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生徒会は兼業です  作者: 羽田共也
6/10

第6話 生徒会は消霊も仕事

金曜日の夜に行うことになった夜の学校の見回り。


残すのは、水葉さんの所だけとなった。


「これで最後ですね」


俺が言うと、横を歩いていた京子さんが笑顔で頷いた。


「そうね、水葉がやり過ぎてなければ良いけど・・・」


「そういえば、会長が水葉さんに鍵を渡すときに何か言ってましたよね?

確か、グランドとか、前の事とかって」


「水葉は前の見回りの時に問題を起こしているから、あの時はその時の事で釘を刺しておいたの」


俺の前を歩く会長が、こちらを見ずに歩きながら答えた。


「問題、ですか?」


俺が尋ねると、俺を挟んで京子さんとは反対側を歩く薫さんが俺を見ながら訊いてきた。


「まず、政宗くんは幽霊ってどんな存在だと思う?」


薫さんの質問に俺は首を傾げた。


「どんな存在、ですか?

うーん死んだ後で成仏できていない人達の魂、ですかね」


「その通り。

幽霊っていうのは死んだ後で未練があってこの世に留まってしまっている人の魂っていうのが一般的な考えだね。

政宗くんは幽霊が見えるようになったのはいつからだった?」


「うーん、中3の始めくらいだったと思います。

うち、父親が俺が小さい頃に死んでるんですけど、中3の春に墓参りに行ったら自分の墓の前に座っている親父を見たんです。

それが最初でしたね」


「ちなみに、その頃周りに幽霊が見える友達はいた?」


「同じ中学で2つ下に見える奴がいました。

最初は何が何だか分からなかったので、そいつに色々訊きに行きましたね」


「そうだったんだ。

もしかして、その後輩の子に色々訊きに行ってから幽霊がハッキリ見えるようになった?」


「良く分かりましたね。

最初に訊き行ってから、しばらく一緒に行動することが多かったんですけど日を追う事にハッキリ見えるようになっていきました」


「なるほど、そうだったんだ」


薫さんは何かを察したように頷いた。


「ごめんね、話を逸らしちゃって。

最初の話に戻すけど、幽霊は未練を残してこの世に留まってしまった魂の事。

なら、それを成仏させるにはどうすれば良いと思う?」


「その未練を無くしてあげること、ですかね」


「正解。

でも、幽霊の中には自分が何でこの世にに留まっているか分からない人もいるんだよね」


「そうなんですか?」


俺が尋ねると、京子さんが説明してくれた。


「薫の言うとおりよ。

幽霊は、死んでからの年月が経てば経つほど生きていた頃の記憶を無くすの。

巴だって記憶が無くなっている部分はあるけど、それでもかなり残っているほうなのよ。

幽霊の中には、未練を残しているはずなのにそれが何なのかすら忘れてしまった人もいるの」


「え、じゃあどうやって成仏するんですか?」


俺が尋ねると、前を歩く会長が足を止めて後ろを振り向いた。


「もうそうなった幽霊は成仏できないんだよ。

後はもう、消滅するしかない」


会長が真剣な目で俺に言ってきた。


「消滅?成仏とは違うんですか?」


「成仏はあの世に行って次に転生できるけど、消滅は文字通り無くなるんだよ。

次に転生することもできない」


「転生できない・・・。

こんなこと訊くのおかしいかもしれないですけど、転生できなくて困る事ってあるんですか?」


「うーん、そうねぇ。

例えばまさくんはまさくんとして生まれる前に前世で他の誰かの人生を送っていたとするわ。

それで、その前の人生の時に自分が悪いわけではないのに不幸な事があった場合死ぬ時に今度生まれ変わるなら良い人生を送りたいと思わない?」


「思いますね。

この人生がこんなに不幸なら、来世で生まれ変わるときに良い人生を生きたいと思います」


俺が言うと、京子さんが頷いた。


「そう思った人達が自分の未練を忘れてしまったら、消滅してしまう。

生きてるときにどんなに辛い人生を生きていたとしてもね」


「それって・・・」


悲しいとかそんなレベルじゃないな。


「悪霊になった幽霊もほとんど消滅になるけど、まだ悪霊になれるくらい強い未練を覚えているなら成仏できる可能性もあるわね。

まぁ、この学校にいる幽霊達は、ほとんどの人が記憶が残っているから成仏できると思うわ」


「じゃあ、早く成仏したほうがいいんじゃないんですか?

