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生徒会は兼業です  作者: 羽田共也
7/10

第7話 生徒会は一夜を共にする

「一条先生、失礼します」


会長が宿直室のドアをノックして、ドアを開けた。


「おう、お疲れ」


一条先生はこちらに椅子に座り背を向けてテレビを見ながら、手を挙げた。


「ていうか良いのか?

私達が見回りしたからって、宿直担当がそんなんで?」


水葉さんの言葉に、一条先生はこちらを振り返ってめんどくさそうに答えた。


「そういわれても見回りしてない訳じゃないからな。

お前らだって気付いていただろ?

私が見てることくらい」


一条先生の言葉に、京子さんがクスクスと笑った。


「何だかんだ言ってまさくんの事心配してるんですね」


「別に・・・。

何かあったら、私の責任になるから監視してただけだ」


「もしかして、一条先生も薫さんみたいに意識飛ばして見ることができるんですか?」


俺が尋ねると、先生は当然という感じで答えた。


「これでも一応生徒会の顧問だからな。

お前らが霊力関係で出来る事は、大抵出来るぞ」


「じゃあ、先生もサイコ○ンが撃てるんですか?」


「サ○コガンは撃てないが、波○砲なら撃てるぞ」


全くもってこの人に勝てる気がしなくなった。


「というかお前ら、そんな所に突っ立ってないで早くシャワー浴びるなり着替えるなり寝る準備しとけよ。

明日起きるの早いんだぞ」


『はーい』


先生に言われて、俺達は各々準備を始めた。


「そういえば、ここって大きい感じがするんですけど学校の宿直室ってこんなに大きいものでしたっけ?」


この学校の宿直室は、給湯室と繋がっている。


火を使え、水もあり、風呂もあってベッドもある。


ついでにテレビと、何故か知らないけど全自動麻雀卓がある。


広さ的にいえば、大人が3、4人くらい生活したとしても支障がないくらいの広さだ。


「二島はここの校長がどんなだったか覚えてるか?」


俺に背を向けてテレビを見ている一条先生の質問に、俺は首をかしげた。


「校長ですか?

確か、ダンディーで男前な人だった気がします」


綺麗に整えられた白髪、背筋が伸びていてカッコいい人だったな。


始業式の時に印象的だったからかなり覚えている。


「その校長がこの校舎を作る時に業者に色々頼んでてな。

宿直室がデカイのもその影響だ」


「へぇ、校長ってそんな所まで決める事ができるんですね。

俺も校長になろうかなぁ」


「お前の場合、変な校則作りそうだから無理だな」


「何を言うんですか!

俺だってまともな校則作りますよ!

女子はスカートの丈を膝上40センチにするとか!」


「生徒ワ○メちゃん化計画だな」


あ、それはいけない!


あの膝丈はあのご長寿なアニメの次女様の特権だった。


「それにしても、校長って普段何やってるんですか?」


「さぁな、私もそこまでは詳しく知らないな。

まぁ理事長の方も何だかんだいって忙しいし、なるのはあまりオススメしないな。

親が教師だと家族も中々大変なこともあるし」


「そうなんですか。

そこまで言うってことは、先生の親御さんって教師なんですか?」


「あぁ、現にこの学校の校長と理事長は私の両親だしな」


「へぇ、両親が校長と理事長ですか。

たしかに大変そうですね」


「特に父親のほうは昔は野球部の顧問やってた頃もあったからな、土日も野球の試合や練習で家をあける事も多かったし」


「それは子どもからすると寂しいですね」


「まぁ、今自分が教師になってみるとあの時の父親を責められない気持ちもあるけどな」


先生は懐かしそうに笑いながら言った。


「同じ立場になってやっとわかったって事ですか?」


「そうだな、まぁ私が結婚するなんて天地がひっくり返っても無いけどな」


「俺でよければいつでも結婚相手になりますよ?」


「言っとくが私は家事類は一切出来ないからな。

お前が家事全般担当で私が収入担当でいいなら、考えなくもないぞ」


「任せてください!

自分の奥さんの為でしたら俺は喜んで主夫になりますよ!」


俺は先生に親指を立てて笑顔で言った。


「そうか、じゃあ月単位で金を払うからうちの掃除とか諸々頼む」


「先生、それ主夫ちゃう、家政夫や」


「ハッハッハッ、言われてみればそうだな」


俺の言葉に先生が声をあげて笑った。


俺も、それに釣られて笑った。


「・・・って両親が校長と理事長だって!?

