第2章14話 『林檎林檎林檎』
ゼロの書XXX
最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪。
あぁ最悪。
この世の全てが嫌になるくらいに。
…………私は私が嫌いだ。
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俺は異世界が嫌いだ。変な蛇や変な蛇や変な蛇や変な蛇や変な蛇。…………みんな蛇だな。
でも本当に異世界は嫌いだ。いままで会った生物はみなロクでもなかった。特にこいつはひどい。蛇から繭になり龍へ変わる。チートもいいところだ。これだから異世界は嫌いだ。
俺は内心イライラしながら鱗に覆われていないであろう腹を狙いに行った。
腹は確実に柔らかく急所のはずだからだ。
「くそっ!!」
俺は龍の下へ潜り込もうとしたが、龍はそれに気づきさらに翼をはばたかせて風を起こしていた。風は龍の足元の炎を巻き込んで熱風と化して容赦なく吹きつけていた。
熱い!熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!!
…………くそっ近づけねぇ!大人しくしやがれ!…………どうする?どうする!?俺は接近戦だから近づかないことには始まらない!!
…………いや、無理に俺が正面から近づかなくてもいいのか?そこで俺は発想を変えてみることにした。奴が起こしている風には多分必ずどこかに弱いところがあるはず。風を正面の広範囲に同じ強さで吹かせるなんて不可能だ。
「ゼロー!!どこが風が弱いか見分けたいんだけど魔法でなんとかならないかな?」
そういうとゼロはコクリと頷いてから
「えぇ、できますよマスター。龍の正面に林檎を出すんでそれで見分けてください」
…………おい今なんて言った?林檎?あの丸くて赤くて美味しいヤツ?あれでどう見分けろと?
そう考えてる内にゼロは自分の荷物から籠にたくさん入っている林檎を取り出して龍めがけてぶちまけたのだった。
…………魔法じゃないんかーい。俺頼んだの魔法なんだけどなー。ゼロは後でお仕置き確定。って速!林檎がものすごい速さで風にながされてんだけど!?…………無理無理無理!!見分けられな
……………………えっ?ものすごい速さで俺の横を過ぎ去って行こうとしたとき一つの林檎が発光して宙に浮いていたのだった。
「わかりやすいようにマーキング機能付けときましたマスター。」
…………それを先に言ってよ。割と本気で睨みつけてた俺が馬鹿みたいじゃん。
でも、助かった!これで奴への道が開けた!
あとは倒すだけだ。
覚悟しやがれくそ龍!!俺がお前の肉を全部削いでやる!!