時間が経過して未練が何かを忘れて、成仏できなくなったら身も蓋もないじゃないですか」


「だけど、私たちは幽霊に成仏を勧めることは出来ないのよ」


俺の言葉に、会長が悲しそうな顔で返した。


「どうしてですか?

皆幽霊が見えるわけだから、成仏できそうな幽霊に声をかければ・・・」


「未練が無くなって成仏できる状態になっても、その幽霊が成仏したいって思わなかったら成仏はしないんだよ。

この学校の幽霊さんは、皆でいて楽しいから成仏しないんだよ。

でも、成仏したいって思ったときはちゃんと成仏できるからそういう意味ではある意味良い状態だね」


薫さんが俺の方を見ながら言った。


「結局成仏するはその人次第って事ですか。

うーん、無理に成仏しろとも言いにくいし難しい所だな」


実際問題、幽霊を怒らせるのが一番恐いのだ。


下手したら、普通に殺される危険もあるしな。


「まぁ、あまり深く考えすぎるのも良くないから自分にできることをコツコツやっていきましょ?」


悩んでいる俺を見かねたのか、京子さんが優しく言ってきた。


「・・・そうですね、よく考えてみたら俺はそんなキャラじゃなかったです。

ということで会長、気分転換にいじらせてくださーい」


「気分転換にいじるの!?」


「会長いじってると何かこう、止められない、中毒性みたいなのがあるんですよ」


「そんなどこかの白い危ない粉みたいな作用はないよ!」


「いえ、むしろ有名な某御菓子と一緒ですよ。

やめられない、止まらないー、会長いじり♪」


「それでも、政宗は私へのいじりの内容が酷いから今日はもうしないように!」


「えー、しょうがないですねー。

じゃあ良いですよ、京子さんと薫さんとお喋りしますから」


そう言って、俺は薫さんの方を向いた。


「薫さん、1つ訊きたいことがあるんですけど良いですか?」


「ん?どうしたの?」


「薫さんが教室にいた時、動いてなかったのに外にいる幽霊の数が分かってましたよね?

あれって何かしたんですか?」


俺が尋ねると、薫さんは首をかしげたけどすぐに思いだしたらしく首を縦に振った。


「あー、あれはね意識を飛ばしてたんだ」


「意識?」


「そう、政宗くんは幽体離脱って聞いたことある?」


「体から魂が抜けるっていうあれですか?」


どこかの双子のお笑い芸人がネタでやってたな。


「そう、私がやったのはあれの応用なんだ。

意識を集中させて、一時的に飛ばしてその場所を見ることが出来るの」


凄いな、そんな事もできるのか。


・・・ん?待てよ。


「薫さん、それって自分はどう見えてるんですか?」


「ん?普通に今見えている光景と同じに見えるよ。

ただ、あまり長い時間はできないんだけどね」


薫さんが笑いながら説明してくれた。


・・・やった!やったぞ!


皆!俺はついにお宝を見つけ出したぞ!


これが俺にとってのワンピー○だ!


「薫さん!それって俺も練習すれば出来るようになりますか!?」


急な俺の言葉に、薫さんは驚いていた。


「え?う、うん、多分出来るようになると思うけど急にどうしたの?」


薫さんからの質問に、俺は慌てて目を逸らした。


「え、えっと・・・ほら、俺まだまだ出来ることが少ないですから!

それが出来れば皆の助けになれるかと思って!」


うん、とっさに答えたにしては上手い言い訳だ。


・・・口が裂けても覗きをするためとは言えないな!


ただ、おれの言葉を聞いて薫さんが心配そうな顔をして顔を近づてきた。


「政宗くんそんなに皆の事を思って・・・。

大丈夫だよ、政宗くんはまだまだ色々知らないこともあるんだからゆっくり覚えていこう?

