第2章9話 『人を卒業しました』
ゼロの書Ⅷ
過去に繭蛇がかえったことがあった。その時最強だった国は繭蛇の中に潜むものによって一瞬にして滅亡した。いや、かえった瞬間の爆発でみな爆死した。
繭蛇の状態では攻撃は一切効かず、傷すらつけられない。その中に潜むものもまた凶悪である。どちらの状態でも人間は手を出せない。故に最悪の人類の敵である。
そして過去の倒された時の記憶は何者かによって隠蔽されていた。
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修行開始
寺での修行というととても大変だ。4時に起きてから座禅、寺を全部掃除してから少し休憩、お経の練習.....などなど。
これがまたきつい。けど集中力や忍耐力を鍛えるのにはうってつけだ。
このきつい日々が毎日のように続いた。
2日目になると集が少しずつおかしくなっていき、ご飯を食べる時「いただきます」を「ごちそうさま」と間違えて言っても気づかなくなり
3日間になると夜にうなされ
4日目には「くふふふ」と突然笑い始め
5日目には寝ながら食事をとれるようになり
6日目にはとうとう座禅で一切動かずに寝れるようにまでなっていた。
.......こいつやばいな。もう頭がいってる。ある意味成長したな。もうある意味プロじゃん。感心はしないけど。
「では新しい修行へ行きましょうか。」
お坊さんに言われて俺らは何も聞かされずに次の修行へと向かったのだった。
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そこには圧倒的な迫力を放つ大きな滝が流れていた。俺らは白い服に着替えて滝の目の前であまりの迫力に立ちつくしていた。
でかい滝の迫力が凄かった。滝は勢いよく流れていて、滝の下にある岩は滝の勢いで角が取れて丸くなっていた。
「では3人とも滝の下にある岩にあぐらをかいて手を組んでください」
……うん知ってた。あの勢いだと俺ら死ぬわ。首がボキッてなるよ?いいの?
「行きましょうくう様。更なる高みへ!」
.....なんでそんなに目をキラキラ輝かせているの?ドMなの?馬鹿なの?
「いやいやいや、あれはやばいって!」
俺は必死に抵抗したがそんな俺の抵抗も虚しく滝の下まで近づいていた。
水が冷たい。足から伝わってくる冷たさは俺の本能がやばいといっていた。.....これは全身で浴びたら死ぬやつだと。
そんな中、集とユメが滝の下の岩に流されないように必死にしがみつきながらあぐらを組んだ.....と思ったのもつかの間だった。
あまりに勢いが強くて耐えきれずにユメが流されてきた。全身で冷たい水を浴びたユメの動きは初めて作ったロボットのようなカクカクした動きをしていた。
.....なんといったらいいだろうか。そのだな.....全身勢いよく水に叩きつけられてびしょ濡れのユメの服装は少しはだけていて、少し透けていた。
.......やばい。これは童貞の俺にはやばい。刺激が強すぎる。これはえろい。ただでさえ可愛いからそれはあかんって。
「勢いが凄いですくう様。」
「おっおう。そうか確かに勢いすごいもんな!」
「.....あっ!」
ユメは俺の対応に疑問を抱いたのか少し不思議そうな顔をしてから悟ったかのような表情に変わった。
もしかしてばれたか!?やばいやばい、どう言って誤魔化そう!?
「もしかしてすぐに流されてきたからか弱くて可愛いなーって思ってますか?」
.....は?いや微塵も思ってませんが。とりあえずばれてないみたいでよかった。
「そういえば集はまだ耐えてるのか?」
「そうみたいですね。.....うん?くう様あれは.......」
ユメが疑問を抱いたので集をよく見てみると集には水が当たっていなかった。
詳しくいうと集の周りに透明のバリアのようなものが張っていて、水が弾かれているのだが当の本人は目を固く閉じていて気づいていなかった。
.......いやいや、バリア使ったら修行の意味無いじゃん。てか、あいつなんでバリア使えてるの?詠唱もしてなかったしどうやって?
こうして集はいつの間にか人を卒業していたのだった。




