第1章 5話 『一生幼女?な件について』
集が、急いで俺のもとに駆けつけた日。その日は異世界で特別な日となることをまだこの時は知らなかった。
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「えっと、あっつー俺が一生幼女のままってどういうこと?魔王倒せば男子にもどれるんじゃないの?」
「とりあえず外出て!くうー!」
言われた通りに外に出ると街はお祭り騒ぎとなっていた。
……まじで何があったし。
「あっ!くう様大変重要なお知らせ…です。」
ユメまでもが、息を切らしていた。よほどのことなのだろう。
「とりあえず落ち着いて、ユメ。」
「はっはい。……落ち着きました。」
「で、何があったの?」
「はい。それがなんとあの魔王が倒されました!」
とても嬉しそうに言うユメ。
…………………………………………………………………………は?
………………………………はぁ!?
「えっ。本当?」
「はい。本当です。くう様。」
………じゃあなに?魔王倒せば男子になれるっていうのはもう無理なの?
今日のニュースです。今日正午頃、佐藤空夜さんが一生幼女であることが確定しました。
………もうなんなのさぁ!?本当に俺たちなんのために異世界来たし。もう嫌だぁぁぁぁぁあ!!
「くう〜。ちょっと話たいことがあるの。ユメちょっと2人にして。」
「はい。また後で来ますね。」
「あのねくう、ひとつね言っておきたいことがあるの。」
…言っておきたいこと?なんだろうか。
「実はね、くうは下向いて悩んでたからしらないだろうけどね、ベルゼさんね異世界の説明している時、説明書見てたんだよ。」
……説明書?それがどうかしたのだろうか?
「その説明書がどうしたのか?」
「その説明書のね発行日が6年前って裏に書いてあったの。」
「ベルゼぇぇぇぇぇえ!!ふざけるなぁぁぁぁぁあ!」
俺は上を向いて大声で叫んだ。
「くう様?どうされましたか?」
びっくりしたのかユメが部屋に入って来た。
俺は気になっていたことをユメに聞いてみた。
「ねぇ、ユメ。いままで魔王軍の侵略具合はどうだったの?」
「はい?おっしゃっている意味がわかりませんが、魔王軍は4年前ほどに壊滅状態にまで追い込んだのですが、魔王が逃亡したため見つけて倒すまでに時間がかかりました。」
……まじで俺らなんなの。来た意味なくね?
説明書くらい更新しろや。もう帰っていいですか。もう一生幼女とか嫌なんですけど。
「くう様。ギルドで、パーティーをやっているので行きましょう!」
嫌だよ。俺はこの部屋からでないで泣いてるからほっといてよ。
結局俺はいやいやユメに連れて行かれた。
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「乾杯ー!おめでとうぅ!」
この世界では酒に年齢制限はかかっていないらしい。皆が昼間から酒を飲む中まだ、納得のいかない幼女は呆然と立ち尽くしていた。
「ほら、くうも飲もうよ…ヒック。」
うわっ。酒くさッ!あっつー酒飲み過ぎだろ。
その時だった。ギルドの空中に大きな画面が映し出された。映し出された画面には王様と8人ほどの冒険者、近くで待機している騎士団が映し出された。
「今から、魔王を倒した冒険者への表彰が始まります!」
ギルドのお姉さんがそう言うと騒いでいた冒険者たちが静かになり画面を見ていた。
「勇者、伊藤拓也率いるチームは見事魔王を倒した。代々王家に伝わる宝箱を差し上げよう。」
王様がそう言うとタキシードを着た召使いが2人がかりで大きな宝箱を持ってきた。
でけぇ!あの中身なんだろう。超気になる!
「ありがたき幸せ。」
「今開けて構わないぞ。」
王様が、そう言うと拓也たちは宝箱に集まってゆっくり宝箱に手をかけた。
そして、宝箱を開けると!
…………中にはスカと書かれた紙が。
画面の中も画面を見ている冒険者たちにも凍りついた。
スカはだめだよ王様。冒険者頑張ったのに可哀想じゃん。
「どうだ、スカだけにスカッとしただろう。ハッハッハ!」
………それはやっちゃだめだよ。
そして顔を赤くした拓也たちは立ち上がって衝撃の一言放った。
「ふざけるなぁ!クソ王!いいか、今から我々はこの馬鹿王を人質にとり新たな魔王軍となるッ!」
それを聞き近くにいた騎士団は拓也たちに襲いかかったが流石は魔王を倒すだけの腕前、拓也は赤く光り輝く剣を流れるような動きで斬った。拓也の仲間の魔法使いは移動不可にする魔法で騎士の行動を制限した。
……これはひどい。あまりにも一方的すぎた。
すぐに騎士団は制圧され拓也たちはさらに一言
「これを見ている冒険者どもッ!今から我々が新たな魔王軍だッ!今のを見てなお勝てる自信のあるものはかかってこいッ!」
ギルドにいた俺ら冒険者が今日2度目の凍りついた瞬間だった。
……………………誰が勝てるか!!