私で良ければ力になるから、ゆっくりで良いから1個1個覚えていこう?ね?」


や、止めてくれ薫さん!


俺をそんな失敗して落ち込んだ子どもを励ますお姉さんみたいな顔で見ないでくれ!


心が凄く痛くなってくるよ!


冷や汗をダラダラと流しているのがバレたのか、京子さんが俺の耳元でそっと囁いた。


「ダメよまさくん、そんな嘘を薫についたら」


その言葉を聞いた瞬間、俺の心臓とからだが同時にドンッと跳ねあがった。


「な、何の事ですか?

お、俺は本心をい、言っただけです、よ?」


俺は振り返ってひきつった笑顔を向けながら京子さんに言った。


「薫は騙せても、私は簡単には騙せないわよ?」


「だ、騙してませんよ!俺は・・・」


「薫のあの顔を見ても、同じことが言える?」


京子さんに言われて、俺は薫さんの顔を見た。


・・・優しい女神のような顔をしている。


「すみませんでした!」


俺はその場でジャンピング土下座をした。


「ま、政宗くん!?急にどうしたの!?」


「薫、男の子にはね、女の子に何も言わずに謝りたい時があるのよ。

察してあげて?」


「わ、分かりました」


どうやら、京子さんが上手くフォローしてくれたようだ。


一方の俺はというと・・・地面におでこを擦り付けながら顔を上げられずにいます。


「はぁ、まったく、政宗は京子と薫には素直なんだから。

ほら、さっさと行くわよ」


会長の声が聞こえ、顔を上げると俺以外の3人は歩き出していた。


俺もそのまま3人のあとを追った。


・・・いてっ!いてっ!


俺はその後体育館に着くまで皆に蹴られまくった。


仕方がないな、あんな嘘をついたんだ。


これで済むのが不思議なくらいなんだ。


さぁ、これで俺の罪が償えるなら何度だって蹴られようじゃないか!


「・・・って何かっこよく言ってるのよこの覗き魔が!」


「ぎゃふん!」


俺は会長に顔面を踏み抜かれた。


皆、この文だと会長がとてもひどい奴に思えるだろ?


でも、実は靴を脱いで靴下越しで俺の顔を踏んだんだ。


こういう気遣いのできる女性はなかなかいないぜ?


「そんな貞○3Dみたいな格好で堂々と覗きするような男性もいないわよ!」


「えー、俺のせいじゃないですよー。

作者が、“そのまま”あとを追ったって書くのがいけないんですよー」


「小説の主人公が作者の揚げ足をとるんじゃないの!」


そう言って会長が俺を踏もうと足を上げる。


もう少し!あと数センチで見えそうなんだ!


頼む!きてくれ!


・・・あー!足で見えない!


真っ暗だ!もう何も見えない!暗闇だ!


「会長!あと数センチ足をあげてください!」


「この状況でなに要望してるの!?」


「なに言ってるんですか!

会長は性格はあれでも見た目は最高なんですよ!?

そんな人の下着が見れるなら、俺は恥なんて関係ない!」


「もう政宗のキャラがブレブレだよ!

あんたは何を目指してるの!?」


「聖人君子です!」


「真逆じゃない!」


その言葉を最後に、俺は会長にキャメルクラッチをされたあと京子さんに片足を持たれて引きずられるように体育館に運ばれていった。


京子さんに引きずられている間、頭が地面に擦られるように運ばれたのはきっと偶然だろう。







「ほらもっと腰を下げろ!

お前の後ろには誰もいないんだぞ!」


体育館に入った瞬間、最初に聞こえてきたのはそんな声だった。


「水葉、体育館でも張り切ってるわね」


京子さんが楽しそうに言った。


「一体何をしてるんですか?」


ボロボロの俺は体育館の扉を開けて中を見た。


そこには・・・


「ほら、いくぞお前ら!

