第1章7話『トマト、トマト、トマト』
更新遅れました。すみません。新しい春の時期でいろいろな準備に追われて暇がありませんでした。これからまた暇な時に書いていこうと思います。これからも見てください(*^o^*)
トマト、そうそれは言わずと知れた野菜の種類。
この事件を知るまではそう思っていた。
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「くうー、こっちこっちはやくぅー!」
俺は集に呼ばれて街から出ると目の前に広がる大きな草原が…………見えなかった。
目の前の草原を覆い尽くすかの如く目の前に広がっていたのは真っ赤なトマトの群れだった。
……………は?
何だろうこれは。見た目は確かにトマト。
そう見た目は確かにトマトなんだが……
直径二メートルはあろうかというデカイトマト。しかも、2つの翼で草原の上を飛んでるときたもんだ。
周りの冒険者たちは活気に満ち溢れていた。
………トマトって何それ美味しいの?
そんなにやる気でるものなの?
「なぁ、ユメ。トマトってあんなにでかくて空飛ぶの?で、俺ら何すんの?」
「トマトの季節です!ならやることは1つ!
そう!収穫祭ですっ!!」
「へっ?あれ収穫すんの?」
……まじで?デカイよあれ。この世界馬鹿なの?
こうして人類対野菜の仁義なき戦いが始まったのだった。
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「オラっ!!おとなしく捕まりやがれこのトマトっ!」
前線にいた冒険者たちがトマトの捕獲を試みていた。
.....いやいやいや、冒険者100人くらいに対してトマトいくつよ?あれ。草原一面何体いると思ってんの?軽く300くらいいるぞあれ。
「なぁユメ。これって切ってもいいやつ?」
「跡形もなく消しさえしなければおっけいです。このトマトは倒すと経験値がたくさん貰えます。だから皆さんやる気なんですよ。」
よし。勝ったな。その時がくるまで見てるか。
「くう様。ニヤニヤして何を企んでるのですか?はやく私たちもいきましょ?」
「ユメは行っていいよ。時がきたら行くから。」
ユメはキョトンとした顔をしながら前線へ行った。
集は言うまでもなく後ろにいる。なんでかというと……
「いやぁぁぁぁあ!なんでよ!なんでヒラーだからって前線行っちゃダメなの!? 」
「いやいや、だめですよ。あのトマトはああ見えて結構ダメージがでかいからお姉さんみたいなヒーラーはみんな後ろなの!」
「いやぁぁぁぁあ!戦いたかったよぉー!」
ずるずる後ろに引きずられていく集を視界に入れつつ俺はその時を待っていた。
.....馬鹿かあいつは。
そして開始二時間後には冒険者たちはさすがに疲れてきたのかみんなヘトヘトとなっていた。
あとトマトは3分の1くらいか。
そろそろ俺の出番だな。
俺は懐からメガホンを取り出して、
「冒険者の皆さーん前線にいるかたは今から打つ大技に巻き込まれたくなければどいてくださーい。」
「なんだと、お嬢ちゃん!嬢ちゃんみたいなのが大技?笑わせんじゃねよ笑笑」
「ハッハッハッ。」
「クスクス。」
前線からの冒険者の笑い声が聞こえてきた。
人が親切に言ってあげたのに。
.....怒ったわ。見た目が幼女だからって馬鹿にしやがって。
俺は腰につけている聖剣をとり出して目の前で構えた。
「この世の全ての我が同胞よ我に力を与えたまえ。」
聖剣が少しずつ光り輝くのをみて前線にいた冒険者たちは察したのかすぐにその場を離れていった。
「これは我が祈りである。…………聖剣ッ!!エクスカリバーッ!!」
たくさんのトマトが埋め尽くしたいた草原は一瞬にして光に包まれたのだった。
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後日ギルドで。
「よう。トマトスライサーの嬢ちゃん。今日はいい天気だな。体には気おつけろよ。じゃあな。」
「あっ!トマトスライサーのお嬢ちゃんだぁ!」
「あっ!トマトスライサーさん今日はトマトが安いよ!」
あの時エクスカリバーを弱めに放ったからか綺麗にトマトがスライスされ、光が弱くなって目を開けたらそこにはトマトのスライスがたくさん転がっていたのだった。
それ以降俺はトマトスライサーと呼ばれるようになってしまったのだった。
…………なんでこうなるのっ!不名誉だぁぁぁあ!