先生その件kwsk!く!わ!し!く!」


「私はもしかしたらお前がこのまま突っ込まないんじゃないかって心配だったぞ」


「いやぁ、ここまで伸ばすノリツッコミはさすがに前例ないかなぁと思って」


「そういえば、まさくんは今年入ったばかりだから知らなかったわね。

意外と有名よ?一条先生が校長先生と理事長先生の娘だっていうのは」


就寝用の服を持った京子さんが俺に笑顔で教えてくれた。


「そうなんですか?」


「まぁ、こんな感じじゃ言われても信用できないよな」


水葉さんが自分の寝る布団をひきながら言ってきた。


「そりゃそうですよ、晩飯にカップラーメン6個も食う人がそんな家庭の人だなんて」


「今は一人暮らしだから作ってくれる人がいないんだよ。

作ってくれさえすれば、私は何でも食うぞ」


「自分で作るって選択肢は無いんですね」


「私が作れるのはカップラーメンくらいだからな」


当然のように一条先生はサラッと答えた。


良い年の女性がそれで良いのだろうか。


「まさくん、こんな人でもお嫁さんにもらいたい?」


京子さんが意地悪そうな笑顔で俺に尋ねてきた。


「うーん、少しタイプとは違いますからねぇ」


「政宗の好きな人のタイプってどんなのだ?」


「水、虫、毒ですね」


「いや、ポケモ○じゃなくて女のタイプだ」


水葉さんが焦ったように尋ねてきた。


「そうですねぇ、まず身長は160センチくらで・・・」


『ドククラ○だ・・・』


「体重は少しぽっちゃりめの55キロくらいで・・・」


『ドクク○ゲだ・・・』


「それで、少し毒を吐いちゃう人ですかね!」


『ドク○ラゲだ!!』


「そっちがポケモ○で考えるのをやめてください!」


俺はあんな青色のクラゲを彼女にする気はない。


「そういえば、会長と薫さんの姿が見えないんですけど何処にいるんですか?」


「二人なら今は風呂場にいるぞ」


「え?二人で一緒に汗を流してるんですか?」


これは百合な匂いがしてきたぜ。


「違うよ、今は会長がシャワー浴びてて薫が脱衣所で見張り中だ」


「見張り?何でまたそんな事を?」


「約1名、命にかえても覗きをしそうな人がいるものねぇ」


俺が質問すると、京子さんがこちらを見て笑いながら返した。


「失礼な!

俺はそんな事をされたって堂々と風呂場に行きますよ!」


「そうだよな、だから今私がお前を止めてるんだもんな」


その通り、俺は少し前から全力で風呂場に向かおうとしているのだが水葉さんに微力で襟台を捕まれてその場で猛ダッシュ状態になっている。


「水葉さん離して下さい!

俺はどうしてもあそこに行かなきゃ行けないんです!」


「お前は仲間がやられている場所に行こうとするのを止められている主人公か。

政宗、分かっているとは思うが覗きは犯罪だぞ?」


「覗き?俺はそんな事しませんよ?

俺は会長と一緒に汗を流そうとしてるんですよ?」


「もっと重罪だな」


「会長だって今頃一人で心細い思いをしていますって!」


「高校三年生にもなって一人で風呂入るのを寂しがる人ってどうなんだよ」


「どうって・・・」


会長がバスタオル一枚で・・・顔を赤くしながら・・・俺の服の袖を引っ張って・・・


「わ、私、誰かと一緒じゃなきゃ、嫌・・・なの」


「待ってろ会長!今向かいます!」


「妄想に負けるなよ!」


使命感にかられた俺は先程の1、08倍の力で風呂場に向かおうとしたが、水葉さんにアルゼンチン・バックブリーカーをされてもはや地に足がついていない。


「もう、まさくんったら。

そんなに頑張らなくても、陽奈世ならまさくんがお願いすれば裸の一回や二回喜んで見せてくれると思うわよ?」


「え!?本当ですか!?・・・グヘヘ」


京子さんの言葉に、俺は締まりのない笑顔で返した。


「いや、京子さん。

さすがにそれは無いんじゃないか?」


水葉さんが京子さんに尋ねるが、京子さんは笑顔で首を横に振った。


「そんな事ないわ、陽奈世ならきっとしてくれるわ。

ね?水葉」


「・・・まぁ、京子さんがそう言うなら」


そう言って水葉さんは俺を床に落とした。


「いてっ!」


「そういうことだから、陽奈世が帰ってくるまでまさくんは大人しく待ってましょうねぇ~」


「はーい!」


俺は幼稚園児のような無邪気な笑顔で返事をした。


「はぁ、さっきまでエロの塊みたいなギラギラ目してたくせに」


水葉さんが溜め息をつきながら俺に言ってきた。


「俺は来ると分かっているエロに対してはどっしり構えるんですよ」


俺は水葉さんに笑顔で言った。


「言っておくが二島、犯罪は犯すんじゃないぞ」


「大丈夫です!俺は相手の同意をもらってから手を出すタイプです!」


「それなら、どんなに頑張っても了承を貰えない二島は何をやっても犯罪になるな」


「俺って人類の敵か何かですか!?」


「そりゃ、そんだけ性欲ギラギラにしている奴は女の敵ではあるだろ」


「何を言うんですか!

この少子高齢化が進んでいる時代に、俺みたいな奴がいれば安泰ですよ!」


「相手のいないお前は、ゴミ箱にティッシュが溜まっていくだけだろ。

変な妄想は捨てろ、童貞」


うっ、一条先生から厳しいお言葉が。


「ふー、さっぱりした」


声のしたほうを見ると、髪を濡らした会長と薫さんがパジャマ姿で立っていた。


俺は、自分のバックを漁った。


「政宗、何してるの?」


「カメラを探してるんです」


「ほんとに何してるの!?」


「だって、薫さんと会長のパジャマ姿なんて永久保存版ですよ!

見てくださいよ!薫さんのあの可愛らしいパジャマ姿!

濡れた髪によって醸し出される色気とのギャップ!

高揚したようにピンク色になっている頬!

最高じゃないですか!」


「私の魅力が0なんだけど!?」


「何いってるんですか、どんなに服装を変えても会長の魅力は上りませんよ」


「政宗なんて全部の歯が親知らずになっちゃえ!」


「何その地味だけど嫌な呪い!?」


こうして、俺の初めての見回りは終わった。


え?もちろん寝るときは俺だけ廊下だったけど何か?

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