目指すは甲子園優勝だ!」


『イエス!監督!』


幽霊に向かってノックをする水葉さんと、それを受ける幽霊の姿があった。


「あの、会長、これは一体?」


俺の言葉に会長が重く返した。


「政宗には、これがただの野球の光景に見えるでしょ?」


「そ、そうですね。

ま、まさか!?水葉さんはスポーツで未練を残した人達の相手をしてるんですか!?」


会長、京子さんは部類は違えど同じような事をしていた。


その流れからすると水葉さんも・・・


「いいえ、違うわ」


会長は首を横に振った。


「じゃ、じゃあ一体!?」


「これは・・・水葉の趣味よ!」


「・・・は?」


「これは・・・水葉の趣味よ!」


「・・・は?」


「これは・・・水葉の趣味よ!」


「いやもう良いですよ!」


俺は同じ事しか言わない会長にツッコミを入れた。


「政宗の事だから、[えぇぇぇ!?しゅ、趣味だって!?]ってマス○さん風に言うかと思ったのに」


「いや、これから先もたくさんキャラを出す予定だから、これ以上出すとアニメ化された時に声優さんが大変かなと思って」


「こんなド底辺小説でそんな心配しなくていいよ!」


会長がツッコミを入れた瞬間、会長の着ていた制服が無くなった。


「え!?なっ!?きゃあ!?」


会長は自分が下着姿になった事に気付いた瞬間、両手で体を隠しその場にしゃがみこんだ。


「な、何これ!?

何で私の制服が急に無くなったの!?」


「別に、ド底辺小説と言われたから当て付けでやった訳じゃないんだからね!」


聞いたことのない声が、上から聞こえてきた。


「こ、この声は!?

作者!あなたの仕業ね!」


「フッフッフッ、それはそうだろう。

いくらこの小説が非日常系幽霊ギャグ小説だからといっても、服が瞬間移動のように消えるなんて事、何の前触れもなくできるわけないからな。

だが!私ならそれができる!

なぜならこの作品において!私は最強であり絶対なのだから!」


「ヤバイ!作者がラスボス感出しながらとてつもなくメタな発言をしやがった!

クソッ!さっさと会長の制服を返せ!」


俺は渾身の力で作者に言ってやった!


・・・至近距離で会長を観察しながら!


「何やってるのよ!」


「ひでぶ!」


会長が全力で俺に延髄切りをしてきた。


「それにしても、自分の小説を貶されてその仕返しを小説のキャラにするなんてずいぶんと小さい作者さんね」


京子さんがクスクス笑いながら言った。


「う、うるさいやい!

こうでもしないとサービスシーンが出来ないんやい!」


「作者よ!俺は全力であんたを支援するぜ!」


俺は満面の笑みで上に親指を立てた。


「おぉ政宗よ、お前は個人的に気に入っているからな。

今度、生徒会メンバーを全裸にしてそこにお前を放り込んでやるぞ」


「俺はあんたに一生ついていくぜ!」


俺はふと、横から来ている視線に気が付いた。


「政宗くん・・・」


そこには、信じていたのに裏切られたヒロインのような目でこちらを見ている薫さんの姿があった。


「この駄作者め!俺はお前の思い通りには動かないぞ!」


「お前はほんとに女に弱いな!」


「そんな事良いから、早く私の服を戻しなさいよ!」


会長が睨みながら天井に向かって言うと、バカにしたような声が返ってきた。


「ふん、その姿でコマネチしながら謝ってくれたら服は返してやろう」


「そ、そんなの出きるわけないでしょ!」


「じゃあ、服は返してあーげない」


「これがニコニ○動画であがってたら、コメントで作者うぜぇっていっぱい流れてきそうですね」


薫さんが笑いながら、とてつもなく失礼な事を言っている。


「それはそうと、早くしないと作者さんの命が危ないわね」


突然、京子さんが不吉な事を言った。


「ん?どういう事ですか?」


俺が尋ねると、京子さんは笑顔で俺に尋ねてきた。


「まさくんは、この作者の特徴っていうと何だと思う?」


「え?そうですね・・・。

プロットが書けない、文章が下手くそ、語彙力が乏しい、その他諸々ですね」


「作者にとことん失礼だな!事実だから仕方ないけど!」


「そうね、じゃあその状態で小説を書くとどうなると思う?」


作者のツッコミを京子さんは華麗にスルーした。


「え?どうなるって・・・」


「こうなるのよ」


そう言って、京子さんは会長を見た。


会長は、涙目になりながら天井を睨んでいた。


「ん?何だ?今更睨んだところで・・・」


作者の声が途中で途切れた。


「・・・え?ちょっ、は!?

