すごいのか? すごくないのか?」


 確かにこいつには優柔不断な義輝でなくとも不安になる要素しかない!

 取り戻せるなら初めからとられないように……いや、相手を油断させておいて大きな被害を与えて追い返す策があるのか、こやつただ者ではない。


「なるほど……。策があるのだな、城を奪い返す策が!」


「小田城には柵など在りませぬ!」


「そういう柵とか堀とかじゃなくて」


「小田城には堀もありませぬ!」


「えーっと、城にはまず門があってだな」


「小田城には門もありませぬ!」


「じゃー何があるんだよ、壁か? 壁で囲われているだけか?」


「壁もありませぬ! 屋根もありませぬ! 囲われておりませぬ!」


 こいつは何を言っている、どこの帝王の三段活用だ!

 確か俺は城の話をしていたはずが城とは一体なんであったのか、屋根も壁も無い城などあってたまるものか、……いや、この国全てが天下人の城である。ならば囲う必要などないではないか、青く広がる空こそが屋根、どこまでも広がる大地が庭よ!


「小田城を占拠した敵は、数日も経てば雨が降って引き上げていくので、必ずや私の元へ戻って来るのです」


「その城を取り戻すのにどんな意味がある?……」

戦国武将の名門中の名門、源氏につならる小田氏治が仲間になった!

えっしらない?

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