第1章8話『リア充戦争』
この世のテレポートは便利だと思っていた。
そう思っていままで過ごしてきた。
そう、きっとこれからも………
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ある晴れた朝だった。
その日も集や、ユメとともにクエストに出かけていた。
「くぅー!やばい?!やばい?!やばい!!死ぬぅー!」
今日は山にある山草とりのクエストに出かけていた。
山草とりの代理。
それは言わずと知れた簡単な初期クエスト。
………のはずだった。
いま集は山草をとるのだけではつまらないからといって近くにあった木を聖剣(俺の)できって遊んでいた。
それがたまたま蜂の巣がある木で集は蜂においかけられているというわけだ。
………馬鹿だなぁっ!なんで俺まで巻き込まれるのかなぁ!?
その蜂は大きくなかった。むしろ小さかった。
そう。小さすぎたのだった。1匹が爪くらいの大きさだった。
「ねぇねぇ!ユメっ!?あれ何っ!?なんであんな小さいっ!?」
俺たちは山を全速力で駆け下りながらユメに聞いた。
「あれは蜂の中で最も凶悪な蜂のデスビートルですっ!刺されたら即死、触れただけでも即死ですっ!普通あの蜂は山に1つ巣があるかないかなんですけどぉ!」
………えっ!?マジッすか。なんでそんな凶悪な蜂の巣の木当てるの集は!?しかも全部即死かよ。死んだな。
「ねぇ!?くぅー聖剣打って!売って!」
「なぁ!いま文字違くなかったか?気のせいか。じゃあ、打つぞもう少しした先にある岩に隠れてっ!」
ユメと集が岩に隠れたのを確認してから俺は聖剣を構えた。蜂との距離は50メートルくらい。
…いけるか?いくしかないか。
「これは我が祈り、我が魂………喰らえっ!聖剣エクスカリバーっ!」
聖剣が光り輝き蜂を瞬く間に消しさら……なかった。
………あっ!?
「なぁ、集とユメ。魔力ギレっす。」
「えぇぇえ!?」
「では、ここは私が。テレポートっ!」
………って、攻撃じゃないんかいっ!
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テレポートをした先はやけに空気が薄かった。
………えっ?
下には小さな町が、横には雲が。
……………………………雲?まさかここは空にテレポートする馬鹿がどこにいるんだよー!気づいたときには下に落下していた。
「くう様くう様。間違えて空にテレポートしちゃいました。てへぺろっ。」
よし。可愛いから許す。
とはならんぞ。これ死ぬぞ!?
「ユメもっかいてへぺろ…じゃなかった。テレポートして!」
「また、テレポートしたら上に戻るだけですよ?」
…は?つかえねぇー!なにそれ一回使うたびに場所リセットかよ!
どうするどうするっ!?考えろ俺っ!
…待てよ。これならいけるかもしれないっ!
「集っ!俺たちが地面に落ちて死んだ瞬間に蘇生かけてくれ!」
「えっ?無理無理無理無理っ!?なにしようとしてんの!?死んだ瞬間に蘇生かけてなかったことにできるのゲームだけだよ!?」
「よし。あとは任せた。あと約約30秒!あと20秒!あと10秒!5秒前っ!4.3.2.1……ぜろっ!」
「無理だってぇー!神器発動ッ!!リバイブッ!!」
ゴキッっと鈍い音が響いた。
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目を覚ますとそこはもう見慣れた天井だった。
「あっ。起きましたかくう様。あんな無茶な技があるなんて知りませんでしたよ。」
「あははは。ところで集は?」
「リビングの隅で小さくなってますよ。」
……トラウマになってしまったか。
仕方ない。
「ところでくう様。私ずっと気になっていたのですが。」
………なんだろうか?
「なんのこと?」
「くう様実は一度私たちは出会ってます。」
「えっ!?」
いやいやいや、それはない!
なんで異世界きたばかりの人に昔の知り合いがいるんだよ。
「お久しぶりです。くう様………いや、空夜様。改めまして私は高橋夢が本当の名前です。」
そうユメ…夢は俺を懐かしむような目で見つめていたのだった。