な、何だこれ!?」


「どうしたんだ?作者の様子がおかしいぞ」


明らかにさっきの余裕があった感じとは違う、焦っているような作者の声が聞こえた。


「もう、言ってるそばから」


京子さんがまるで分かっていたかのように、笑いながら言った。


「え!?うぎゃぁぁ!?助けてくれー!!

ぎゃぁぁぁぁぁ!?」


「きょ、京子さん。

一体作者に何が起こってるんですか?」


「そうねぇ、今作者に何が起きてるか説明すると・・・

まず、横になりながらこの小説を書いていたら急にタンスが自分に向かって倒れてきて、それを避けて急いで自分の部屋を飛び出したら廊下で自分に向かって飛んでくるGに直面して腰を抜かしたのよ」


「・・・は?」


どういう事だ?


「それで、2階から1階に移動しようとしたら階段から転げ落ちて、ボロボロになりながら階段を昇って廊下についた瞬間」


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」


「心配して自分の部屋から顔だけ出していた、暗闇に浮かぶ真っ白なお母さんの顔を見て悲鳴をあげているところでしょうね」


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!

作者は創作じゃなくてリアルな人なんですよ!?

そんな呪いみたいな事できるわけ・・・」


「この作品が、幽霊関係だからですよね?」


俺の言葉を遮るように、薫さんが京子さんに尋ねた。


「そういうこと。

幽霊関係の作品は何が起こるか分からないのよ。

ましてプロットすらまともに書いてない作者の作品、何があってもおかしくはないわ」


「いや、かっこよく説明してるけどこれはあったらおかしいぞ!?」


作者が息切れしながら、京子さんに指摘する。


「さぁ、早く服を返しない。

さもないと、一歩歩く度にタンスの角に小指をぶつける呪いをかけるわよ」


会長が恐い顔で、地味に嫌な呪いの脅迫をしている。


「くっ・・・仕方ない、今回はこれくらいで許してやろう」


作者がそう言うと、会長の服が元に戻った。


「覚えてろよ、俺はだいたい6話に一回は出てくるからな!

あと政宗!お前は裏切った罰として、今度全裸の阿○さんの中に放り込んでやるからな!」


そう捨て台詞を吐いて、作者の声は消えた。


「ふぅ、とりあえず服が戻ってきたわね」


「そうですね、代わりに僕が地獄に行くことが決定しましたね」


安心したように言う会長に、俺は恨みを込めた目線を送った。


「おーい、そっちでドタバタしてたけど何かあったのか?」


声のしたほうを見ると、いつの間にか幽霊たちがいなくなっていてバットを持った水葉さんが近くに来ていた。


「大丈夫、ちょっと作者を懲らしめてただけだから」


薫さんが水葉さんに笑顔で説明してるけど、小説としてはものすごい違和感のある一文だ。


「そうだったのか、せっかく政宗用のボケも用意してたのになぁ」


「ちなみにどんなのですか?」


俺が尋ねると、水葉さんはバットを俺に向けた。


「このバットと政宗の腕を交換するとか」


「事件じゃないですか!サイコパスな事件じゃないですか!」


「このバットで政宗の胸を回しながら擦るとか」


「ドリルすなっ!」


「その他色々用意してたぞ?」


「作者の乱入が何だか良かった気がしてきました」


俺がげんなりしながら言うと、会長が出口に向かって歩きだした。


「とりあえず、これで全部の場所を見回ったから戻るわよ」


『はーい』


会長の言葉に、皆で返事をして俺たちは宿直室に戻った。

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